「中東リスク高まる」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は米国とイランが一触即発の状況になったことで円が買われ、昨年11月以来となる107円84銭まで下落。
- ユーロドルは小幅に上昇。1.1180までユーロ高が進んだがユーロ円を売る流れに、ユーロの上昇は緩やか。
- 株式市場は3指数とも揃って大幅下落。前日に300ドルを超える上昇を見せたダウは、中東リスクを嫌い233ドル安に。
- 債券相場は大幅に上昇。長期金利は.1.78%台へと低下。
- 金と原油は大幅に上昇。原油価格は前日比1.87ドル上昇し63ドル台で取り引を終える。
12月ISM製造業景況指数 → 47.2
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| ドル/円 | 107.84 〜 108.27 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1136 〜 1.1180 |
| ユーロ/円 | 120.37 〜 120.74 |
| NYダウ | −233.92 → 28,634.88ドル |
| GOLD | +24.30 → 1,552.40ドル |
| WTI | +1.87 → 63.05ドル |
| 米10年国債 | −0.089 → 1.788% |
本日の注目イベント
- 中 中国12月財新サービス業PMI
- 中 中国12月財新コンポジットPMI
- 独 独11月小売売上高
- 独 独12月サービス業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏11月生産者物価指数
- 欧 ユーロ圏12月総合PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏12月サービス業PMI(改定値)
- 米 12月マークイットサービス業PMI(改定値)
「一触即発」・・・。米国がイランの司令官を殺害したことで、中東情勢が一気に緊迫度を増して来ました。イランが直ちに報復を示唆したことに対してトランプ大統領は中東へ3000人の増兵を検討し、さらにイランが報復すれば、イランは文化財を含む「イランの52カ所」を直ちに非常に激しく攻撃されると、ツイートしました。また、ポンペオ米国務長官はABCテレビの番組で、米国のイランに対するいかなる攻撃も「合法」になると述べています。(ブルームバーグ)
昨年クリスマス前後までは109円台半ばでほとんど動きのなかったドル円は、年末には109円台を割り込み、先週末のNYではトランプ氏のツイートをきっかけにさらに円が買われ、108円を割りこみ107円84銭まで円高が進みました。米国とイランとの間で軍事行動が開始される可能性が高まったことで、リスク回避の動きが強まり、安全通貨の円が買われ、同時に金が大幅高になっています。また、安全資産の債券にも買いが集まり、リスク資産の株は大きく売られました。恐怖指数と言われる「VIX指数」も直近では14.02前後まで上昇して来ました。昨年1月3日には「フラッシュ・クラッシュ」でドル円が一気に5円近く円高に振れ、瞬間104円台を付けたこともあったので、今年は注意して観ていましたが、米国のイランのソレイマニ司令官殺害は、想定外であり、驚きでした。
今後はイランが本当に報復攻撃に踏み切るのかどうかが焦点ですが、トランプ氏の言葉からするとその場合にはイランを本格的に攻撃する可能性が高いと思われます。イランでは5日、数千人もの国民がソレイマニ司令官を追悼するデモを行っています。ただ冷静に考えれば、今回の米国とイランとの緊張の高まりは中東情勢を不安定にはしますが、米経済に与える影響は限定的と思えます。米中貿易戦争のように、米経済に直接影響を与えるものではないと言えるでしょう。
米中貿易協議は昨年12月12日に「第1段階」の合意を見ました。今朝の報道によると、トランプ氏は今月15日に「第1段階」の合意に署名すると発表しており、中国は13日に劉鶴副首相をトップとする代表団をワシントンに送る予定だとしています。ただそうだとすると、中国の習近平主席は合意書に署名しないことになり、米国側がそれを受け入れるのかという疑問が生じます。劉鶴副首相が署名することになるのかもしれませんが、この辺りもやや不透明感が残ります。ドル円はそれまで「日足」の雲の上で推移していましたが、今朝の段階で「雲」を下抜けしています。足元では「120日移動平均線」との攻防になっていますが、イラン問題を別にすれば、今年の相場を占うポイントの一つは「好調な米景気がどこまで継続するのか」を判断することにあります。昨日発表されたISM製造業景況指数は「49」の予想に対して「47.2」でした。これで昨年8月に節目の「50」を割り込んでから5カ月連続で「50」を割り込んでおり、製造業は依然として厳しい状況であることが確認されました。一方では、相変わらず住宅と個人消費、さらに労働市場は堅調に推移しており、米景気拡大の源動力になっています。これらが、低調な製造業に収斂されて行くのか、あるいは反対に製造業が底打ちして徐々に立ち直るのか、経済データを注視していく必要があります。本日は急激な円高を背景に日本株も大きく売られることが予想されます。ドル円がどこまで株安に追随するのかといったところでしょう。予想レンジは107円50銭~108円40銭程度でしょうか。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 12/17 | トランプ大統領 | 「連邦準備制度が金利をさらに引き下げ、量的緩和を行えばどんなにすばらしいだろう。ドルは他の通貨に対して非常に強く、インフレはほとんどない。今がそうすべき時だ。輸出は急増するだろう」 | -------- |
