「米ナスダック一時1万の大台に」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は続落。ダウが反落し、長期金利も低下したことから、ドル売りが優勢となり107円63銭まで下落。
- ユーロドルは引き続き1.13前後のもみ合いから上昇。ドル安の流れから1.1364までユーロが買われる。
- 株式市場はナスダックの健闘が目立ち、同指数は一時初となる1万の大台に乗せる場目も。ダウは300ドル下げる。
- 債券相場は続伸。長期金利は0.05%低下し、0.82%台に。
- 金は続伸し、原油は反発。
| ドル/円 | 107.63 〜 108.19 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1280 〜 1.1364 |
| ユーロ/円 | 121.86 〜 122.52 |
| NYダウ | −300.14 → 27,272.30ドル |
| GOLD | +16.80 → 1,721.90ドル |
| WTI | +0.75 → 38.94ドル |
| 米10年国債 | −0.050 → 0.825% |
本日の注目イベント
- 豪 豪6月ウエストパック消費者信頼感指数
- 中 中国5月消費者物価指数
- 中 中国5月生産者物価指数
- 欧 OECD経済見通し
- 欧 OPECプラス会合
- 米 5月消費者物価指数
- 米 5月財政収支
- 米 FOMC 政策金利発表
- 米 パウエル議長記者会見
本日のコメント
ドル円は続落し、107円台半ばまで戻っています。昨日の東京時間からドルの上値が重い中じりじりと値を下げ、108円を割り込む場面もありましたが、その流れは海外市場にも受け継がれ、NYでは107円63銭までドルが売られています。長い間107円台でもみ合っていたドル円を108円台に乗せ、109円85銭まで押し上げた原動力は「株高に伴うリスクオン」でしたが、株価の上昇が一服したことで、リスクオンの高まりも一服といったところです。本日のFOMCを前にポジション調整といった意味合いもあるようです。
前日までは日米の株価が大きく上昇し、コロナショックで暴落した分をほぼ取り戻した状況でした。昨日のNY株式市場ではさすがに、ダウは売られましたが大型ハイテク株で構成するナスダック指数はザラ場で初めて1万の大台に乗せる場目がありました。引け値では1万台キープはなりませんでしたが、それでも連日で最高値更新を達成しています。ダウが下げた分、ドル円も利益を確定する動きとなり、元の水準に戻されています。ここは、比較的居心地のよいレベルなのかもしれません。
今後も株価が再び上昇するようだと、ドル円も110円に接近する動きがあろうかと思いますが、この欄で何度も述べているように、株価のさらなる上昇には、企業収益の拡大や景気の急回復が必要ですが、その「実態」が伴っていません。景気回復は「U字回復」か「L字回復」しか見込めない中、株価だけが「V字回復」を達成しているこれらの動きに、多くの専門家が違和感を禁じ得ないのが実情です。日経電子版でも「株式相場偽りの夜明け。バブル崩壊に備えるとき」と題したコラムが掲載されていました。そこでは、コロナ感染の第2波の恐れ、中国が制定した「国家安全法」を巡る香港での民主化デモ、あるいはミネソタ州での黒人暴行死事件に対する抗議デモといったリスクを全く無視した株価の上昇を、警告しています。バブル崩壊前には、企業業績、ファンダメンタルズ、あるいはチャートが示す警戒シグナルなどは、無視され、「行くとこまで行く可能性がある」と警告していました。
株価の上昇によってもたらされた「ドル高円安」は、当然のことながら株価が下落に向えば解消されることになります。105−110円のレンジ相場をどちらにも抜け切るのは簡単ではありませんが、ここは、チャートを基本に利益が取れるものは確実に押さえておく手法が有効かと思います。本日はFOMCの発表があります。発表は明日の朝方の3時で、今回は政策変更はないものと思われますが、FOMCメンバーによる、雇用・成長予測が公表されます。5月の雇用統計では予想を大きく上回る雇用結果が発表された後だけに、メンバーの予測もバラケル可能性があります。ただ、それでも大勢は5月の雇用結果には満足せず、引き続き緩和政策の継続が必要で、さらに景気の悪化が見込まれると判断したら追加の緩和策を講じる、といったメッセージを送ってくるのではないかと予測しています。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 6/5 | ラガルド・ECB総裁 | 「景気の改善はこれまでのところ、緩慢だった」、「行動する必要があった」、「必要なことは何でもやる」(ECB理事会後の会見で) | 追加緩和をきめたことで、ユーロドルは1.12台後半から1.13台半ばまで上昇。 |
| 6/3 | エスパー・国防長官 | 「法執行当局の役割で軍を動員するという選択肢は最後の手段とすべきで、極めて緊急性が高く切迫した状況に限定する必要がある。今の状況はそれには当てはまらない。暴動法の発動は支持しない」 | -------- |
