今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「コロナ感染第2波の懸念強まる」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円はわずかながら再び107円を割り込む展開に。テキサス州でコロナ感染症による入院者が過去最多を更新するなど、コロナ感染に対する懸念がこれまで以上に強まり、ドル円は106円95銭まで下落。
  • ユーロドルは水準を切り下げ、1.12台前半から半ばでの推移。
  • 株式市場はまちまちながら、コロナ感染第2波への懸念からダウは4日ぶりに反落。ナスダックは4日続伸。
  • 債券相場は反発。長期金利は0.73%台へ低下。
  • 金と原油は共に下落。
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5月住宅着工件数 → 97.4万件
5月建設許可件数 → 122.0万件
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ドル/円 106.95 〜 107.43
ユーロ/ドル 1.1207 〜 1.1248
ユーロ/円 120.16 〜 120.73
NYダウ −170.37 → 26,119.61ドル
GOLD −0.90 → 1,735.60ドル
WTI −0.42 → 37.96ドル
米10年国債 −0.015 → 0.738%

本日の注目イベント

  • 豪 豪5月雇用統計
  • 欧 ECB経済報告
  • 英 BOE金融政策発表
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 5月景気先行指標総合指数
  • 米 6月フィラデルフィア連銀景況指数
  • 米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演

本日のコメント

鼻の下に髭をたっぷりとたくわえ、独特の風貌を醸し出していたボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が近く出版する暴露本に対して、米司法省は16日、本の出版は認められないとして連邦裁判所に提訴しました。暴露本では、トランプ大統領が中国の習近平主席に対して、今年の選挙で自身が農業州で勝利できるよう、米農産物を購入するよう求めていたことなどが書かれているようです。ボルトン氏は「トランプ氏が自分の好む独裁者に実質的に個人的な便宜を図るため」刑事捜査を中止させたい意向を示した際のことについて触れ、中国とトルコの主要企業が関わった件を挙げています。また、自身の政治的な利益のために法執行への介入を試みた件も、下院は弾劾調査の対象とすべきだったと、ボルトン氏は主張しています。暴露本は来週23日に発売される予定だとブルームバーグは伝えています。

11月の大統領選に向けてトランプ氏には「強い逆風」が吹き荒れています。調査会社EPIC−MRAが5月31日から6月4日にかけて米紙デトロイト・フリー・プレスの依頼で行った調査結果では、ミシガン州でのバイデン氏の支持率は55%と、トランプ氏の39%を大きく上回っていました。(有権者600人を対象に実施。誤差率はプラスマイナス4ポイント)前回の調査からバイデン氏の支持率が着実に伸びており、ミシガン州は激戦区の一つですが、他の激戦区でも同様の結果が出ているようです。「因果応報」とでも言うんでしょうか、コロナに始まって、人種差別に対する抗議デモ、さらには上記暴露本など、トランプ氏にとっては悪材料が続きます。まだ先の話だと思っていた米大統領選までは5カ月を切ってきました。当初「楽勝」と見られていたトランプ氏の再選も、最近のマスコミの論調は「苦戦」という言葉に変わってきました。明日の本欄でも触れる予定ですが、民主党内ではすでに副大統領候補の名前も挙がっているようです。ひょっとしたら「バイデン大統領」の誕生もあるかもしれません。

コロナ感染の第2波がより強く意識され始めて来ました。テキサス州では、コロナウイルス感染症による入院者が過去最多を更新し、フロリダ州の感染者増加率は3.3%と、この1週間の平均である2.8%を上回っており、17日までの新規感染者数は1万5348人と、週間ベースで過去最多になっています。また、オレゴン州でも感染者数の増加への対応を迫られていると伝えられています。アジアでも、中国では感染第2波により学校が再び閉鎖されており、インドネシアのコロナ感染者の数は、シンガポールを超えて東南アジア最多となっています。同国では24時間で1031人増えて、累計で4万1431人になっています。(ジョーンズホプキンス大学調べ)

予想されていたこととは言え、ここにきて経済活動の再開に伴って感染者数も再び増加しています。今後の感染拡大状況にもよりますが、各国が再びロックダウンに踏み切る可能性もないとは言えません。しかしながら、現実的には先週ムニューシン財務長官がCNBCとのインタビューで述べていたように、経済の再閉鎖は「さらにダメージが広がる。経済の打撃だけではない。今のところ持ちこたえている医療でも問題が起きる」と思われ「経済を再び閉鎖するわけにはいかない」というのが実情です。新型コロナウイルス感染の第2波が起きたとしても、経済を再び閉鎖すべきではないという考えが、多くの国のコンセンサスなのかもしれません。まさに、「With Corona」、コロナとの共生です。

