今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「新型コロナ、世界の感染者1000万人を突破」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • NYダウが700ドルを超える下げを見せたことから円買いが優勢となり、ドル円は106円91銭まで下落。ただドル売りの勢いはなく、107円10−20銭に反発して越週。
  • ユーロドルは小動きで、前日と同じような展開に。1.11台後半まで売られるも反発。
  • 株式市場は大幅に下落。新型コロナウイルスの感染が再拡大したことや、一部広告主から広告掲載を停止されたフェイスブックが大幅安になったことが響いた。ダウは730ドル下げ、ナスダックも260ポイント下げる。
  • 債券相場は上昇。長期金利は0.64%台へと低下。
  • 金と原油はともに下落。
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5月個人所得 → −4.2%
5月個人支出 → 8.2%
5月PCEコアデフレータ → 1.0%
6月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 78.1
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ドル/円 106.91 〜 107.36
ユーロ/ドル 1.1196 〜 1.1238
ユーロ/円 119.90 〜 120.38
NYダウ −730.05 → 25,015.55ドル
GOLD −9.70 → 1,780.30ドル
WTI −0.23 → 38.49ドル
米10年国債 −0.044 → 0.641%

本日の注目イベント

  • 独 独6月消費者物価指数(速報値)
  • 欧 ユーロ圏6月景況感指数
  • 欧 ユーロ圏6月消費者信頼感(確定値)
  • 英 英5月消費者信用残高
  • 英 ベイリー・BOE総裁講演
  • 米 5月中古住宅販売成約件数
  • 米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁パネル討論会に参加
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、IMF専務理事とのディスカッションで司会
  • 加 カナダ5月住宅着工件数
  • 加 カナダ5月建設許可件数

本日のコメント

ジョンズホプキンス大学の集計によると、世界の新型コロナウイルスの感染者数がついに1000万人を超え、死者数も50万人に迫っているようです。特に中南米での感染拡大と米国での感染再拡大が顕著です。米国では累計の感染者が250万人を超え、フロリダ、アリゾナ州では1日あたりの新規感染者が過去最多を記録し、テキサス州とフロリダ州では州内のバーに閉鎖命令を行い、レストランに新たな制限措置を導入すると伝えられています。テキサス州のアボット知事は、同州ヒューストン地域では公衆衛生上の緊急事態宣言を発令しています。同州は8週間前に州の経済活動を再開しましたが、州内の自治体は時期尚早だと批判していました。ただそれでもトランプ政権は、国民に生活習慣を変えるよう呼び掛けておらず、再度のロックダウンは行わない見通しです。ロックダウンにより経済活動を止めてしまうと、現在の医療体制への影響が大きいとの考えで、コロナ感染の拡大と、経済活動の維持という厳しい選択を迫られそうです。

