今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ADP雇用者数、予想を大きく下回る」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は小幅に続落し105円33銭まで売られる。120万人程度の増加と見られていた7月のADP雇用者数が大きく予想を下回ったことで円を買う動きが優勢に。
  • ドル安の流れからユーロドルは続伸し、1.1905までユーロ高が進み、先週末に付けた水準とほぼ同水準を示現。
  • 株式市場は大幅に続伸。ダウは373ドル高と4日続伸し、ナスダックは1万1千ポイントに迫り最高値を更新。
  • 債券相場は反落。前日0.5%台まで低下した長期金利は0.54%台に上昇。来週発行される国債が過去最高の1120億ドル(約11兆8200億円)に上ることが嫌気され、利益確定の売りを誘発。
  • 金は続伸し、2070ドル台まで買われる。原油も続伸し、一時は43ドル台に。
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7月ADP雇用者数 → 16.7万人
6月貿易収支 → −502億ドル
7月ISM非製造業景況指数 → 58.1
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ドル/円 105.33 〜 105.79
ユーロ/ドル 1.1849 〜 1.1905
ユーロ/円 125.16 〜 125.51
NYダウ +373.05 → 27,201.52ドル
GOLD +28.30 → 2,049.30ドル
WTI +0.49 → 42.19ドル
米10年国債 +0.041 → 0.548%

本日の注目イベント

  • 独 独6月製造業新規受注
  • 英 BOE金融政策発表
  • 英 ベイリー・BOE総裁会見
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 カプラン・ダラス連銀総裁、バーチャルイベントで講演

本日のコメント

緩やかなドル安の流れが再燃し、ドル円は再び下値を探る展開となり、NY市場では105円台前半までドルが売られ、ユーロドルも1.19台に乗せる場面がありました。ドル安の流れからドルの代替資産でもある金も、連日で過去最高値を更新しており、さらにナスダック指数も1万1千ポイントに迫る勢いです。このような現象を見る限り、「リスクオン」なのか、「リスクオフ」なのか判断に窮しますが、言えることは、潤沢な資金が常に有利な投資先を探し、虎視眈々とうごめいているということのようです。

7月のADP雇用者数は市場予想の120万人の増加に対して16.7万人でした。6月の431万人の増加から急激にブレイキがかかったようで、内訳では、5,6月には合計で300万人を超えていた娯楽・ホスピタリティー業が、わずか3.8万人の増加にとどまり、全体の足を引っ張っています。ADP雇用者数は雇用統計とは必ずしも連動しませんが、明日の雇用統計もひょっとしたら「一波乱」あるかもしれません。ドル円はこの発表直後に売られ、105円33銭までドル安が進みましたが、その後に発表されたISM非製造業景況指数が予想を上回ったことで、ドルがやや買い戻されています。

米議会で追加の経済対策が週末までに合意に達するという期待が高まり、これが昨日の株価上昇の一因になっていますが、実際には米与野党間の溝は埋まっていないようです。与党政権側は週400ドルの失業保険給付上乗せを12月14日まで実施する案を提示しましたが、民主党は、週600ドルを主張しており、溝はうまっていません。シューマー民主党上院院内総務は、「政権はさらに踏み込む必要がある」と述べる一方、ムニューシン財務長官は「7日までに合意できなければ、合意はないだろう」と語っています。(ブルームバーグ)先月で失効した失業保険給付金の上乗せ額は、一部で「大盤振る舞いだ」と批判されたものの、新型コロナウイルスの感染拡大により離職を余儀なくされた労働者への補償として、それなりの効果をもたらし、個人消費などの失速を回避してきました。ただ、一方では大規模の景気対策の原資として大量の国債増発につながっています。米財務省は昨日、来週実施する四半期定期入札で過去最高となる1120億ドル(約11兆8200億円)相当の国債を発行すると発表しました。特に足元での低金利を踏まえて、7年、10年、20年、30年など、長期債・超長期債の発行を増やしています。国債の増発は金利の上昇につながりますが、FRBによる大量の国債購入により、長期金利は過去最低水準で推移しています。クラリダFRB副議長はCNBCとのインタビューで、米経済の生産活動が「2021年末までには、パンデミック前の水準に戻る可能性がある」と、景気の持ち直しに自信を見せながらも、「その予測には非常に大きな不確実性を伴う」と述べ、「現状が長引けば、経済へのダメージもその分長期化するリスクが高まる」としつつ、「まだその段階にはないと思う」と語っています。

