「ユーロ円126円台後半まで上昇」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は東京時間の午後からじりじりと値を戻し、NYでは一時106円台を回復し、106円09銭まで上昇。
- ユーロドルも買われ、今月18日に付けた1.1966前後と並ぶ。ユーロは対円でも126円84銭近辺まで買われ、2019年3月以来、1年半ぶりのユーロ高を記録。
- 株式市場はまちまち。ダウとS&P500は利益確定の売りが先行し下落。一方ナスダックは79ポイント上昇し、最高値を更新。
- 債券は続伸し、長期金利は0.70%台に。
- 金は小幅に続伸。原油価格は続落。
| ドル/円 | 105.79 〜 106.09 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1921 〜 1.1966 |
| ユーロ/円 | 126.30 〜 126.84 |
| NYダウ | −223.82 → 28,430.05ドル |
| GOLD | +3.70 → 1,978.60ドル |
| WTI | −0.36 → 42.61ドル |
| 米10年国債 | −0.016 → 0.705% |
本日の注目イベント
- 豪 豪9月住宅建設許可件数
- 豪 豪4−6月期経常収支
- 豪 RBA、キャッシュターゲット
- 日 7月失業率
- 中 8月財新製造業PMI
- 独 独8月製造業PMI(改定値)
- 独 独8月失業率
- 欧 ユーロ圏8月消費者物価指数(速報値)
- 欧 ユーロ圏8月製造業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏7月失業率
- 英 英7月消費者信用残高
- 米 8月ISM製造業景況指数
- 米 8月マークイット製造業PMI(改定値)
- 米 ブレイナード・FRB理事、バーチャル討論に参加
本日のコメント
ドル円は再び106円台に乗せる場面があり、円高ドル安材料があるものの、なかなか大きなドル安には至っていません。昨日のNY市場ではユーロドルで「ドル安ユーロ高」が進み、ユーロドルは1.19台半ばまで上昇しましたが、ドル円ではややドル高が進み、結局ユーロ円は一時126円84銭前後まで上昇。これは2019年3月以来、約1年半ぶりのユーロ高水準です。主要3通貨では、ユーロが最強で、円が最弱といった構図になったわけです。円は対豪ドルでも下落が続いています。
豪ドル円は2019年4月29日以来の水準です。今年3月には60円を割り込む場面もありましたが、そこからすでに18円以上の円安が続いています。ドル円の水準はそれほど変わっておらず、むしろ円高方向で推移していますが、豪ドルが対米ドルで大幅に上昇していることが背景です。豪ドル米ドルは2018年12月3日以来となる0.74台まで買われています。中国への依存度が高いオーストラリアには逆風が吹いているにも拘わらず、豪ドル高が続いているのは、資源価格の上昇もありますが、中国がいち早くコロナから抜け出たことが豪ドル・米ドルのセンチメントを変えています。シカゴ通貨先物市場の建玉を見てもその傾向は明瞭で、4月中旬をボトムに同月下旬からは買い持ちの枚数が大きく増えています。その増加推移と豪ドル米ドルのチャートを重ねると、動きはほぼ一致しています。
ただ、中国景気との関係が強い豪ドルですが、オーストラリアと中国との関係はこれまでで最も険悪な状況と言えます。新型コロナウイルスの感染拡大がオーストラリアにも押し寄せた際、オーストラリア政府は中国に対して徹底した調査結果を要求したことで、中国から反発をかったことがきっかけとなり、その後中国はオーストラリアからの牛肉の輸入にストップをかけています。さらに昨日は、中国当局が同国国営テレビ局に勤めるオーストラリア国籍のニュースキャスターを拘束しているとオーストラリアのペイン外相が発表しました。ABCテレビによると、同キャスターは訴追されてはいないものの、指定された場所で監視下に置かれており、弁護士その他の支援を得られずに、最長6カ月拘束される可能性があるとブルームバーグは報じています。オーストラリアと中国との関係は一段と悪化する可能性があります。
クラリダFRB副議長は31日、オンラインイベントで講演を行い、「利回りの抑制や目標化は現在の環境では正当化されないが、将来に状況が著しく変化した場合見直すことができるよう、FOMCは選択肢として残して置くべきだ」と述べ、米国債利回りに目標を設けるイールドカーブコントロール(YCC)を将来に導入する含みを残す発言を行いました。これまでFOMCメンバーの多くがYCCに言及してきましたが、「時期尚早」といった言葉で否定的な発言が相次ぎました。重要メンバーの一人である副議長が導入に含みを持たせる発言を行ったのは、記憶の限り初めてです。
また昨日はアトランタ連銀のポスティック総裁の発言も伝えられていますが、同総裁は「金融政策は経済回復を支援する位置づけにあるが、今は米金融当局が目標達成のために次にどんな措置を取るか説明する時期ではない」と述べ、フォワードガイダンスの拡充には時期尚早との認識を示しています。
本日はISM製造業景況指数の結果次第で、米景気の回復度合いが判断でき、相場に影響を与える可能性があります。ドル円の予想レンジは105円40銭〜106円30銭程度をとします。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 8/31 | ポスティック・アトランタ連銀総裁 | 「金融政策は経済回復を支援する位置づけにあるが、今は米金融当局が目標達成のために次にどんな措置を取るか説明する時期ではない」 | -------- |
