今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「新型ウイルスへの警戒感から円が買われる」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は新型コロナウイルスの感染拡大を懸念し、109円76銭まで下落。欧州からNY市場にかけて110円台を回復する場面もあったが、米長期金利の低下などで円を買う動きが強まった。
  • ユーロドルは欧州時間に独ZEW景況感指数が予想を大きく上回ったことで買われたが、NYでは1.1081まで下落。
  • 新型コロナウイルスの感染が米国でも報告されたことを受け、株式市場ではひとまず利益確定の動きが優勢に。ダウは152ドル下げ、主要株価指数は揃って下落。
  • 債券相場は反発。長期金利は1.77%台へと低下。
  • 金と原油はともに下落。
ドル/円 109.76 〜 110.12
ユーロ/ドル 1.1081 〜 1.1118
ユーロ/円 121.72 〜 122.35
NYダウ −152.06 → 29,196.04ドル
GOLD −2.40 → 1,557.90ドル
WTI −0.20 → 58.34ドル
米10年国債 −0.051 → 1.771%

本日の注目イベント

  • 米 11月FHFA住宅価格指数
  • 米 12月中古住宅販売件数
  • 米 企業決算 → J&J、TI
  • 加 カナダ12月消費者物価指数
  • 加 カナダ中銀政策金利発表

ドル円は昨日の東京時間前場で、中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を警戒したリスク回避の流れから110円台を割り込み、連休明けのNY市場では109円76銭までドルが売られています。米国でも、中国に渡航後、今月15日に米国に戻った30代男性が感染していることを、ワシントン州保健局が発表し、これもNY株下落につながり、安全資産の債券に資金が向かいました。新型コロナウイルスの感染拡大については、中国の動きを見守るほかありませんが、世界保健機関(WHO)は危険レベルを800人の犠牲者を出した「SARS」と同じ水準に引き上げており、中国の習近平主席は、「全力で感染拡大を防ぎ、制圧する対策を講じるよう」指示しています。

スイスのダボスで開かれている「世界経済フォーラム」で、トランプ大統領が各国首脳の前で演説を行い、予想通り、好調な米経済は自身の功績であることをアピールしました。トランプ氏は「米国は世界がこれまで見たこともないような好景気の真っただ中にいる」と述べ、「われわれは本来の歩みを取り戻し、米国の精神を再発見した」と主張しました。また、失業率を50年ぶりの低水準にまで低下させ、特に黒人と女性の失業率が下がったことを強調するなど、自身の取った政策に対する自画自賛に終始しました。今回のフォーラムの話題の一つである「気候変動」に関する言及はなく、この日同じ壇上で演説を行ったスウェーデンの10代の環境活動家グレタ・トゥンベルさんは、厳しいメッセージを聴衆に与えています。彼女は、「気候と環境は今、若者の主張によってホットな話題になっているが、対策はほとんど何もされていない。世界のCO2排出量は減っていない」と主張しましたが、ダボス会議に参加する大手の石油会社のCEOの姿はそこにはなかったと、ブルームバーグは伝えています。

米上院ではトランプ大統領の弾劾裁判が始まりました。上院共和党のマコネル院内総務は弾劾裁判の運用ルールを定める決議案を公表しました。これは、下院民主党とトランプ氏の弁護団にそれぞれ冒頭陳述の時間として24時間を付与するものと、2日以内に終わらせるよう制限を課すものです。今回の弾劾裁判に関する世論調査を米モンマス大学が行っており、その結果、4人に3人はトランプ氏への証言要請を維持しています。(ブルームバーグ)

ドル円は約1週間110円台での小動きを続けた後、109円台に押し戻されています。米中貿易協議が一段落したと思いきや、今度は同じく中国が震源地の新型コロナウイルスの発生という新たなリスク要因が出てきました。今後感染が急速に拡大するようだと、世界経済にとってマイナスになりますが、現時点では警報が発令された状況で、今後の推移を見守るしかありません。ドル円は「2時間足」までの短いチャートではすでに売りシグナルが点灯していますが、「日足」ではまだトレンド変化には至っていません。当面は109−111円のレンジが続くと予想していますが、下限の109円割れ示現するまでは「緩やかなドル高トレンド継続」のスタンスを維持したいと思います。