ドル円は再び107円を割り込んできました。ドルが急落するイメージはありませんが、依然として上値の重さは気になるところです。コロナに加えて、朝鮮半島では緊張が高まってきました。また、中国とインド国境付近では両国軍の衝突により、インド側に20名の死者が出たとも報じられています。再び106円台半ばを試す展開も予想されます。その際のトリガーは、やはり米国株の急落ということになると思われます。本日のドル円は106円50銭〜107円40銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
6/16 クラリダ・FRB副議長 「新型コロナによる混乱は物価全般に下押し圧力をかけている」 --------
6/16 パウエル・FRB議長 「われわれの考えでは、また全員とは言わないまでも大半の予想もそう考えていると思うが、回復しても2月時点の水準には遠く及ばないだろう」 --------
6/11 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「V字回復を実現する確率は非常に高い。失業率は低下し、2021年も堅実で堅調な一年になる」 --------
6/11 ムニューシン・米財務長官 経済の再閉鎖は「さらにダメージが広がる。経済の打撃だけではない。今のところ持ちこたえている医療でも問題が起きる」、「経済を再び閉鎖するわけにはいかない」 --------
6/11 ファウチ・米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長 「一部の国や州ではロックダウンから回復しつつあるが、ウイルス感染が再び勢いを増すリスクはなおある」「終わりにはほど遠い」 --------
6/11 パウエル・FRB議長 「利上げについては考えることすら考えていない」(新型コロナウイルス感染拡大からの景気回復を支援するため)「利用可能なあらゆる手段を必要な期間だけ用いることを強くコミットしている」 --------
6/5 ラガルド・ECB総裁 「景気の改善はこれまでのところ、緩慢だった」、「行動する必要があった」、「必要なことは何でもやる」(ECB理事会後の会見で) 追加緩和をきめたことで、ユーロドルは1.12台後半から1.13台半ばまで上昇。
6/3 エスパー・国防長官 「法執行当局の役割で軍を動員するという選択肢は最後の手段とすべきで、極めて緊急性が高く切迫した状況に限定する必要がある。今の状況はそれには当てはまらない。暴動法の発動は支持しない」 --------
5/29 トランプ大統領 「中国は香港を一国二制度から一国一制度に置き換えた」、「WHOが実行・関与しなければならない改革について、われわれは詳細を示してきたが、WHOは行動を拒んでいる。きょう、WHOとの関係を打ち切る」 --------
5/28 クドロー・米国家経済会議(NEC)委員長 「要するに、中国は香港から自由を奪った」、「米国として見過ごすことはできない。この件に関して中国は責任を問われることになる。必要とあれば、香港に対して今後は中国と同様の扱いをする必要が出て来る可能性がある」 --------
5/24 王毅・中国外相 「中国には米国を変えようという意図はないし、米国に取って代わろうという意志もない。同時に、米国が中国を変えようと考えても、それは希望的観測だ」 --------
5/21 クラリダ・FRB副議長 「新型コロナウイルスを巡る今後の状況や、それに伴う景気低迷の深刻さや期間により、金融と財政両方の政策による追加支援が必要となる可能性がある」 --------
5/21 ウィリアムズ・NY連銀総裁 景気の推移や回復具合次第で、追加の財政・金融支援が必要かどうか、経済を力強く持続的な軌道に乗せるために具体的などういった設計の支援とするかを判断しなくてはならない」マイナス金利の利用は現時点において、また現在置かれている状況下で適切な手段ではない」 --------
5/18 パウエル:FRB議長 「この困難な時期に経済を支援するためあらゆる手段をわれわれは講じることにコミットする。ただ、こうした行動はより広範な公的部門の対応の一部にすぎないとわれわれは認識している」 --------
5/18 トランプ大統領 「WHOは中国から独立すべきだ」「WHOが30日以内に大幅な実質的改善を公約しなければ。私は米国のWHOへの資金拠出の一部凍結を恒久化するほか、米国のWHO加盟を再考するつもりだ」 --------
5/15 パウエル・FRB議長 米経済の完全復活には国民の信頼が十分でなければならず、それにはワクチンの出現を待たなくてはならないかもしれない」、「ただ、回復するにも、かなりの時間がかかるかもしれない。来年末まで長引くことも考えられる。本当にわらない」 --------
5/15 ナバロ・米大統領補佐官 「ウイルスは武漢で作られ、11月には最初の患者が存在した」、「中国はWHOという盾に守られて2カ月の間、ウイルスを世界から隠ぺいし、数十万という中国人をミラノやNYなど世界各地に旅客機で送り込み、拡散させた」 --------
5/14 トランプ大領 中国と「完全に断交することが可能か、断交した場合に何が起きるか思案している」習近平主席とは「今は話したくない」 --------
5/13 パウエル・FRB議長 失業率は「5月ごろがピークでその後は持ち直すが、生産や所得の完全復元には時間がかかる」(マイナス金利について)「現時点で魅力的な政策手段とは考えていない」 --------
5/12 ファウチ・米アレルギー感染症研究所所長 (設定されたガイドラインを達成しないまま州や市が経済活動を再開させた場合)「私の感触ではそのようなことが起これば、それが引き金となって、制御できないような爆発的な感染拡大が起こる現実的なリスクがある」 --------
5/12 トランプ大統領 「他国がマイナス金利というベネフィットを享受している以上、米国もマイナス金利という贈り物を受け取るべきだ」 --------
5/10 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 残念ながら雇用面の最悪期はこれからだ」、「現在、職に就いていない人の割合は実際には23−24%前後だ。私が考えているように回復が緩やかなものになるなら、こうした人々に一層の支援が必要となるだろう」 --------
5/7 バーキン・リッチモンド連銀総裁 (マイナス金利について)「よそで試されたと思うが、この国で試す価値があると私に思わせる理由は、個人的には見当たらない」 --------
5/7 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「恐らく16%か17%といったところだろう」と述べ、「実質的な数字は23−24%程度と考える。悲惨な水準だ」 --------
5/7 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「現在、恐怖シナリオは確率が低くなったと思う」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和