「新型肺炎ウイルス、感染拡大止まらず」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 中国武漢発の新型コロナウイルスの感染が拡大していることで、金融市場はリスク回避姿勢を強める。ドル円は長期金利の低下もあり109円18銭まで下落。
- ユーロドルは徐々に水準を下げ、1.1019まで下落。ユーロ円の売りも加速し、120円台半ばまでユーロ安に。
- 株式市場は米国で2例目の感染者が出たことを嫌気し、ダウは4日続落の170ドル安。
- 債券相場は続伸し、長期金利は1,68%台まで低下。
- 金は続伸し1571ドル台に。原油は4日続落。
1月マークイット製造業PMI(速報値) → 51.7
1月マークイットサービス業PMI(速報値) → 53.2
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| ドル/円 | 109.18 〜 109.61 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1019 〜 1.1039 |
| ユーロ/円 | 120.39 〜 120.96 |
| NYダウ | −170.36 → 28,989.36ドル |
| GOLD | +6.50 → 1,571.90ドル |
| WTI | −1.40 → 54.19ドル |
| 米10年国債 | −0.047 → 1.684% |
本日の注目イベント
- 独 独1月ifo景況感指数
- 米 12月新築住宅販売件数
中国武漢発の新型コロナウイルスの感染は当初予想していたより急速に拡大しており、感染力も強まっているようです。26日までの発表によると、死者は56人に達し、感染者の数も2000人を超えています。死亡者のうち52人は発生源と見られる湖北省に集中しているようです。中国政府は拡大を防ぐため、武漢につながる交通網を遮断したことに加え、27日からは海外への団体旅行も禁止する措置を取りました。また春節連休の無期延期も決定しています。日本でも4例目の感染が確認されており、米国でも5例目の症例が確認されています。中国の保健当局は、今回の新型コロナウイルスによる肺炎の治療方法を見つける取り組みが行われている間の措置として、米バイオ医薬品会社「アツヴィ」の抗HIV薬「カレトラ」を治療に使用することを発表しています。(ブル−ムバーグ)
先週末のNY市場では109円台前半で取引を終えたドル円は、週明け早朝には108円80銭台まで円高が進む動きになっています。この先どこまで感染が拡大するかは分りませんが、市場は「降って沸いたような」新型コロナウイルスに、ひとまずリスク回避の姿勢で臨んでいます。年初の米国とイランとの武力衝突が回避され、長い間の懸案事項だった米中貿易協議もひとまず落ち着いて来たのもつかの間、投資家は再び慎重なスタンスが要求されるような展開になりそうです。昨年12月から順調に上昇し、連日最高値を更新してきたNY株式市場でも、ダウが4日続落するなど、これまでとは異なる動きを見せ始めてきました。本日の日本株の動きをはじめ、今週のNY株が大きく下げるようだと、株式市場は長い調整期間に入る可能性も出てきます。好調な米景気への影響も意識せざるを得ない展開も予想されます。
米大統領選に向け、民主党の候補者争いが熱を帯びてきましたが、初戦のアイオワ州では、指名争いトップを走るバイデン氏が必ずしも優位に立っているわけではなく、主要候補者4名の支持率は拮抗しており、「横一線」と報じられています。候補者が絞られる、3月3日の「ス−パー・チューズデー」に向けて、候補者はそれぞれ支持を訴えますが、やはり最後はバイデン氏に落ち着くのではないかと予想しています。対するトランプ氏も、現職として有利ではありますが、盤石ではないと伝えられています。
ドル円は今朝がた108円台後半まで売られたことで、一目均衡表の「日足の雲」に入ってきました。これは、今月8日にイランが米国の軍事施設を攻撃して107円台まで円高が進んだ日以来のことです。この先どこまで円高が進むかは感染の拡大が止まるかどうかにかかっています。今のところ感染による死者は中国国内に限定されていますが、これが日本や米国国内でも発生するようだと、投資家は一段とリスク回避姿勢を強め、感染が長期化するようだと経済への影響も無視できない状況になります。特に日本では春節での中国からの観光客が激減することから影響は大きいと思われます。今週は、中国からの感染の情報に細心の注意を払いながら株価の行方を追う展開になりそうです。本日の予想レンジは108円30銭〜109円30銭程度としたいと思います。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 1/23 | ラガルド・ECB総裁 | 「いかにして目標を達成するかについて、選択肢を除外することも、あらかじめ想定することも予測することもしない」「他のメンバーと同じように私も意見があるが、私の使命は全ての意見を活用することだ」 | -------- |
