「ECB、追加緩和を決定」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は小幅に続伸。米長期金利が上昇し、ユーロ円などの買いが、ドル円での円売りにつながった。109円20銭までドル高が進み、この日の高値圏で引ける。
- ECBが追加緩和を決めたことでユーロの買い戻しが加速。一時は1.1362までユーロが買われ、3カ月ぶりに高値を記録。
- 株式市場はまちまち。ダウは小幅に上昇したものの、ナスダック、S&P500は反落。
- 債券相場は3日続落。長期金利は0.82%台まで上昇し、3月下旬以来となる水準に。
- 金は反発。原油は3日続伸。
新規失業保険申請件数 → 187.7万件
4月貿易収支 → −49.4b
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| ドル/円 | 108.62 〜 109.20 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1272 〜 1.1362 |
| ユーロ/円 | 121.85 〜 123.97 |
| NYダウ | +11.03 → 26,281.82ドル |
| GOLD | +22.60 → 1,727.40ドル |
| WTI | +0.12 → 37.41ドル |
| 米10年国債 | +0.078 → 0.823% |
本日の注目イベント
- 日 4月景気先行指数(CI)(速報値)
- 独 独4月製造業新規受注
- 米 5月雇用統計
- 米 4月消費者信用残高
- 加 カナダ5月就業者数
- 加 カナダ5月失業率
本日のコメント
昨日本欄で、米国内で広がっている抗議デモの鎮圧に連邦軍の動員も辞さないとしたトランプ大統領の発言に反対を表明したエスパー国防長官のコメントを紹介し、エスパー氏も、マティス前国防長官と同じように、更迭される可能性があると述べました。そのマティス氏が3日発売の米誌で発言しています。氏は、「ドナルド・トランプは私の人生で初めて、米国民を団結させようとせず、その素振りさえ見せない大統領だ。その代わりに、彼は米国を分断させようとしている」と批判しています。また、「われわれが目の当たりにしているのは、過去3年にわたるこの意図的な取り組みの結果であり、成熟したリーダーシップ不在の結果だ。われわれは米国の市民社会に内在する力を利用し、彼抜きで団結できる」と指摘しています。2018年12月のクリスマスの日に解任されたマティス氏は、久しぶりに公で発言を行いましたが、現職大統領を元閣僚が公然と批判するのは極めて異例なことだと、ブルームバーグは伝えていました。11月の大統領選の行方がますます読みにくくなりました。
ECBは昨日の理事会で追加緩和を行うことを決定しました。新型コロナウイルス危機への対応を強化し、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の購入額を6000億ユーロ(約73.5兆円)増加し、1兆3500億ユーロに拡大すると共に、政策期限も少なくとも2020年末としていたものを、21年6月末まで延長することを決めました。理事会後の記者会見でラガルド総裁は、「景気の改善はこれまでのところ、緩慢だった」とし、「行動する必要があった」と述べ、さらに「必要なことは何でもやる」と、さらなるの追加緩和をにおわすような発言を行っています。
この決定を受け、ユーロドルは1.12台後半から1.13台を回復し、約3カ月ぶりの高値となる1.1362までユーロ高が進みました。ユーロは対円でも2019年5月以来となる123円97銭まで上昇しています。ユーロドルは5月下旬までは1.10が壁となり、上値の重い展開が続いていましたが、5月27日に1.1台に乗せてからは、ある程度のユーロ高が予想されました。ただ、ユーロドルでユーロ高が進めば、ドル円にもその動きが波及し、「ドル安・円高」に振れると予想していましたが、ドル円は真逆の動きを見せ、109円台を回復してきました。ユーロが買われ、円が売られたことで、ユーロ円は昨年5月以来のユーロ高水準である124円手前まで上昇しています。この背景は、株高が進んでいることから「リスクオン」の流れが強まり、安全通貨の円、あるいは、マイナス金利の円と言ってもいいかもしれませんが、円売りが加速し、円が主要通貨の中で最弱通貨の位置に沈んだとものと考えられます。
昨日発表された新規失業保険申請件数はさらに減少し、187.7万件でした。4月の第1週には686万件だったことを考えると、依然高水準でありますが確実に減少していることが伺えます。本日は5月の雇用統計が発表されます。雇用の悪化は今回がボトムと見られますが、非農業部門雇用者数は前月比750万人の減少、失業率は19.1%と、大幅に上昇すると見られています。すでに相当の悪化が見込まれているため、結果次第ではドルが買われる可能性もあります。反対にドルが大きく売られるとすれば、雇用者数が1000万人以上の減少となったケースでしょう。今回の数字は、あまでも一時的なものと捉えることが必要です。
トランプ政権は次回の経済対策を考えており、その規模は最大で1兆ドル(約109兆円)になるとの見方も出ています。この経済対策が実現すれば、株式市場が好感し、リスクオンが進む材料になり易いと考えられます。ドル円は日足ベースではすでに「120日線」と「200日線」を上抜けしています。週足では109円20−60銭あたりに「120週線」と「200週線」があり、109円から上値では相当な抵抗も予想されます。105−110円のレンジの上限を試しているのが足元の動きですが、ここからが重要です。110円を突破できるのか、あるいは110円が依然として壁となるのか、注視したいところです。
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中国政府が制定した「国家安全法」を巡って、英大手銀行のHSBCがこの決定を支持する声明を発表しています。正確には香港上海銀行(HSBC香港)のピーター・ウオンCEOが「国家安全法」を支持する文書に署名したわけですが、これを英国のマイケル議員が批判しています。HSBCはもともと香港ベースの銀行でしたが、1992年に英大手銀行のミッドランド銀行を買収し、本拠地をロンドンに置いているといった経緯があります。香港ではスタンダードチャータード銀行と並び「発券銀行」として有名ですが、香港だけではなくアジアに膨大な支店網を持っており、筆者にはアジアベースの銀行のイメージが強く残っています。資産規模ではおそらく欧州最大の銀行かと思いますが、「中国寄り」であったことは知りませんでした。スタンダードチャータード銀行もHSBCと同様の声明を出しており、今後両行とも香港での営業に支障が出るかもしれません。
