「ダウ580ドル高と大幅反発」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は反発し、107円88銭まで買われた。コロナ感染が拡大する中、住宅関連の指標が良好だったことで株価が急反発。ドル円も連動する形で上昇。
- ユーロドルも反発し、一時は1.1288まで買われる。ドイツの6月CPIが予想を大きく上回ったことが材料に。
- 株式市場は急反発。中古住宅販売成約指数が44.3%と、大きく伸びたことを好感。ダウは580ドル上昇し、ボーイングなど資本材銘柄が相場を押し上げた。
- 債券相場は続伸。長期金利は0.62%台へと低下。
- 金はほぼ横ばい。原油は中国景気の底入れ期待から大幅に反発。
5月中古住宅販売成約件数 → 44.3%
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ドル/円 | 107.26 〜 107.88 |
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ユーロ/ドル | 1.1220 〜 1.1287 |
ユーロ/円 | 120.75 〜 121.36 |
NYダウ | +580.25 → 25,595.80ドル |
GOLD | +0.90 → 1,781.20ドル |
WTI | +1.21 → 39.70ドル |
米10年国債 | −0.018 → 0.623% |
本日の注目イベント
- 日 5月失業率
- 日 5月鉱工業生産
- 中 6月中国製造業PMI
- 中 6月中国サービス業PMI
- 欧 ユーロ圏6月消費者物価指数(速報値)
- 英 英1−3月期GDP(改定値)
- 米 6月消費者信頼感指数
- 米 4月ケース・シラ−住宅価格指数
- 米 6月シカゴ購買部協会景気指数
- 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
- 米 財務長官とFRB議長、下院で証言
本日のコメント
ドル円は昨日の東京市場の107円10銭前後から反発し、NY市場では107円88銭まで買われています。日経平均株価が500円を超える下げを見せたものの、ドル円では円高がそれほど進まず、底堅い動きを見せていましたが、結局NYの株高に反応した形です。そのNY株の急反発は、5月の「中古住宅販売成約指数」が44.3%と、事前予想の19.3%から大きく伸びたことが手掛かりになったようです。この指標は、基本的には注目度も低く、いわば「じみな経済指標」ですが、昨日のマーケットでは予想の倍以上の伸びを見せたことで、一転注目されたようです。この指標で相場が大きく動いた記憶はなく、今後も「新築住宅販売」など、より重要な住宅関連指標が大きく上振れするようだと、予想外に相場に影響を与えるかもしれません。コロナ感染の拡大が止まらず、南部テキサス州などではバーの閉鎖やレストランへの規制強化が実施される中、今後再び経済活動、社会活動へのダウンリスクも予想されます。一方で、コロナによる雇用への不透明感はあるものの、FRBのゼロ金利政策の影響もあり、住宅ローン金利は過去最低水準に留まっており、住宅購入には追い風になっています。コロナと景気の綱引きは続きます。
新型コロナウイルスに対する治療薬として期待されている、米ギリアド・サイエンシズ社の「レムデシビル」について、同社は米国および他の先進国政府への販売価格を1バイアル当たり390ドル(約4万1800円)にすると発表しました。一般的な治療法とされる5日間のコースの価格は約2340ドルになるということですが、390ドルという価格は、政府・公共機関向けの価格で、供給ひっ迫が緩和された後は通常の流通経路を通じて販売し、米国民間医療保険会社向けの価格は1バイアル当たり520ドルになるようです。今回の発表は、今後のCOVID19治療薬の価格の前例になるため、同社の決定が及ぼす影響は大きいと見られています。(ブルームバーグ)
中国では本日にも「香港国家安全法」が採決されそうです。これに対して、米国務省は26日に、香港市民の自由侵害への関与が疑われる中国共産党当局者に、ビザの制限措置を設けると発表しましたが、今度は中国外務省の報道官が北京での定例記者会見で、「中国当局者へのビザに制限を課すという米国の誤った決定への対抗策として、香港問題で好ましくない行動を取る米国人へのビザ発給を制限することを決めた」と発表し、具体的な対象者名は挙げず、「関係する者は自分自身で明瞭に分かるだろう」と述べました。またこの件に関してロス米商務長官は29日、「中国共産党による香港への新たな治安措置の導入に伴い香港の自治が損なわれる一方、米国の慎重に扱うべき技術が人民解放軍や国家安全省に流用されるリスクが高まる」と指摘し、その上で香港への優遇措置を認める規制を停止し、「さらなる行動も検討されている」と述べています。香港の「一国二制度」を事実上形骸化させる本法案を巡り、米中関係は悪化へのスパイラルに陥った印象です。ここ最近の中国を巡る動きを見渡すと、中国は米国だけではなく、オーストラリア、インドとも関係を悪化させており、「保護主義」「自国主義」が着実に高まっており、「反グローバリズム」の動きが強まっているように思えます。
