「NY金、一時1900ドル台に」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 米中関係の緊張の高まりを背景にドル円は節目の106円を割込み、3月16日以来となる105円68銭まで下落。
- ユーロドルは続伸し、一時は1.1658までユーロ高が進む、こちらは2018年9月以来となる水準を記録。
- 株式市場は続落。新型コロナウイルスの感染拡大ペースは鈍化したものの、米中関係のさらなる悪化に利益確定の売りが優勢となる。ダウは182ドル下げ、他の主要指数も揃って下落。
- 債券相場は前日の急騰から反落。長期金利は0.58%台で取引を終える。
- 金は続伸し、一時は1900ドル台に乗せる。2011年に記録した最高値に迫るも、引け値では1890ドル台に。原油は小幅に上昇。
5月新築住宅販売件数 → 77.6万件
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| ドル/円 | 105.68 〜 106.29 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1598 〜 1.1658 |
| ユーロ/円 | 122.84 〜 123.72 |
| NYダウ | −182.44 → 26,469.89ドル |
| GOLD | +7.50 → 1,897.50ドル |
| WTI | +0.27 → 41.07ドル |
| 米10年国債 | +0.011 → 0.589% |
本日の注目イベント
- 日 5月景気先行指数(CI)(確報値)
- 日 5月景気一致指数(確報値)
- 日 日銀金融政策決定会合における主な意見(7月14、15日分)
- 中 中国6月工業利益
- 独 独7月ifo景況感指数
- 欧 ユーロ圏6月マネーサプライ
- 米 6月耐久財受注
本日のコメント
4連休前の先週水曜日の本欄で、動かないドル円でも投機的な動きに対する注意喚起を述べましたが、ドル円は106円台半ばや、106円前後といった重要なサポート水準を下抜けし、今年3月16日以来となる105円68銭までドル安が進みました。投機的な動きではなかったものの、比較的大きな値動きで、予想通りドル安方向で推移しました。米中間で緊張がさらに高まり「リスク回避の円買い」が進んだというよりも、「ドル独歩安」と言ったほうが適切だったと言えます。ユーロドルが2018年9月以来となる1.16台半ばまで上昇したことも、その証左と言えます。
米中関係が新たな段階に入ったとの指摘があります。トランプ政権はテキサス州ヒューストンにある中国総領事館を閉鎖させることを決め、すでにそのための行動を進めています。トランプ政権は、中国政府がヒューストン総領事館を中心に経済や知的所有権に関連するスパイ活動が行われていたと見ており、しかもそれらは「氷山の一角」だと認識していているようです。これに対して中国側も対抗措置として、中国南部の四川省成都にある米総領事館を閉鎖するよう米国に要求しています。中国外務省は声明で、「中国が講じた措置は、米国の不当な行為に対する正当かつ必要な対応だ」と主張しています。米政府は、北京の大使館以外にも中国国内に5か所の総領事館を配置しており、総勢で700名ほどの外交官が勤務していると見られています。
今回の米国がとった措置は、これまでの対中政策を大きく変更した可能性があります。これまでは「関税」を武器に相手に圧力を加え、相手の出方次第では「対話」といったソフトな政策を繰り返してきましたが、このままでは中国が変わる兆しもなく、「成果」も望めないことなから「強硬策」に転じたものと思われます。また、一部には11月の大統領選を意識した行動だとの見方もあるようです。南シナ海への原子力空母の配備もその一つとして捉えられます。今回のトランプ政権の強硬姿勢の中心にいるのが、ポンペオ国務長官と見られます。ポンペオ氏は23日カリフォルニア州での演説で、「われわれが許さない限り、中国の国内外で暴政を行う運命にはない」と述べ、「今ひざまずけば、われわれの子孫は、中国共産党の言いなりになる。共産党の行動は今の自由世界にとって主な挑戦となっている」と指摘し、「自由世界はこの新たな暴政に勝利しなくてはならない」と訴えています。ポンペオ氏のこの発言はこれまでとは異なり、習近平体制そのものではなく、中国共産党をターゲットにしている点が注目されます。
