今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米ナスダック最高値を更新」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は106円台での取引が続く。株価の上昇にドルが買われる場面もあったが107円には届かず。この日の高値は106円96銭だった。
  • ユーロドルは水準を切り上げる。1.1270まで上昇し、ユーロ円も反発。
  • 株式市場ではナスダックが7連騰し、最高値を更新。ダウは4日ぶりに反発。
  • 債券相場は反落。長期金利は上昇し、0.7%台に。
  • 金は続伸。原油は3日続伸し、引け値で40ドル台と、3月以来の高値に。
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5月中古住宅販売件数 → 391万件
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ドル/円 106.80 〜 106.96
ユーロ/ドル 1.1207 〜 1.1270
ユーロ/円 119.81 〜 120.44
NYダウ +153.50 → 26,024.96ドル
GOLD +13.40 → 1,766.40ドル
WTI +0.71 → 40.46ドル
米10年国債 +0.015 → 0.709%

本日の注目イベント

  • 独 独6月製造業PMI(速報値)
  • 独 独6月サービス業PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏6月製造業PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏6月サービス業PMI(速報値)
  • 英 英6月製造業PMI(速報値)
  • 英 英6月サービス業PMI(速報値)
  • 米 5月新築住宅販売件数
  • 米 6月マークイット製造業PMI(速報値)
  • 米 6月マークイットサービス業PMI(速報値)
  • 米 6月マークイットコンポジットPMI(速報値)
  • 米 6月リッチモンド連銀製造景況業指数
  • 米 ボルトン前大統領補佐官、ホワイトハウス回顧録発売予定

本日のコメント

昨日、本欄でも触れましたが、ボルトン前大統領補佐官の暴露本を巡り、昨日夜のメディアは多くの時間を割いてABCニュースとのインタビューの様子を伝えていました。ボルトン氏の発言内容は昨日ここで述べた通りですが、本日発売予定の著書の中には、日本に関する事柄も含まれているようです。ボルトン氏が2019年7月に訪日した際、トランプ大統領が日本に年80億ドル(約8600億円)の防衛費負担を求めていたことが著書に書かれているようで、トランプ氏が交渉を有利に運ぶため在日米軍の撤退の可能性を示唆して脅かすよう、ボルトン氏に勧めたとされています。日米の同盟関係悪化もいとわず、米国の負担軽減を優先するトランプ氏の取引外交の一端が改めて鮮明になった。(日経新聞)と論評されており、多くのメディアは、トランプ氏の側近の暴露本だけに、その影響が注目されるとしていました。

ドル円はNY市場でも小動きで、値幅はわずか16銭でした。一方株式市場ではナスダック指数が7日続伸し、今月10日に記録した最高値を更新しています。アマゾンなどネット関連銘柄が上昇をけん引し、コロナの影響もあり、連日上場来高値を更新している銘柄も見られます。世界最大の資産運用会社であるブラック・ストーンのシュワルツマンCEOは、米経済は向こう数カ月に「V字回復」を遂げる可能性が高いとの見方を示しています。ただ、コロナウイルスの感染拡大は依然として止まっていません。WHOによれば、世界の新型コロナウイルスの新規感染者は22日、過去最多の18万3000人に達し、ブラジルやチリ、アルゼンチンなど、中南米での感染拡大が著しいと説明しています。また米国でも、フロリダ、テキサス州などで感染拡大が続いており、テキサス州のアボット知事は、「容認できないペース」で加速しており、封じ込める必要があるとの見解を示しました。(ブルームバーグ)因みに全米では、この日だけで新たな感染者数が2万4774人増加しています。

