今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「合意はしたものの、米中貿易協議に市場は懐疑的」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 米中は「第一段階」の合意はしたものの、協議の先行きに不透明感が残ったとことで、ドル円は109円21銭まで下落。欧州市場では109円71銭前後まで上昇したものの、110円には届かず。
  • ユーロドルは1.11台半ばを挟んでもみ合い、1.11台を固める動きに。
  • 株式市場は米中貿易協議の合意を好感したものの、ダウの上げ幅は小幅に留まる。一方ナスダック、S&P500はやや上げ幅を伸ばす。
  • 債券相場は反落。前日1.9%近辺まで上昇した長期金利は1.82%台まで低下。
  • 金は反発。原油は続伸し、60ドルの大台に乗せる。
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11月輸入物価指数 → 0.2%
9月小売売上高   → 0.2%
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ドル/円 109.21 〜 109.62
ユーロ/ドル 1.1112 〜 1.1177
ユーロ/円 121.44 〜 122.49
NYダウ +3.33 → 28,135.38ドル
GOLD +8.90 → 1,481.20ドル
WTI +0.89 → 60.07ドル
米10年国債 −0.074 → 1.823%

本日の注目イベント

  • 中 中国11月小売売上高
  • 中 中国11月鉱工業生産
  • 独 独12月サービス業PMI(速報値)
  • 独 独12月サービス業PMI(改定値)
  • 欧 ユーロ圏12月総合PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏12月製造業PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏12月サービス業PMI(速報値)
  • 米 12月NY連銀製造業景況指数
  • 米 12月FHFA住宅価格指数

先週末には米中貿易協議がおおむね合意に達したとの報道から、金融市場ではリスクオンが加速し、ドル円は109円71銭近辺までドル高が進み、週末の日経平均株価は600円ほど上昇し、今年最大の上げ幅を記録しました。前日のNY株が大きく上昇したことと、円安が進んだことを好感し、引け値でも2万4000円の大台を回復しています。一方ドル円は上昇したものの、109円台半ばから上方ではブレイキがかかっています。

週末のNYではドルが売られ、株価は続伸したものの上げ幅は限定的と、前日の反応とはやや異なった動きです。トランプ大統領は米中が直ちに貿易合意の第2弾を巡る交渉を始めると述べたものの、USTRのライトハイザー代表は、米国と中国が第2段階の貿易交渉を開始する日程は今のところ決まっていないと述べるなと、今後米中貿易協議がさらに進展するかどうか懐疑的な見方が広がっています。15日に予定されていた「制裁関税第4弾」の発動はひとまず延期され、今回の合意内容を実行に移すための署名は1月に行われる予定になっています。

今後の米中貿易協議の先行きに不透明感を残したのは、米中双方の認識に違いがあることが浮き彫りになったことも挙げられます。中国政府は「米国は発動済み関税を一部取り消すと約束した」と財次官が述べたものの、米国はトランプ氏が「関税の大部分は維持される。中国との第2段階の交渉に使うつもりだ」と、はっきりと語っています。「制裁関税第4弾」の発動は延期されたものの、第1〜第3の関税25%は維持されると米国は述べています。このように今回ひとまず「休戦」した貿易協議ですが、今後まだ紆余曲折がありそうで、その度に為替相場は動くことになりそうです。トランプ氏が、これまでにも、「貿易協議の合意は急がない。2020年の大統領選後でもいい」と述べ、市場がリスクオフに傾いたことも記憶に新しいところですが、今回の合意を受けて「第2段階の取引を巡る交渉は2020年の選挙を待たずに直ぐに始める」とツイートしています。今度は、貿易協議の合意が大統領選に有利に働くと考え、急ぎたいという考えなのでしょう。今後も引き続き「米中貿易協議」の進展具合が、相場の波乱要因になることは間違いないようです。

