今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円5週間ぶりに108円台前半に」

新型コロナウイルス感染拡大防止のため「アナリストレポート」はしばらくの間、週3回(月、水、金)とさせて頂きます。皆様にはご迷惑をお掛けしますがご理解の程お願い申し上げます。

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は続伸し、4月13日以来となる108円08銭までドル高が進む。日銀が22日に臨時の金融政策会合を開催することを発表したことで、新たな緩和策への思惑が台頭。
  • ユーロドルも続伸し、約2週間ぶりに1.09台半ばまでユーロ高が進む。ユーロ円の買い戻しが進み、ユーロドルを押し上げた。
  • 株式市場は4日ぶりに反落。このところの上昇の速さや、コロナワクチンを巡る一部報道から、引けにかけて大きく下落。ダウは390ドル下げ、ナスダックも下落。
  • 債券相場は反発。10年債利回りは0.68%台へと低下。
  • 金は反発。原油は4日続伸し32ドル台に乗せる。産油国の減産が進んでいることが背景。
******************
4月住宅着工件数 → 89.1万件
4月建設許可件数 → 107.4万件
******************
ドル/円 107.69 〜 108.08
ユーロ/ドル 1.0919 〜 1.0954
ユーロ/円 117.57 〜 118.20
NYダウ −390.51 → 24,206.86ドル
GOLD +11.20 → 1,745.60ドル
WTI +0.68 → 32.50ドル
米10年国債 −0.037 → 0.688%

本日の注目イベント

  • 欧 ユーロ圏4月消費者物価指数
  • 欧 ユーロ圏3月経常収支
  • 欧 ユーロ圏5月消費者信頼感指数(速報値)
  • 英 英4月消費者物価指数
  • 米 FOMC議事録(4月28−29日分)
  • 米 セントルイス連銀総裁、オンライン討論会に参加
  • 加 カナダ4月消費者物価指数

本日のコメント

日銀は昨日、臨時の政策決定会合を22日午前9時から開催することを発表しました。日銀は先月27日の定例会合で、感染拡大によって日本経済に大きな下押し圧力がかかる状況の中、年80兆円の国債購入のメドを撤廃し、さらにCPと社債の買い入れ増額などを通じて、新型コロナの影響で資金繰りが悪化している中小の企業に対する対策を含む追加緩和を決めています。今回の臨時会合では、中小の企業に対する新たな資金繰り支援の詳細をはじめ、当面の金融政策運営について議論するものと見られています。日銀が臨時の決定会合を開くのは2011年11月30日以来のこととなります。ドル円はこの報道を受けジリジリと円売りが進み、NY市場で5週間ぶりとなる108円08銭まで円安が進み、ユーロ円も118円台まで上昇しました。ただこの会合でマイナス金利の深堀りなど、さらなる金融緩和が決定される可能性は低いと思われます。

パウエルFRB議長は19日、上院銀行委員会のバーチャル公聴会で証言を行いました。議長は新型コロナウイルスのパンデミックに対応するため、金融当局としてあらゆる措置を講じる用意があるとあらためて表明しました。「この困難な時期に経済を支援するためあらゆる手段をわれわれは講じることにコミットする。ただ、こうした行動はより広範な公的部門の対応の一部にすぎないとわれわれは認識している」と述べています。また、9つの緊急融資プログラムのうち、まだ運用が開始されていないプログラムについては、「全てのプログラムが今月までに立ち上がり、準備が整うと見込んでいると」発言し、「関係者は文字通り昼夜を分かたず作業しており、数週間にわたって取り組んでいる」と説明しました。(ブルームバーグ)

動きのなかったドル円が108円台まで上昇しましたが、本「アナリストレポート」でも再々述べているように、106−108円のレンジ相場はある程度市場参加者にも「認識」されていると思われます。今月6日には106円を若干割り込み、「レンジの下限」を試しましたがその後上昇に転じ、今度は108円台に乗せ「レンジの上限」を試した格好になっています。基本は105−110円の大きな枠組みの中で推移していると見られますが、その中で106−108円というレンジでも、まだどちらにも大きく抜け切る展開ではなさそうです。米長期金利も0.65%を中心とした動きに収まっており、ドル円への影響力も薄れています。結局、日米の株価の推移に連動する形で動いており、次の材料を模索している状況です。注意したいのは、日足の「MACD」ではすでにゴ−ルデンクロスが発生しており、「一目均衡表」でも日足の「雲の上限」をテストしているところです。4月13日に記録した108円52銭を抜けるようだと、「雲」だけではなく重要な「移動平均線」も抜けることになります。材料的には「円高要因」が多いのは間違いないものの、それでもドルが買われる時には買われるのが「相場」です。チャートのチェックは怠らないようにしたいものです。