本日のドル円は、109円50銭〜110円20銭程度を予想しますが、注目するのは、やはりNY株の動きでしょう。先週まで連日で最高値を更新しており、投資家はほぼ含み益を持っていると思われます。下落傾向が確認されるようだと、利益確定の売りが殺到することも考えられます。株を売った資金が債券に流れ込み、長期金利が急低下して円高が進む、いつものパターンです。ドル円の水準もその動きで決まってきそうな気がしますが、まだその気配はありません。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
1/17 トランプ大統領 「イランのいわゆる『最高指導』は最近あまり最高ではなく、米国と欧州に関して幾つかの不快な発意をした。イランの経済は崩壊しつつあり、国民は苦しんでいる」、「彼は、言葉に十分気を付けるべきだ」 --------
1/15 トランプ大統領 (署名を終え)「非常に重要で特別な機会だ。これが発効し次第、われわれは第2段階を開始する」、「交渉材料を失わないよう、第2段階が可能になった場合のみ私は関税を撤廃することに合意するつもりだ。われわれが第2段階を終えれば、関税は直ちに撤廃されるだろう」 --------
1/13 ローゼングレン:ボストン連銀総裁 「インフレ高進と金融不安定化のリスクに注視するが、これらのリスクが抑制され続ければ、今年も良好な経済的成果が得られるというのが、私の見方だ」 --------
1/13 ボステック:アトランタ連銀総裁 「景気を刺激したり減速させたりする必要はあまりない。私見では、経済の成り行きを静観し、いずれかの方向への次の動きに備える」 --------
1/8 ザリフ・イラン外相 「国連憲法51条の下で自衛のための相応の対応を実行、完遂した。われわれはエスカレートや戦争を求めていないが、いかなる武力攻撃に対しても自衛する。」イラクの米軍駐留基地を攻撃後に。 --------
12/17 トランプ大統領 「連邦準備制度が金利をさらに引き下げ、量的緩和を行えばどんなにすばらしいだろう。ドルは他の通貨に対して非常に強く、インフレはほとんどない。今がそうすべき時だ。輸出は急増するだろう」 --------
12/17 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「米景気は来年に向けて良好な位置にある。見通しに大幅な変化が見られない限り、政策当局は金利を動かすべきではない」 --------
12/17 カプラン・ダラス連銀総裁 「今年の早い段階ではリスクは下方向だと考えていたが、現時点では比較的均衡が取れていると言えだろう」 --------
12/13 トランプ大統領 「中国と取引が成立したため、15日の関税は発動されない。第2段階の取引を巡る交渉は2020年の選挙を待たずに直ぐに始める」 --------
12/13 ライトハイザー・USTR代表 「米国と中国が第2段階の貿易交渉を開始する日程は今のところ決まっていない」 ドル円、109円台半ばから109円台前半に下落
12/11 パウエル・FRB議長 「金融政策の現在のスタンスは今後も適切である公算が大きい。経済と金融政策は現在、両方とも良好だ」 --------
12/3 トランプ大統領 (中国との合意に)「期限はない」、中国との合意を大統領選挙後まで待つのは良い考えだと思う。しかし、中国はいま合意することを望んでいる。合意が適切なものになるかどうか見てみよう」 ドル円109円台前半から108円台半ばまで下落。NYダウは一時450ドルを超える下落。
12/2 ロス・米商務長官 「論理的な期限は12月15日だ。現在とその日までの間に何も起きなければ、トランプ大統領は関税を引き上げる考えであることをかなり明確に示している」 --------
12/2 トランプ大統領 「甚だしい規模で自国通貨の切り下げを行ってきた。これは米国の農民にとって不利だ。従って、両国から出荷される全ての鉄鋼とアルミニウムに対する関税を直ちに復活させる」 株価の大幅下落と、ドル円は109円台後半から108円台後半まで売られる。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和