今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ユーロドル続伸し、4カ月ぶりの水準に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は再び107円を割り込み106円67銭まで下落。コロナウイルスのワクチンを巡る好材料にリスクオンの流れが強まり、ドルが売られた。ユーロドルでのユーロ高の流れも円買いにつながる。
  • ユーロドルは続伸し、約4カ月ぶりに1.1452まで上昇。
  • 株式市場は続伸。モデルナ社のコロナワクチンが有効との結果や、NY連銀製造業景況指数など、経済指標の上振れが株価を押し上げ、ダウは227ドル高。
  • 債券相場は小幅に続落。長期金利は0.63%台に。
  • 金と原油は揃って上昇。
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6月輸入物価指数 → 1.4%
7月NY連銀製造業景況指 → 17.2
6月鉱工業生産 → 5.4%
6月設備稼働率 → 68.6%
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ドル/円 106.67 〜 106.97
ユーロ/ドル 1.1402 〜 1.1452
ユーロ/円 121.82 〜 122.28
NYダウ +227.51 → 26,870.10ドル
GOLD +0.40 → 1,813.80ドル
WTI +0.91 → 41.20ドル
米10年国債 +0.007 → 0.630%

本日の注目イベント

  • 豪 豪6月雇用統計
  • 中 4−6月GDP
  • 中 中国6月小売売上高
  • 中 中国6月工業生産
  • 欧 ユーロ圏5月貿易収支
  • 欧 ECB政策金利発表
  • 欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
  • 英 英失業率(3月−5月)
  • 米 6月小売売上高
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 7月フィラデルフィア連銀景況指数
  • 米 7月NAHB住宅市場指数
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンラインセミナーに参加
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、オンラインセミナーに参加
  • 米 企業決算 → ジョンソン&ジョンソン、ネットフリックス、バンクオブアメリカ、モルガンスタンレー

本日のコメント

ドル円はNY市場で再び107円を割り込み、106円67銭までドル安が進み、昨日の筆者の予想よりも円高が進んだ状況でした。ただその後は再び106円台半ばが意識され、106円台後半まで戻っている動きは、先週金曜日から今週月曜日にかけての動きに似ています。NY株式市場で株高が進み、先行していたナスダック指数に追随するかのように、ダウ指数が続伸し、ザラ場では2万7000ドルを回復する場面もあり、ダウは今週だけで1000ドル程上昇したことになります。リスク選好が強まり、「リスク回避のドル買い」の「裏返し」としてドルが売られたようですが、何か、しっくりきません。昨日はユーロドルが続伸し、3月10日以来となる1.1452までユーロ高が進む場面もあり、この影響から円が買われた側面もあります。

リスク選好が進んだ背景は、コロナウイルスに対するワクチン開発で、米モデルナ社のワクチンが治験で有望な効果を出したことが注目されました。また英大手製薬会社アストラゼネカはオックスフォード大学との研究開発で、コロナワクチンの臨床試験で前向きな暫定結果が出たとの報告を行っており、ワクチン開発への期待が高まっています。米経済データも、NY連銀製造業景況指数など、多くの指標が3月の最悪期からは大きく改善傾向を示しており、これもリスク選好につながっています。ただ一方で、ベージュブックでは、「経済活動はほぼ全ての地区で上向いたが、新型コロナ感染症がパンデミックとなる前の水準はなお大きく下回った」と記されており、新型コロナウイルスの感染を巡る今後の状況がはっきりしないことから、景気の先行きは不透明だと報告されています。ワクチン開発は着実に進んではいるものの、コロナ感染症は依然として拡大途中であることから、「時間との勝負」といったと側面もあります。

この他にも、相変わらずトランプ大統領を巡る報道も多く飛び交っています。キニピアック大学が15日に公表した世論調査では、バイデン氏の支持率が52%となり、37%のトランプ氏に15ポイントの差を付けたようです。この差は、昨年10月以降の独立系の全国世論調査では最大となっています。さらに、トランプ氏がバイデン氏に対して保っていた残り一つの優位性である経済運営面でも、バイデン氏がトランプ氏より優っているとの回答が50%になっており、トランプ氏の方が優れているとの回答は45%だったと、調査は示しています。(ブルームバーグ)またトランプ氏は、中国との緊張をこれ以上エスカレートさせたくないと側近らに示唆し、中国高官に対する当面の追加制裁の見送りを決めたとの報道もあります。新型コロナウイルス感染拡大を巡っては認識が異なり、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長を批判したトランプ大統領は「それはナバロ氏であって、私はファウチ氏とは非常に良好な関係にある」と語っているようです。