| 12/17 | ローゼングレン・ボストン連銀総裁 | 「米景気は来年に向けて良好な位置にある。見通しに大幅な変化が見られない限り、政策当局は金利を動かすべきではない」 | -------- |
| 12/17 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「今年の早い段階ではリスクは下方向だと考えていたが、現時点では比較的均衡が取れていると言えだろう」 | -------- |
| 12/13 | トランプ大統領 | 「中国と取引が成立したため、15日の関税は発動されない。第2段階の取引を巡る交渉は2020年の選挙を待たずに直ぐに始める」 | -------- |
| 12/13 | ライトハイザー・USTR代表 | 「米国と中国が第2段階の貿易交渉を開始する日程は今のところ決まっていない」 | ドル円、109円台半ばから109円台前半に下落 |
| 12/11 | パウエル・FRB議長 | 「金融政策の現在のスタンスは今後も適切である公算が大きい。経済と金融政策は現在、両方とも良好だ」 | -------- |
| 12/3 | トランプ大統領 | (中国との合意に)「期限はない」、中国との合意を大統領選挙後まで待つのは良い考えだと思う。しかし、中国はいま合意することを望んでいる。合意が適切なものになるかどうか見てみよう」 | ドル円109円台前半から108円台半ばまで下落。NYダウは一時450ドルを超える下落。 |
| 12/2 | ロス・米商務長官 | 「論理的な期限は12月15日だ。現在とその日までの間に何も起きなければ、トランプ大統領は関税を引き上げる考えであることをかなり明確に示している」 | -------- |
| 12/2 | トランプ大統領 | 「甚だしい規模で自国通貨の切り下げを行ってきた。これは米国の農民にとって不利だ。従って、両国から出荷される全ての鉄鋼とアルミニウムに対する関税を直ちに復活させる」 | 株価の大幅下落と、ドル円は109円台後半から108円台後半まで売られる。 |
| 11/26 | ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 | 「私の考えでは、利下げから量的緩和(QE)へと進むスムーズな連続性はない。中銀が資産購入に踏み込むのは利下げよりも大きなステップだ」 | -------- |
| 11/26 | トランプ大統領 | 米中貿易協議について、「われわれは極めて重要な取引の最後の難所にある。非常に順調に進んでいる」 | ドル高、株高につながる。 |
| 11/25 | パウエル・FRB議長 | 「経済を巡る今後の情報が当局の見通しとおおむね合致した状況が続く限り、現行の金融政策スタンスは依然として適切である可能性が高いとわれわれは考える」 | -------- |
| 11/24 | マイケル・ブルームバーグ・前NY市長 | 「ドナルド・トランプを打ち負かし、米国を立て直すために出馬する。大統領による無鉄砲で倫理観を欠いた行動がさらに4年間続くことに、米国は堪えられない」「再選された場合、米国が受けるダメージは二度と修復できなくなるだろう」(民主党大統領候補出馬にあたって) | -------- |
| 11/20 | 劉鶴・中国副首相 | (米国側の要求に)「戸惑っているものの、合意の第1段階に達する自信を持っている」「慎重ながらも楽観的だ」 | ドル円→108円30銭近辺から反発。マイナス400円を超える下落を見せた日経平均株価も下げ幅を200円以下に縮小。 |
| 11/19 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「現在の経済状況および緩やかな成長の継続と力強い労働市場、2%へ向かうインフレを描く基本シナリオを考えると、現在の金融政策スタンスはこれを支える上で適切だと見受けられる」 | -------- |
| 11/18 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「現在の金融政策はインフレの行方を見守る上で好位置であると考えている」「インフレは当局の2%目標に向かって上昇しているように見受けられるものの、製造業と投資はこのところ弱い。個人消費は力強く、底堅い」 | -------- |
| 11/13 | パウエル・FRB議長 | 「景気に関する最新情報がわれわれの見通しとおおむね一致する状況が続く限り、現行金融政策のスタンスは引き続き適切となる可能性が高いだろう」「ただし、この見通しに対する留意すべきリスクは残る」 | ややドル高に影響したが、動きは限定的。 |
| 11/12 | トランプ大統領 | 「合意は近い。重要な第一段階の合意が近く実現する可能性がある」「合意に至らなければ、われわれは対中関税を大きく引き上げる」 | リスクオンがやや後退し、ドル円、株価は小幅下落。 |
| 11/5 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「貿易政策を起因とする不確実性や世界経済の成長減速から国内経済を守るため、米金融当局は金利を引き下げたが、一旦(利下げを)休止する良い時期と考えている」 | -------- |
| 11/5 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「1.5−1.75%のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジは恐らく妥当な水準だ」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