そんな中、WHOを巡り米中関係はさらに悪化しそうな気配です。トランプ大統領は18日付けでWHOのテドロス事務局長あてに書簡を出し、その中で中国からの独立を要求し、「WHOが30日以内に大幅な実質的改善を公約しなければ。私は米国のWHOへの資金拠出の一部凍結を恒久化するほか、米国のWHO加盟を再考するつもりだ」と警告しています。これに対して中国外務省報道官は「WHOが偏向しているとのトランプ大統領の主張は無益だ」と反論し、米国の言い分は「ほのめかしと不明瞭な言葉に基づいている」と反論しています。18日に開かれたWHOの年次総会では、開会式で中国の習近平主席が2年間で20億ドル(約2100億円)を拠出することを発表し、中国のWHOへの関与をさらに強めた形になっています。テドロス事務局長と中国の対応次第では、米国がWHOから脱退する可能性もありそうです。今後さらに米中関係が悪化すれば、米国が再び関税問題を「交渉の武器」にすることも考えられ、昨年のあの重苦しい雰囲気が戻ってきます。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
5/18 パウエル:FRB議長 「この困難な時期に経済を支援するためあらゆる手段をわれわれは講じることにコミットする。ただ、こうした行動はより広範な公的部門の対応の一部にすぎないとわれわれは認識している」 --------
5/18 トランプ大統領 「WHOは中国から独立すべきだ」「WHOが30日以内に大幅な実質的改善を公約しなければ。私は米国のWHOへの資金拠出の一部凍結を恒久化するほか、米国のWHO加盟を再考するつもりだ」 --------
5/15 パウエル・FRB議長 米経済の完全復活には国民の信頼が十分でなければならず、それにはワクチンの出現を待たなくてはならないかもしれない」、「ただ、回復するにも、かなりの時間がかかるかもしれない。来年末まで長引くことも考えられる。本当にわらない」 --------
5/15 ナバロ・米大統領補佐官 「ウイルスは武漢で作られ、11月には最初の患者が存在した」、「中国はWHOという盾に守られて2カ月の間、ウイルスを世界から隠ぺいし、数十万という中国人をミラノやNYなど世界各地に旅客機で送り込み、拡散させた」 --------
5/14 トランプ大領 中国と「完全に断交することが可能か、断交した場合に何が起きるか思案している」習近平主席とは「今は話したくない」 --------
5/13 パウエル・FRB議長 失業率は「5月ごろがピークでその後は持ち直すが、生産や所得の完全復元には時間がかかる」(マイナス金利について)「現時点で魅力的な政策手段とは考えていない」 --------
5/12 ファウチ・米アレルギー感染症研究所所長 (設定されたガイドラインを達成しないまま州や市が経済活動を再開させた場合)「私の感触ではそのようなことが起これば、それが引き金となって、制御できないような爆発的な感染拡大が起こる現実的なリスクがある」 --------
5/12 トランプ大統領 「他国がマイナス金利というベネフィットを享受している以上、米国もマイナス金利という贈り物を受け取るべきだ」 --------
5/10 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 残念ながら雇用面の最悪期はこれからだ」、「現在、職に就いていない人の割合は実際には23−24%前後だ。私が考えているように回復が緩やかなものになるなら、こうした人々に一層の支援が必要となるだろう」 --------
5/7 バーキン・リッチモンド連銀総裁 (マイナス金利について)「よそで試されたと思うが、この国で試す価値があると私に思わせる理由は、個人的には見当たらない」 --------
5/7 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「恐らく16%か17%といったところだろう」と述べ、「実質的な数字は23−24%程度と考える。悲惨な水準だ」 --------
5/7 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「現在、恐怖シナリオは確率が低くなったと思う」 --------
4/17 トランプ大統領 「ドルはとても強い。強いドルは全体としてとても良いことだ」 --------
4/16 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「残念ながら、米経済のパフォーマンスはしばらくの間低調に推移する状況にある」、「今後数年間で完全な景気回復を実現するには金融政策と財政政策の力強い支援を必要とするだろう」 --------
4/16 ダラス連銀・カプラン総裁 「消費が立ち直るにはしばらくかかるだろう。2021年になってからという意味だ」 --------
4/14 オバマ・前大統領 (バイデン氏を副大統領に選んだことは)「人生で最善の決断の一つだった」(バイデン氏が)「今の大統領に必要な資質を兼ね備える人物だと確信する」 --------
4/12 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「世界の状況を観察している。経済活動のコントロールを緩めるのに伴い、ウイルス感染は急に再拡大する」、「実際に治療法あるいはワクチンが得られるまで、そうした悪化とコントロールの波が繰り返し押し寄せる可能性がある。われわれの医療制度および経済に関して、18カ月戦略に誰もが重点を置くべきだ」 --------
4/7 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「今後4週間から8週間で、経済活動を再開できるようになるかもしれないと政府は見積もっている」 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和