今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「新型ウイルスへの懸念が後退しドル円110円台に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は新型コロナウイルスの感染拡大ペースが減速しつつあるとの報道からリスクオフが後退。110円台に乗せ、110円12銭までドル高が進み、ほぼ高値圏で引ける。
  • ユーロドルは続落し、1.0865まで売られ、2017年5月以来となるユーロ安を記録。
  • 中国で発生した新型コロナウイルスの感染拡大ペースが鈍化したことを受け、株式市場は3主要指数が揃って大幅高となり最高値を更新。ダウは275ドル上昇し、2万9500ドル台に。
  • 株価の上昇に債券は売られる。長期金利は1.63%台へ上昇。
  • 金と原油はともに上昇。原油は51ドル台に。
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1月財政収支 → −32.6b
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ドル/円 109.95 〜 110.12
ユーロ/ドル 1.0865 〜 1.0913
ユーロ/円 119.61 〜 120.04
NYダウ +275.08 → 29,551.42ドル
GOLD +1.50 → 1,571.60ドル
WTI +1.23 → 51.17ドル
米10年国債 +0.033 → 1.633%

本日の注目イベント

  • 独 独1月消費者物価指数(速報値)
  • 欧 国際エネルギー機関(IEA)月報
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 1月消費者物価指数
  • 米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演

新型コロナウイルスの感染拡大は依然として止まらないものの、その感染拡大ペースが減速しつつある可能性が示唆されたことで、リスクオフが急速に後退し、好調な株価は一段とその勢いを増しました。NY株式市場では主要3指数が揃って最高値を更新しています。ダウの3万ドルとナスダックの1万ポイントも夢ではなくなった印象です。投資家のリスク許容度が増したことでドル円も再び110円台に乗せ、今回はNY市場の引け値でも110円台を維持してきました。

中国湖北省で発生した新型コロナウイルスの感染者数は、今月に入り最も小幅な増加に留まり、世界経済はその影響を克服できるとの観測が強まったことが、市場の楽観的なセンチメントにつながりました。ただ日本では、横浜港に停泊中の「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客乗員ではまだ感染が広がっており、予断は許しません。専門家の間ではここ2週間がさらに拡大するかどうかの「ヤマ場」だと指摘しています。

NZ中銀は昨日の会合で政策金利の据え置きを決めました。市場では利下げの確率もある程度高まっていたこともあり、発表後NZ円は70円40銭近辺から70円台後半まで上昇しています。声明では「新型コロナウイルスの感染拡大がニュージーランド経済に与える全般的な影響は短期にとどまり、影響の大部分が2020年の前半に集中するだろう」としながらも、「影響がより大きく長引くリスクも存在する。さらなる情報が得られた段階で必要に応じて金融政策の調整を行う時間がある」と説明しています。また中銀の予測は、年内の利下げの可能性がないことも示唆していたため、NZの買い戻しが急速に進んだようです。

米大統領選の民主党候補争いでは、第2戦となったニューハンプシャー州での予備選で急進左派のサンダース候補が接戦を制しました。サンダース氏は「This victory is the beginning of the end of Donald Trump」(この勝利はドナルドトランプの終わりの始まりだ)と勝利宣言を行いましたが、市場は、「仮にサンダース氏が民主党候補としてトランプ氏と闘っても勝てないだろう」との見方を強めており、これが株価の上昇につながった側面もあります。また、これまで選挙戦を繰り広げてこなかったブルームバーグ前NY市長は、3月3日の「スーパーチューズデー」から本格的な選挙運動に打って出る模様です。予想外なのは有利と見られていたバイデン氏への支持率です。副大統領としての経験もあり、全米ベースでは支持率トップでしたが、苦戦しています。ただ予備選はまだ始まったばかりです。今後党員数の多い、メキシコ州やカリフォルニア州ではどのような展開になるのか分かりません。言えることは、いずれにしても「混戦」であることは間違いないようですが、「誰が候補ならトランプ氏に勝てるのか?」といったところです。

パウエルFRB議長は前日に続き上院でも証言を行いましたが、目新しい発言はなく、米経済の現状について楽観的な見方を示し、「貿易を巡る不確実性の低下に伴い経済成長に上振れの余地がある」と述べていました。

再び110円台に乗せてきたドル円ですが、110円台前半では何度も「冷や水」を飲まされています。110円30銭までのドル売り注文をこなして上昇できるかが焦点ですが、ユーロドルでもドル高が進んでおり「追い風」が吹いている状況です。果たして今回はどうでしょう。本日のドル円は109円70銭〜110円30銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
2/11 パウエル・FRB議長 「われわれは特に、新型コロナウイルス出現の問題を注視している。この問題は中国での混乱につながり、世界の他地域の経済に波及する恐れがある」、「今の景気拡大に不安定さや持続不可能といったものはない」(議会証言で) --------
2/7 FRB金融政策報告書 「その経済規模ゆえに、中国での深刻な機能不全は、リスク選好の後退やドルの上昇、貿易およびコモディティー価格の落ち込みを通じ、米国や世界の市場に波及する可能性がある」、「中国でのコロナウイルスの影響が見通しへの新たなリスクをもたらした」 --------
2/5 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 (新型コロナウイルスについて)「当局は注視しているが、今のところ、米経済に何か重大な影響は見当たらない」「過去のウイルスや自然災害について振り返れば、一時的な影響はあろう。しかし、ウイルスの問題が克服されれば、物事は正常に戻るため、回復が見られる」 --------
2/2 ゲオルギエバ・IMF専務理事 「不確実性が多く、リスクは下向きに傾いている。中銀に2020年も金融緩和を維持するよう強く求める」 --------
1/23 ラガルド・ECB総裁 「いかにして目標を達成するかについて、選択肢を除外することも、あらかじめ想定することも予測することもしない」「他のメンバーと同じように私も意見があるが、私の使命は全ての意見を活用することだ」 --------
1/17 トランプ大統領 「イランのいわゆる『最高指導』は最近あまり最高ではなく、米国と欧州に関して幾つかの不快な発意をした。イランの経済は崩壊しつつあり、国民は苦しんでいる」、「彼は、言葉に十分気を付けるべきだ」 --------
1/15 トランプ大統領 (署名を終え)「非常に重要で特別な機会だ。これが発効し次第、われわれは第2段階を開始する」、「交渉材料を失わないよう、第2段階が可能になった場合のみ私は関税を撤廃することに合意するつもりだ。われわれが第2段階を終えれば、関税は直ちに撤廃されるだろう」 --------
1/13 ローゼングレン:ボストン連銀総裁 「インフレ高進と金融不安定化のリスクに注視するが、これらのリスクが抑制され続ければ、今年も良好な経済的成果が得られるというのが、私の見方だ」 --------
1/13 ボステック:アトランタ連銀総裁 「景気を刺激したり減速させたりする必要はあまりない。私見では、経済の成り行きを静観し、いずれかの方向への次の動きに備える」 --------
1/8 ザリフ・イラン外相 「国連憲法51条の下で自衛のための相応の対応を実行、完遂した。われわれはエスカレートや戦争を求めていないが、いかなる武力攻撃に対しても自衛する。」イラクの米軍駐留基地を攻撃後に。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和