米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は、米経済は依然として7−9月期に回復する方向だとの認識を示しました。米南部や西部での新型コロナウイルスの感染拡大が景気回復を抑制する可能性があるとしながらも、その影響は限定的で、住宅や小売売上、自動車販売といった他の明るい指標を理由に挙げています。(ブルームバーグ)確かに、先週末に発表された新築住宅販売件数は77.6万件と、コロナ感染拡大前の水準に近づいていますが、これは低金利による影響が極めて大きく、住宅市場の活況が続くかどうかは不透明です。また、個人消費についても、コロナにより上積みされた失業保険給付金(約週1000ドル)の支給が今月で終わり、今後は従来の給付金である600ドルに戻る可能性が高いことから、小売売上にも大きな下押し圧力がかかると考えられます。7−9月期の米景気が急回復するかどうかは、依然として予断を許さない状況と見られます。
ドル円は節目の106円台を割り込んだ「実績」が出来た以上、緩やかな円高が続くと予想しています。これまでにも米中関係の悪化が円高要因になると言ってきましたが、今回の総領事館閉鎖をきかっけに「円高ドル安」が具現化されてきたようです。同時に今後は、米中関係がより市場への材料になりやすくなったと考えられます。本日のドル円は105円40銭〜106円40銭程度を予想します。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 7/23 | ポンペオ:国務長官 | 「われわれが許さない限り、中国の国内外で暴政を行う運命にはない」、「今ひざまずけば、われわれの子孫は、中国共産党の言いなりになる。共産党の行動は今の自由世界にとって主な挑戦となっている」、「自由世界はこの新たな暴政に勝利しなくてはならない」 | 株式が売られ、ドル円も円高方向に。 |
| 7/16 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「下振れリスクが心配だ。これを考慮して政策を調整する必要があるだろう」 | -------- |
| 7/16 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「新型コロナ感染の拡大で、消費者はより消極的になっている」、マイナス金利の可能性については「答えはノー」 | -------- |
| 7/16 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「非常に困難な状況を踏まえれば、出口戦略に集中して考える時期ではない」 | -------- |
| 7/16 | ラガルド・ECB総裁 | 発言内容: 「実際及び予想される雇用や所得の喪失と、パンデミックの展開と景気見通しを巡る異例に高い不確実性が引き続き、個人消費と企業投資の重しとなっている」、「十分な金融緩和が依然として必要だ」、「責務の範囲内で必要なあらゆる措置を取ることに引き続き完全にコミットしている」 | -------- |
| 7/16 | バー・司法長官 | 「中国はディズニーやアップルなどの米大手企業を自らの手先として操り、米国を犠牲にして影響力を強め、富を増やしている」、「米企業は何を危険にさらしているのか、理解しなければならない」 | -------- |
| 7/14 | ブレイナード・FRB理事 | 「不確実性の濃い霧に依然として取り囲まれており、下振れリスクが支配的だ」、「FRBがより長期的な緩和策を提示する方向にフォワードガイダンスと資産購入を転換させるべきだ」 | -------- |
| 7/13 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「残念ながら、この感染症が再燃したことで景気回復は鈍りつつあり、経済成長は弱まっている」、「われわれが全員マスクを着用すれば、この病気の伝染を大幅に減らし、それが成長加速につながる可能性が高いだろう」 | -------- |
| 7/13 | ポンペオ・国務長官 | 「米国はここで明確にしておく。南シナ海のほとんどの資源に対して中国政府が主張する権利は、完全に不法なものであり、その掌握を目的とした嫌がらせの活動も同じく完全に不法だ」 | -------- |
| 7/8 | ポンペオ・国務長官 | 「世界は中国共産党の本当の姿を目撃した。世界中の自由な人々が現実に示されているこの脅威を理解するようになると、これまで以上に強気確信する」、「習近平国家主席が世界に与えた影響は、自由な人々、民主主義を愛する人々に良いものではない。世界は団結してこれに対処するだろう」 | -------- |