株式市場の喧騒をよそに、ドル円は動きません。昨日も述べたように、投機筋も本格的には参戦しておらず、シカゴ先物市場の建玉を見れば一目瞭然です。世界的な超低金利がその理由の一つと考えられ、金利差が享受できない以上「キャリートレード」といった言葉も聞こえてきません。大きな変動要因になると予想していた「コロナ」も、今や材料にならず、あとは米大統領選ということになるのでしょうか。だとしたら、動き出すのはまだまだ先の話で、ここは我慢のしどころです。ただ、それでも分からないのが相場です。安心しきるのは避けたいところです。本日のドル円は106円60銭〜107円20銭程度を予測します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
6/18 ブラード・セントルイス連銀総裁 「4月が最悪の月だったと期待したい。最近のデータはそれを示しているようだ」、「米国が危機を脱したとは全く考えていない」 --------
6/16 クラリダ・FRB副議長 「新型コロナによる混乱は物価全般に下押し圧力をかけている」 --------
6/16 パウエル・FRB議長 「われわれの考えでは、また全員とは言わないまでも大半の予想もそう考えていると思うが、回復しても2月時点の水準には遠く及ばないだろう」 --------
6/11 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「V字回復を実現する確率は非常に高い。失業率は低下し、2021年も堅実で堅調な一年になる」 --------
6/11 ムニューシン・米財務長官 経済の再閉鎖は「さらにダメージが広がる。経済の打撃だけではない。今のところ持ちこたえている医療でも問題が起きる」、「経済を再び閉鎖するわけにはいかない」 --------
6/11 ファウチ・米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長 「一部の国や州ではロックダウンから回復しつつあるが、ウイルス感染が再び勢いを増すリスクはなおある」「終わりにはほど遠い」 --------
6/11 パウエル・FRB議長 「利上げについては考えることすら考えていない」(新型コロナウイルス感染拡大からの景気回復を支援するため)「利用可能なあらゆる手段を必要な期間だけ用いることを強くコミットしている」 --------
6/5 ラガルド・ECB総裁 「景気の改善はこれまでのところ、緩慢だった」、「行動する必要があった」、「必要なことは何でもやる」(ECB理事会後の会見で) 追加緩和をきめたことで、ユーロドルは1.12台後半から1.13台半ばまで上昇。
6/3 エスパー・国防長官 「法執行当局の役割で軍を動員するという選択肢は最後の手段とすべきで、極めて緊急性が高く切迫した状況に限定する必要がある。今の状況はそれには当てはまらない。暴動法の発動は支持しない」 --------
5/29 トランプ大統領 「中国は香港を一国二制度から一国一制度に置き換えた」、「WHOが実行・関与しなければならない改革について、われわれは詳細を示してきたが、WHOは行動を拒んでいる。きょう、WHOとの関係を打ち切る」 --------
5/28 クドロー・米国家経済会議(NEC)委員長 「要するに、中国は香港から自由を奪った」、「米国として見過ごすことはできない。この件に関して中国は責任を問われることになる。必要とあれば、香港に対して今後は中国と同様の扱いをする必要が出て来る可能性がある」 --------
5/24 王毅・中国外相 「中国には米国を変えようという意図はないし、米国に取って代わろうという意志もない。同時に、米国が中国を変えようと考えても、それは希望的観測だ」 --------
5/21 クラリダ・FRB副議長 「新型コロナウイルスを巡る今後の状況や、それに伴う景気低迷の深刻さや期間により、金融と財政両方の政策による追加支援が必要となる可能性がある」 --------
5/21 ウィリアムズ・NY連銀総裁 景気の推移や回復具合次第で、追加の財政・金融支援が必要かどうか、経済を力強く持続的な軌道に乗せるために具体的などういった設計の支援とするかを判断しなくてはならない」マイナス金利の利用は現時点において、また現在置かれている状況下で適切な手段ではない」 --------
5/18 パウエル:FRB議長 「この困難な時期に経済を支援するためあらゆる手段をわれわれは講じることにコミットする。ただ、こうした行動はより広範な公的部門の対応の一部にすぎないとわれわれは認識している」 --------
5/18 トランプ大統領 「WHOは中国から独立すべきだ」「WHOが30日以内に大幅な実質的改善を公約しなければ。私は米国のWHOへの資金拠出の一部凍結を恒久化するほか、米国のWHO加盟を再考するつもりだ」 --------
5/15 パウエル・FRB議長 米経済の完全復活には国民の信頼が十分でなければならず、それにはワクチンの出現を待たなくてはならないかもしれない」、「ただ、回復するにも、かなりの時間がかかるかもしれない。来年末まで長引くことも考えられる。本当にわらない」 --------
5/15 ナバロ・米大統領補佐官 「ウイルスは武漢で作られ、11月には最初の患者が存在した」、「中国はWHOという盾に守られて2カ月の間、ウイルスを世界から隠ぺいし、数十万という中国人をミラノやNYなど世界各地に旅客機で送り込み、拡散させた」 --------
5/14 トランプ大領 中国と「完全に断交することが可能か、断交した場合に何が起きるか思案している」習近平主席とは「今は話したくない」 --------
5/13 パウエル・FRB議長 失業率は「5月ごろがピークでその後は持ち直すが、生産や所得の完全復元には時間がかかる」(マイナス金利について)「現時点で魅力的な政策手段とは考えていない」 --------
5/12 ファウチ・米アレルギー感染症研究所所長 (設定されたガイドラインを達成しないまま州や市が経済活動を再開させた場合)「私の感触ではそのようなことが起これば、それが引き金となって、制御できないような爆発的な感染拡大が起こる現実的なリスクがある」 --------
5/12 トランプ大統領 「他国がマイナス金利というベネフィットを享受している以上、米国もマイナス金利という贈り物を受け取るべきだ」 --------
5/10 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 残念ながら雇用面の最悪期はこれからだ」、「現在、職に就いていない人の割合は実際には23−24%前後だ。私が考えているように回復が緩やかなものになるなら、こうした人々に一層の支援が必要となるだろう」 --------
5/7 バーキン・リッチモンド連銀総裁 (マイナス金利について)「よそで試されたと思うが、この国で試す価値があると私に思わせる理由は、個人的には見当たらない」 --------
5/7 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「恐らく16%か17%といったところだろう」と述べ、「実質的な数字は23−24%程度と考える。悲惨な水準だ」 --------
5/7 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「現在、恐怖シナリオは確率が低くなったと思う」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和