今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「NYダウ一時3000ドル下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 米国株がさらに下げ、長期金利も低下したことで、ドル円は105円15銭まで下落。その後は「有事のドル」の側面もあり105円台後半まで反発。
  • ユーロドルはやや反発し、1.120前後まで値を戻す。
  • 株式市場はFRBの緊急利下げにも拘わらず大幅な下げに。ダウは再び過去最大の下げ幅となる2997ドル安。
  • 債券相場は反発。長期金利は0.71%台まで低下。
  • 金は3日大幅続落で1486ドルに。原油も4日続落。30ドルを大きく割り込み28ドル台に。
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3月NY連銀製造業景況指数 → −21.5
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ドル/円 105.15 〜 106.48
ユーロ/ドル 1.1094 〜 1.1200
ユーロ/円 117.14 〜 118.76
NYダウ −2997.10 → 20,188.52ドル
GOLD −30.20 → 1,486.50ドル
WTI −3.03 → 28.70ドル
米10年国債 −0.242 → 0.718%

本日の注目イベント

  • 豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
  • 日 1月鉱工業生産(確定値)
  • 独 独3月ZEW景気期待指数
  • 独 独3月ZEW景況感指数
  • 英 英2月失業率
  • 米 2月小売売上高
  • 米 2月鉱工業生産
  • 米 2月設備稼働率
  • 米 3月NAHB住宅市場指数

日米中央銀行が市場の動揺を治めようと、出来る限りの金融政策を駆使しましたが、その効果もなく、日本では日経平均株価が500円下げ、米国では先週記録した「過去最大の下げ幅」を大きく上回る下げに見舞われ、金融政策の限界を露呈した形になっています。

FRBは15日に臨時の会合を開催し、ゼロ金利政策を取るとともに、米国債などを少なくとも7000億ドル(約74兆2000億円)購入すること決めました。昨日は日銀も、FRBに歩調を合わせるかのように政策会合を前倒しで開催し、通常2日間行われるものを昨日1日で対応策を発表しました。ETFの購入をこれまでの倍となる12兆に増額し、さらにREITを1800億円、CPと社債も合計2兆円購入することを決定しました。この政策内容が発表された昨日の午後2時過ぎには、日経平均株価が300円程上昇する場面もありましたが、その後は下げに転じ、結局429円安と、直近安値を更新して取り引きを終えています。一時は107円台半ばまで反発したドル円も、このタイミングで106円台半ばを割り込んでいます。

NY株式市場ではさらに厳しい洗礼が待ち受けていました。株価は寄り付きから大きく値を下げ、ダウは一時3000ドルを超える「暴落」を見せ、ナスダックとS&P500も記憶にないほどの下げを演じ、今年3回目となる「サーキットブレーカー」が発動されています。新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない上、トランプ大統領が政府と国民に対して10人超の集まりや通学、通勤、外食の自粛を求め、さらに大統領が米景気がリセッション入りの可能性があり、経済的混乱が夏まで続く可能性があるとの認識を示したことで、株価の下げが拡大しました。

この欄でも「山高ければ谷深し」と何度か述べましたが、ここまで米国株が崩れることは想定外です。ダウが2万9551ドルの「史上最高値」を更新して取り引を終えたのは、わずか1カ月前のことです。そこから急転直下、9300ドルを超える下げに転じています。米経済は順調で、特に労働市場と個人消費、住宅市場が米景気全体をけん引する状況でした。コロナウイルス騒動が中国で拡大した2月でも、トランプ大統領は「米国は新型コロナウイルスに対するリスクは低い。全てがうまく行っている」と豪語していましたが、昨日は一転して弱気ムードでした。株価の下落が止まらず、機関投資家やファンドなどは株式で出た損を、利益が出ているもので埋める、「換金」を加速させているようです。本来上昇してもおかしくはない「金」が昨日も大きく売られ、これで一時は1700ドル台まで買われたものが、1400ドル台後半まで下落しています。2008年のリーマンショックの際に「80」を超えた「VIX指数」も、さらに恐怖感を強め、昨日は「82」を超えてきました。金融政策では効き目のないことが明らかになってきた以上、ここは財政主導でこれまでにない大胆な政策が「ちゅうちょなく」実行されることが求められます。

