「米貿易赤字改善傾向を示す」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は小幅に続伸。米経済の好調さを示す指標や貿易赤字の改善傾向を手掛かりに108円63まで上昇。
- ユーロドルでもドル高が進み、1.1134までユーロは下落。
- 株式市場は反落。プラスで推移していたナスダックも、引けにかけて売られ、3主要指数は揃って下落。
- 債券はやや売られ、長期金利が小幅に上昇。
- 金は10日続伸し、2013年以来の高値を記録。原油は反落。
11月貿易収支 → −431億ドル
11月耐久財受注 → −2.1%
12月ISM非製造業景況指数 → 55.0
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| ドル/円 | 108.32 〜 108.63 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1134 〜 1.1178 |
| ユーロ/円 | 120.78 〜 121.21 |
| NYダウ | −119.70 → 28,583.68ドル |
| GOLD | +5.50 → 1,574.30ドル |
| WTI | −0.57 → 62.70ドル |
| 米10年国債 | +0.009 → 1.818% |
本日の注目イベント
- 豪 豪11月住宅建設許可件数
- 独 独11月製造業新規受注
- 欧 ユーロ圏12月景況感指数
- 欧 ユーロ圏12月消費者信頼感(確定値)
- 米 12月ADP雇用者数
- 米 11月消費者信用残高
株式市場では日米とも連日乱高下し値幅も出ています。ドル円は昨年10月以降に見られた鈍い動きになってきました。米国によるイラン司令官殺害をきっかけに大きく動きだしたドル円でしたが、昨日のNY市場では108円63銭前後までドル買われましたが、ユーロドルでドル高が進んだ影響が出た模様で、積極的にドル円を売買する動きにはなっていません。
イランでは殺害されたソレイマニ司令官の一連の葬儀を終えたことで、イランが米施設やサイバー攻撃などの報復に出るのではないかといった見方も出ています。実際、イランの最高安全保障委員会の事務局長は、報復には13のシナリオがあると指摘し、「最も弱い手段でも米国には歴史的な悪夢になるだろう」と述べています。イランでは、同司令官の埋葬儀式に参列者が多く集まり、混乱から死者も多数出ている模様です。トランプ大統領は依然としてイランが報復に出た場合、直ちに攻撃する姿勢を崩しておらず、緊張が続いています。本稿執筆時に、「イランが米軍駐留イラク基地に攻撃開始」との一報が入り、ドル円は50銭ほど急落しました。
NY株式市場ではイランの報復に対する警戒感が高まり、昨日は3主要指数が揃って反落しています。それでも株式の専門家に言わせると、今後株価は上昇に向かうとする意見が多いようです。恐怖指数と言われる「VIX指数」を見ると、米国によるイラン司令官殺害の一報後は上昇しましたが、それでも「14台後半」でした。昨年8月には、トランプ氏が中国に対する関税引き上げを宣言し株価が急落しましたが、その際には「24台後半」まで急騰した同指数ですが、足元では「14」を割り込んでいます。この水準から判断すれば、まだ楽観的な見方が支配的だということです。ドル円と同指数との相関は比較的高く、同指数が危険水域と言われる「20」を超えるようだと、ドル円も107円台を割り込んでいる可能性が高いと予想しています。
12月のISM非製造業景況指数は市場予想を上回る「55.0」と、4カ月ぶりの高水準でした。「50」を大きく下回っている製造業とは異なり、小売や娯楽を含む11の業界が活動を拡大しており、製造業が景況悪化にあえぐ中、経済全般は引き続き安定している様子が示されたと、ブルームバーグは伝えています。ただ、新規受注と雇用は低水準に留まっているようです。
本日は12月のADP雇用者数が発表されます。前月が市場予想を大きく下回る6万7千人でしたが、今回は16万人の増加と、大幅に増えると予想されています。
イランの攻撃で、中東情勢がますます不透明になっています。攻撃を受けた米国がどのような行動に出るのか、注目されます。本日のドル円は107円30銭~108円40銭程度を予想します。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 12/17 | トランプ大統領 | 「連邦準備制度が金利をさらに引き下げ、量的緩和を行えばどんなにすばらしいだろう。ドルは他の通貨に対して非常に強く、インフレはほとんどない。今がそうすべき時だ。輸出は急増するだろう」 | -------- |
| 12/17 | ローゼングレン・ボストン連銀総裁 | 「米景気は来年に向けて良好な位置にある。見通しに大幅な変化が見られない限り、政策当局は金利を動かすべきではない」 | -------- |
| 12/17 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「今年の早い段階ではリスクは下方向だと考えていたが、現時点では比較的均衡が取れていると言えだろう」 | -------- |
