今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円NY市場で急反発し、106円に迫る」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 前日のNY市場で101円18銭まで売られたドル円は急反発。トランプ大統領が給与税をゼロにするなどの経済対策を検討するとの報道で、105円91銭までドルが買われる。
  • ユーロドルも前日の1.14台後半から反落。1.1275まで売られ、ドルの買い戻しが進む。
  • 株式市場はトランプ政権の経済対策期待から大幅に反発。ダウは1167ドル上昇し、2万5000ドル台を回復。
  • 債券相場は急落。長期金利は0.80%台まで上昇し取引を終える。
  • ドルが買い戻されたことで金は反落。原油価格はロシアの高官がOPECとの交渉の余地があることに言及したことで大幅高。
ドル/円 103.22 〜 105.91
ユーロ/ドル 1.1275 〜 1.1394
ユーロ/円 117.47 〜 119.49
NYダウ +1167.14 → 25,018.16ドル
GOLD −15.40 → 1,660.30ドル
WTI +3.23 → 34.36ドル
米10年国債 +0.262 → 0.803%

本日の注目イベント

  • 英 英1月鉱工業生産
  • 英 英1月貿易収支
  • 米 2月消費者物価指数
  • 米 2月財政収支

ドル円は大きく反発し、NY市場では105円91銭までドルの買い戻しが進みました。前日のNY市場で101円18銭まで売られてからわずか1日で4円73銭も戻したことになります。「ドルが下げればさらに売り、ドルが上がればさらに買う」という極めて荒っぽい動きで、AIやアルゴが先導する相場展開が続いていると見られます。AIやアルゴには、高値警戒感や安値警戒感といった感情はないものと思われ、組み込まれた執行条件を機械的に行っているだけです。今後しばらくはこのような乱高下が続くという前提で取り組む必要があります。

ドル円反発の予兆は昨日の朝方にはありました。前日のNYダウが2000ドルを超える「過去最大の下げ幅」を記録したことで、昨日の東京株式市場は寄り付きから大幅な下げを見せ、一時下げ幅は800円を超えていました。ちょうどその頃、「トランプ政権、9日に経済対策検討」とのニュースが流れ、ドル円は一気に103円台まで反発していました。日経平均株価の方はドル円に追随する形で下げ幅を縮小しましたが、依然マイナス圏で、午後にドル円が104円台に入ると、ようやくプラスに転じました。昨日のドル円の急反発に、一部には「レートチェックか?」といった噂も流れたようですが、日銀単独での市場介入は考えられません。それでも水準が水準だっただけに、ショート筋が急速なドルの買い戻しに走ったようです。

市場介入は2008年のリーマンショック後を最後に行ってはいないようですが、通常、日銀が市場に直接介入することはありません。先ずは、日銀と為替市場での主要プレイヤーである銀行との間にある「ホットライン」で、市場の状況を聞いて回る、この状況を「レートチェック」と呼んでいます。その後、必要ならその銀行にプライスを提示させ、それを日銀がヒットするというのが、筆者がまだディーリング・ルームにいた頃の介入形態でした。恐らく今でもその形式は変わっていないと思われますが、筆者もホットラインが鳴り、レートチェックがあった時には緊張したことを思い出します。レートチェックがわずか1行でも行われれば、その瞬間にその情報は市場に伝播され、相場は一気に流れを変えるのが常でしたが、それでもレートチェックが連日同じように繰り返されると、その効果もほぼなくなります。

新型コロナウイルスの感染拡大は足元では欧米が最前線になっているようです。昨日の報道では新たな感染者の99%余りは中国以外で確認されており、特にイタリアの感染者は1万人を超えています。昨日、中国の習近平主席は、新型コロナ発生後初めて感染拡大の中心地となった湖北省武漢を訪問し、中国での感染拡大が収まってきたことをアピールしていました。もしそうだとすれば、震源地中国で、40日ほどで感染拡大が減少したことになります。米国や欧米、さらに日本でも感染はまだピークを迎えていないようですが、ある程度のメドが立つことになります。政府は学校の一斉休校などを10日程延長することを決めました。日本での感染が終息するかどうか、その頃には判明すると思われます。

