「ドル円早朝に103円台半ばまで急落」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は連日下げ足を速め、この日は105円前後まで円が買われた。米長期金利の低下が止まらず、原油価格の大幅下落もリスク回避の動きを増幅させる。
- ユーロドルも続伸し、昨年7月以来となる1.1355までユーロ高が進む。
- 株式市場は続落。ダウは一時900ドル安まで売られたが、その後下げ幅を縮小。新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることに加え、原油価格の急落が不安心理を増幅。
- 債券相場は上昇し、長期金利はさらに低下。一時は0.66%台まで低下し、0.76%台まで反発。
- 金は続伸。原油価格はOPECとロシアなど非加盟国との減産交渉が決裂したことで10%を超える急落。
2月失業率 → 3.5%
2月非農業部門雇用者数 → 27.3万人
2月平均時給 (前月比) → 0.3%
2月平均時給 (前年比) → 3.0%
2月労働参加率 → 63.4%
1月消費者信用残高 → 12.021b
1月貿易収支 → −45.3b
********************
| ドル/円 | 105.01 〜 105.73 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1280 〜 1.1355 |
| ユーロ/円 | 118.52 〜 119.43 |
| NYダウ | −256.50 → 25,864.78ドル |
| GOLD | +4.40 → 1,672.40ドル |
| WTI | −4.62 → 41.28ドル |
| 米10年国債 | −0.l50 → 0.762% |
本日の注目イベント
- 日 1月貿易収支
- 日 2月景気ウオッチャー調査
- 独 独1月貿易収支
- 独 独1経常収支
- 独 独1月鉱工業生産
- 加 カナダ2月住宅着工件数
- 加 カナダ1月建設許可件数
新型コロナウイルスの感染拡大が米国で加速してきたようです。NY州では7日に感染者が大幅に増加し、89人になりました。NY市の北部近郊に位置するウエストチェスター郡に感染者が集中しているようで、ここには比較的日本人が多く住んでいます。NY市でも少なくも11人の感染が報告され、ワシントン州やバージニア州でも初の感染が確認されています。これを受けて、NY州のクオモ知事が非常事態を宣言しました。(ブルームバーグ)
新型コロナウイルスに加えて原油市場でも混乱が増幅し、不安心理が高まっています。OPECとロシアなど非加盟国で構成する「OPECプラス」で、減産を巡る交渉が決裂したことでWTI原油価格は前日比10%を超える下落を見せ、株価を押し下げています。さらに報道によれば、サウジアラビアは4月にも日量1000万バレルを上回る増産を計画しているようで、過去最大の日量1200万バレルまで増産できると、サウジ当局者の一部が非公式に述べていると伝えています。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、原油需要が損なわれる状況で、サウジが供給拡大に動けば、国際原油市場が混乱する恐れがあると、ブルームバーグは指摘しています。原油価格の急落を受けて、日曜日に市場が開いているサウジ株式市場では、昨年12月に新規上場して話題になった「サウジアラムコ」株が大きく売られ、公開価格を割り込んだようです。
サウジのムハンマド皇太子はやや独裁色が強く、増産で原油価格がさらに下がると、生産コストの高い米国のシェールオイル業者などが休業に追い込まれ、生産コストが圧倒的に低いサウジが有利と判断している模様です。昨年、米国のシェールオイルの生産コストは30−50ドルと言われ、30ドルを下回ると採算割れに陥ると言われていました。現在は採掘技術も進み、生産コストはやや低下していると思われますが、サウジの生産コストは1バレルあたり4ドルとも言われており、圧倒的な価格競争力を保持していると見られます。サウジのムハンマド皇太子はここで増産を決め、一気に市場シェアを高めたいとしているとの報道もあります。週明けのWTI原油先物市場では、今朝方は一時30ドル台まで下げ、下落幅は20%を超えています。
