今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円再び105円台前半に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は再び下落し、105円20銭までドル安が進む。安倍首相の辞任はそれほど材料にはならなかったものの、米実質金利の低下からドルが売られる展開に。
  • ユーロドルでもドル安となり、一時は約10日ぶりに1.1918までユーロが買われる。
  • 株式市場は3指数とも揃って続伸。低金利が長期にわたって継続されるとの観測から株価は上昇し。ナスダックとS&P500は最高値を更新。
  • 債券は反発。長期金利は0.72%台に低下。
  • 金は大幅に反発し、原油は反落。
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7月個人所得 → 0.4%
7月個人支出 → 1.9%
7月PCEコアデフレータ → 1.3%
8月シカゴ購買部協会景気指数 → 51.2
8月ミシガン大学消費者マインド(確定値)→ 74.1
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ドル/円 105.20 〜 105.74
ユーロ/ドル 1.1868 〜 1.1918
ユーロ/円 125.20 〜 125.60
NYダウ +161.60 → 28,653.87ドル
GOLD +42.30 → 1,974.90ドル
WTI −0.70 → 42.97ドル
米10年国債 −0.031 → 0.721%

本日の注目イベント

  • 日 7月鉱工業生産
  • 日 7月小売売上高
  • 独 独8月消費者物価指数(速報値)
  • 米 クラリダ・FRB副議長、バーチャル討論会に参加
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演(バーチャル形式)

本日のコメント

先週木曜日には、FRBが金政政策に関する新たなインフレ目標を発表したことでドル円は105円台半ばまで売られましたが、その後106円台半ばまで急反発。しかし週末には「安倍首相辞任」の報道から再びドルが売られ、ドル円はNYでは105円20銭までドル安が進みました。荒っぽい展開が続いています。

安倍首相辞任は筆者だけではなく、多くの人が最近の顔色を見て、「政権の座を去るのも近いのではないか」と考えていたと思いますが、このタイミングの辞任は唐突でした。先週金曜日の午後2時過ぎ、辞任の一報が流れると、ドル円は一気に50銭以上のドル安に振れ、日経平均株価は600円を超える下げに見舞われました。アベノミクスの終焉ということで株価が下げ、リスク回避が強まり、ドル安円高に振れたようです。相場はその後やや戻してはいますが、今後「ポスト安倍」を巡る動きに一喜一憂しながら荒っぽい動きが続くと予想されます。「真夏の夜の夢」ならぬ、「真夏の午後の混乱」でした。ただ冷静に考えれば、これで自民・公明の連立政権が崩れるわけでもなく、これまでの政策は継続されると思われます。むしろ、コロナ禍で、あれほど混乱したコロナへの経験を踏まえて、より適切な対応が可能になってくることも予想されます。新しい首相は来月17日にも選出されるようですが、それまで多少混乱はあるかもしれませんが、大きな混乱にはつながらないと思われます。

パウエル議長は先週、2%のインフレ目標を、一定期間の平均として達成する考えを示したことで、9月のFOMCでは新たなガイダンスが発表される可能性が出て来ました。ドル円も乱高下しながらも結局は ゼロ金利政策の長期化や、実質金利の低下傾向を見据える形でドル安が進みそうで、株式市場は低金利の長期化を歓迎するかのように上昇しています。ただ9月のガイダンスの変更については幾人かの地区連銀総裁から異論も出ています。ダラス連銀のカプラン総裁は28日ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「新型コロナウイルスの動向をより明確につかみたい。フォワードガイダンスはこれまでに十分示してきたと考える」と述べ、「年内と来年は政策金利を低水準で維持するとすでに示している。私はここである程度、自制した方がいいと思う」と語っています。また、クリーブランド連銀のメスター総裁も28日ヤフーファイナンスとのインタビューで、「経済見通しを踏まえ、しばらくは低金利が続くとした米金融当局のメッセージは、誰もが受け取り、そのように想定している」と語り、さらにセントルイス連銀のメスター総裁も「金融政策は現在の状況に照らして適切だ」との考えを示しました。メスター総裁は、「政策金利は低く、長期にわたり低く保つ方針だ。市場も長期の低金利を予想している」とも述べています。(ブルームバーグ)新たなガイダンスの変更は別としても、このように多くのFOMCメンバーは低金利の長期化は必至と見ていることははっきりとしており、これは今後ドル安と株高が進行する可能性が高いことを示唆していると考えることが出来ると思います。

