今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円106円台に反発」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は大幅反発。昨日の東京市場の朝方には105円10銭まで売られたが、NY市場では106円15銭まで急反発。今朝方公表されたFOMC議事録がトリガーに。
  • ユーロドルは反落。前日1.19台半ばを超えたユーロドルは利益確定の売りも伴い、1.1830まで下落。
  • 株式市場は3指数とも揃って下落。FOMC議事録で、今後の景気回復道筋に弱気の見方が台頭。ダウは85ドル下げ、3日続落。
  • 債券相場はFOMC議事録を受け下落。長期金利は0.68%台へと上昇。
  • 金はドルが買われたことで大幅に反落。原油は小幅に上昇。
ドル/円 105.72 〜 106.15
ユーロ/ドル 1.1830 〜 1.1948
ユーロ/円 125.37 〜 125.96
NYダウ −85.19 → 27,692.88ドル
GOLD −42.80 → 1,970.30ドル
WTI +0.04 → 42.93ドル
米10年国債 +0.011 → 0.680%

本日の注目イベント

  • 独 独7月生産者物価指数
  • 欧 ECB議事要旨
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 8月フィラデルフィア連銀景況指数
  • 米 7月景気先行指標総合指数
  • 米 デイリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
  • 米 企業決算 → アリババ

本日のコメント

ドル円は昨日の朝方、前日のNY市場でドル安が進んだことを受け、東京市場開始直後に105円10銭まで売られ、105円を割り込むかどうかが焦点の一つでしたが、NY市場ではドルが大きく買い戻され、106円15銭まで上昇しました。約1円ものドル高円安の展開でした。長期金利が上昇し、金利高に反応した側面はありましたが、今朝方公表されたFOMC議事録で下半期の景気回復に対する楽観を弱め、金利ガイダンスを明確にする用意があるとの姿勢を後退させたことが「株安・金利高」を醸成した形になりました。

先月27−28日に開催されたFOMCでは、「今会合より後の金融政策の見通しについては、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジはたどる可能性の高い道筋に関して明瞭さを高めることが、ある時点で適切となると、幾人かの参加者が指摘した」と記されています。また予想されたことではあったが、「新型コロナウイルス感染拡大が経済活動を顕著に抑制している間は、新たなガイダンスを示す必要性は低下している」と、幾人かのメンバーが示唆しているとも記されていました。(ブルームバーグ)市場は今回公表された議事録には新たなフォワードガイダンスの強化などが議論されているとの見方があり、公表後にはやや失望感から株や債券が売られたようです。

トランプ政権は中国に対する包囲網を強化し、中国政府要人に対する制裁やファーウェイなど中国IT企業の完全締め出しを図るなど、着々と強硬策を押し進めています。その中心にいるのがポンペオ国務長官と見られますが、ポンペオ氏は先週講演で、「中国はかつてのソ連よりも手ごわい」との認識を示していました。米中の緊張の高まりはそう簡単に緩和する見込みはなく、「新冷戦」は長引くとの見方が適切と思いますが、一方で「朗報」もありました。米中両国は、貿易協議第1段階の合意発効から6カ月の節目に合わせて、履行状況を点検することになっていましたが、延期されていました。今回、まだ日程は決まっていないものの、協議自体は近く開催されるとブルームバーグは報じています。トランプ大統領は「習近平主席とは会いたくない」と明言しており、米中貿易協議のその後の予定は全くたっていませんが、ひょっとすると「バイデン次期大統領」に委ねられるかもしれません。昨日正式に民主党の大統領候補に決まったバイデン氏は中国政策について、「同盟国と共同で圧力をかける」ことを表明しており、トランプ氏よりはやや柔軟な姿勢を見せています。ただ、民主党の中にも中国に対する強硬策を支持する議員も多くおり、対中政策をモデレートなものに変えるわけにもいかない事情もあります。一方の中国は、大統領選でのトランプ氏の敗北を望んでいることは周知の事実です。