米長期金利の低下が加速しています。米長期金利は先月24日に過去最低となる1.30%まで低下しましたが、先週末には一時0.66%台と、わずか10日程でさらに5割ほど低下しています。日本が1%を割り込んだのが1998年で、その後スイスやドイツが続き、「米金利の日本化」(日経新聞)という声も聞かれ、リーマンショック後に政策金利をゼロにしたFRBが、再び同様の政策を取るのではないかといった指標もあります。来週17−18日のFOMCでは、さらに50ベーシスの利下げを行うといった見方がコンセンサスになりつつあります。
ドル円は早朝に103円台半ばまで急落しました。市場は、上で述べたように政策金利の大幅下げを想定しながら、日米金利差の縮小から円を買う動きを強めているようです。すでに、2016年の米大統領選前の水準にまで円高が進んでおり、これまで重要な節目と見られていた104円台半ばを大きく割り込んでいます。円の上昇スピードは速すぎるとは思いますが、100円方向を目指す動きかと見られます。本日のドル円は103円〜104円50銭程度を予想しますが、週明けの各市場はややパニック状態かもしれません。円と金の急騰。米金利と原油価格の急落を受け、日経平均株価の下げも大きいものになりそうで、2万円割れもありそうです。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 3/5 | ゲオルギエワ・IMF専務理事 | 「新型コロナウイルスは感染が気づかれないうちに拡大しており、世界経済の見通しはより暗いシナリオに移行した」 | -------- |
| 3/3 | パウエル・FRB議長 | 「経済見通しに対する新たなリスクを前に、米経済の力強さを維持できるよう、この措置を講じた」「米金融当局に全ての解決策があるわけではなく、人的・経済的ダメージの抑制には政府や医療専門家、中銀など多方面からの対応が必要となる」 | -------- |
| 3/2 | ラガルド・ECB総裁 | ECBは状況の進展と景気及び中期的なインフレ、金融政策効果の波及にそれが及ぼす影響を注意深く見守っているところだ。われわれは、必要かつ潜在的なリスクに見合う形で、適切で的を絞った対応策をとる用意がある」 | -------- |
| 2/24 | メスター・クリーブランド連銀 | 「現時点での経済的影響の規模を評価することは難しい」「現在の政策スタンスは適切というのが私の見解だ」 | -------- |
| 2/22 | G20(リヤド、サウジアラビア) | 「新型コロナウイルスの最近の流行を含め、世界経済のリスク監視を強化する」「各国は政策を総動員する」 | -------- |
| 2/19 | クラリダ・FRB副議長 | 「米金融当局は新型コロナウイルスを注意深く見守っているが、米経済にどう影響するのか判断するのは時期尚早だ」、「少なくとも今年第1四半期は、中国の成長に恐らく顕著な影響を及ぼすことは確かだ」 | -------- |
| 2/16 | 劉・中国財務相 | 「大規模な減税や歳出削減といった措置により短期的に厳しさが増す可能性はあるが、国として中期的な視点を持ち断固たる姿勢でそうした措置を講じる必要がある」 | -------- |
| 2/11 | パウエル・FRB議長 | 「われわれは特に、新型コロナウイルス出現の問題を注視している。この問題は中国での混乱につながり、世界の他地域の経済に波及する恐れがある」、「今の景気拡大に不安定さや持続不可能といったものはない」(議会証言で) | -------- |
| 2/7 | FRB金融政策報告書 | 「その経済規模ゆえに、中国での深刻な機能不全は、リスク選好の後退やドルの上昇、貿易およびコモディティー価格の落ち込みを通じ、米国や世界の市場に波及する可能性がある」、「中国でのコロナウイルスの影響が見通しへの新たなリスクをもたらした」 | -------- |
| 2/5 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | (新型コロナウイルスについて)「当局は注視しているが、今のところ、米経済に何か重大な影響は見当たらない」「過去のウイルスや自然災害について振り返れば、一時的な影響はあろう。しかし、ウイルスの問題が克服されれば、物事は正常に戻るため、回復が見られる」 | -------- |
| 2/2 | ゲオルギエバ・IMF専務理事 | 「不確実性が多く、リスクは下向きに傾いている。中銀に2020年も金融緩和を維持するよう強く求める」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