| 7/1 | FOMC議事録 | 「委員会のフォワードガイダンス自体が引き続き信頼を得ている限り、イールドカーブに上限や目標を設定する政策を採用してフォワードガイダンスを強化する必要が生じるのか明確でないと、多くの参加者が主張した」 | -------- |
| 7/1 | ジョンソン・英首相 | 「国家安全法の施行は中英共同宣言に対する明白かつ深刻な違反だ」、「香港の高度な自治を侵害し、香港基本法と対立するものだ」 | -------- |
| 6/30 | ファウチ・米国立アレルギー感染症研究所所長 | 「最近の急増が好転しない場合、1日当たりの新規感染例が現在の4万人から10万人に増えても驚かない」(死者数についても)、「極めて憂慮すべき数字になるのは確実だ」 | -------- |
| 6/30 | パウエル・FRB議長 | 「われわれは重要な新段階に予想より早く入った。経済活動の回復には歓迎されるが、それはまた、新たな課題、特にウイルスを抑制し続ける必要性を示す」、「経済の今後の経路は極めて不確実であり、ウイルス抑制の成否に大きく左右される」 | -------- |
| 6/24 | IMF | 「世界経済は大封鎖に陥り、大恐慌以来で最悪の景気後退だ」 | -------- |
| 6/24 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「4−6月期は年率40%のマイナス成長が見込まれており、重大な危機だ」「戦後経験したどんな数字よりも4倍悪い」 | -------- |
| 6/23 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | (YCCについて)「現時点ではこの件について、答えよりも疑問の方が多い。低金利がかなり長期続くとすでに見込まれているため、この手法がFOMCでいずれ採用されるとはあまり考えられない」 | -------- |
| 6/18 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「4月が最悪の月だったと期待したい。最近のデータはそれを示しているようだ」、「米国が危機を脱したとは全く考えていない」 | -------- |
| 6/16 | クラリダ・FRB副議長 | 「新型コロナによる混乱は物価全般に下押し圧力をかけている」 | -------- |
| 6/16 | パウエル・FRB議長 | 「われわれの考えでは、また全員とは言わないまでも大半の予想もそう考えていると思うが、回復しても2月時点の水準には遠く及ばないだろう」 | -------- |
| 6/11 | クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 | 「V字回復を実現する確率は非常に高い。失業率は低下し、2021年も堅実で堅調な一年になる」 | -------- |
| 6/11 | ムニューシン・米財務長官 | 経済の再閉鎖は「さらにダメージが広がる。経済の打撃だけではない。今のところ持ちこたえている医療でも問題が起きる」、「経済を再び閉鎖するわけにはいかない」 | -------- |
| 6/11 | ファウチ・米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長 | 「一部の国や州ではロックダウンから回復しつつあるが、ウイルス感染が再び勢いを増すリスクはなおある」「終わりにはほど遠い」 | -------- |
| 6/11 | パウエル・FRB議長 | 「利上げについては考えることすら考えていない」(新型コロナウイルス感染拡大からの景気回復を支援するため)「利用可能なあらゆる手段を必要な期間だけ用いることを強くコミットしている」 | -------- |
| 6/5 | ラガルド・ECB総裁 | 「景気の改善はこれまでのところ、緩慢だった」、「行動する必要があった」、「必要なことは何でもやる」(ECB理事会後の会見で) | 追加緩和をきめたことで、ユーロドルは1.12台後半から1.13台半ばまで上昇。 |
| 6/3 | エスパー・国防長官 | 「法執行当局の役割で軍を動員するという選択肢は最後の手段とすべきで、極めて緊急性が高く切迫した状況に限定する必要がある。今の状況はそれには当てはまらない。暴動法の発動は支持しない」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