米国では新型コロナウイルス感染拡大の勢いはやや鈍化してきたものの、フロリダ州の感染者数は50万人を突破しています。開発の急がれるワクチンでは、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は開発中のワクチン候補を1億回分供給することで米政府と合意したことを発表し、米モデルナ社は開発中のワクチンを供給する「前金」として。これまでに4億ドル(約420億円)を受け取ったことを明らかにしています。(ブルームバーグ)

明日の雇用統計発表を前に、ドル円の動きも徐々に活発化してきたように見えます。ドルの上値が依然として重い展開は続くと思われますが、前回のドル安で104円18銭まで下げたドル円は、その後の反発も急で、想定以上に早かったのも事実です。この戻りの早さに、損切りを余儀なくされた投資家も多かったかと思われ、今後もドル安が進行するとは思いますが、利益確定のタイミングも探りつつ臨む姿勢も必要です。今回仮に、105円を再び割り込んだ際には、104円〜104円ミドルがサポートになるかどうかも注視したいと思います。本日のドル円は105円10銭〜105円90銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
7/29 パウエル・FRB議長 「われわれが経験したことのない厳しさだ」、「経済の今後の道筋は極めて不透明であり、大部分はウイルスを抑制できるかどうかに左右される」、「景気回復には金融・財政政策の両面からの支援が必要だ」 ドル円105円近辺から104円77銭まで下落。株式市場は3指数とも揃って上昇。
7/29 FOMC声明文 経済活動と雇用は急激な落ち込み後、ここ数カ月に幾分か上向いたものの、今年初めの水準をなお大きく下回っている」、「経済が最近の出来事を乗り切り、最大限の雇用と物価安定の目標を達成する軌道にあると、委員会が確信するようになるまで、FF金利をゼロ付近で維持する」 --------
7/23 ポンペオ:国務長官 「われわれが許さない限り、中国の国内外で暴政を行う運命にはない」、「今ひざまずけば、われわれの子孫は、中国共産党の言いなりになる。共産党の行動は今の自由世界にとって主な挑戦となっている」、「自由世界はこの新たな暴政に勝利しなくてはならない」 株式が売られ、ドル円も円高方向に。
7/16 エバンス・シカゴ連銀総裁 「下振れリスクが心配だ。これを考慮して政策を調整する必要があるだろう」 --------
7/16 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「新型コロナ感染の拡大で、消費者はより消極的になっている」、マイナス金利の可能性については「答えはノー」 --------
7/16 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「非常に困難な状況を踏まえれば、出口戦略に集中して考える時期ではない」 --------
7/16 ラガルド・ECB総裁 発言内容: 「実際及び予想される雇用や所得の喪失と、パンデミックの展開と景気見通しを巡る異例に高い不確実性が引き続き、個人消費と企業投資の重しとなっている」、「十分な金融緩和が依然として必要だ」、「責務の範囲内で必要なあらゆる措置を取ることに引き続き完全にコミットしている」 --------
7/16 バー・司法長官 「中国はディズニーやアップルなどの米大手企業を自らの手先として操り、米国を犠牲にして影響力を強め、富を増やしている」、「米企業は何を危険にさらしているのか、理解しなければならない」 --------
7/14 ブレイナード・FRB理事 「不確実性の濃い霧に依然として取り囲まれており、下振れリスクが支配的だ」、「FRBがより長期的な緩和策を提示する方向にフォワードガイダンスと資産購入を転換させるべきだ」 --------
7/13 カプラン・ダラス連銀総裁 「残念ながら、この感染症が再燃したことで景気回復は鈍りつつあり、経済成長は弱まっている」、「われわれが全員マスクを着用すれば、この病気の伝染を大幅に減らし、それが成長加速につながる可能性が高いだろう」 --------
7/13 ポンペオ・国務長官 「米国はここで明確にしておく。南シナ海のほとんどの資源に対して中国政府が主張する権利は、完全に不法なものであり、その掌握を目的とした嫌がらせの活動も同じく完全に不法だ」 --------