| 5/29 | トランプ大統領 | 「中国は香港を一国二制度から一国一制度に置き換えた」、「WHOが実行・関与しなければならない改革について、われわれは詳細を示してきたが、WHOは行動を拒んでいる。きょう、WHOとの関係を打ち切る」 | -------- |
| 5/28 | クドロー・米国家経済会議(NEC)委員長 | 「要するに、中国は香港から自由を奪った」、「米国として見過ごすことはできない。この件に関して中国は責任を問われることになる。必要とあれば、香港に対して今後は中国と同様の扱いをする必要が出て来る可能性がある」 | -------- |
| 5/24 | 王毅・中国外相 | 「中国には米国を変えようという意図はないし、米国に取って代わろうという意志もない。同時に、米国が中国を変えようと考えても、それは希望的観測だ」 | -------- |
| 5/21 | クラリダ・FRB副議長 | 「新型コロナウイルスを巡る今後の状況や、それに伴う景気低迷の深刻さや期間により、金融と財政両方の政策による追加支援が必要となる可能性がある」 | -------- |
| 5/21 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 景気の推移や回復具合次第で、追加の財政・金融支援が必要かどうか、経済を力強く持続的な軌道に乗せるために具体的などういった設計の支援とするかを判断しなくてはならない」マイナス金利の利用は現時点において、また現在置かれている状況下で適切な手段ではない」 | -------- |
| 5/18 | パウエル:FRB議長 | 「この困難な時期に経済を支援するためあらゆる手段をわれわれは講じることにコミットする。ただ、こうした行動はより広範な公的部門の対応の一部にすぎないとわれわれは認識している」 | -------- |
| 5/18 | トランプ大統領 | 「WHOは中国から独立すべきだ」「WHOが30日以内に大幅な実質的改善を公約しなければ。私は米国のWHOへの資金拠出の一部凍結を恒久化するほか、米国のWHO加盟を再考するつもりだ」 | -------- |
| 5/15 | パウエル・FRB議長 | 米経済の完全復活には国民の信頼が十分でなければならず、それにはワクチンの出現を待たなくてはならないかもしれない」、「ただ、回復するにも、かなりの時間がかかるかもしれない。来年末まで長引くことも考えられる。本当にわらない」 | -------- |
| 5/15 | ナバロ・米大統領補佐官 | 「ウイルスは武漢で作られ、11月には最初の患者が存在した」、「中国はWHOという盾に守られて2カ月の間、ウイルスを世界から隠ぺいし、数十万という中国人をミラノやNYなど世界各地に旅客機で送り込み、拡散させた」 | -------- |
| 5/14 | トランプ大領 | 中国と「完全に断交することが可能か、断交した場合に何が起きるか思案している」習近平主席とは「今は話したくない」 | -------- |
| 5/13 | パウエル・FRB議長 | 失業率は「5月ごろがピークでその後は持ち直すが、生産や所得の完全復元には時間がかかる」(マイナス金利について)「現時点で魅力的な政策手段とは考えていない」 | -------- |
| 5/12 | ファウチ・米アレルギー感染症研究所所長 | (設定されたガイドラインを達成しないまま州や市が経済活動を再開させた場合)「私の感触ではそのようなことが起これば、それが引き金となって、制御できないような爆発的な感染拡大が起こる現実的なリスクがある」 | -------- |
| 5/12 | トランプ大統領 | 「他国がマイナス金利というベネフィットを享受している以上、米国もマイナス金利という贈り物を受け取るべきだ」 | -------- |
| 5/10 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 残念ながら雇用面の最悪期はこれからだ」、「現在、職に就いていない人の割合は実際には23−24%前後だ。私が考えているように回復が緩やかなものになるなら、こうした人々に一層の支援が必要となるだろう」 | -------- |
| 5/7 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | (マイナス金利について)「よそで試されたと思うが、この国で試す価値があると私に思わせる理由は、個人的には見当たらない」 | -------- |
| 5/7 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「恐らく16%か17%といったところだろう」と述べ、「実質的な数字は23−24%程度と考える。悲惨な水準だ」 | -------- |
| 5/7 | ポスティック・アトランタ連銀総裁 | 「現在、恐怖シナリオは確率が低くなったと思う」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



