今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円昨年4月以来の111円台乗せ」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は急騰。米住宅関連指標が好調だったことや、新型コロナウイルスの感染拡大で日本がリセッションになるとの観測が円売りにつながった。ドル円は111円59銭まで上昇し、ストップロスを巻き込んで大きく上昇。
  • ユーロドルは1.0782までユーロ安が進んだが、その後反発。ユーロ円の買い戻しも入り、ユーロの下落は一服。
  • 好調な経済指標を受け株式市場は3指数が揃って上昇。ナスダックとS&P500は最高値を更新。
  • 債券相場は目立った動きもなく横ばい。
  • 金と原油はともに続伸。
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1月住宅着工件数 → 156.万件
1月建設許可件数 → 155.1万件
1月生産者物価指数 → 0.5%
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ドル/円 110.48 〜 111.59
ユーロ/ドル 1.0782 〜 1.0812
ユーロ/円 119.27 〜 120.49
NYダウ +115.84 → 29,348.03ドル
GOLD +8.20 → 1,611.80ドル
WTI +1.24 → 53.29ドル
米10年国債 +0.008 → 1.566%

本日の注目イベント

  • 豪 豪1月雇用統計
  • 独 独1月生産者物価指数
  • 独 独3月GFK消費者信頼感
  • 欧 ユーロ圏2月消費者信頼感指数(速報値)
  • 欧 ECB議事要旨
  • 英 英1月小売売上高
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 1月景気先行指標総合指数
  • 米 2月フィラデルフィア連銀景況指数
  • 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演

ドル円が久しぶりに大きな値動きを見せました。昨日の東京市場の午後3時のレベルから1円50銭以上のドル高を示現し、ストップを巻きこみながら111円台半ばまで上昇しました。私も含め、誰が111円台までのドル高を予想したでしょう。110円30銭を抜けば上昇する可能性はあるとの認識はありましたが、まさか一気に111円台半ばまで上昇するとは想定外でした。結果、昨日の予想レンジを大きく外してしまい、失礼いたしました。ドル円は昨日の夜7時ごろには110円30銭をテストする動きを見せましたが、やはり、これまでの「レジスタンス・ゾーン」を抜けると上昇が加速し、ほぼ一直線に111円台まで上昇しました。NYでも111円25銭近辺では一旦上昇が止まって、111円手前まで下げましたが、その後再び切り返して111円59銭まで上昇しています。

この欄でもユーロドルでドル高が進んでいることが、ドル円の下落を抑制しているといったレポートを何度か書き、ドル円の上昇も考えられなくはありませんでしたが、昨日の海外市場でのドル円の上昇は、「ドル高というよりも円売り」でした。ドル円以外のドルストレートでは、それほどドル高が進んでいないことを見ても明らかです。円売りの背景になったのが、日本がリセッションに陥る可能性が高まったことのようです。今週日本の昨年10−12月期のGDPが発表されましたが、結果は市場予想より悪化の「−6.3%」でした。マイナス成長は想定されていましたが、ここまで落ちこんだことはややサプライズでした。昨年10月の消費税増税の影響に加え、自然災害の影響も大きく作用した結果です。そして、2月に入ってからは新型コロナウイルスの影響から、インバウンド効果や個人消費の落ち込みが大きく、「1−3月期もマイナス成長では?」との観測が高まって来ました。一般的に、2期連続でマイナス成長を記録すると「リセッション」入りしたと考えられています。このまま足元の新型コロナウイルスの感染が広がるようだと、その可能性が極めて高くなります。中国人を中心に来日観光客が激減していることに加え、「不要不急の外出を控える」われわれの行動がこの先どこまで続くのか、まだ読めません。

FRBが昨日公表したFOMC議事録では、米景気拡大を減速させ得る国内外のリスクに対して、当局者は警戒を続けるものの、現行の金融政策は「当面」適切だと認識していることが明らかなりました。議事要旨では、「世界の動向が支出決定への重しとなっている中、現行の政策スタンスを当面維持することが米国の経済活動と雇用を支える上でいかに有用になり得るか、参加者は議論した」と記されています。(ブルームバーグ)前日講演を行ったダラス連銀のカプラン総裁の発言内容とおおむね合致していました。

