今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円109円67銭まで上昇後下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は、朝方は買い先行で始まり109円67銭までドル高が進んだが、その後じり安に。トランプ大統領が「香港人権法」に署名したことや、株安などを手掛かりに109円38銭まで下落。
  • ユードルも朝方には1.10を割り込み、1.0981までユーロ安が進む。午後には1.10台に戻して越週。
  • 短縮取引だった株式は反落。ダウは112ドル売られ、主要指数は揃って反落。
  • 債券相場は小幅に下落。長期金利は1.77%台へとやや上昇。
  • ドルが売られたことで金は反発。原油は主要産油国の減産体制が整わないとの見方に大幅下落。3ドル近い下落を見せ、55ドル台に。
ドル/円 109.38 〜 109.67
ユーロ/ドル 1.0981 〜 1.1028
ユーロ/円 120.41 〜 120.76
NYダウ −112.59 → 28,051.41ドル
GOLD +11.90 → 1,472.70ドル
WTI −2.94 → 55.17ドル
米10年国債 +0.011 → 1.776%

本日の注目イベント

  • 豪   豪10月住宅建設許可件数
  • 中   11月財新製造業PMI
  • トルコ トルコ7−9月期GDP
  • 独   独10月ifo景況感指数
  • 欧   ユーロ圏11月製造業PMI(改定値)
  • 欧   ラガルド・ECB総裁、欧州議会で証言
  • 米   11月製造業PMI(改定値)
  • 米   11月ISM製造業景況指数
  • 米   トランプ大統領、NATO首脳会議出席のため英国を訪問

先週金曜日の「ブラック・フライデー」では、米国の個人消費の勢いがどの程度なのか注目されていましたが、インターネットの販売が74億ドル(約8100億円)と、過去最高を記録したようです。一方で実店舗の売り上げは苦戦した模様で、同じバーゲン品がネットで買えることで、夜中から店に並ぶ必要性が薄れてきたからといった分析もあります。

先週末のNYでは、債券・株式市場が短縮取引でしたが、ドル円は朝方には買われて、109円67銭まで上昇し、わずかでしたが直近の高値を更新しました。その後は、やはりトランプ大統領が署名した「香港人権法」の成立による米中貿易協議への影響が意識され、ドル円はジリジリと値を下げ、109円38銭まで売られて越週しています。香港では再び抗議デモが復活し、警察が催涙ガスを発射し、デモ隊には負傷者も出たとの報道もあります。

ただ、週明け早朝には再び109円50銭台を回復しており、109円56銭前後までドルが買われています。昨日の日曜日に発表された中国11月の製造業PMIが「50.2」と、前月の「49.3」から上昇したことが影響したようです。中国の同指標が節目の「50」を上回るのは今年の4月以来7カ月ぶりのこととなり、経済活動が底をうち拡大に転じた可能性も出てきました。また、同時に発表されたサービス業PMIでも「54.4」と、前月の「52.8」を上回っており、こちらも3月以来で最も高い水準になっています。ブルームバーグは、「11月は外需の伸び回復や、影響の度合いは小さいが、国内の建設活動の拡大もあって、経済活動の伸びが緩やかに上向くと予想している」といった、中国国際金融のエコノミストのコメントを紹介しています。

11月30日に、独メルケル政権と連立を組む社会民主党(SPD)の党首選が行われ、メルケル政権との連立に否定的な候補者が勝利しました。この結果、SPDが連立政権に留まるかどうかが不透明となり、SPDが他の政党と大連立を組む可能性もあり、メルケル政権の基盤が不安定になってきたようです。連立の枠組が大きく変わるようだと、ドイツのこれからの景気回復のスピードや、通貨ユーロへの影響も出てきそうです。

