今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米3月非農業部門雇用者数70万人減」

新型コロナウイルス感染拡大防止のため「アナリストレポート」はしばらくの間、週3回(月、水、金)とさせて頂きます。皆様にはご迷惑をお掛けしますがご理解の程お願い申し上げます。

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は108円台半ばで推移していたが、3月の雇用統計を受けて108円台前半まで下落。
  • ユーロドルはユーロ圏のPMIが予想以上に悪化していたことで、1.0773前後までユーロ売りが加速。
  • 株式市場は反落。朝方は小高く始まったが、雇用統計発表後に値を崩す。ダウは360ドル安。
  • 債券相場は横ばい。長期金利は0.59%台でほぼ変わらず。
  • 金と原油価格は続伸。
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3月失業率 → 4.4%
3月非農業部門雇用者数 → −70.1万人
3月平均時給(前月比) → 0.4%
3月平均時給(前年比) → 3.1%
3月労働参加率 → 62.7%
3月ISM非製造業景況指数 → 52.5
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ドル/円 108.19 〜 108.67
ユーロ/ドル 1.0773 〜 1.0828
ユーロ/円 116.88 〜 117.23
NYダウ −360.91 → 21,052.53ドル
GOLD +8.00 → 1,645.70ドル
WTI +3.02 → 28.34ドル
米10年国債 −0.002 → 0.595%

本日の注目イベント

  • 独 独2月製造業新規受注

3月の米雇用統計は予想された数字よりもさらに悪化していましたが、為替の動きは限定的でドル円は108円台で推移し、ユーロドルはその前に発表されていたユーロ圏のPMIの内容に反応し、1.08台を割り込む展開でした。

3月の失業率は2月の「3.5%」から大幅に上昇し、「4.4%」でした。非農業部門雇用者数は、予想の「マイナス10万人」に対して「マイナス70.1万人」と大きく雇用者が減少していました。ただこの統計は3月の第2週の調査であり、米国ではそれ以降に新型コロナウイルスの感染が拡大していることを考えると、今後失業率は10%に迫るとの予想が多く、新規失業保険申請件数が2週間で1000万件を超えた実情を考えると、その可能性は極めて高いと思われます。リーマンショック後の失業率は1年後がピークだったこともあり、失業率の悪化は来春まで続くことも予想されます。

一方、雇用統計後に発表された3月のISM非製造業景況指数の方は、全体値としては予想された程悪化してはいませんでした。市場予想は「43.0」でしたが、結果は「52.5」で、項目別では、「入荷水準」の数字が大きく上振れしていた結果、全体を押し上げたようです。「雇用」については前月の「55.6」から大幅に低下して「47.0」でしたが、これは、3月の雇用統計に沿った結果だと思います。

米国ではコロナウイルスの感染拡大が止まらず、感染者数は30万人を超え、死者数も8000人を上回っています。さらに実際の死亡者はこの数字よりもかなり多いといった見方もあります。コロナが原因で亡くなった人に加え、医療体制が間に合わずに感染が確認されないまま亡くなった人数もかなりいるとの報告もあります。トランプ大統領は4日ホワイトハウスで、「不幸なことに非常に恐ろしい期間が待ち受けている」とし、ピーク時の死者数が「これまで見たことのない、第一次世界大戦か第二次大戦時のような数字になるかもしれない」と語っています。同時に、ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策調整官のデボラ・バークス氏は、「最も厳しい公衆衛生上の制限をさらに30日間課した場合でも、米国での死者が最大で20万人に達する可能性がある」との予測を示しています。(ブルームバーグ)米国では今後1週間程度が「ヤマ場」との見方のようです。一方日本でも感染拡大が続いており、東京都では5日の感染者数が143人と、これで、3日連続で100人を超えてきました。問題は感染経路が確認できない感染者が143人のうち92人もいることとされています。今朝の報道では、安倍首相は早ければ7日にも「緊急事態宣言」に踏み切るとの観測もあります。

