「WTI原油価格一時19ドル台前半まで下落」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 東京時間では株価の大幅下落に伴い107円12銭前後まで売られたドル円は、海外市場では反発。NY市場では108円台に乗せ、108円29銭まで買われたが、107円台後半まで押し戻されて取引を終える。
- ユーロドルは反落。1.1010近辺まで売られ、ドル高が優勢に。
- 株式市場は反発。新型コロナの迅速な検査に向けた取り組みに期待感が広がり、ヘルスケア株を中心に上昇。ダウは690ドル高。
- 債券相場は反落。長期金利は0.72%台へと上昇。
- 金は反落し、原油は一時20ドルを割り込む。
| ドル/円 | 107.66 〜 108.29 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1010 〜 1.1062 |
| ユーロ/円 | 118.79 〜 119.50 |
| NYダウ | +690.70 → 22,327.48ドル |
| GOLD | −10.90 → 1,643.20ドル |
| WTI | −1.42 → 20.09ドル |
| 米10年国債 | +0.052 → 0.726% |
本日の注目イベント
- 日 2月失業率
- 日 2月鉱工業生産
- 中 中国3月製造業PMI
- 中 中国3月サービス業PMI
- 独 独3月失業率
- 英 英10−12月期GDP(速報値)
- 米 1月ケース・シラ−住宅価格指数
- 米 3月消費者信頼感指数
- 加 カナダ1月GDP
昨日の東京市場では朝方に日経平均株価が大きく売られ、一時は先週末比800円を超える下げを見せました。ドル円もそれに伴って下落し、107円12銭前後まで円高ドル安が進み、約2週間ぶりの水準を付ける場面がありました。午後には株価が下げ幅を縮小したことで107円台半ばを超え、NY市場での108円台回復につながったと思われます。日本でも東京都を中心に新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、昨日はネット上で政府が近く「ロックダウン」を発動するといった噂まで飛び交うほど、感染拡大を巡る、非常に重要な局面にいます。安全通貨としての円もややその効力を失いつつある中、無条件に円買いを進めるわけにもいかないといった状況かと思います。
足元では日米欧が懸命にコロナ対策に奔走していますが、どこの国がいち早く効果的な体制を構築し、その効果が目に見えて来るのかが、為替の水準を決めることになるのもしれません。その意味では昨日、日米で新型コロナウイルスの治療に関する臨床試験(治験)に着手するといった「朗報」が発表されています。日本では富士フイルムの子会社である富山化学が「アビガン」の有効性に関する臨床試験を、本日31日から始めることを発表しています。米国では、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が新型コロナウイルス感染症向けワクチンの臨床試験を11月の早い時期に開始すると発表しています。同社は今月中にワクチン候補を選ぶ見込みで、広範な生産に向けた工程を進めていくと見られています。
そのコロナウイルスによる感染は米国で急拡大しており、感染者数は16万人に迫ると報告されています。ただ、米国もポルトガルも感染者数は依然として増加していますが、そのペースは鈍化しているようで、感染のピークは近いとの見方もあるようです。ただ世界全体でみた場合、感染者数は確実に増えているのが実情です。東京都での感染者数も昨日は13人で、ここ数日40−68人の感染者数が出ていたことに比べると一気に減少していますが、これが一時的なものなのかどうか、今後1週間ほどが分岐点と言われています。
原油価格が再び下げ足を速め、昨日のNYマーカンタイルでは一時20ドルを割り込み、19ドル27セント辺りまで売られる場面がありました。新型コロナウイルスの影響から世界的に企業の生産活動が落ち込み、人の移動もほぼ制限されている状況から、原油の消費量が急激に減少することが予想されます。加えて、サウジが過去最大級の増産体制に移行するといった「価格戦争」が、原油価格を大きく下げています。米国ではすでに生産コストの高いシェールオイル会社が休止に追い込まれており、生産コストが40−50ドルと言われている米国のシェールオイル企業は、採掘すればするほど赤字が膨らむ状況です。一方のサウジアラビアの生産コストは3ドル以下と言われ、圧倒的な価格競争力を持っています。原油価格を一気に下げてシェア拡大を狙うサウジの戦略が、今のところ機能しているようです。トランプ大統領は30日、ロシアのプ―チン大統領と電話で会談し、ロシアとサウジによる原油価格戦争について話し合いました。米ロ首脳は、両国のエネルギー担当者による協議を実施することで合意し、トランプ氏は会談前、エネルギーセクターが「壊滅的な打撃を受ける」のを目にしたくはないと述べていた、とブルームバーグは伝えています。
