今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円再び111円台半ばに」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は109円台半ばから急反発。米国でのコロナウイルスの感染拡大が止まらず、ドル資金への需要が継続。ドル円は一時111円59銭まで上昇。先週末のドル高水準を若干上回る。
  • ユーロドルも反発。ドイツ政府が7500億ユーロ(約89.7兆円)の財政パッケージを承認したことでユーロの買い戻しが進み、1.0828まで上昇。
  • 株式市場は続落。2兆ドル(約111兆円)規模の景気対策案の成立が不透明になったことが背景。ダウは582ドル下げ、直近最安値を更新。
  • 債券相場は続伸。長期金利は0.78%台へと低下。
  • 金は大幅に続伸。前日比83ドル(約5.6%)上昇し、1日の上げ幅としては1984年11月以来となる急騰。原油は小幅に続伸。
ドル/円 109.82 〜 111.59
ユーロ/ドル 1.0683 〜 1.0828
ユーロ/円 118.22 〜 119.94
NYダウ −582.05 → 18,591.93ドル
GOLD +83.00 → 1,576.70ドル
WTI +0.73 → 23.36ドル
米10年国債 −0.059 → 0.786%

本日の注目イベント

  • 日 1月景気先行指数(改定値)
  • 欧 ラガルド・ECB総裁講演
  • 独 独3月製造業PMI(速報値)
  • 独 独3月サービス業PMI(速報値)
  • 米 3月マークイット製造業PMI
  • 米 3月マークイットサービス業PMI
  • 米 2月新築住宅販売件数
  • 米 3月リッチモンド連銀製造業指数

昨日の東京時間には109円台半ばまで売られたドル円は、NY市場では111円59銭まで買われ、ほぼ2円上昇しました。米長期金利は低下し、株価も大幅に続落する中、ドル資金の確保という流れが続いており、「有事のドル買い」の様相がさらに強まってきました。特に、新興国通貨に対してドルが買われる流れが続いており、多くの新興国では債務がドル建てのケースが多く、ドル高が進めば進むほど、「借金が増える」構図になっています。またトルコなど、インフレ率も比較的高く、自国通貨安が進めばさらに生活が困窮するという事情もあり、多くの国民が自国通貨を売ってドルに換えるといった行動も背景にはあると見られます。それにしても、ドル円もよく動きます。昨日もこの欄で述べたように、上昇すればさらに「買え」というプログラムが発動され、ドルをさらに押し上げます。「ここまではないだろう」といったレベルでの指値でないと、ポジションメイクした途端、マイナスが膨らんでしまいます。昨日NYマーカンタイルで金が急騰したのも、この種の動きと言えます。

米国では今週に入り新型コロナウイルスの感染が急拡大していますが、トランプ政権が主導する2兆ドル規模の景気対策案が米議会で否決されました。採決は賛成49票、反対46票で、可決には60票が必要でした。米国民にとっては早急な可決が必要なことは論を待ちませんが、ここでも11月の大統領選を巡る思惑が絡んでいるようです。採決に反対した民主党は、景気対策そのものには賛成するものの、救済策の中身に反対しているようです。救済策は、新型コロナウイルスで大きな打撃を受けた特定の企業に、その対象を絞っており、これが大統領選に利用されるのではと警戒を強めています。この法案が通ると、ボーイングなどの航空機メーカーや航空会社に資金が向かうとされています。

一方で止まらない感染拡大に、FRBは今月3度目となる臨時の会合を開き、先週決めた量的緩和を無制限で行うことを決めました。先の会合では、国債とMBSを年7000億ドル(約77兆円)購入することを決めていましたが、今回その額を、「円滑な市場機能を支え、金融政策の効果的な伝達を支援する上で必要な額」に切り替え、事実上無制限としました。ドイツでも政府が臨時閣議を開き、総額7500億ユーロ(約89.7兆円)規模の財政パッケージを承認しています。

ドル円は「月足」の雲の上限を試しているように見えます。現在111円70銭前後にある「雲」を完全に上抜けすれば、2月に記録した112円23銭も視野に入って来るかと思います。ただ足元の動きは、ドル資金を確保することが優先されている相場展開かと思われ、コロナ騒動が終息に向えば、再び円高に振れる可能性も排除できません。本日はNY株式市場が大幅続落でしたが、円安が進んだせいもあり、日本株の大幅な下げは回避できそうです。ここを好機と見た買いが入れば400−600円程の上昇もあるかもしれません。