今朝の日経新聞は、先月暴露本を出したボルトン前大統領補佐との単独インタビューの内容を載せています。ボルトン氏はインタビューで、「トランプ氏は対中関係のほぼ全てを経済や貿易を通じてみていた。貿易政策も全く一貫性がなかった」と指摘し、香港や南シナ海問題では「経済以外の課題を考慮するのが困難だった。議論することすらできなかった」と述べています。さらに、トランプ氏が米大統領選前に仕掛けるサプライズとして、「金正恩氏との4回目の会談」を挙げていました。このように米大統領選ではトランプ氏自身による「敵失」の部分はあるとしても、「再選」の可能性は徐々に低下しています。11月3日の大統領選まで残り3カ月強となりました。「窮鼠猫を嚙む」という言葉もあります。勝利に向け、トランプ氏がどのような仕掛けを打ってくるのか、こちらにも注目したいと思います。本日のドル円は106円50銭〜107円30銭程度を予想しますが、再び107円台前半までドルが戻るようだと、上述のように、先週金曜日からの動きと同じパターンになります。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
7/14 ブレイナード・FRB理事 「不確実性の濃い霧に依然として取り囲まれており、下振れリスクが支配的だ」、「FRBがより長期的な緩和策を提示する方向にフォワードガイダンスと資産購入を転換させるべきだ」 --------
7/13 カプラン・ダラス連銀総裁 「残念ながら、この感染症が再燃したことで景気回復は鈍りつつあり、経済成長は弱まっている」、「われわれが全員マスクを着用すれば、この病気の伝染を大幅に減らし、それが成長加速につながる可能性が高いだろう」 --------
7/13 ポンペオ・国務長官 「米国はここで明確にしておく。南シナ海のほとんどの資源に対して中国政府が主張する権利は、完全に不法なものであり、その掌握を目的とした嫌がらせの活動も同じく完全に不法だ」 --------
7/8 ポンペオ・国務長官 「世界は中国共産党の本当の姿を目撃した。世界中の自由な人々が現実に示されているこの脅威を理解するようになると、これまで以上に強気確信する」、「習近平国家主席が世界に与えた影響は、自由な人々、民主主義を愛する人々に良いものではない。世界は団結してこれに対処するだろう」 --------
7/1 FOMC議事録 「委員会のフォワードガイダンス自体が引き続き信頼を得ている限り、イールドカーブに上限や目標を設定する政策を採用してフォワードガイダンスを強化する必要が生じるのか明確でないと、多くの参加者が主張した」 --------
7/1 ジョンソン・英首相 「国家安全法の施行は中英共同宣言に対する明白かつ深刻な違反だ」、「香港の高度な自治を侵害し、香港基本法と対立するものだ」 --------
6/30 ファウチ・米国立アレルギー感染症研究所所長 「最近の急増が好転しない場合、1日当たりの新規感染例が現在の4万人から10万人に増えても驚かない」(死者数についても)、「極めて憂慮すべき数字になるのは確実だ」 --------
6/30 パウエル・FRB議長 「われわれは重要な新段階に予想より早く入った。経済活動の回復には歓迎されるが、それはまた、新たな課題、特にウイルスを抑制し続ける必要性を示す」、「経済の今後の経路は極めて不確実であり、ウイルス抑制の成否に大きく左右される」 --------
6/24 IMF 「世界経済は大封鎖に陥り、大恐慌以来で最悪の景気後退だ」 --------
6/24 ブラード・セントルイス連銀総裁 「4−6月期は年率40%のマイナス成長が見込まれており、重大な危機だ」「戦後経験したどんな数字よりも4倍悪い」 --------
6/23 ブラード・セントルイス連銀総裁 (YCCについて)「現時点ではこの件について、答えよりも疑問の方が多い。低金利がかなり長期続くとすでに見込まれているため、この手法がFOMCでいずれ採用されるとはあまり考えられない」 --------
6/18 ブラード・セントルイス連銀総裁 「4月が最悪の月だったと期待したい。最近のデータはそれを示しているようだ」、「米国が危機を脱したとは全く考えていない」 --------
6/16 クラリダ・FRB副議長 「新型コロナによる混乱は物価全般に下押し圧力をかけている」 --------
6/16 パウエル・FRB議長 「われわれの考えでは、また全員とは言わないまでも大半の予想もそう考えていると思うが、回復しても2月時点の水準には遠く及ばないだろう」 --------
6/11 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「V字回復を実現する確率は非常に高い。失業率は低下し、2021年も堅実で堅調な一年になる」 --------
6/11 ムニューシン・米財務長官 経済の再閉鎖は「さらにダメージが広がる。経済の打撃だけではない。今のところ持ちこたえている医療でも問題が起きる」、「経済を再び閉鎖するわけにはいかない」 --------
6/11 ファウチ・米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長 「一部の国や州ではロックダウンから回復しつつあるが、ウイルス感染が再び勢いを増すリスクはなおある」「終わりにはほど遠い」 --------
6/11 パウエル・FRB議長 「利上げについては考えることすら考えていない」(新型コロナウイルス感染拡大からの景気回復を支援するため)「利用可能なあらゆる手段を必要な期間だけ用いることを強くコミットしている」 --------
6/5 ラガルド・ECB総裁 「景気の改善はこれまでのところ、緩慢だった」、「行動する必要があった」、「必要なことは何でもやる」(ECB理事会後の会見で) 追加緩和をきめたことで、ユーロドルは1.12台後半から1.13台半ばまで上昇。
6/3 エスパー・国防長官 「法執行当局の役割で軍を動員するという選択肢は最後の手段とすべきで、極めて緊急性が高く切迫した状況に限定する必要がある。今の状況はそれには当てはまらない。暴動法の発動は支持しない」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和