米大統領選で民主党候補の戦いが本格的になってきましたが、選挙活動を3月3日のスーパーチューズデーに標準を合わせてきたマイケル・ブルームバーグ氏がネバダ州で開催される民主党討論会に登壇するようです。同氏はバイデン候補と同じく「中道」と見られており、政策も似ていると言われていますが、バイデン氏が予想外の苦戦を強いられていることから、最終的には同氏に代わってブルームバー氏がサンダース氏との決戦に臨む可能性があると一部メディアで報じられています。前NY市長のブルームバーグ氏は、その潤沢な資金にものを言わせて選挙戦を有利に進めているとの批判もありますが、掲げている政策には、「富裕層の税額負担を増やす」、「銃規制を行う」といったものもあり、トランプ大統領との違いを明確にしています。現時点ではサンダース氏が支持率ではトップを走っているようですが、同氏が「急進左派」ということもあり、若者からの指示率は高いようですが、「トランプ大統領の再選を阻止する」という民主党の基本的な考えからすれば、ブルームバーグ氏にも分がありそうです。

ドル円は111円台半ばまで上昇したことで、週足でドルの上昇を抑えていた「120週線」や「200週線」、さらには一目均衡表の「雲」も明確に上抜けしてきました。こうなると上値の次のメドとしては、昨年のドル円の最高値である112円40銭が意識されます。現水準からさらに1円程上昇する必要がありますが、昨日のような動きがあるとすれば、あながち「ない」とは言えません。新型コロナウイルスの感染拡大でリスク回避の動きが強まれば、「イコール円買い」といった発想でしたが、それが日本での感染拡大となれば話が違うようです。横浜港に停泊中の「ダイヤモンド・プリンセス」で500人を超える感染が発生したことで、日本は感染を拡大させる最も危険な地域の一つと、世界で位置付けされようとしており、日本政府の対応にも批判の声が上がっています。(ブルームバーグ)今後これに関連するニュースに対して投資家はドル円を「売るか買うか」、微妙な対応を迫られることになります。本日のドル円は110円90銭〜111円70銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
2/16 劉・中国財務相 「大規模な減税や歳出削減といった措置により短期的に厳しさが増す可能性はあるが、国として中期的な視点を持ち断固たる姿勢でそうした措置を講じる必要がある」 --------
2/11 パウエル・FRB議長 「われわれは特に、新型コロナウイルス出現の問題を注視している。この問題は中国での混乱につながり、世界の他地域の経済に波及する恐れがある」、「今の景気拡大に不安定さや持続不可能といったものはない」(議会証言で) --------
2/7 FRB金融政策報告書 「その経済規模ゆえに、中国での深刻な機能不全は、リスク選好の後退やドルの上昇、貿易およびコモディティー価格の落ち込みを通じ、米国や世界の市場に波及する可能性がある」、「中国でのコロナウイルスの影響が見通しへの新たなリスクをもたらした」 --------
2/5 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 (新型コロナウイルスについて)「当局は注視しているが、今のところ、米経済に何か重大な影響は見当たらない」「過去のウイルスや自然災害について振り返れば、一時的な影響はあろう。しかし、ウイルスの問題が克服されれば、物事は正常に戻るため、回復が見られる」 --------
2/2 ゲオルギエバ・IMF専務理事 「不確実性が多く、リスクは下向きに傾いている。中銀に2020年も金融緩和を維持するよう強く求める」 --------
1/23 ラガルド・ECB総裁 「いかにして目標を達成するかについて、選択肢を除外することも、あらかじめ想定することも予測することもしない」「他のメンバーと同じように私も意見があるが、私の使命は全ての意見を活用することだ」 --------
1/17 トランプ大統領 「イランのいわゆる『最高指導』は最近あまり最高ではなく、米国と欧州に関して幾つかの不快な発意をした。イランの経済は崩壊しつつあり、国民は苦しんでいる」、「彼は、言葉に十分気を付けるべきだ」 --------
1/15 トランプ大統領 (署名を終え)「非常に重要で特別な機会だ。これが発効し次第、われわれは第2段階を開始する」、「交渉材料を失わないよう、第2段階が可能になった場合のみ私は関税を撤廃することに合意するつもりだ。われわれが第2段階を終えれば、関税は直ちに撤廃されるだろう」 --------
1/13 ローゼングレン:ボストン連銀総裁 「インフレ高進と金融不安定化のリスクに注視するが、これらのリスクが抑制され続ければ、今年も良好な経済的成果が得られるというのが、私の見方だ」 --------
1/13 ボステック:アトランタ連銀総裁 「景気を刺激したり減速させたりする必要はあまりない。私見では、経済の成り行きを静観し、いずれかの方向への次の動きに備える」 --------
1/8 ザリフ・イラン外相 「国連憲法51条の下で自衛のための相応の対応を実行、完遂した。われわれはエスカレートや戦争を求めていないが、いかなる武力攻撃に対しても自衛する。」イラクの米軍駐留基地を攻撃後に。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和