ドル円は今回の合意で109円台を回復しましたが、今のところは、やはり110円が壁になっているようです。このまま109円台を維持することができれば、いずれ時間をかけながら110円をテストする可能性も十分あると考えますが、再び109円を割りこみ108円台半ばまで押し戻されるようだと、市場参加者も「110円突破は難しい」といった相場観を抱き始め、それがさらにドルの上値を重くすることも予想されます。個人的には、これまでドルの上値を抑えてきた「BREXIT」と「米中貿易協議」2つ懸念材料が不透明感を残しながらも大きく前進したことで、ドルにもう少し上昇余地があるのではないかと予想しています。また、米景気は依然として雇用や住宅、消費といった部分では好調で、これが政策金利引き下げの抑止力になっている点も見逃せません。本日のドル円は109円〜109円70銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
12/13 トランプ大統領 「中国と取引が成立したため、15日の関税は発動されない。第2段階の取引を巡る交渉は2020年の選挙を待たずに直ぐに始める」 --------
12/13 ライトハイザー・USTR代表 「米国と中国が第2段階の貿易交渉を開始する日程は今のところ決まっていない」 ドル円、109円台半ばから109円台前半に下落
12/11 パウエル・FRB議長 「金融政策の現在のスタンスは今後も適切である公算が大きい。経済と金融政策は現在、両方とも良好だ」 --------
12/3 トランプ大統領 (中国との合意に)「期限はない」、中国との合意を大統領選挙後まで待つのは良い考えだと思う。しかし、中国はいま合意することを望んでいる。合意が適切なものになるかどうか見てみよう」 ドル円109円台前半から108円台半ばまで下落。NYダウは一時450ドルを超える下落。
12/2 ロス・米商務長官 「論理的な期限は12月15日だ。現在とその日までの間に何も起きなければ、トランプ大統領は関税を引き上げる考えであることをかなり明確に示している」 --------
12/2 トランプ大統領 「甚だしい規模で自国通貨の切り下げを行ってきた。これは米国の農民にとって不利だ。従って、両国から出荷される全ての鉄鋼とアルミニウムに対する関税を直ちに復活させる」 株価の大幅下落と、ドル円は109円台後半から108円台後半まで売られる。
11/26 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 「私の考えでは、利下げから量的緩和(QE)へと進むスムーズな連続性はない。中銀が資産購入に踏み込むのは利下げよりも大きなステップだ」 --------
11/26 トランプ大統領 米中貿易協議について、「われわれは極めて重要な取引の最後の難所にある。非常に順調に進んでいる」 ドル高、株高につながる。
11/25 パウエル・FRB議長 「経済を巡る今後の情報が当局の見通しとおおむね合致した状況が続く限り、現行の金融政策スタンスは依然として適切である可能性が高いとわれわれは考える」 --------
11/24 マイケル・ブルームバーグ・前NY市長 「ドナルド・トランプを打ち負かし、米国を立て直すために出馬する。大統領による無鉄砲で倫理観を欠いた行動がさらに4年間続くことに、米国は堪えられない」「再選された場合、米国が受けるダメージは二度と修復できなくなるだろう」(民主党大統領候補出馬にあたって) --------
11/20 劉鶴・中国副首相 (米国側の要求に)「戸惑っているものの、合意の第1段階に達する自信を持っている」「慎重ながらも楽観的だ」 ドル円→108円30銭近辺から反発。マイナス400円を超える下落を見せた日経平均株価も下げ幅を200円以下に縮小。
11/19 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「現在の経済状況および緩やかな成長の継続と力強い労働市場、2%へ向かうインフレを描く基本シナリオを考えると、現在の金融政策スタンスはこれを支える上で適切だと見受けられる」 --------
11/18 メスター・クリーブランド連銀総裁 「現在の金融政策はインフレの行方を見守る上で好位置であると考えている」「インフレは当局の2%目標に向かって上昇しているように見受けられるものの、製造業と投資はこのところ弱い。個人消費は力強く、底堅い」 --------
11/13 パウエル・FRB議長 「景気に関する最新情報がわれわれの見通しとおおむね一致する状況が続く限り、現行金融政策のスタンスは引き続き適切となる可能性が高いだろう」「ただし、この見通しに対する留意すべきリスクは残る」 ややドル高に影響したが、動きは限定的。
11/12 トランプ大統領 「合意は近い。重要な第一段階の合意が近く実現する可能性がある」「合意に至らなければ、われわれは対中関税を大きく引き上げる」 リスクオンがやや後退し、ドル円、株価は小幅下落。
11/5 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「貿易政策を起因とする不確実性や世界経済の成長減速から国内経済を守るため、米金融当局は金利を引き下げたが、一旦(利下げを)休止する良い時期と考えている」 --------
11/5 カプラン・ダラス連銀総裁 「1.5−1.75%のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジは恐らく妥当な水準だ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和