本日は多くの企業の決算日です。レパトリによるドル売り圧力はほぼ終えているものと思われますが、東京市場ではいつものように、ドル売り意欲が強く、余程の好材料がない限り上値は限定的と見られます。動きが比較的穏やかだった昨日でさえ、1円以上の値動きになっています。引き続き慎重にトレードすることが肝要です。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 3/26 | パウエル・FRB議長 | 「今回の資金供給に関して、当局の弾薬が尽きるということはない。それは起こらない」 | -------- |
| 3/25 | ブラ−ド・セントルイス連銀 | 「甚大な被害を与えるのは4−6月期となる可能性が高いが、景気は年末までに持ち直すはずだ」「(失業率は)前代未聞の数字となるだろうが、希望を失ってはいけない」 | -------- |
| 3/15 | パウエル・FRB議長 | 「新型コロナはやがて終息し、米経済は通常の活動水準を回復するとわれわれは承知している。それまでの間、金融当局は信用の流れを支えるため、引き続き自らの手段を活用していく」「われわれはマイナス金利が適切な政策対応になる可能性は低いと見ている」・・・・緊急追加利下げを決めた後の会見で。 | -------- |
| 3/9 | テドロス・WHO事務局長 | 「パンデミックの脅威は非常に現実的になった」 | -------- |
| 3/5 | ゲオルギエワ・IMF専務理事 | 「新型コロナウイルスは感染が気づかれないうちに拡大しており、世界経済の見通しはより暗いシナリオに移行した」 | -------- |
| 3/3 | パウエル・FRB議長 | 「経済見通しに対する新たなリスクを前に、米経済の力強さを維持できるよう、この措置を講じた」「米金融当局に全ての解決策があるわけではなく、人的・経済的ダメージの抑制には政府や医療専門家、中銀など多方面からの対応が必要となる」 | -------- |
| 3/2 | ラガルド・ECB総裁 | ECBは状況の進展と景気及び中期的なインフレ、金融政策効果の波及にそれが及ぼす影響を注意深く見守っているところだ。われわれは、必要かつ潜在的なリスクに見合う形で、適切で的を絞った対応策をとる用意がある」 | -------- |
| 2/24 | メスター・クリーブランド連銀 | 「現時点での経済的影響の規模を評価することは難しい」「現在の政策スタンスは適切というのが私の見解だ」 | -------- |
| 2/22 | G20(リヤド、サウジアラビア) | 「新型コロナウイルスの最近の流行を含め、世界経済のリスク監視を強化する」「各国は政策を総動員する」 | -------- |
| 2/19 | クラリダ・FRB副議長 | 「米金融当局は新型コロナウイルスを注意深く見守っているが、米経済にどう影響するのか判断するのは時期尚早だ」、「少なくとも今年第1四半期は、中国の成長に恐らく顕著な影響を及ぼすことは確かだ」 | -------- |
| 2/16 | 劉・中国財務相 | 「大規模な減税や歳出削減といった措置により短期的に厳しさが増す可能性はあるが、国として中期的な視点を持ち断固たる姿勢でそうした措置を講じる必要がある」 | -------- |
| 2/11 | パウエル・FRB議長 | 「われわれは特に、新型コロナウイルス出現の問題を注視している。この問題は中国での混乱につながり、世界の他地域の経済に波及する恐れがある」、「今の景気拡大に不安定さや持続不可能といったものはない」(議会証言で) | -------- |
| 2/7 | FRB金融政策報告書 | 「その経済規模ゆえに、中国での深刻な機能不全は、リスク選好の後退やドルの上昇、貿易およびコモディティー価格の落ち込みを通じ、米国や世界の市場に波及する可能性がある」、「中国でのコロナウイルスの影響が見通しへの新たなリスクをもたらした」 | -------- |
| 2/5 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | (新型コロナウイルスについて)「当局は注視しているが、今のところ、米経済に何か重大な影響は見当たらない」「過去のウイルスや自然災害について振り返れば、一時的な影響はあろう。しかし、ウイルスの問題が克服されれば、物事は正常に戻るため、回復が見られる」 | -------- |
| 2/2 | ゲオルギエバ・IMF専務理事 | 「不確実性が多く、リスクは下向きに傾いている。中銀に2020年も金融緩和を維持するよう強く求める」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