ドル円は「往って来い」の展開が続いています。NYで大きくドルが売られても東京では下げ止まり、逆に昨日のようにNYでドルが買われても、東京ではドルが押し戻される展開です。106−109円のレンジ相場、あるいはもっとナローに、106−108円のレンジが依然として継続されていると考えられます。本日の予想レンジは107円20銭〜108円程度と見ます。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
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6/24 | IMF | 「世界経済は大封鎖に陥り、大恐慌以来で最悪の景気後退だ」 | -------- |
6/24 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「4−6月期は年率40%のマイナス成長が見込まれており、重大な危機だ」「戦後経験したどんな数字よりも4倍悪い」 | -------- |
6/23 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | (YCCについて)「現時点ではこの件について、答えよりも疑問の方が多い。低金利がかなり長期続くとすでに見込まれているため、この手法がFOMCでいずれ採用されるとはあまり考えられない」 | -------- |
6/18 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「4月が最悪の月だったと期待したい。最近のデータはそれを示しているようだ」、「米国が危機を脱したとは全く考えていない」 | -------- |
6/16 | クラリダ・FRB副議長 | 「新型コロナによる混乱は物価全般に下押し圧力をかけている」 | -------- |
6/16 | パウエル・FRB議長 | 「われわれの考えでは、また全員とは言わないまでも大半の予想もそう考えていると思うが、回復しても2月時点の水準には遠く及ばないだろう」 | -------- |
6/11 | クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 | 「V字回復を実現する確率は非常に高い。失業率は低下し、2021年も堅実で堅調な一年になる」 | -------- |
6/11 | ムニューシン・米財務長官 | 経済の再閉鎖は「さらにダメージが広がる。経済の打撃だけではない。今のところ持ちこたえている医療でも問題が起きる」、「経済を再び閉鎖するわけにはいかない」 | -------- |
6/11 | ファウチ・米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長 | 「一部の国や州ではロックダウンから回復しつつあるが、ウイルス感染が再び勢いを増すリスクはなおある」「終わりにはほど遠い」 | -------- |
6/11 | パウエル・FRB議長 | 「利上げについては考えることすら考えていない」(新型コロナウイルス感染拡大からの景気回復を支援するため)「利用可能なあらゆる手段を必要な期間だけ用いることを強くコミットしている」 | -------- |
6/5 | ラガルド・ECB総裁 | 「景気の改善はこれまでのところ、緩慢だった」、「行動する必要があった」、「必要なことは何でもやる」(ECB理事会後の会見で) | 追加緩和をきめたことで、ユーロドルは1.12台後半から1.13台半ばまで上昇。 |
6/3 | エスパー・国防長官 | 「法執行当局の役割で軍を動員するという選択肢は最後の手段とすべきで、極めて緊急性が高く切迫した状況に限定する必要がある。今の状況はそれには当てはまらない。暴動法の発動は支持しない」 | -------- |
5/29 | トランプ大統領 | 「中国は香港を一国二制度から一国一制度に置き換えた」、「WHOが実行・関与しなければならない改革について、われわれは詳細を示してきたが、WHOは行動を拒んでいる。きょう、WHOとの関係を打ち切る」 | -------- |