ドル円は依然として明確な方向感はありません。値幅も徐々に狭くなってきており、やや落ち着きを取り戻してきましたが、105−110円のどちらを抜け切るのか判断できない状況です。先週末の海外市場では108円台半ばまでドル高が進みましたが、これはユーロ圏のPMIが予想よりも悪かったことで、「ドル買い・ユ−ロ売り」が強まり、この影響がドル円にも波及した格好でした。コロナウイルスの感染拡大の影響は、日米欧では日本が現時点では「軽微」ということから、今後円が相対的に強含むと見ることもできます。一方で、「最後は基軸通貨であるドルへの需要が強い」という見方も、それなりに説得力を持ちます。コロナウイルスの感染拡大の影響で景気が相当落ちこむという点では、どこも大きな違いはないものと思われます。景気の悪化を食い止める対策の規模とタイミングの優劣が、その後のV字回復までの期間を決め、それが今後の相場に影響してくると考えています。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/31 メスター・クリーブランド連銀総裁 「クリーブランド連銀で予想する数字(失業率)は30%ではない。だが、10%を超えることは確かで、米経済の多くの部分が休業していることを踏まえれば、合理的だ」「1−3月期と4−6月期の米経済は極めて悪い数字になると予想する。どのような数字になるかはウイルス感染状況に左右されよう」 --------
3/31 トランプ大統領 「米国の金利はゼロであり、今こそ何十年もの長きにわたり待ち望まれているインフラ法案に取り掛かる時だ」 --------
3/26 パウエル・FRB議長 「今回の資金供給に関して、当局の弾薬が尽きるということはない。それは起こらない」 --------
3/25 ブラ−ド・セントルイス連銀 「甚大な被害を与えるのは4−6月期となる可能性が高いが、景気は年末までに持ち直すはずだ」「(失業率は)前代未聞の数字となるだろうが、希望を失ってはいけない」 --------
3/15 パウエル・FRB議長 「新型コロナはやがて終息し、米経済は通常の活動水準を回復するとわれわれは承知している。それまでの間、金融当局は信用の流れを支えるため、引き続き自らの手段を活用していく」「われわれはマイナス金利が適切な政策対応になる可能性は低いと見ている」・・・・緊急追加利下げを決めた後の会見で。 --------
3/9 テドロス・WHO事務局長 「パンデミックの脅威は非常に現実的になった」 --------
3/5 ゲオルギエワ・IMF専務理事 「新型コロナウイルスは感染が気づかれないうちに拡大しており、世界経済の見通しはより暗いシナリオに移行した」 --------
3/3 パウエル・FRB議長 「経済見通しに対する新たなリスクを前に、米経済の力強さを維持できるよう、この措置を講じた」「米金融当局に全ての解決策があるわけではなく、人的・経済的ダメージの抑制には政府や医療専門家、中銀など多方面からの対応が必要となる」 --------
3/2 ラガルド・ECB総裁 ECBは状況の進展と景気及び中期的なインフレ、金融政策効果の波及にそれが及ぼす影響を注意深く見守っているところだ。われわれは、必要かつ潜在的なリスクに見合う形で、適切で的を絞った対応策をとる用意がある」 --------
2/24 メスター・クリーブランド連銀 「現時点での経済的影響の規模を評価することは難しい」「現在の政策スタンスは適切というのが私の見解だ」 --------
2/22 G20(リヤド、サウジアラビア) 「新型コロナウイルスの最近の流行を含め、世界経済のリスク監視を強化する」「各国は政策を総動員する」 --------
2/19 クラリダ・FRB副議長 「米金融当局は新型コロナウイルスを注意深く見守っているが、米経済にどう影響するのか判断するのは時期尚早だ」、「少なくとも今年第1四半期は、中国の成長に恐らく顕著な影響を及ぼすことは確かだ」 --------
2/16 劉・中国財務相 「大規模な減税や歳出削減といった措置により短期的に厳しさが増す可能性はあるが、国として中期的な視点を持ち断固たる姿勢でそうした措置を講じる必要がある」 --------
2/11 パウエル・FRB議長 「われわれは特に、新型コロナウイルス出現の問題を注視している。この問題は中国での混乱につながり、世界の他地域の経済に波及する恐れがある」、「今の景気拡大に不安定さや持続不可能といったものはない」(議会証言で) --------
2/7 FRB金融政策報告書 「その経済規模ゆえに、中国での深刻な機能不全は、リスク選好の後退やドルの上昇、貿易およびコモディティー価格の落ち込みを通じ、米国や世界の市場に波及する可能性がある」、「中国でのコロナウイルスの影響が見通しへの新たなリスクをもたらした」 --------
2/5 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 (新型コロナウイルスについて)「当局は注視しているが、今のところ、米経済に何か重大な影響は見当たらない」「過去のウイルスや自然災害について振り返れば、一時的な影響はあろう。しかし、ウイルスの問題が克服されれば、物事は正常に戻るため、回復が見られる」 --------
2/2 ゲオルギエバ・IMF専務理事 「不確実性が多く、リスクは下向きに傾いている。中銀に2020年も金融緩和を維持するよう強く求める」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和