「米中貿易協議の合意観測再び強まる」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は反発。米中貿易協議に対する懸念が後退したことがドルの買い戻しにつながった。ドル円は108円96銭まで上昇したが、発表された経済指標がやや重石に。
- ユーロドルはユーロの買い戻しが進み、1カ月ぶりに1.11台を回復。1.1116までユーロ高が進み、ドル円とは異なった動きに。
- 株式市場は4日ぶりに反発。ADP雇者数が予想を大きく下回ったが、米中貿易協議の合意が近いとの報道に買いが優勢に。ダウは146ドル上昇し、他の主要指数も揃って上昇。
- 債券相場は反落。長期金利は1.77%台へ上昇。
- 金は反落。原油価格は産油国の減産観測が強まり大幅高に。
11月ADP雇用者数 → 6.7万人
11月ISM非製造業景況指数 → 53.9
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| ドル/円 | 108.55 〜 108.96 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1067 〜 1.1116 |
| ユーロ/円 | 120.34 〜 120.81 |
| NYダウ | +146.97 → 27,649.78ドル |
| GOLD | −4.20 → 1,480.20ドル |
| WTI | +2.33 → 58.43ドル |
| 米10年国債 | +0.057 → 1.772% |
本日の注目イベント
- 豪 豪10月小売売上高
- 豪 豪10月貿易収支
- 独 独10月製造業新規受注
- 欧 OPEC総会
- 欧 ユーロ圏10月小売売上高
- 欧 ユーロ圏7−9月期GDP(確定値)
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 10月貿易収支
- 米 クオールズ・FRB副議長、上院で証言
- 加 カナダ10月貿易収支
金融市場は、相変わらずトランプ大統領の中国との貿易協議をめぐる発言で上下させられています。前日、米中貿易協議の合意について「期限はない」と発言し、「中国との合意を大統領選挙後まで待つのは良い考えだと思う。」と述べたトランプ氏でしたが、昨日はメルケル独首相との会談の際、「中国との協議は非常に良好に進んでいる」と述べ、「多くの進展があるだろう」と語ったことで、急速に後退した「合意観測」が再び高まってきました。米株式市場では主要3指数とも揃って反発し、昨日108円43銭まで売られたドル円は108円96銭まで買い戻され、109円に届く水準まで戻っています。
トランプ氏の不用意な発言に市場は一喜一憂していますが、米大統領としては、もう少し慎重な言い回しが求められますが、これも「トランプ流外交術」の一つなのかもしれません。2017年1月以降の発言内容を分析したみずほ証券によると、トランプ氏は水曜日にツイートする回数が最も多く、株価との関係では、株価が下落した時にはこまめに前向きな投稿をして市場の反応を促す一方、株価の上昇局面ではあまり介入しないとの調査結果があります。確かに、ブラジルとアルゼンチンに対する突然の関税引き上げ発言は、株価が上昇し最高値圏にあった時で、ダウが3日で600ドルも続落した昨日は前向きな発言でした。
この他にも昨日はトランプ氏に関する話題で持ちきりです。北朝鮮との関係を良好に保っており、また近いうちに再会したいと発言していたトランプ氏に対して、北朝鮮の国営朝鮮中央通信(KCNA)は、トランプ大統領がNATO首脳会議の場で北朝鮮について「望ましくない」発言をし、金正恩委員長がその発言に「気分を害した」と報じました。トランプ氏は3日、NATO首脳会議の場で、「金委員長は確かにロケットを打ち上げるのが好きだろう?だから私は彼を『ロケットマン』と呼ぶ」と述べ、「米国はこれまでで最も強力な軍隊を有し、世界最強だ。これを使わなくて済めばいいが、必要なら使う」と語っています。(ブルームバーグ)北朝鮮はこの発言を取り上げたものと思われますが、KCNAは北朝鮮人民軍の総参謀長の声明を基に、「北朝鮮と米国は、厳密に言えばなお戦争状態にあり、休戦が本格的な武力衝突に変わることはいつでもあり得る。偶発的な事件さえきっかけに成り得る」と伝えています。蜜月関係にあった「トランプ・金関係」も、その後目だった進展もなく、やや冷え込んできたとの印象です。
トランプ氏は、昨日はさらにカナダのトルドー首相を批判し、「トルドー氏には裏表がある」と述べ、「非常にいい男だと思うが、私はトルドー氏にカナダは(軍事費にGDPの)2%を支出していないという事実を突きつけた。それが不満だったのだろう」と語っています。中国に加え、南米、欧州、さらに隣国カナダと、多くの国との衝突を辞さないトランプ氏、まさに「アメリカ・ファースト」ということなのでしょう。
再び「合意観測」が高まった米中貿易協議ですが、「制裁関税第4弾」の発動まであと10日余りになってきました。それまでに合意があれば、この関税も延期か停止になるものと思われます。個人的にはメインシナリオとしては「発動回避」を予想していますが、最後まで分かりません。ここは慎重に報道を待つしかありません。本日のドル円は108円40銭〜109円10銭程度を予想します。