5/28 | クドロー・米国家経済会議(NEC)委員長 | 「要するに、中国は香港から自由を奪った」、「米国として見過ごすことはできない。この件に関して中国は責任を問われることになる。必要とあれば、香港に対して今後は中国と同様の扱いをする必要が出て来る可能性がある」 | -------- |
5/24 | 王毅・中国外相 | 「中国には米国を変えようという意図はないし、米国に取って代わろうという意志もない。同時に、米国が中国を変えようと考えても、それは希望的観測だ」 | -------- |
5/21 | クラリダ・FRB副議長 | 「新型コロナウイルスを巡る今後の状況や、それに伴う景気低迷の深刻さや期間により、金融と財政両方の政策による追加支援が必要となる可能性がある」 | -------- |
5/21 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 景気の推移や回復具合次第で、追加の財政・金融支援が必要かどうか、経済を力強く持続的な軌道に乗せるために具体的などういった設計の支援とするかを判断しなくてはならない」マイナス金利の利用は現時点において、また現在置かれている状況下で適切な手段ではない」 | -------- |
5/18 | パウエル:FRB議長 | 「この困難な時期に経済を支援するためあらゆる手段をわれわれは講じることにコミットする。ただ、こうした行動はより広範な公的部門の対応の一部にすぎないとわれわれは認識している」 | -------- |
5/18 | トランプ大統領 | 「WHOは中国から独立すべきだ」「WHOが30日以内に大幅な実質的改善を公約しなければ。私は米国のWHOへの資金拠出の一部凍結を恒久化するほか、米国のWHO加盟を再考するつもりだ」 | -------- |
5/15 | パウエル・FRB議長 | 米経済の完全復活には国民の信頼が十分でなければならず、それにはワクチンの出現を待たなくてはならないかもしれない」、「ただ、回復するにも、かなりの時間がかかるかもしれない。来年末まで長引くことも考えられる。本当にわらない」 | -------- |
5/15 | ナバロ・米大統領補佐官 | 「ウイルスは武漢で作られ、11月には最初の患者が存在した」、「中国はWHOという盾に守られて2カ月の間、ウイルスを世界から隠ぺいし、数十万という中国人をミラノやNYなど世界各地に旅客機で送り込み、拡散させた」 | -------- |
5/14 | トランプ大領 | 中国と「完全に断交することが可能か、断交した場合に何が起きるか思案している」習近平主席とは「今は話したくない」 | -------- |
5/13 | パウエル・FRB議長 | 失業率は「5月ごろがピークでその後は持ち直すが、生産や所得の完全復元には時間がかかる」(マイナス金利について)「現時点で魅力的な政策手段とは考えていない」 | -------- |
5/12 | ファウチ・米アレルギー感染症研究所所長 | (設定されたガイドラインを達成しないまま州や市が経済活動を再開させた場合)「私の感触ではそのようなことが起これば、それが引き金となって、制御できないような爆発的な感染拡大が起こる現実的なリスクがある」 | -------- |
5/12 | トランプ大統領 | 「他国がマイナス金利というベネフィットを享受している以上、米国もマイナス金利という贈り物を受け取るべきだ」 | -------- |
5/10 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 残念ながら雇用面の最悪期はこれからだ」、「現在、職に就いていない人の割合は実際には23−24%前後だ。私が考えているように回復が緩やかなものになるなら、こうした人々に一層の支援が必要となるだろう」 | -------- |
5/7 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | (マイナス金利について)「よそで試されたと思うが、この国で試す価値があると私に思わせる理由は、個人的には見当たらない」 | -------- |
5/7 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「恐らく16%か17%といったところだろう」と述べ、「実質的な数字は23−24%程度と考える。悲惨な水準だ」 | -------- |
5/7 | ポスティック・アトランタ連銀総裁 | 「現在、恐怖シナリオは確率が低くなったと思う」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書