「NYダウ過去最大の上げ幅を記録」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は110円台から再び111円台を回復し、111円71銭まで上昇。米国の景気対策案が合意に近いとの観測に、NY株式市場で株価が急騰したことで、リスク回避の流れが後退。
- ユーロドルは反落。1.0746まで売られたが、下げ幅は小幅。ユーロ円は120円台半ばまで反発。
- 株式市場は、アジアや欧米での株高と、2兆ドル(約220兆円)の景気対策の合意が近いとの観測からほぼ全面高の様相。ダウは過去最大の上げ幅となる2112ドル上昇し、2万ドルの大台を5営業日ぶりに回復。
- 債券相場は反落。長期金利は0.84%台へ上昇。
- 金はこの日も急騰。前日比93ドル上げ、1660ドル台に。FRBによる量的緩和が続いており、資金が商品市場に流入したとの見方。原油は続伸。
3月マークイット製造業PMI → 49.2
3月マークイットサービス業PMI → 39.1
2月新築住宅販売件数 → 76.5万件
3月リッチモンド連銀製造業指数 → 2
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| ドル/円 | 110.60 〜 111.71 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.0746 〜 1.0866 |
| ユーロ/円 | 119.74 〜 120.54 |
| NYダウ | +2,112.98 → 20,704.91ドル |
| GOLD | +93.20 → 1,660.80ドル |
| WTI | +0.65 → 24.01ドル |
| 米10年国債 | +0.06 → 0.847% |
本日の注目イベント
- 英 英2月消費者物価指数
- 米 2月耐久財受注
今月に入って何度となく耳にした「過去最大の下げ幅」、「過去最大の上げ幅」といったフレーズを、昨日もまたNY株式市場から聞こえてきました。昨日の東京株式市場の値動きから、ある程度の予想はされましたが、アジアや欧州の株式市場で株価が急反発したことを受け、NYダウは前日比2112ドル、率にして11.37%も上昇しました。前日には1万8500ドル台まで売られ、さすがに下げ過ぎとの見方もありましたが、トランプ政権が提案している2兆ドルの景気対策法案が近く与野党で合意する見通しになったことが大きく作用したようです。ペロシ下院議長も、24日中に合意がまとまる可能性に言及しています。
ドル円は東京時間には売られる傾向がありますが、NYに入ると大きく買われる流れが続いています。昨日も東京時間には110円割れ目前の水準までドル売りが進みましたが、その後の海外市場では1円50銭以上もドル高が進みました。昨日もこの欄で触れたように、上昇傾向を見せてはいるものの、引き続き「月足」の雲に抑えられている格好になっています。FRBが無制限の量的緩和を行い、日銀もドル資金の供給を積極的に行っているため、ドル資金調達への懸念はやや後退していると見られますが、市場全体の不安はまだ払拭されていないといったところです。
米国では新型コロナウイルスの感染拡大が止まっていません。全米の3分の1の州では、人々の移動に制限がかかっており、経済活動も急速に縮小しています。昨日発表されたIHSマークイットの、製造業とサービス業を合わせた3月の総合PMIは「40.5」と、節目の「50」を大きく下回り、2009年10月に統計が始まって以来最大の下げ幅になっていました。特にサービス業PMIは「39.1」と、前月から10.3ポイント低下しており、IHSマークイットのチーフエコノミストは、「3月のPMIはGDPの年率での減少ペースが5%に近づいていることをおおよそ示唆している。だが新型コロナとの闘いでロックダウンや閉鎖が広がっており、4−6月(第2四半期)は減少率がさらに大きくなる可能性が高い」と述べています。(ブルームバーグ)
そんな中、トランプ大統領は24日FOXニュースに対して、「イースター(4月12日の復活祭)までに経済活動を再開させたいと強く願っている」と語っています。また、トランプ大統領は人々の社会的接触を制限する15日間の措置が来週終了した段階で、労働者に職場復帰を呼びかけるかどうかを検討すると説明してきましたが、「この措置を続けることを認めれば、より多くの人が亡くなると私は考える」と述べました。景気下降が長引けば、多くの自殺者が出るのでは、との考えを示しています。ただWHOは、米国が新型コロナウイルス感染の新たな中心地になり得るとの見解を示しています。
