「5月の米雇用者数250万人増加」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 5月の雇用統計が市場予想を大きく上回る結果であったことからドル円は続伸し、109円85銭まで上昇。3月下旬以来の高値を記録。株高、金利高が続き、リスクオンの流れがさらに加速。
- 上昇を続けていたユーロドルは反落。ドル高の流れと利益確定に押され、1.1279まで小幅に下落。
- 株式市場は大幅に続伸。雇用統計の結果を受け、早期の米経済立ち直りが確認されるとの観測からダウは829ドル上昇し、5日続伸。ナスダックはザラ場で最高値を更新する場面も。
- 債券相場は続落し、長期金利は0.89%台まで上昇。
- ドル高が進んだことで金は大きく下落。原油は続伸し40ドルに迫る。
8月失業率 → 13.3%
8月非農業部門雇用者数 → +250万9千人
8月平均時給(前月比) → −1.0%
8月平均時給(前年比) → 6.7%
8月労働参加率 → 60.8
4月消費者信用残高 → −68.779b
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| ドル/円 | 109.17 〜 109.85 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1279 〜 1.1343 |
| ユーロ/円 | 123.60 〜 124.26 |
| NYダウ | +829.16 → 27,110.98ドル |
| GOLD | −44.40 → 1,683.00ドル |
| WTI | +2.14 → 39.55ドル |
| 米10年国債 | +0.072 → 0.895% |
本日の注目イベント
- 日 1−3月GDP(改定値)
- 日 4月国際収支
- 日 4月貿易収支
- 日 5月景気ウオッチャー調査
- 独 独4月鉱工業生産
- 欧 ラガルド・ECB総裁、欧州議会公聴会に出席
- 米 世銀、世界経済見通しに関する報告書
本日のコメント
5月の雇用統計は記録的な「誤算」でした。もともとこの統計は速報値ということもあり、ブレやすく、毎月発表時には前月、あるいは前々月の数値が修正されるのが「恒例」になっているほどです。しかし、今回の結果は事前予想からは大きく外れました。事前予想では750万人ほどの非農業部門雇用者の減少が予想されていましたが、結果は250万人の増加で、その差は1000万人ということになります。筆者も長く雇用統計を見てきましたが、これほどの差は記憶にありません。また失業率も予想の19.0%に対して13.3%でした。今回の雇用統計は、確かにこれまでに経験したことのない「コロナによる経済の混乱」ということで、予測しにくく、やむをえない部分はあろうかと思います。
ブルームバーグによれば、今回の大きく予想と異なった原因は、エコノミストの多くが失業保険申請件数をベースに予測しており、この件数の急増と、数千万人が失業保険を継続受給しており、給与保証プログラム(PPP)など、政府による救済策を十分に考慮に入れていなかった可能性があるのではないかと分析しています。また多くのサービス業や飲食業では、コロナ感染拡大により従業員の解雇をおこなったものの、これは一時的な解雇であり、感染が収まれば再雇用するといった形態が多かったようです。ただ、これで米雇用は安定的に推移し、これまでの状況に戻るかどうかは依然として不透明であり、個人的には早くとも来年のことと予想しています。コロナ感染のピークは過ぎたものの、直近のデータでは米国の感染者は192万人に達しており、死者数も10万9千人で、まだまだ予断は許しません。加えて、ミネソタ州で起きた黒人暴行死事件に対する抗議デモは日増しに拡大しており、デモは米国内に留まらず、この日曜日にはロンドンやブリスベンにも波及しています。米国の抱える、根強い人種差別と格差拡大のマグマが今回の事件を契機に一気に噴き出したと見ることができます。今後この抗議活動がさらに拡大するようだと、11月の大統領選にも大きな影響を与えることにもなります。
雇用統計の「ポジィティブ・サプライズ」で市場ではさらにリスクオンが高まりました。NYダウは5日続伸し、一気に2万7000ドルの大台を回復し、ナスダックはほぼ急落前の水準を回復しており、上記コロナによる甚大な影響を受けながらも株価の上昇が続いています。今思えば、あの連日の急落は何だったんでしょう。ドル円は、リスクオンが進み109円85銭までドル高が進み、3月26日以来の水準に戻っています。すでに「週足」の一目均衡表でも雲の上抜けは完成させており、「MACD」ではゴールデンクロスを示現しそうな状況になっています。これでゴールデンクロスを完成させれば、テクニカル上はドル高傾向が鮮明になることから、注意して見ていきたいと思います。ただ、個人的には足元の株価の上昇に対する懐疑的な姿勢は変わりません。報道によると、個人投資家に加え海外勢の資金流入も活発になってきたようですが、企業業績の見通しでは多くの企業が先行きに対して慎重な姿勢を崩しておらず、2021年度業績については「未定」としている状況です。「株価は先行指標だ」とよく言われますが、一方で「しびれをきらした個人投資家が参入すれば、転換点」とも言われています。本日も日本株は大幅な上昇が予想されますが、ドル円の110円テストが日本時間にあるのかどうか、注目点の一つです。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 6/5 | ラガルド・ECB総裁 | 「景気の改善はこれまでのところ、緩慢だった」、「行動する必要があった」、「必要なことは何でもやる」(ECB理事会後の会見で) | 追加緩和をきめたことで、ユーロドルは1.12台後半から1.13台半ばまで上昇。 |