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明日の「アナリストレポート」は都合によりお休みとさせていただきます。ご愛読者の皆様にはご迷惑をおかけしますが、宜しくお願い申し上げます。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 12/3 | トランプ大統領 | (中国との合意に)「期限はない」、中国との合意を大統領選挙後まで待つのは良い考えだと思う。しかし、中国はいま合意することを望んでいる。合意が適切なものになるかどうか見てみよう」 | ドル円109円台前半から108円台半ばまで下落。NYダウは一時450ドルを超える下落。 |
| 12/2 | ロス・米商務長官 | 「論理的な期限は12月15日だ。現在とその日までの間に何も起きなければ、トランプ大統領は関税を引き上げる考えであることをかなり明確に示している」 | -------- |
| 12/2 | トランプ大統領 | 「甚だしい規模で自国通貨の切り下げを行ってきた。これは米国の農民にとって不利だ。従って、両国から出荷される全ての鉄鋼とアルミニウムに対する関税を直ちに復活させる」 | 株価の大幅下落と、ドル円は109円台後半から108円台後半まで売られる。 |
| 11/26 | ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 | 「私の考えでは、利下げから量的緩和(QE)へと進むスムーズな連続性はない。中銀が資産購入に踏み込むのは利下げよりも大きなステップだ」 | -------- |
| 11/26 | トランプ大統領 | 米中貿易協議について、「われわれは極めて重要な取引の最後の難所にある。非常に順調に進んでいる」 | ドル高、株高につながる。 |
| 11/25 | パウエル・FRB議長 | 「経済を巡る今後の情報が当局の見通しとおおむね合致した状況が続く限り、現行の金融政策スタンスは依然として適切である可能性が高いとわれわれは考える」 | -------- |
| 11/24 | マイケル・ブルームバーグ・前NY市長 | 「ドナルド・トランプを打ち負かし、米国を立て直すために出馬する。大統領による無鉄砲で倫理観を欠いた行動がさらに4年間続くことに、米国は堪えられない」「再選された場合、米国が受けるダメージは二度と修復できなくなるだろう」(民主党大統領候補出馬にあたって) | -------- |
| 11/20 | 劉鶴・中国副首相 | (米国側の要求に)「戸惑っているものの、合意の第1段階に達する自信を持っている」「慎重ながらも楽観的だ」 | ドル円→108円30銭近辺から反発。マイナス400円を超える下落を見せた日経平均株価も下げ幅を200円以下に縮小。 |
| 11/19 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「現在の経済状況および緩やかな成長の継続と力強い労働市場、2%へ向かうインフレを描く基本シナリオを考えると、現在の金融政策スタンスはこれを支える上で適切だと見受けられる」 | -------- |
| 11/18 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「現在の金融政策はインフレの行方を見守る上で好位置であると考えている」「インフレは当局の2%目標に向かって上昇しているように見受けられるものの、製造業と投資はこのところ弱い。個人消費は力強く、底堅い」 | -------- |
| 11/13 | パウエル・FRB議長 | 「景気に関する最新情報がわれわれの見通しとおおむね一致する状況が続く限り、現行金融政策のスタンスは引き続き適切となる可能性が高いだろう」「ただし、この見通しに対する留意すべきリスクは残る」 | ややドル高に影響したが、動きは限定的。 |
| 11/12 | トランプ大統領 | 「合意は近い。重要な第一段階の合意が近く実現する可能性がある」「合意に至らなければ、われわれは対中関税を大きく引き上げる」 | リスクオンがやや後退し、ドル円、株価は小幅下落。 |
| 11/5 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「貿易政策を起因とする不確実性や世界経済の成長減速から国内経済を守るため、米金融当局は金利を引き下げたが、一旦(利下げを)休止する良い時期と考えている」 | -------- |
| 11/5 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「1.5−1.75%のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジは恐らく妥当な水準だ」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



