「ドル円2週間ぶりに109円台半ばに」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は小幅ながら続伸し、109円58銭まで上昇。米国とイランとの武力衝突がひとまず回避されたことで、リスクオフのセンチメントが後退。
- ユーロドルも続落。一時は1.11を割り込み、1.1092までユーロ売りが進む。
- 株式市場は揃って続伸。ダウは211ドル上げ、2万9千ドルの大台に迫る。ナスダックは連日の最高値更新で、9200の大台に。
- 債券相場は反発。長期金利はやや低下し、1.85%台に。
- 金と原油は小幅に続落。
新規失業保険申請件数 → 21.4万件
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| ドル/円 | 109.36 〜 109.58 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1092 〜 1.1117 |
| ユーロ/円 | 121.48 〜 121.68 |
| NYダウ | +211.48 → 28,956.90ドル |
| GOLD | −5.90 → 1,554.30ドル |
| WTI | −0.05 → 59.56ドル |
| 米10年国債 | −0.019 → 1.855% |
本日の注目イベント
- 豪 豪10月小売売上高
- 日 11月景気先行指数(CI)(速報値)
- 英 英11月鉱工業生産
- 米 12月雇用統計
- 加 カナダ12月就業者数
- 加 カナダ12月失業率
イランの報復攻撃に対して、トランプ大統領が過激な反応を見せなかったことで、昨日の日本株は急反発し、日経平均株価は前日比535円も上昇しました。株価の上昇を背景に、ドル円も緩やかにドル買いが進み、109円30銭台まで上昇。前日のNY市場でのドルの高値をわずかですが上回って海外市場に引き継ぎました。NY市場でもこの流れが続き、ドル円は109円58銭まで買われ、昨年12月27日以来、約2週間ぶりの高値を記録しています。NY株式市場でも3主要指数は揃って最高値を更新し、結局、金融市場は米国とイランとの双方による爆撃以前の水準に戻っています。ドル円は昨年秋以降何度か試しては押し戻されてきた、109円50〜110円のレジスタンスゾーンに再び挑む気配ですが、果たして今回はこの水準を明確に抜け切ることできるのか、注目しています。
米国とイランの武力衝突はひとまず回避された格好ですが、両国の関係はそう簡単には好転しません。8日に墜落したテヘラン発ウクライナ行きの旅客機を巡り、新たな紛争の火種が出てきました。同機には176人の乗客が乗っており、多くのカナダ人もいたようですが、テヘラン空港離陸後約2分後に墜落し、乗客は全員死亡しています。この墜落についてトランプ大統領は昨日ホワイトハウスで、「疑念を抱いている」、「かなり不穏な地域での飛行だった。誰かが何かを間違えた可能性はある」と述べ、同機が攻撃により墜落した可能性があることを示唆しました。また、カナダのトルドー首相も「意図せぬ発射だった可能性は十分にある」とし、国際的な調査を呼びかけ、すでに英国がカナダ政府の見解に同意を示しています。イランはこれに対し、全面的に否定していますが、今後調査が進み、イランによる攻撃であったとすれば、新たな紛争のきっけにもなりかねません。
中国商務省は13日から劉鶴副首相を団長とする代表団がワシントンを訪問し、米国との第1段階の貿易合意に署名する予定だと発表しました。トランプ大統領は先に、15日には署名したい意向を示していましたが、劉鶴副首相がその席に着く模様です。実際に同副首相が習近平主席にかわって署名するのかどうかは不明です。またトランプ氏は中国との第2段階の交渉が「直ちに」開始されるが、「選挙後まで終わらないかもしれない」と語っています。(ブルームバーグ)こちらも上記対イラン問題同様、長期化すると見られます。
ドル円は「日足」では再び昨日から雲を上抜けし、上昇傾向を見せています。「日足」チャートを見ると昨年10月以降、109円台半ばを何度もテストしては抜け切れていない状況が一目で分かります。抜け切れない理由が「週足」チャートを見ると理解できますが、この水準には一目均衡表の「雲」だけではなく、「200週移平均線」と「120週移動平均線」も集まっており、かなり強力な「抵抗帯」を形成しているからです。そのため、この水準には利益確定のドル売りや新規のドル売りが集まり易く、実際すでに多くのドル売り注文があると予想されます。もちろん、だからと言って決して抜けないというわけではありません。