本日も日本株は堅調な動きを見せそうです。それでもドル円は株価の上昇にはあまり反応しません。依然としてドルの先安感が投資家の間で存在し、これが、ドルが上昇した際にはドル売りという形で上昇を抑制していると思われ、特に東京市場ではこの傾向が顕著です。投資家や輸出筋の相場観が修正されれば、この動きも一変することも考えられますが、それには、2月に記録した、現時点ではドルの最高値である112円23銭前後を上回るドル高局面が必要かと思います。連日1円50銭〜2円程度の値幅が常態化しています。安易なポジションメイクは避けるようにしましょう。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 3/15 | パウエル・FRB議長 | 「新型コロナはやがて終息し、米経済は通常の活動水準を回復するとわれわれは承知している。それまでの間、金融当局は信用の流れを支えるため、引き続き自らの手段を活用していく」「われわれはマイナス金利が適切な政策対応になる可能性は低いと見ている」・・・・緊急追加利下げを決めた後の会見で。 | -------- |
| 3/9 | テドロス・WHO事務局長 | 「パンデミックの脅威は非常に現実的になった」 | -------- |
| 3/5 | ゲオルギエワ・IMF専務理事 | 「新型コロナウイルスは感染が気づかれないうちに拡大しており、世界経済の見通しはより暗いシナリオに移行した」 | -------- |
| 3/3 | パウエル・FRB議長 | 「経済見通しに対する新たなリスクを前に、米経済の力強さを維持できるよう、この措置を講じた」「米金融当局に全ての解決策があるわけではなく、人的・経済的ダメージの抑制には政府や医療専門家、中銀など多方面からの対応が必要となる」 | -------- |
| 3/2 | ラガルド・ECB総裁 | ECBは状況の進展と景気及び中期的なインフレ、金融政策効果の波及にそれが及ぼす影響を注意深く見守っているところだ。われわれは、必要かつ潜在的なリスクに見合う形で、適切で的を絞った対応策をとる用意がある」 | -------- |
| 2/24 | メスター・クリーブランド連銀 | 「現時点での経済的影響の規模を評価することは難しい」「現在の政策スタンスは適切というのが私の見解だ」 | -------- |
| 2/22 | G20(リヤド、サウジアラビア) | 「新型コロナウイルスの最近の流行を含め、世界経済のリスク監視を強化する」「各国は政策を総動員する」 | -------- |
| 2/19 | クラリダ・FRB副議長 | 「米金融当局は新型コロナウイルスを注意深く見守っているが、米経済にどう影響するのか判断するのは時期尚早だ」、「少なくとも今年第1四半期は、中国の成長に恐らく顕著な影響を及ぼすことは確かだ」 | -------- |
| 2/16 | 劉・中国財務相 | 「大規模な減税や歳出削減といった措置により短期的に厳しさが増す可能性はあるが、国として中期的な視点を持ち断固たる姿勢でそうした措置を講じる必要がある」 | -------- |
| 2/11 | パウエル・FRB議長 | 「われわれは特に、新型コロナウイルス出現の問題を注視している。この問題は中国での混乱につながり、世界の他地域の経済に波及する恐れがある」、「今の景気拡大に不安定さや持続不可能といったものはない」(議会証言で) | -------- |
| 2/7 | FRB金融政策報告書 | 「その経済規模ゆえに、中国での深刻な機能不全は、リスク選好の後退やドルの上昇、貿易およびコモディティー価格の落ち込みを通じ、米国や世界の市場に波及する可能性がある」、「中国でのコロナウイルスの影響が見通しへの新たなリスクをもたらした」 | -------- |
| 2/5 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | (新型コロナウイルスについて)「当局は注視しているが、今のところ、米経済に何か重大な影響は見当たらない」「過去のウイルスや自然災害について振り返れば、一時的な影響はあろう。しかし、ウイルスの問題が克服されれば、物事は正常に戻るため、回復が見られる」 | -------- |
| 2/2 | ゲオルギエバ・IMF専務理事 | 「不確実性が多く、リスクは下向きに傾いている。中銀に2020年も金融緩和を維持するよう強く求める」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