為替も株もまだ荒っぽい動きが続きそうです。実体経済への影響はこれから徐々に出て来ることになります。日本や米国の経済データが発表されるたびに、相場は上下するでしょうが、昨日発表された2月の工作機械受注は前年同月比30.1%の減少でした。同指標は、景気の先行指標として重要であり、2月は新型コロナウイルスの影響から大幅に落ち込み、10年ぶりの低水準でした。今後はこのように、景気の大幅な落ち込みを反映したデータが続々と発表されると見られます。

106円近辺まで反発したドル円ですが、状況としては「戻り売り」のスタンスが維持されそうです。「VIX指数」も前日から大きく低下しましたが、足元では「47.3」と、依然高水準で、市場の恐怖感が収まっていないことを示唆しています。本日のドル円は104円〜106円程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/9 テドロス・WHO事務局長 「パンデミックの脅威は非常に現実的になった」 --------
3/5 ゲオルギエワ・IMF専務理事 「新型コロナウイルスは感染が気づかれないうちに拡大しており、世界経済の見通しはより暗いシナリオに移行した」 --------
3/3 パウエル・FRB議長 「経済見通しに対する新たなリスクを前に、米経済の力強さを維持できるよう、この措置を講じた」「米金融当局に全ての解決策があるわけではなく、人的・経済的ダメージの抑制には政府や医療専門家、中銀など多方面からの対応が必要となる」 --------
3/2 ラガルド・ECB総裁 ECBは状況の進展と景気及び中期的なインフレ、金融政策効果の波及にそれが及ぼす影響を注意深く見守っているところだ。われわれは、必要かつ潜在的なリスクに見合う形で、適切で的を絞った対応策をとる用意がある」 --------
2/24 メスター・クリーブランド連銀 「現時点での経済的影響の規模を評価することは難しい」「現在の政策スタンスは適切というのが私の見解だ」 --------
2/22 G20(リヤド、サウジアラビア) 「新型コロナウイルスの最近の流行を含め、世界経済のリスク監視を強化する」「各国は政策を総動員する」 --------
2/19 クラリダ・FRB副議長 「米金融当局は新型コロナウイルスを注意深く見守っているが、米経済にどう影響するのか判断するのは時期尚早だ」、「少なくとも今年第1四半期は、中国の成長に恐らく顕著な影響を及ぼすことは確かだ」 --------
2/16 劉・中国財務相 「大規模な減税や歳出削減といった措置により短期的に厳しさが増す可能性はあるが、国として中期的な視点を持ち断固たる姿勢でそうした措置を講じる必要がある」 --------
2/11 パウエル・FRB議長 「われわれは特に、新型コロナウイルス出現の問題を注視している。この問題は中国での混乱につながり、世界の他地域の経済に波及する恐れがある」、「今の景気拡大に不安定さや持続不可能といったものはない」(議会証言で) --------
2/7 FRB金融政策報告書 「その経済規模ゆえに、中国での深刻な機能不全は、リスク選好の後退やドルの上昇、貿易およびコモディティー価格の落ち込みを通じ、米国や世界の市場に波及する可能性がある」、「中国でのコロナウイルスの影響が見通しへの新たなリスクをもたらした」 --------
2/5 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 (新型コロナウイルスについて)「当局は注視しているが、今のところ、米経済に何か重大な影響は見当たらない」「過去のウイルスや自然災害について振り返れば、一時的な影響はあろう。しかし、ウイルスの問題が克服されれば、物事は正常に戻るため、回復が見られる」 --------
2/2 ゲオルギエバ・IMF専務理事 「不確実性が多く、リスクは下向きに傾いている。中銀に2020年も金融緩和を維持するよう強く求める」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和