NYダウは2月12日の史上最高値からすでに1万1000ドルも下落しています。率にして実に37%を超えています。これだけ下げても株式関係者の声はまだまだ弱気が多く、「総悲観」と言ってもいいくらい、非常に暗い雰囲気です。投資の神様と言われる、ウオーレン・バフェット氏は「悲観は友、陶酔は敵」と述べています。また、「ソックス(靴下)でも、ストックス(株)でも、値札が下がった質の高いものを買うのが私は好きだ」とも語っています。(日経ヴェリタス3月22日号より)14兆円もの現金預金を保有している、バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイは、今この混乱を、「絶好の買い場」と見ているのか、それとも「嵐が過ぎ去るのをじっと待っている」のか、どのような戦略を立てているのでしょうか。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/15 パウエル・FRB議長 「新型コロナはやがて終息し、米経済は通常の活動水準を回復するとわれわれは承知している。それまでの間、金融当局は信用の流れを支えるため、引き続き自らの手段を活用していく」「われわれはマイナス金利が適切な政策対応になる可能性は低いと見ている」・・・・緊急追加利下げを決めた後の会見で。 --------
3/9 テドロス・WHO事務局長 「パンデミックの脅威は非常に現実的になった」 --------
3/5 ゲオルギエワ・IMF専務理事 「新型コロナウイルスは感染が気づかれないうちに拡大しており、世界経済の見通しはより暗いシナリオに移行した」 --------
3/3 パウエル・FRB議長 「経済見通しに対する新たなリスクを前に、米経済の力強さを維持できるよう、この措置を講じた」「米金融当局に全ての解決策があるわけではなく、人的・経済的ダメージの抑制には政府や医療専門家、中銀など多方面からの対応が必要となる」 --------
3/2 ラガルド・ECB総裁 ECBは状況の進展と景気及び中期的なインフレ、金融政策効果の波及にそれが及ぼす影響を注意深く見守っているところだ。われわれは、必要かつ潜在的なリスクに見合う形で、適切で的を絞った対応策をとる用意がある」 --------
2/24 メスター・クリーブランド連銀 「現時点での経済的影響の規模を評価することは難しい」「現在の政策スタンスは適切というのが私の見解だ」 --------
2/22 G20(リヤド、サウジアラビア) 「新型コロナウイルスの最近の流行を含め、世界経済のリスク監視を強化する」「各国は政策を総動員する」 --------
2/19 クラリダ・FRB副議長 「米金融当局は新型コロナウイルスを注意深く見守っているが、米経済にどう影響するのか判断するのは時期尚早だ」、「少なくとも今年第1四半期は、中国の成長に恐らく顕著な影響を及ぼすことは確かだ」 --------
2/16 劉・中国財務相 「大規模な減税や歳出削減といった措置により短期的に厳しさが増す可能性はあるが、国として中期的な視点を持ち断固たる姿勢でそうした措置を講じる必要がある」 --------
2/11 パウエル・FRB議長 「われわれは特に、新型コロナウイルス出現の問題を注視している。この問題は中国での混乱につながり、世界の他地域の経済に波及する恐れがある」、「今の景気拡大に不安定さや持続不可能といったものはない」(議会証言で) --------
2/7 FRB金融政策報告書 「その経済規模ゆえに、中国での深刻な機能不全は、リスク選好の後退やドルの上昇、貿易およびコモディティー価格の落ち込みを通じ、米国や世界の市場に波及する可能性がある」、「中国でのコロナウイルスの影響が見通しへの新たなリスクをもたらした」 --------
2/5 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 (新型コロナウイルスについて)「当局は注視しているが、今のところ、米経済に何か重大な影響は見当たらない」「過去のウイルスや自然災害について振り返れば、一時的な影響はあろう。しかし、ウイルスの問題が克服されれば、物事は正常に戻るため、回復が見られる」 --------
2/2 ゲオルギエバ・IMF専務理事 「不確実性が多く、リスクは下向きに傾いている。中銀に2020年も金融緩和を維持するよう強く求める」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和