良い週末を・・・・・。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 6/5 | ラガルド・ECB総裁 | 「景気の改善はこれまでのところ、緩慢だった」、「行動する必要があった」、「必要なことは何でもやる」(ECB理事会後の会見で) | 追加緩和をきめたことで、ユーロドルは1.12台後半から1.13台半ばまで上昇。 |
| 6/3 | エスパー・国防長官 | 「法執行当局の役割で軍を動員するという選択肢は最後の手段とすべきで、極めて緊急性が高く切迫した状況に限定する必要がある。今の状況はそれには当てはまらない。暴動法の発動は支持しない」 | -------- |
| 5/29 | トランプ大統領 | 「中国は香港を一国二制度から一国一制度に置き換えた」、「WHOが実行・関与しなければならない改革について、われわれは詳細を示してきたが、WHOは行動を拒んでいる。きょう、WHOとの関係を打ち切る」 | -------- |
| 5/28 | クドロー・米国家経済会議(NEC)委員長 | 「要するに、中国は香港から自由を奪った」、「米国として見過ごすことはできない。この件に関して中国は責任を問われることになる。必要とあれば、香港に対して今後は中国と同様の扱いをする必要が出て来る可能性がある」 | -------- |
| 5/24 | 王毅・中国外相 | 「中国には米国を変えようという意図はないし、米国に取って代わろうという意志もない。同時に、米国が中国を変えようと考えても、それは希望的観測だ」 | -------- |
| 5/21 | クラリダ・FRB副議長 | 「新型コロナウイルスを巡る今後の状況や、それに伴う景気低迷の深刻さや期間により、金融と財政両方の政策による追加支援が必要となる可能性がある」 | -------- |
| 5/21 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 景気の推移や回復具合次第で、追加の財政・金融支援が必要かどうか、経済を力強く持続的な軌道に乗せるために具体的などういった設計の支援とするかを判断しなくてはならない」マイナス金利の利用は現時点において、また現在置かれている状況下で適切な手段ではない」 | -------- |
| 5/18 | パウエル:FRB議長 | 「この困難な時期に経済を支援するためあらゆる手段をわれわれは講じることにコミットする。ただ、こうした行動はより広範な公的部門の対応の一部にすぎないとわれわれは認識している」 | -------- |
| 5/18 | トランプ大統領 | 「WHOは中国から独立すべきだ」「WHOが30日以内に大幅な実質的改善を公約しなければ。私は米国のWHOへの資金拠出の一部凍結を恒久化するほか、米国のWHO加盟を再考するつもりだ」 | -------- |
| 5/15 | パウエル・FRB議長 | 米経済の完全復活には国民の信頼が十分でなければならず、それにはワクチンの出現を待たなくてはならないかもしれない」、「ただ、回復するにも、かなりの時間がかかるかもしれない。来年末まで長引くことも考えられる。本当にわらない」 | -------- |
| 5/15 | ナバロ・米大統領補佐官 | 「ウイルスは武漢で作られ、11月には最初の患者が存在した」、「中国はWHOという盾に守られて2カ月の間、ウイルスを世界から隠ぺいし、数十万という中国人をミラノやNYなど世界各地に旅客機で送り込み、拡散させた」 | -------- |
| 5/14 | トランプ大領 | 中国と「完全に断交することが可能か、断交した場合に何が起きるか思案している」習近平主席とは「今は話したくない」 | -------- |
| 5/13 | パウエル・FRB議長 | 失業率は「5月ごろがピークでその後は持ち直すが、生産や所得の完全復元には時間がかかる」(マイナス金利について)「現時点で魅力的な政策手段とは考えていない」 | -------- |
| 5/12 | ファウチ・米アレルギー感染症研究所所長 | (設定されたガイドラインを達成しないまま州や市が経済活動を再開させた場合)「私の感触ではそのようなことが起これば、それが引き金となって、制御できないような爆発的な感染拡大が起こる現実的なリスクがある」 | -------- |
| 5/12 | トランプ大統領 | 「他国がマイナス金利というベネフィットを享受している以上、米国もマイナス金利という贈り物を受け取るべきだ」 | -------- |
| 5/10 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 残念ながら雇用面の最悪期はこれからだ」、「現在、職に就いていない人の割合は実際には23−24%前後だ。私が考えているように回復が緩やかなものになるなら、こうした人々に一層の支援が必要となるだろう」 | -------- |
| 5/7 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | (マイナス金利について)「よそで試されたと思うが、この国で試す価値があると私に思わせる理由は、個人的には見当たらない」 | -------- |
| 5/7 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「恐らく16%か17%といったところだろう」と述べ、「実質的な数字は23−24%程度と考える。悲惨な水準だ」 | -------- |
| 5/7 | ポスティック・アトランタ連銀総裁 | 「現在、恐怖シナリオは確率が低くなったと思う」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