昨日の夜行われたG7緊急テレビ会議も形だけの内容で終わっています。安倍首相は、「五輪を完全な形で実現することでG7の支持を得た」とコメントしていましたが、この方にとっては、よほどオリンピックが大事なんでしょうか?今直面している危機に対して楽観的すぎる発言を行っています。コロナウイルスの感染拡大防止と共に、大規模な財政の支援が今こそ必要だと思います。先ずは、国民・投資家の不安心理を落ち着かせることが必要です。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/15 パウエル・FRB議長 「新型コロナはやがて終息し、米経済は通常の活動水準を回復するとわれわれは承知している。それまでの間、金融当局は信用の流れを支えるため、引き続き自らの手段を活用していく」「われわれはマイナス金利が適切な政策対応になる可能性は低いと見ている」・・・・緊急追加利下げを決めた後の会見で。 --------
3/9 テドロス・WHO事務局長 「パンデミックの脅威は非常に現実的になった」 --------
3/5 ゲオルギエワ・IMF専務理事 「新型コロナウイルスは感染が気づかれないうちに拡大しており、世界経済の見通しはより暗いシナリオに移行した」 --------
3/3 パウエル・FRB議長 「経済見通しに対する新たなリスクを前に、米経済の力強さを維持できるよう、この措置を講じた」「米金融当局に全ての解決策があるわけではなく、人的・経済的ダメージの抑制には政府や医療専門家、中銀など多方面からの対応が必要となる」 --------
3/2 ラガルド・ECB総裁 ECBは状況の進展と景気及び中期的なインフレ、金融政策効果の波及にそれが及ぼす影響を注意深く見守っているところだ。われわれは、必要かつ潜在的なリスクに見合う形で、適切で的を絞った対応策をとる用意がある」 --------
2/24 メスター・クリーブランド連銀 「現時点での経済的影響の規模を評価することは難しい」「現在の政策スタンスは適切というのが私の見解だ」 --------
2/22 G20(リヤド、サウジアラビア) 「新型コロナウイルスの最近の流行を含め、世界経済のリスク監視を強化する」「各国は政策を総動員する」 --------
2/19 クラリダ・FRB副議長 「米金融当局は新型コロナウイルスを注意深く見守っているが、米経済にどう影響するのか判断するのは時期尚早だ」、「少なくとも今年第1四半期は、中国の成長に恐らく顕著な影響を及ぼすことは確かだ」 --------
2/16 劉・中国財務相 「大規模な減税や歳出削減といった措置により短期的に厳しさが増す可能性はあるが、国として中期的な視点を持ち断固たる姿勢でそうした措置を講じる必要がある」 --------
2/11 パウエル・FRB議長 「われわれは特に、新型コロナウイルス出現の問題を注視している。この問題は中国での混乱につながり、世界の他地域の経済に波及する恐れがある」、「今の景気拡大に不安定さや持続不可能といったものはない」(議会証言で) --------
2/7 FRB金融政策報告書 「その経済規模ゆえに、中国での深刻な機能不全は、リスク選好の後退やドルの上昇、貿易およびコモディティー価格の落ち込みを通じ、米国や世界の市場に波及する可能性がある」、「中国でのコロナウイルスの影響が見通しへの新たなリスクをもたらした」 --------
2/5 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 (新型コロナウイルスについて)「当局は注視しているが、今のところ、米経済に何か重大な影響は見当たらない」「過去のウイルスや自然災害について振り返れば、一時的な影響はあろう。しかし、ウイルスの問題が克服されれば、物事は正常に戻るため、回復が見られる」 --------
2/2 ゲオルギエバ・IMF専務理事 「不確実性が多く、リスクは下向きに傾いている。中銀に2020年も金融緩和を維持するよう強く求める」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和