本日は12月の雇用統計が発表されます。失業率と賃金は前月から大きな変化はないと見られていますが、雇用者数は16万と、前回からはかなり大きく減少すると見られています。果たして雇用統計の結果が110円台乗せのトリガーになるのか、注目したいと思います。本日のドル円は109円20銭〜110円程度を予想しています。
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今年の為替相場はやはり「円高」での幕開けでした。米国がイランの司令官を殺害したことでリスク回避の円高が進行しましたが、同時に人々の関心を集めたのがカルロスゴーン氏の出国のニュースです。かつては「コストカッター」とか「カリスマ経営者」と称され、日産のV字回復を成し遂げた英雄も今や「逃亡者」に変わり果ててしまいました。誰もが知りたいのはその『出国方法』です。大きな楽器入れの底に穴を開け、その中に潜んで出国したとか。8日の記者会見ではその部分には触れませんでしたが、まるで「ゴルゴ13」の世界です。まだ、その具体的方法は分かっていません。ゴーン氏、その方法を本にしたら、再び大金を手に入れることが出来ること請け合いです。
良い週末を・・・・・。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 1/8 | ザリフ・イラン外相 | 「国連憲法51条の下で自衛のための相応の対応を実行、完遂した。われわれはエスカレートや戦争を求めていないが、いかなる武力攻撃に対しても自衛する。」イラクの米軍駐留基地を攻撃後に。 | -------- |
| 12/17 | トランプ大統領 | 「連邦準備制度が金利をさらに引き下げ、量的緩和を行えばどんなにすばらしいだろう。ドルは他の通貨に対して非常に強く、インフレはほとんどない。今がそうすべき時だ。輸出は急増するだろう」 | -------- |
| 12/17 | ローゼングレン・ボストン連銀総裁 | 「米景気は来年に向けて良好な位置にある。見通しに大幅な変化が見られない限り、政策当局は金利を動かすべきではない」 | -------- |
| 12/17 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「今年の早い段階ではリスクは下方向だと考えていたが、現時点では比較的均衡が取れていると言えだろう」 | -------- |
| 12/13 | トランプ大統領 | 「中国と取引が成立したため、15日の関税は発動されない。第2段階の取引を巡る交渉は2020年の選挙を待たずに直ぐに始める」 | -------- |
| 12/13 | ライトハイザー・USTR代表 | 「米国と中国が第2段階の貿易交渉を開始する日程は今のところ決まっていない」 | ドル円、109円台半ばから109円台前半に下落 |
| 12/11 | パウエル・FRB議長 | 「金融政策の現在のスタンスは今後も適切である公算が大きい。経済と金融政策は現在、両方とも良好だ」 | -------- |
| 12/3 | トランプ大統領 | (中国との合意に)「期限はない」、中国との合意を大統領選挙後まで待つのは良い考えだと思う。しかし、中国はいま合意することを望んでいる。合意が適切なものになるかどうか見てみよう」 | ドル円109円台前半から108円台半ばまで下落。NYダウは一時450ドルを超える下落。 |
| 12/2 | ロス・米商務長官 | 「論理的な期限は12月15日だ。現在とその日までの間に何も起きなければ、トランプ大統領は関税を引き上げる考えであることをかなり明確に示している」 | -------- |
| 12/2 | トランプ大統領 | 「甚だしい規模で自国通貨の切り下げを行ってきた。これは米国の農民にとって不利だ。従って、両国から出荷される全ての鉄鋼とアルミニウムに対する関税を直ちに復活させる」 | 株価の大幅下落と、ドル円は109円台後半から108円台後半まで売られる。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