| 12/13 | トランプ大統領 | 「中国と取引が成立したため、15日の関税は発動されない。第2段階の取引を巡る交渉は2020年の選挙を待たずに直ぐに始める」 | -------- |
| 12/13 | ライトハイザー・USTR代表 | 「米国と中国が第2段階の貿易交渉を開始する日程は今のところ決まっていない」 | ドル円、109円台半ばから109円台前半に下落 |
| 12/11 | パウエル・FRB議長 | 「金融政策の現在のスタンスは今後も適切である公算が大きい。経済と金融政策は現在、両方とも良好だ」 | -------- |
| 12/3 | トランプ大統領 | (中国との合意に)「期限はない」、中国との合意を大統領選挙後まで待つのは良い考えだと思う。しかし、中国はいま合意することを望んでいる。合意が適切なものになるかどうか見てみよう」 | ドル円109円台前半から108円台半ばまで下落。NYダウは一時450ドルを超える下落。 |
| 12/2 | ロス・米商務長官 | 「論理的な期限は12月15日だ。現在とその日までの間に何も起きなければ、トランプ大統領は関税を引き上げる考えであることをかなり明確に示している」 | -------- |
| 12/2 | トランプ大統領 | 「甚だしい規模で自国通貨の切り下げを行ってきた。これは米国の農民にとって不利だ。従って、両国から出荷される全ての鉄鋼とアルミニウムに対する関税を直ちに復活させる」 | 株価の大幅下落と、ドル円は109円台後半から108円台後半まで売られる。 |
| 11/26 | ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 | 「私の考えでは、利下げから量的緩和(QE)へと進むスムーズな連続性はない。中銀が資産購入に踏み込むのは利下げよりも大きなステップだ」 | -------- |
| 11/26 | トランプ大統領 | 米中貿易協議について、「われわれは極めて重要な取引の最後の難所にある。非常に順調に進んでいる」 | ドル高、株高につながる。 |
| 11/25 | パウエル・FRB議長 | 「経済を巡る今後の情報が当局の見通しとおおむね合致した状況が続く限り、現行の金融政策スタンスは依然として適切である可能性が高いとわれわれは考える」 | -------- |
| 11/24 | マイケル・ブルームバーグ・前NY市長 | 「ドナルド・トランプを打ち負かし、米国を立て直すために出馬する。大統領による無鉄砲で倫理観を欠いた行動がさらに4年間続くことに、米国は堪えられない」「再選された場合、米国が受けるダメージは二度と修復できなくなるだろう」(民主党大統領候補出馬にあたって) | -------- |
| 11/20 | 劉鶴・中国副首相 | (米国側の要求に)「戸惑っているものの、合意の第1段階に達する自信を持っている」「慎重ながらも楽観的だ」 | ドル円→108円30銭近辺から反発。マイナス400円を超える下落を見せた日経平均株価も下げ幅を200円以下に縮小。 |
| 11/19 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「現在の経済状況および緩やかな成長の継続と力強い労働市場、2%へ向かうインフレを描く基本シナリオを考えると、現在の金融政策スタンスはこれを支える上で適切だと見受けられる」 | -------- |
| 11/18 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「現在の金融政策はインフレの行方を見守る上で好位置であると考えている」「インフレは当局の2%目標に向かって上昇しているように見受けられるものの、製造業と投資はこのところ弱い。個人消費は力強く、底堅い」 | -------- |
| 11/13 | パウエル・FRB議長 | 「景気に関する最新情報がわれわれの見通しとおおむね一致する状況が続く限り、現行金融政策のスタンスは引き続き適切となる可能性が高いだろう」「ただし、この見通しに対する留意すべきリスクは残る」 | ややドル高に影響したが、動きは限定的。 |
| 11/12 | トランプ大統領 | 「合意は近い。重要な第一段階の合意が近く実現する可能性がある」「合意に至らなければ、われわれは対中関税を大きく引き上げる」 | リスクオンがやや後退し、ドル円、株価は小幅下落。 |
| 11/5 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「貿易政策を起因とする不確実性や世界経済の成長減速から国内経済を守るため、米金融当局は金利を引き下げたが、一旦(利下げを)休止する良い時期と考えている」 | -------- |
| 11/5 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「1.5−1.75%のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジは恐らく妥当な水準だ」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