| 6/3 | エスパー・国防長官 | 「法執行当局の役割で軍を動員するという選択肢は最後の手段とすべきで、極めて緊急性が高く切迫した状況に限定する必要がある。今の状況はそれには当てはまらない。暴動法の発動は支持しない」 | -------- |
| 5/29 | トランプ大統領 | 「中国は香港を一国二制度から一国一制度に置き換えた」、「WHOが実行・関与しなければならない改革について、われわれは詳細を示してきたが、WHOは行動を拒んでいる。きょう、WHOとの関係を打ち切る」 | -------- |
| 5/28 | クドロー・米国家経済会議(NEC)委員長 | 「要するに、中国は香港から自由を奪った」、「米国として見過ごすことはできない。この件に関して中国は責任を問われることになる。必要とあれば、香港に対して今後は中国と同様の扱いをする必要が出て来る可能性がある」 | -------- |
| 5/24 | 王毅・中国外相 | 「中国には米国を変えようという意図はないし、米国に取って代わろうという意志もない。同時に、米国が中国を変えようと考えても、それは希望的観測だ」 | -------- |
| 5/21 | クラリダ・FRB副議長 | 「新型コロナウイルスを巡る今後の状況や、それに伴う景気低迷の深刻さや期間により、金融と財政両方の政策による追加支援が必要となる可能性がある」 | -------- |
| 5/21 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 景気の推移や回復具合次第で、追加の財政・金融支援が必要かどうか、経済を力強く持続的な軌道に乗せるために具体的などういった設計の支援とするかを判断しなくてはならない」マイナス金利の利用は現時点において、また現在置かれている状況下で適切な手段ではない」 | -------- |
| 5/18 | パウエル:FRB議長 | 「この困難な時期に経済を支援するためあらゆる手段をわれわれは講じることにコミットする。ただ、こうした行動はより広範な公的部門の対応の一部にすぎないとわれわれは認識している」 | -------- |
| 5/18 | トランプ大統領 | 「WHOは中国から独立すべきだ」「WHOが30日以内に大幅な実質的改善を公約しなければ。私は米国のWHOへの資金拠出の一部凍結を恒久化するほか、米国のWHO加盟を再考するつもりだ」 | -------- |
| 5/15 | パウエル・FRB議長 | 米経済の完全復活には国民の信頼が十分でなければならず、それにはワクチンの出現を待たなくてはならないかもしれない」、「ただ、回復するにも、かなりの時間がかかるかもしれない。来年末まで長引くことも考えられる。本当にわらない」 | -------- |
| 5/15 | ナバロ・米大統領補佐官 | 「ウイルスは武漢で作られ、11月には最初の患者が存在した」、「中国はWHOという盾に守られて2カ月の間、ウイルスを世界から隠ぺいし、数十万という中国人をミラノやNYなど世界各地に旅客機で送り込み、拡散させた」 | -------- |
| 5/14 | トランプ大領 | 中国と「完全に断交することが可能か、断交した場合に何が起きるか思案している」習近平主席とは「今は話したくない」 | -------- |
| 5/13 | パウエル・FRB議長 | 失業率は「5月ごろがピークでその後は持ち直すが、生産や所得の完全復元には時間がかかる」(マイナス金利について)「現時点で魅力的な政策手段とは考えていない」 | -------- |
| 5/12 | ファウチ・米アレルギー感染症研究所所長 | (設定されたガイドラインを達成しないまま州や市が経済活動を再開させた場合)「私の感触ではそのようなことが起これば、それが引き金となって、制御できないような爆発的な感染拡大が起こる現実的なリスクがある」 | -------- |
| 5/12 | トランプ大統領 | 「他国がマイナス金利というベネフィットを享受している以上、米国もマイナス金利という贈り物を受け取るべきだ」 | -------- |
| 5/10 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 残念ながら雇用面の最悪期はこれからだ」、「現在、職に就いていない人の割合は実際には23−24%前後だ。私が考えているように回復が緩やかなものになるなら、こうした人々に一層の支援が必要となるだろう」 | -------- |
| 5/7 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | (マイナス金利について)「よそで試されたと思うが、この国で試す価値があると私に思わせる理由は、個人的には見当たらない」 | -------- |
| 5/7 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「恐らく16%か17%といったところだろう」と述べ、「実質的な数字は23−24%程度と考える。悲惨な水準だ」 | -------- |
| 5/7 | ポスティック・アトランタ連銀総裁 | 「現在、恐怖シナリオは確率が低くなったと思う」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



