今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「トランプ大統領、香港人権法案に署名」

ひと目で分かる昨晩の動き

欧州市場
  • NY市場が休みのためドル円は109円50銭近辺でほとんど動かず。
  • ユーロドルも1.10を割り込むかどうかが注目されたが、1.10台は維持。
  • トランプ大統領が「香港人権法案」に署名したことから、英FT、独DAX、仏CACなど主要欧州株式は総じて下落。
ドル/円 109.37 〜 109.55
ユーロ/ドル 1.1001 〜 1.1018
ユーロ/円 120.42 〜 120.59
NYダウ ------- → 28,164.00ドル
GOLD ------- → 1,460.80ドル
WTI ------- → 58.11ドル
米10年国債 ------- → 1.765%

本日の注目イベント

  • 日 10月失業率
  • 日 11月東京都区部消費者物価指数
  • 日 10月鉱工業生産
  • 独 独11月失業率
  • 欧 ユーロ圏10月失業率
  • 欧 ユーロ圏11月消費者物価指数(速報値)
  • 米 株式、債券市場短縮取引
  • 加 カナダ7−9月期GDP

米国が感謝祭のため、昨日の海外市場ではほとんど動きがありませんが、昨日の東京時間の午前中に「トランプ大統領が香港人権法案に署名」とのニュースが伝わると、109円50銭台で推移していたドル円は、109円37銭近辺まで売られる場面がありました。合意が近いとされている米中貿易協議にとって「あらたな火種」になるとの見方からドルが売られたものですが、今後の中国側の対応が注目されます。同法案は、もともと米議会では圧倒的多数で可決された法案であり、仮に大統領が拒否権を発動しても、議会の3分の2の賛成で成立するとの見方があったため、トランプ氏は署名するだろうと見られていました。大統領の署名をもって同法案は成立しましたが、中国政府は「内政干渉」だとして反発するとともに、報復措置も辞さないと改めて警告しています。ただ、現時点では中国政府が具体的な行動を取っているとの報道はなく、中国外務省の報道官は定例記者会見で、「中国はいつ報復するのか?」、「貿易協議に影響するのか?」といった記者団からの質問に直接答えるのではなく、「このまま見守ってほしい。来るものは来る」と答えています。また、香港政府も声明で、「極めて遺憾」との立場を表明しています。(ブル−ムバーグ)

同法案は香港の「一国二制度」が正常に機能しているのかどうかを検証し、仮に人権や自由、自治などが損なわれていたら、制裁を科すというものです。トランプ氏は署名後の声明で、「私は習近平国家主席と中国、香港市民に敬意を表して法案に署名した」とし、「同法案成立に当たり、中国や香港の指導者や代表者がお互いの相違を友好的に克服することができ、全ての人々の長期的な平和と安定につながるよう期待する」と述べています。今朝の報道では、香港警察が事実上制圧した香港理工大学の包囲を、早ければ今日にも解除する見通しだといった報道もあり、法案成立の影響が早くも出て来たようです。

ユーロドルは前日に一時1.10を割り込む場面もありましたが、昨日は粘り越しを見せ1.10台をキープしています。景気の悪化に底打ち感が見られなかったユーロ圏の経済指標に、ようやく改善傾向が見え始めたことが相場を支えているのかもしれません。昨日発表された11月のユーロ圏景況感指数は「101.3」に上昇し、10月の「100.8」を上回っただけでなく、市場予想の「101.0」も上回りました。また、消費者信頼感指数もマイナスではありますが、10月に比べマイナス幅を縮小しています。長く続いたユーロ安の効果もじわじわと出てきたのかもしれませんが、カギはドイツの製造業の復活が確認出来るかどうかにあると考えます。昨日もドイツの自動車メーカー大手のアウディーが、「生産調整に伴い9500人の人員削減」といった記事を読んだばかりです。ドイツの製造業の復活には、中国景気の底入れが不可欠です。その中国では、米中の貿易協議も正式な合意を見ていない中、景気が底入れして拡大に向かうのは、早くても来春と予想しており、ドイツ製造業にとって春が来るのは、名実ともに来年の春ということになりそうです。

今日はNY市場がオープンしますが、株式・債券市場は短縮取引となります。「ブラック・フライデー」ということもあり、午後からは多くのトレーダーが買い物に繰り出すことでしょう。そして来週からは12月です。徐々に市場参加者が減り、マーケットは薄くなります。米中貿易協議がいつ合意に至るのか。トランプ大統領の弾劾調査。あるいは12月15日に予定されている中国に対する「制裁関税第4弾の発動」など、相場を動かしそうな材料は残ったままです。まだまだクリスマスモードに浸るには早いと言えるでしょう。本日のドル円は109円20銭〜109円80銭程度を予想します。

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世界規模でM&Aが活発に行われていますが、今週は月曜日には日米でも目立った案件がありました。米国では、金融サービス会社のチャールズ・シュワブが同業のTDアメリトレードを全株式交換方式で260億ドル(約2兆8300億円)規模の買収を決め、買収後の規模は併せて5兆ドルという大企業が誕生します。またLVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)は、米ティファニーを現金160億ドル(約1兆7400億円)で買収し、米国での宝飾品販売を加速させるようです。日本でも三菱商事と中部電力が5000億円相当でオランダの電力会社を買収し、旭化成も1400億円で米製薬会社を買収することを発表しました。まさに「マージャー・マンディ」(合併の月曜日)に相応しい1日でした。