| 1/17 | トランプ大統領 | 「イランのいわゆる『最高指導』は最近あまり最高ではなく、米国と欧州に関して幾つかの不快な発意をした。イランの経済は崩壊しつつあり、国民は苦しんでいる」、「彼は、言葉に十分気を付けるべきだ」 | -------- |
| 1/15 | トランプ大統領 | (署名を終え)「非常に重要で特別な機会だ。これが発効し次第、われわれは第2段階を開始する」、「交渉材料を失わないよう、第2段階が可能になった場合のみ私は関税を撤廃することに合意するつもりだ。われわれが第2段階を終えれば、関税は直ちに撤廃されるだろう」 | -------- |
| 1/13 | ローゼングレン:ボストン連銀総裁 | 「インフレ高進と金融不安定化のリスクに注視するが、これらのリスクが抑制され続ければ、今年も良好な経済的成果が得られるというのが、私の見方だ」 | -------- |
| 1/13 | ボステック:アトランタ連銀総裁 | 「景気を刺激したり減速させたりする必要はあまりない。私見では、経済の成り行きを静観し、いずれかの方向への次の動きに備える」 | -------- |
| 1/8 | ザリフ・イラン外相 | 「国連憲法51条の下で自衛のための相応の対応を実行、完遂した。われわれはエスカレートや戦争を求めていないが、いかなる武力攻撃に対しても自衛する。」イラクの米軍駐留基地を攻撃後に。 | -------- |
| 12/17 | トランプ大統領 | 「連邦準備制度が金利をさらに引き下げ、量的緩和を行えばどんなにすばらしいだろう。ドルは他の通貨に対して非常に強く、インフレはほとんどない。今がそうすべき時だ。輸出は急増するだろう」 | -------- |
| 12/17 | ローゼングレン・ボストン連銀総裁 | 「米景気は来年に向けて良好な位置にある。見通しに大幅な変化が見られない限り、政策当局は金利を動かすべきではない」 | -------- |
| 12/17 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「今年の早い段階ではリスクは下方向だと考えていたが、現時点では比較的均衡が取れていると言えだろう」 | -------- |
| 12/13 | トランプ大統領 | 「中国と取引が成立したため、15日の関税は発動されない。第2段階の取引を巡る交渉は2020年の選挙を待たずに直ぐに始める」 | -------- |
| 12/13 | ライトハイザー・USTR代表 | 「米国と中国が第2段階の貿易交渉を開始する日程は今のところ決まっていない」 | ドル円、109円台半ばから109円台前半に下落 |
| 12/11 | パウエル・FRB議長 | 「金融政策の現在のスタンスは今後も適切である公算が大きい。経済と金融政策は現在、両方とも良好だ」 | -------- |
| 12/3 | トランプ大統領 | (中国との合意に)「期限はない」、中国との合意を大統領選挙後まで待つのは良い考えだと思う。しかし、中国はいま合意することを望んでいる。合意が適切なものになるかどうか見てみよう」 | ドル円109円台前半から108円台半ばまで下落。NYダウは一時450ドルを超える下落。 |
| 12/2 | ロス・米商務長官 | 「論理的な期限は12月15日だ。現在とその日までの間に何も起きなければ、トランプ大統領は関税を引き上げる考えであることをかなり明確に示している」 | -------- |
| 12/2 | トランプ大統領 | 「甚だしい規模で自国通貨の切り下げを行ってきた。これは米国の農民にとって不利だ。従って、両国から出荷される全ての鉄鋼とアルミニウムに対する関税を直ちに復活させる」 | 株価の大幅下落と、ドル円は109円台後半から108円台後半まで売られる。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