ドル円は109円台を固めているように見えますが、今週は好調だった米株式も調整モードに入る可能性があり、株式の上昇がドル円を支える局面にはなりにくいと思われます。引き続き米中貿易協議の合意がいつなされるのかが焦点ですが、今週はISM製造業景況指数や雇用統計といった重要な経済指標も発表されます。こちらの方は大きな混乱にはつながらないと思われ、ドルがどこまで上値を伸ばせるのかを確認することになりそうです。本日のドル円は109円20銭〜109円90銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
11/26 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 「私の考えでは、利下げから量的緩和(QE)へと進むスムーズな連続性はない。中銀が資産購入に踏み込むのは利下げよりも大きなステップだ」 --------
11/26 トランプ大統領 米中貿易協議について、「われわれは極めて重要な取引の最後の難所にある。非常に順調に進んでいる」 ドル高、株高につながる。
11/25 パウエル・FRB議長 「経済を巡る今後の情報が当局の見通しとおおむね合致した状況が続く限り、現行の金融政策スタンスは依然として適切である可能性が高いとわれわれは考える」 --------
11/24 マイケル・ブルームバーグ・前NY市長 「ドナルド・トランプを打ち負かし、米国を立て直すために出馬する。大統領による無鉄砲で倫理観を欠いた行動がさらに4年間続くことに、米国は堪えられない」「再選された場合、米国が受けるダメージは二度と修復できなくなるだろう」(民主党大統領候補出馬にあたって) --------
11/20 劉鶴・中国副首相 (米国側の要求に)「戸惑っているものの、合意の第1段階に達する自信を持っている」「慎重ながらも楽観的だ」 ドル円→108円30銭近辺から反発。マイナス400円を超える下落を見せた日経平均株価も下げ幅を200円以下に縮小。
11/19 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「現在の経済状況および緩やかな成長の継続と力強い労働市場、2%へ向かうインフレを描く基本シナリオを考えると、現在の金融政策スタンスはこれを支える上で適切だと見受けられる」 --------
11/18 メスター・クリーブランド連銀総裁 「現在の金融政策はインフレの行方を見守る上で好位置であると考えている」「インフレは当局の2%目標に向かって上昇しているように見受けられるものの、製造業と投資はこのところ弱い。個人消費は力強く、底堅い」 --------
11/13 パウエル・FRB議長 「景気に関する最新情報がわれわれの見通しとおおむね一致する状況が続く限り、現行金融政策のスタンスは引き続き適切となる可能性が高いだろう」「ただし、この見通しに対する留意すべきリスクは残る」 ややドル高に影響したが、動きは限定的。
11/12 トランプ大統領 「合意は近い。重要な第一段階の合意が近く実現する可能性がある」「合意に至らなければ、われわれは対中関税を大きく引き上げる」 リスクオンがやや後退し、ドル円、株価は小幅下落。
11/5 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「貿易政策を起因とする不確実性や世界経済の成長減速から国内経済を守るため、米金融当局は金利を引き下げたが、一旦(利下げを)休止する良い時期と考えている」 --------
11/5 カプラン・ダラス連銀総裁 「1.5−1.75%のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジは恐らく妥当な水準だ」 --------
10/30 トランプ大統領 「パウエル議長とFOMCに国民は非常に失望している。」「われわれはドイツや日本など、他の国のどこよりも低い金利とすべきだった。米国は現在、間違いなく最も強大な国だが、FRBのせいで競争上、不利な立場に置かれている。われわれにとって問題なのは中国ではなくFRBだ。」 --------
10/24 ドラギ・ECB総裁 「成長の勢い鈍化が賃金上昇のインフレへの転化を遅らせている」と指摘し、見通しへのリスクは下方向だ」「ドイツは恐らくリセッションに陥っている」 --------
10/24 ペンス・米副大統領 (米中関係について)「両国がデカップリングするのではなく、米国は中国との関わり、および中国による世界との関わりを模索している」 ややリスクオンの流れが強まる
10/19 劉鶴・中国副首相 「中国と米国は多くの側面で大きく前進し、第一段階の合意に向け重要な基盤を築いた」、「中国は平等を相互尊重に基づいて双方の中核的な懸案事項に対処するため米国と協力して取り組む用意がある」 --------
10/15 ブラード・セントルイス連銀総裁 「今後の会合で追加の保険を検討する必要がある」 --------
10/15 ギータ・ゴピナート・IMFチーフエコノミスト 「減速の同時発生と不確かな回復に伴い、グローバルな見通しはなお不安定だ。政策ミスの余地はなく、政策担当者が貿易摩擦を地政学的緊張の緩和で協調することが急務だ」 --------
10/10 トランプ大統領 米中貿易協議について、「非常にうまく行った。われわれはここで明日彼らと会うだろう。極めて順調だ」 ドル円107円80銭から108円台を回復。
10/8 エバンス・シカゴ連銀総裁 「さらなる保険として、25ベーシスポイント引き下げる根拠は十分ありそうだ」 --------
10/6 ジョンソン・英首相 「われわれは荷物をまとめて出て行くことになるだろう。EUが相互に受け入れ可能な合意の下でわれわれを陽気に見送るか、われわれが勝手に出て行かざるを得ないか、それだけの問題だ」(英紙テレグラフで) --------
10/4 ジョージ・カンザスシティー連銀 「一段の成長減速の兆候があれば追加利下げに賛成する用意がある」 --------
10/4 パウエル・FRB議長 「米経済はいくらかリスクを抱えているものの、総じて良好な状態にあると言えるだろう」「失業率は半世紀ぶりの低水準付近にあり、インフレ率は当局の2%目標付近だがそれをやや下回った水準で推移している。われわれの仕事は、可能な限り長期間、その状態を維持することだ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和