ドル円は多少値を戻していますが、チャートでは短い「1時間足」から長い「月足」まで全ての足で雲がローソク足の上に位置しており、下落基調であることを暗示しています。105円前後や104円台前半では何度も押し戻されてきましたが、チャートでは「月足」の120カ月移動平均線が104円前後にあり、これが最大のレジスタンスと見られます。急激な円高はないとしても、緩やかな円高の可能性は高いと予想されます。日本の政局は材料にはなりにくく、やはり米大統領選の行方が相場を左右するのではないかと考えます。本日のドル円は105円〜106円程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
8/27 パウエル・FRB議長 「方針変更に関する声明は、広い範囲で包括的な雇用の最大化を目指すことを強調している」「この変更はわれわれが力強い労働市場の重要性を認めていることを反映しており、特に低・中所得層地域の多くではなおさら重要だと考える」(ジャクソンホールでのバーチャル講演で) --------
8/19 FOMC議事録 「今会合より後の金融政策の見通しについては、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジはたどる可能性の高い道筋に関して明瞭さを高めることが、ある時点で適切となると、幾人かの参加者が指摘した」、「新型コロナウイルス感染拡大が経済活動を顕著に制している間は、新たなガイダンスを示す必要性は低下している」 株と債券が売られ、長期金利が上昇したことからドル円は105円台後半から106円台前半まで買われる。
8/17 ミシェル・オバマ前大統領夫人 「トランプ大統領は、大統領職を務められると証明できる十分な時間があったのに、今では明らかにお手上げ状態になっている」、「黒人の命が重要という単純な事実をも愚弄している」、「われわれはジョー・バイデンに投票しなければいけない」 --------
8/6 ベイリー・BOE総裁 「国内経済が回復するまでの長い道のりを支え続ける用意がある」、「早期に政策を引き締めることはない」 --------
7/29 パウエル・FRB議長 「われわれが経験したことのない厳しさだ」、「経済の今後の道筋は極めて不透明であり、大部分はウイルスを抑制できるかどうかに左右される」、「景気回復には金融・財政政策の両面からの支援が必要だ」 ドル円105円近辺から104円77銭まで下落。株式市場は3指数とも揃って上昇。
7/29 FOMC声明文 経済活動と雇用は急激な落ち込み後、ここ数カ月に幾分か上向いたものの、今年初めの水準をなお大きく下回っている」、「経済が最近の出来事を乗り切り、最大限の雇用と物価安定の目標を達成する軌道にあると、委員会が確信するようになるまで、FF金利をゼロ付近で維持する」 --------
7/23 ポンペオ:国務長官 「われわれが許さない限り、中国の国内外で暴政を行う運命にはない」、「今ひざまずけば、われわれの子孫は、中国共産党の言いなりになる。共産党の行動は今の自由世界にとって主な挑戦となっている」、「自由世界はこの新たな暴政に勝利しなくてはならない」 株式が売られ、ドル円も円高方向に。
7/16 エバンス・シカゴ連銀総裁 「下振れリスクが心配だ。これを考慮して政策を調整する必要があるだろう」 --------
7/16 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「新型コロナ感染の拡大で、消費者はより消極的になっている」、マイナス金利の可能性については「答えはノー」 --------
7/16 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「非常に困難な状況を踏まえれば、出口戦略に集中して考える時期ではない」 --------
7/16 ラガルド・ECB総裁 発言内容: 「実際及び予想される雇用や所得の喪失と、パンデミックの展開と景気見通しを巡る異例に高い不確実性が引き続き、個人消費と企業投資の重しとなっている」、「十分な金融緩和が依然として必要だ」、「責務の範囲内で必要なあらゆる措置を取ることに引き続き完全にコミットしている」 --------
7/16 バー・司法長官 「中国はディズニーやアップルなどの米大手企業を自らの手先として操り、米国を犠牲にして影響力を強め、富を増やしている」、「米企業は何を危険にさらしているのか、理解しなければならない」 --------
7/14 ブレイナード・FRB理事 「不確実性の濃い霧に依然として取り囲まれており、下振れリスクが支配的だ」、「FRBがより長期的な緩和策を提示する方向にフォワードガイダンスと資産購入を転換させるべきだ」 --------
7/13 カプラン・ダラス連銀総裁 「残念ながら、この感染症が再燃したことで景気回復は鈍りつつあり、経済成長は弱まっている」、「われわれが全員マスクを着用すれば、この病気の伝染を大幅に減らし、それが成長加速につながる可能性が高いだろう」 --------
7/13 ポンペオ・国務長官 「米国はここで明確にしておく。南シナ海のほとんどの資源に対して中国政府が主張する権利は、完全に不法なものであり、その掌握を目的とした嫌がらせの活動も同じく完全に不法だ」 --------
7/8 ポンペオ・国務長官 「世界は中国共産党の本当の姿を目撃した。世界中の自由な人々が現実に示されているこの脅威を理解するようになると、これまで以上に強気確信する」、「習近平国家主席が世界に与えた影響は、自由な人々、民主主義を愛する人々に良いものではない。世界は団結してこれに対処するだろう」 --------
7/1 FOMC議事録 「委員会のフォワードガイダンス自体が引き続き信頼を得ている限り、イールドカーブに上限や目標を設定する政策を採用してフォワードガイダンスを強化する必要が生じるのか明確でないと、多くの参加者が主張した」 --------
7/1 ジョンソン・英首相 「国家安全法の施行は中英共同宣言に対する明白かつ深刻な違反だ」、「香港の高度な自治を侵害し、香港基本法と対立するものだ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和