7/8 ポンペオ・国務長官 「世界は中国共産党の本当の姿を目撃した。世界中の自由な人々が現実に示されているこの脅威を理解するようになると、これまで以上に強気確信する」、「習近平国家主席が世界に与えた影響は、自由な人々、民主主義を愛する人々に良いものではない。世界は団結してこれに対処するだろう」 --------
7/1 FOMC議事録 「委員会のフォワードガイダンス自体が引き続き信頼を得ている限り、イールドカーブに上限や目標を設定する政策を採用してフォワードガイダンスを強化する必要が生じるのか明確でないと、多くの参加者が主張した」 --------
7/1 ジョンソン・英首相 「国家安全法の施行は中英共同宣言に対する明白かつ深刻な違反だ」、「香港の高度な自治を侵害し、香港基本法と対立するものだ」 --------
6/30 ファウチ・米国立アレルギー感染症研究所所長 「最近の急増が好転しない場合、1日当たりの新規感染例が現在の4万人から10万人に増えても驚かない」(死者数についても)、「極めて憂慮すべき数字になるのは確実だ」 --------
6/30 パウエル・FRB議長 「われわれは重要な新段階に予想より早く入った。経済活動の回復には歓迎されるが、それはまた、新たな課題、特にウイルスを抑制し続ける必要性を示す」、「経済の今後の経路は極めて不確実であり、ウイルス抑制の成否に大きく左右される」 --------
6/24 IMF 「世界経済は大封鎖に陥り、大恐慌以来で最悪の景気後退だ」 --------
6/24 ブラード・セントルイス連銀総裁 「4−6月期は年率40%のマイナス成長が見込まれており、重大な危機だ」「戦後経験したどんな数字よりも4倍悪い」 --------
6/23 ブラード・セントルイス連銀総裁 (YCCについて)「現時点ではこの件について、答えよりも疑問の方が多い。低金利がかなり長期続くとすでに見込まれているため、この手法がFOMCでいずれ採用されるとはあまり考えられない」 --------
6/18 ブラード・セントルイス連銀総裁 「4月が最悪の月だったと期待したい。最近のデータはそれを示しているようだ」、「米国が危機を脱したとは全く考えていない」 --------
6/16 クラリダ・FRB副議長 「新型コロナによる混乱は物価全般に下押し圧力をかけている」 --------
6/16 パウエル・FRB議長 「われわれの考えでは、また全員とは言わないまでも大半の予想もそう考えていると思うが、回復しても2月時点の水準には遠く及ばないだろう」 --------
6/11 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「V字回復を実現する確率は非常に高い。失業率は低下し、2021年も堅実で堅調な一年になる」 --------
6/11 ムニューシン・米財務長官 経済の再閉鎖は「さらにダメージが広がる。経済の打撃だけではない。今のところ持ちこたえている医療でも問題が起きる」、「経済を再び閉鎖するわけにはいかない」 --------
6/11 ファウチ・米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長 「一部の国や州ではロックダウンから回復しつつあるが、ウイルス感染が再び勢いを増すリスクはなおある」「終わりにはほど遠い」 --------
6/11 パウエル・FRB議長 「利上げについては考えることすら考えていない」(新型コロナウイルス感染拡大からの景気回復を支援するため)「利用可能なあらゆる手段を必要な期間だけ用いることを強くコミットしている」 --------
6/5 ラガルド・ECB総裁 「景気の改善はこれまでのところ、緩慢だった」、「行動する必要があった」、「必要なことは何でもやる」(ECB理事会後の会見で) 追加緩和をきめたことで、ユーロドルは1.12台後半から1.13台半ばまで上昇。
6/3 エスパー・国防長官 「法執行当局の役割で軍を動員するという選択肢は最後の手段とすべきで、極めて緊急性が高く切迫した状況に限定する必要がある。今の状況はそれには当てはまらない。暴動法の発動は支持しない」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和