ドル円は再び106円台まで反発し、下値の方も「なかなかしぶとい」と言えます。先月末も104円19銭まで売られた後、急速に2円ほど戻しており、個人的には「ドル安傾向」は不変と見ていますが、ドルの底値が固いのも事実です。104〜107円程度のレンジを形成しているのかもしれませんが、引き続き焦点はユーロドルの動きです。ユーロドルが1.2を超えて上昇するようなら104円割れの可能性もありますが、1.2に届かなく、再び1.15を目指すようなら108円に向かうこともないとは言えません。やはり、こまめに利益を確定していくことが肝要かと思います。本日のドル円は105円60銭〜106円50銭程度でしょうか。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
8/19 FOMC議事録 「今会合より後の金融政策の見通しについては、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジはたどる可能性の高い道筋に関して明瞭さを高めることが、ある時点で適切となると、幾人かの参加者が指摘した」、「新型コロナウイルス感染拡大が経済活動を顕著に制している間は、新たなガイダンスを示す必要性は低下している」 株と債券が売られ、長期金利が上昇したことからドル円は105円台後半から106円台前半まで買われる。
8/17 ミシェル・オバマ前大統領夫人 「トランプ大統領は、大統領職を務められると証明できる十分な時間があったのに、今では明らかにお手上げ状態になっている」、「黒人の命が重要という単純な事実をも愚弄している」、「われわれはジョー・バイデンに投票しなければいけない」 --------
8/6 ベイリー・BOE総裁 「国内経済が回復するまでの長い道のりを支え続ける用意がある」、「早期に政策を引き締めることはない」 --------
7/29 パウエル・FRB議長 「われわれが経験したことのない厳しさだ」、「経済の今後の道筋は極めて不透明であり、大部分はウイルスを抑制できるかどうかに左右される」、「景気回復には金融・財政政策の両面からの支援が必要だ」 ドル円105円近辺から104円77銭まで下落。株式市場は3指数とも揃って上昇。
7/29 FOMC声明文 経済活動と雇用は急激な落ち込み後、ここ数カ月に幾分か上向いたものの、今年初めの水準をなお大きく下回っている」、「経済が最近の出来事を乗り切り、最大限の雇用と物価安定の目標を達成する軌道にあると、委員会が確信するようになるまで、FF金利をゼロ付近で維持する」 --------
7/23 ポンペオ:国務長官 「われわれが許さない限り、中国の国内外で暴政を行う運命にはない」、「今ひざまずけば、われわれの子孫は、中国共産党の言いなりになる。共産党の行動は今の自由世界にとって主な挑戦となっている」、「自由世界はこの新たな暴政に勝利しなくてはならない」 株式が売られ、ドル円も円高方向に。
7/16 エバンス・シカゴ連銀総裁 「下振れリスクが心配だ。これを考慮して政策を調整する必要があるだろう」 --------
7/16 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「新型コロナ感染の拡大で、消費者はより消極的になっている」、マイナス金利の可能性については「答えはノー」 --------
7/16 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「非常に困難な状況を踏まえれば、出口戦略に集中して考える時期ではない」 --------
7/16 ラガルド・ECB総裁 発言内容: 「実際及び予想される雇用や所得の喪失と、パンデミックの展開と景気見通しを巡る異例に高い不確実性が引き続き、個人消費と企業投資の重しとなっている」、「十分な金融緩和が依然として必要だ」、「責務の範囲内で必要なあらゆる措置を取ることに引き続き完全にコミットしている」 --------
7/16 バー・司法長官 「中国はディズニーやアップルなどの米大手企業を自らの手先として操り、米国を犠牲にして影響力を強め、富を増やしている」、「米企業は何を危険にさらしているのか、理解しなければならない」 --------
7/14 ブレイナード・FRB理事 「不確実性の濃い霧に依然として取り囲まれており、下振れリスクが支配的だ」、「FRBがより長期的な緩和策を提示する方向にフォワードガイダンスと資産購入を転換させるべきだ」 --------
7/13 カプラン・ダラス連銀総裁 「残念ながら、この感染症が再燃したことで景気回復は鈍りつつあり、経済成長は弱まっている」、「われわれが全員マスクを着用すれば、この病気の伝染を大幅に減らし、それが成長加速につながる可能性が高いだろう」 --------
7/13 ポンペオ・国務長官 「米国はここで明確にしておく。南シナ海のほとんどの資源に対して中国政府が主張する権利は、完全に不法なものであり、その掌握を目的とした嫌がらせの活動も同じく完全に不法だ」 --------
7/8 ポンペオ・国務長官 「世界は中国共産党の本当の姿を目撃した。世界中の自由な人々が現実に示されているこの脅威を理解するようになると、これまで以上に強気確信する」、「習近平国家主席が世界に与えた影響は、自由な人々、民主主義を愛する人々に良いものではない。世界は団結してこれに対処するだろう」 --------
7/1 FOMC議事録 「委員会のフォワードガイダンス自体が引き続き信頼を得ている限り、イールドカーブに上限や目標を設定する政策を採用してフォワードガイダンスを強化する必要が生じるのか明確でないと、多くの参加者が主張した」 --------
7/1 ジョンソン・英首相 「国家安全法の施行は中英共同宣言に対する明白かつ深刻な違反だ」、「香港の高度な自治を侵害し、香港基本法と対立するものだ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和