ブラジルでも過去24時間に3万8693人の感染が報告されており、累計の感染者数のも131万人を越えています。同じように、インドや南アフリカでも感染が急拡大しており、主要先進国の2次感染とともに、新型コロナウイルスは新たな感染ステージに入った可能性が高いと見られます。日本でも昨日は東京都で60人の新たな感染症例が確認されました。新規感染者数が60人以上となるのは5月4日以来となり、若者を中心に感染者数がジワジワと増えて来ました。先週末のNY株式市場では感染拡大が引き金となり、ダウは730ドルと、前々日の710ドルに次ぐ大幅な下げに見舞われています。FRBによるゼロ金利政策と大量の資金供給の影響により、市場には株式に対する潤沢な待機資金があると言われる一方、新型コロナの感染再拡大に対する警戒感も台頭しています。3月のような大きな調整局面が再び来るようだと、ドルも105円台方向に向かう可能性もあります。米長期金利も1カ月半ぶりに0.64%台まで低下してきました。米金利が低下し、頼みの株価が大きく調整するようだと、円も徐々に買われていくと予想していますが、かつてほど日米金利差に魅力がなくなっていることから、米長期金利との相関性は薄れています。「有事のドル買い」は確かに意識されますが、コロナ以外にも米中関係の悪化が、今後は材料になってくることも予想されます。中国が制定した「国家安全法」は今日にも成立する可能性があり、同法を巡って米国は中国への圧力を強めており、これに対して中国側も対抗措置を検討しているようです。再び米中貿易戦争のような事態になると、市場が「有事の円買い」にシフトすることも考えられます。引き続き、コロナ、米中関係、さらには株価の動きには目をこらす必要がありそうです。本日のドル円は106円70銭〜107円50銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
6/24 IMF 「世界経済は大封鎖に陥り、大恐慌以来で最悪の景気後退だ」 --------
6/24 ブラード・セントルイス連銀総裁 「4−6月期は年率40%のマイナス成長が見込まれており、重大な危機だ」「戦後経験したどんな数字よりも4倍悪い」 --------
6/23 ブラード・セントルイス連銀総裁 (YCCについて)「現時点ではこの件について、答えよりも疑問の方が多い。低金利がかなり長期続くとすでに見込まれているため、この手法がFOMCでいずれ採用されるとはあまり考えられない」 --------
6/18 ブラード・セントルイス連銀総裁 「4月が最悪の月だったと期待したい。最近のデータはそれを示しているようだ」、「米国が危機を脱したとは全く考えていない」 --------
6/16 クラリダ・FRB副議長 「新型コロナによる混乱は物価全般に下押し圧力をかけている」 --------
6/16 パウエル・FRB議長 「われわれの考えでは、また全員とは言わないまでも大半の予想もそう考えていると思うが、回復しても2月時点の水準には遠く及ばないだろう」 --------
6/11 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「V字回復を実現する確率は非常に高い。失業率は低下し、2021年も堅実で堅調な一年になる」 --------
6/11 ムニューシン・米財務長官 経済の再閉鎖は「さらにダメージが広がる。経済の打撃だけではない。今のところ持ちこたえている医療でも問題が起きる」、「経済を再び閉鎖するわけにはいかない」 --------
6/11 ファウチ・米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長 「一部の国や州ではロックダウンから回復しつつあるが、ウイルス感染が再び勢いを増すリスクはなおある」「終わりにはほど遠い」 --------
6/11 パウエル・FRB議長 「利上げについては考えることすら考えていない」(新型コロナウイルス感染拡大からの景気回復を支援するため)「利用可能なあらゆる手段を必要な期間だけ用いることを強くコミットしている」 --------
6/5 ラガルド・ECB総裁 「景気の改善はこれまでのところ、緩慢だった」、「行動する必要があった」、「必要なことは何でもやる」(ECB理事会後の会見で) 追加緩和をきめたことで、ユーロドルは1.12台後半から1.13台半ばまで上昇。
6/3 エスパー・国防長官 「法執行当局の役割で軍を動員するという選択肢は最後の手段とすべきで、極めて緊急性が高く切迫した状況に限定する必要がある。今の状況はそれには当てはまらない。暴動法の発動は支持しない」 --------
5/29 トランプ大統領 「中国は香港を一国二制度から一国一制度に置き換えた」、「WHOが実行・関与しなければならない改革について、われわれは詳細を示してきたが、WHOは行動を拒んでいる。きょう、WHOとの関係を打ち切る」 --------
5/28 クドロー・米国家経済会議(NEC)委員長 「要するに、中国は香港から自由を奪った」、「米国として見過ごすことはできない。この件に関して中国は責任を問われることになる。必要とあれば、香港に対して今後は中国と同様の扱いをする必要が出て来る可能性がある」 --------
5/24 王毅・中国外相 「中国には米国を変えようという意図はないし、米国に取って代わろうという意志もない。同時に、米国が中国を変えようと考えても、それは希望的観測だ」 --------
5/21 クラリダ・FRB副議長 「新型コロナウイルスを巡る今後の状況や、それに伴う景気低迷の深刻さや期間により、金融と財政両方の政策による追加支援が必要となる可能性がある」 --------
5/21 ウィリアムズ・NY連銀総裁 景気の推移や回復具合次第で、追加の財政・金融支援が必要かどうか、経済を力強く持続的な軌道に乗せるために具体的などういった設計の支援とするかを判断しなくてはならない」マイナス金利の利用は現時点において、また現在置かれている状況下で適切な手段ではない」 --------
5/18 パウエル:FRB議長 「この困難な時期に経済を支援するためあらゆる手段をわれわれは講じることにコミットする。ただ、こうした行動はより広範な公的部門の対応の一部にすぎないとわれわれは認識している」 --------
5/18 トランプ大統領 「WHOは中国から独立すべきだ」「WHOが30日以内に大幅な実質的改善を公約しなければ。私は米国のWHOへの資金拠出の一部凍結を恒久化するほか、米国のWHO加盟を再考するつもりだ」 --------
5/15 パウエル・FRB議長 米経済の完全復活には国民の信頼が十分でなければならず、それにはワクチンの出現を待たなくてはならないかもしれない」、「ただ、回復するにも、かなりの時間がかかるかもしれない。来年末まで長引くことも考えられる。本当にわらない」 --------
5/15 ナバロ・米大統領補佐官 「ウイルスは武漢で作られ、11月には最初の患者が存在した」、「中国はWHOという盾に守られて2カ月の間、ウイルスを世界から隠ぺいし、数十万という中国人をミラノやNYなど世界各地に旅客機で送り込み、拡散させた」 --------
5/14 トランプ大領 中国と「完全に断交することが可能か、断交した場合に何が起きるか思案している」習近平主席とは「今は話したくない」 --------
5/13 パウエル・FRB議長 失業率は「5月ごろがピークでその後は持ち直すが、生産や所得の完全復元には時間がかかる」(マイナス金利について)「現時点で魅力的な政策手段とは考えていない」 --------
5/12 ファウチ・米アレルギー感染症研究所所長 (設定されたガイドラインを達成しないまま州や市が経済活動を再開させた場合)「私の感触ではそのようなことが起これば、それが引き金となって、制御できないような爆発的な感染拡大が起こる現実的なリスクがある」 --------
5/12 トランプ大統領 「他国がマイナス金利というベネフィットを享受している以上、米国もマイナス金利という贈り物を受け取るべきだ」 --------
5/10 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 残念ながら雇用面の最悪期はこれからだ」、「現在、職に就いていない人の割合は実際には23−24%前後だ。私が考えているように回復が緩やかなものになるなら、こうした人々に一層の支援が必要となるだろう」 --------
5/7 バーキン・リッチモンド連銀総裁 (マイナス金利について)「よそで試されたと思うが、この国で試す価値があると私に思わせる理由は、個人的には見当たらない」 --------
5/7 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「恐らく16%か17%といったところだろう」と述べ、「実質的な数字は23−24%程度と考える。悲惨な水準だ」 --------
5/7 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「現在、恐怖シナリオは確率が低くなったと思う」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和