世界景気が減速する中、将来の収益源となる種を蒔いているのでしょうが、注目したのはLVMHに買収される米国を代表するブランドのティファニーです。同社の本店はNYセントラルパークの側にあり、隣はあの金色に輝くトランプタワーです。トランプ氏が大統領に就任して以来、同タワーへの警備が強化され、それがティファニー社売上げ減少の一因だとも言われています。買収される会社が米国を代表するブランドで、自分が所有するビルの隣にあるティファニーがフランスの一大ブランドに買収されるのを、「アメリカ・ファースト」を標榜するトランプ氏はどのように感じているのでしょうか・・・・?
良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
11/26 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 「私の考えでは、利下げから量的緩和(QE)へと進むスムーズな連続性はない。中銀が資産購入に踏み込むのは利下げよりも大きなステップだ」 --------
11/26 トランプ大統領 米中貿易協議について、「われわれは極めて重要な取引の最後の難所にある。非常に順調に進んでいる」 ドル高、株高につながる。
11/25 パウエル・FRB議長 「経済を巡る今後の情報が当局の見通しとおおむね合致した状況が続く限り、現行の金融政策スタンスは依然として適切である可能性が高いとわれわれは考える」 --------
11/24 マイケル・ブルームバーグ・前NY市長 「ドナルド・トランプを打ち負かし、米国を立て直すために出馬する。大統領による無鉄砲で倫理観を欠いた行動がさらに4年間続くことに、米国は堪えられない」「再選された場合、米国が受けるダメージは二度と修復できなくなるだろう」(民主党大統領候補出馬にあたって) --------
11/20 劉鶴・中国副首相 (米国側の要求に)「戸惑っているものの、合意の第1段階に達する自信を持っている」「慎重ながらも楽観的だ」 ドル円→108円30銭近辺から反発。マイナス400円を超える下落を見せた日経平均株価も下げ幅を200円以下に縮小。
11/19 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「現在の経済状況および緩やかな成長の継続と力強い労働市場、2%へ向かうインフレを描く基本シナリオを考えると、現在の金融政策スタンスはこれを支える上で適切だと見受けられる」 --------
11/18 メスター・クリーブランド連銀総裁 「現在の金融政策はインフレの行方を見守る上で好位置であると考えている」「インフレは当局の2%目標に向かって上昇しているように見受けられるものの、製造業と投資はこのところ弱い。個人消費は力強く、底堅い」 --------
11/13 パウエル・FRB議長 「景気に関する最新情報がわれわれの見通しとおおむね一致する状況が続く限り、現行金融政策のスタンスは引き続き適切となる可能性が高いだろう」「ただし、この見通しに対する留意すべきリスクは残る」 ややドル高に影響したが、動きは限定的。
11/12 トランプ大統領 「合意は近い。重要な第一段階の合意が近く実現する可能性がある」「合意に至らなければ、われわれは対中関税を大きく引き上げる」 リスクオンがやや後退し、ドル円、株価は小幅下落。
11/5 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「貿易政策を起因とする不確実性や世界経済の成長減速から国内経済を守るため、米金融当局は金利を引き下げたが、一旦(利下げを)休止する良い時期と考えている」 --------
11/5 カプラン・ダラス連銀総裁 「1.5−1.75%のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジは恐らく妥当な水準だ」 --------
10/30 トランプ大統領 「パウエル議長とFOMCに国民は非常に失望している。」「われわれはドイツや日本など、他の国のどこよりも低い金利とすべきだった。米国は現在、間違いなく最も強大な国だが、FRBのせいで競争上、不利な立場に置かれている。われわれにとって問題なのは中国ではなくFRBだ。」 --------
10/24 ドラギ・ECB総裁 「成長の勢い鈍化が賃金上昇のインフレへの転化を遅らせている」と指摘し、見通しへのリスクは下方向だ」「ドイツは恐らくリセッションに陥っている」 --------
10/24 ペンス・米副大統領 (米中関係について)「両国がデカップリングするのではなく、米国は中国との関わり、および中国による世界との関わりを模索している」 ややリスクオンの流れが強まる
10/19 劉鶴・中国副首相 「中国と米国は多くの側面で大きく前進し、第一段階の合意に向け重要な基盤を築いた」、「中国は平等を相互尊重に基づいて双方の中核的な懸案事項に対処するため米国と協力して取り組む用意がある」 --------
10/15 ブラード・セントルイス連銀総裁 「今後の会合で追加の保険を検討する必要がある」 --------
10/15 ギータ・ゴピナート・IMFチーフエコノミスト 「減速の同時発生と不確かな回復に伴い、グローバルな見通しはなお不安定だ。政策ミスの余地はなく、政策担当者が貿易摩擦を地政学的緊張の緩和で協調することが急務だ」 --------
10/10 トランプ大統領 米中貿易協議について、「非常にうまく行った。われわれはここで明日彼らと会うだろう。極めて順調だ」 ドル円107円80銭から108円台を回復。
10/8 エバンス・シカゴ連銀総裁 「さらなる保険として、25ベーシスポイント引き下げる根拠は十分ありそうだ」 --------
10/6 ジョンソン・英首相 「われわれは荷物をまとめて出て行くことになるだろう。EUが相互に受け入れ可能な合意の下でわれわれを陽気に見送るか、われわれが勝手に出て行かざるを得ないか、それだけの問題だ」(英紙テレグラフで) --------
10/4 ジョージ・カンザスシティー連銀 「一段の成長減速の兆候があれば追加利下げに賛成する用意がある」 --------
10/4 パウエル・FRB議長 「米経済はいくらかリスクを抱えているものの、総じて良好な状態にあると言えるだろう」「失業率は半世紀ぶりの低水準付近にあり、インフレ率は当局の2%目標付近だがそれをやや下回った水準で推移している。われわれの仕事は、可能な限り長期間、その状態を維持することだ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和