「ドル円昨年5月以来の高値に」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 米国が中国に対する為替操作国の認定を解除したとの報道からドル円は109円95銭まで買われ、昨年5月23日以来となるドル高水準を示現。
- ユーロドルもやや上昇し、1.11台半ばに。ユーロ円も上値の節目となる122円台半ばまで買われる。
- 株式市場は中国を為替操作国から解除したことを好感し反発。ダウは83ドル高となり、ナスダックとS&P500は最高値を更新。
- 債券相場は小幅に下落。長期金利は1.84%台へ上昇。
- 金は続落。原油価格も5日続落し、58ドル台に。
12月財政収支 → −133億ドル
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| ドル/円 | 109.80 〜 109.95 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1118 〜 1.1147 |
| ユーロ/円 | 122.12 〜 122.49 |
| NYダウ | +83.28 → 28,907.05ドル |
| GOLD | −9.50 → 1,550.60ドル |
| WTI | −0.96 → 58.08ドル |
| 米10年国債 | +0.025 → 1.844% |
本日の注目イベント
- 日 11月国際収支
- 日 12月景気ウオッチャー調査
- 中 中国 12月貿易収支
- 米 12月消費者物価指数
- 米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
- 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
- 米 企業決算 → シティグループ、JPモルガン、ウェルズ・ファーゴ
ドル円は昨年5月以来となる109円95銭まで上昇しました。先週末の雇用統計では、失業率が歴史的な低水準を維持していたものの、雇用者数と賃金が低調でドル円は109円39銭前後まで売られる場面もありました。また、ウクライナ国際航空の旅客機が墜落した事故について、イラン軍が突然人為的なミスであることを発表し、これに対する米国の出方も注目され、緊張がやや高まった状況でしたが、昨日、トランプ政権が中国の為替操作国認定を解除したことが好感され、ドル円は上昇しています。米財務省は13日、公表が遅れていた半期に一度の「為替報告書」を発表し、中国が人民元切り下げを行わないという「拘束力のあるコミットメント」を行ったほか、為替のデータ公表に同意したため、「為替操作国」の認定を取り下げました。(ブルームバーグ)
中国政府は13日から劉鶴副首相率いる代表団をワシントンに送り、明日15日に第1段階の貿易合意に署名する予定です。この合意の内容は、中国が米国産の農産物やエネルギー、あるいはサービスを2年で2千億ドル(約22兆円)増やし、米国が昨年12月15日に発動を予定指していた「追加関税第4弾」を取り止め、同9月に発動した追加関税も15%から7.5%に下げるというものになっています。ただ今回の合意でも、中国側が要求していた「関税の完全撤廃」は認められてはおらず、今後の交渉の場に残されています。そのため、「中国側は追加関税を完全に取り消せなかった不満がくすぶり、米国も最重視する中国の構造問題はほぼ手つかず、米中の相互不信は根深いまま」(日経新聞)の状況が続いています。トランプ大統領は中国との次の協議を直ぐに始めると語っていますが、協議を進めると同時に習近平主席との首脳会談を出来るだけ早い時期に行うことも必要かと思われます。
ドル円は昨年5月23日以来となる109円95銭を付けました。NY株式市場ではダウが初の3万ドル乗せまでは時間の問題と見られ、ナスダックとS&P500は昨日も史上最高値を更新しています。新年早々起きた米国とイラン双方による攻撃や、ウクライナ機の人為的ミスによる墜落など、中東情勢はまだ極めて不透明です。この問題は、上記米中貿易協議の今後の行方とともに不確実性を残しながらも、株高と米長期金利の高止まりがドルを支える講図になっています。
本日は110円をテストする可能性が高いと見られますが、焦点は、110円をテストして、その後も110円近辺を維持できるかどうかです。先週も触れましたが、この近辺には「週足の雲の上限」や「200週移動平均線」、「120週移動平均線」があるため「強力な抵抗帯」を形成しています。そのため、実需筋を中心にドル売り注文が集まっていると見られます。今週、この抵抗帯を上抜けし、さらに110円台を固めることが出来るかどうか、注目しています。本日のドル円は109円50銭〜110円30銭程度を予想しますが、主戦場はやはり海外市場ということになりそうです。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 1/8 | ザリフ・イラン外相 | 「国連憲法51条の下で自衛のための相応の対応を実行、完遂した。われわれはエスカレートや戦争を求めていないが、いかなる武力攻撃に対しても自衛する。」イラクの米軍駐留基地を攻撃後に。 | -------- |
| 12/17 | トランプ大統領 | 「連邦準備制度が金利をさらに引き下げ、量的緩和を行えばどんなにすばらしいだろう。ドルは他の通貨に対して非常に強く、インフレはほとんどない。今がそうすべき時だ。輸出は急増するだろう」 | -------- |
| 12/17 | ローゼングレン・ボストン連銀総裁 | 「米景気は来年に向けて良好な位置にある。見通しに大幅な変化が見られない限り、政策当局は金利を動かすべきではない」 | -------- |
| 12/17 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「今年の早い段階ではリスクは下方向だと考えていたが、現時点では比較的均衡が取れていると言えだろう」 | -------- |
| 12/13 | トランプ大統領 | 「中国と取引が成立したため、15日の関税は発動されない。第2段階の取引を巡る交渉は2020年の選挙を待たずに直ぐに始める」 | -------- |
| 12/13 | ライトハイザー・USTR代表 | 「米国と中国が第2段階の貿易交渉を開始する日程は今のところ決まっていない」 | ドル円、109円台半ばから109円台前半に下落 |
| 12/11 | パウエル・FRB議長 | 「金融政策の現在のスタンスは今後も適切である公算が大きい。経済と金融政策は現在、両方とも良好だ」 | -------- |
| 12/3 | トランプ大統領 | (中国との合意に)「期限はない」、中国との合意を大統領選挙後まで待つのは良い考えだと思う。しかし、中国はいま合意することを望んでいる。合意が適切なものになるかどうか見てみよう」 | ドル円109円台前半から108円台半ばまで下落。NYダウは一時450ドルを超える下落。 |
| 12/2 | ロス・米商務長官 | 「論理的な期限は12月15日だ。現在とその日までの間に何も起きなければ、トランプ大統領は関税を引き上げる考えであることをかなり明確に示している」 | -------- |
| 12/2 | トランプ大統領 | 「甚だしい規模で自国通貨の切り下げを行ってきた。これは米国の農民にとって不利だ。従って、両国から出荷される全ての鉄鋼とアルミニウムに対する関税を直ちに復活させる」 | 株価の大幅下落と、ドル円は109円台後半から108円台後半まで売られる。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