| 8/31 | クラリダ・FRB副議長 | 「利回りの抑制や目標化は現在の環境では正当化されないが、将来に状況が著しく変化した場合見直すことができるよう、FOMCは選択肢として残して置くべきだ」 | -------- |
| 8/27 | パウエル・FRB議長 | 「方針変更に関する声明は、広い範囲で包括的な雇用の最大化を目指すことを強調している」「この変更はわれわれが力強い労働市場の重要性を認めていることを反映しており、特に低・中所得層地域の多くではなおさら重要だと考える」(ジャクソンホールでのバーチャル講演で) | -------- |
| 8/19 | FOMC議事録 | 「今会合より後の金融政策の見通しについては、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジはたどる可能性の高い道筋に関して明瞭さを高めることが、ある時点で適切となると、幾人かの参加者が指摘した」、「新型コロナウイルス感染拡大が経済活動を顕著に制している間は、新たなガイダンスを示す必要性は低下している」 | 株と債券が売られ、長期金利が上昇したことからドル円は105円台後半から106円台前半まで買われる。 |
| 8/17 | ミシェル・オバマ前大統領夫人 | 「トランプ大統領は、大統領職を務められると証明できる十分な時間があったのに、今では明らかにお手上げ状態になっている」、「黒人の命が重要という単純な事実をも愚弄している」、「われわれはジョー・バイデンに投票しなければいけない」 | -------- |
| 8/6 | ベイリー・BOE総裁 | 「国内経済が回復するまでの長い道のりを支え続ける用意がある」、「早期に政策を引き締めることはない」 | -------- |
| 7/29 | パウエル・FRB議長 | 「われわれが経験したことのない厳しさだ」、「経済の今後の道筋は極めて不透明であり、大部分はウイルスを抑制できるかどうかに左右される」、「景気回復には金融・財政政策の両面からの支援が必要だ」 | ドル円105円近辺から104円77銭まで下落。株式市場は3指数とも揃って上昇。 |
| 7/29 | FOMC声明文 | 経済活動と雇用は急激な落ち込み後、ここ数カ月に幾分か上向いたものの、今年初めの水準をなお大きく下回っている」、「経済が最近の出来事を乗り切り、最大限の雇用と物価安定の目標を達成する軌道にあると、委員会が確信するようになるまで、FF金利をゼロ付近で維持する」 | -------- |
| 7/23 | ポンペオ:国務長官 | 「われわれが許さない限り、中国の国内外で暴政を行う運命にはない」、「今ひざまずけば、われわれの子孫は、中国共産党の言いなりになる。共産党の行動は今の自由世界にとって主な挑戦となっている」、「自由世界はこの新たな暴政に勝利しなくてはならない」 | 株式が売られ、ドル円も円高方向に。 |
| 7/16 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「下振れリスクが心配だ。これを考慮して政策を調整する必要があるだろう」 | -------- |
| 7/16 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「新型コロナ感染の拡大で、消費者はより消極的になっている」、マイナス金利の可能性については「答えはノー」 | -------- |
| 7/16 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「非常に困難な状況を踏まえれば、出口戦略に集中して考える時期ではない」 | -------- |
| 7/16 | ラガルド・ECB総裁 | 発言内容: 「実際及び予想される雇用や所得の喪失と、パンデミックの展開と景気見通しを巡る異例に高い不確実性が引き続き、個人消費と企業投資の重しとなっている」、「十分な金融緩和が依然として必要だ」、「責務の範囲内で必要なあらゆる措置を取ることに引き続き完全にコミットしている」 | -------- |
| 7/16 | バー・司法長官 | 「中国はディズニーやアップルなどの米大手企業を自らの手先として操り、米国を犠牲にして影響力を強め、富を増やしている」、「米企業は何を危険にさらしているのか、理解しなければならない」 | -------- |
| 7/14 | ブレイナード・FRB理事 | 「不確実性の濃い霧に依然として取り囲まれており、下振れリスクが支配的だ」、「FRBがより長期的な緩和策を提示する方向にフォワードガイダンスと資産購入を転換させるべきだ」 | -------- |
| 7/13 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「残念ながら、この感染症が再燃したことで景気回復は鈍りつつあり、経済成長は弱まっている」、「われわれが全員マスクを着用すれば、この病気の伝染を大幅に減らし、それが成長加速につながる可能性が高いだろう」 | -------- |
| 7/13 | ポンペオ・国務長官 | 「米国はここで明確にしておく。南シナ海のほとんどの資源に対して中国政府が主張する権利は、完全に不法なものであり、その掌握を目的とした嫌がらせの活動も同じく完全に不法だ」 | -------- |
| 7/8 | ポンペオ・国務長官 | 「世界は中国共産党の本当の姿を目撃した。世界中の自由な人々が現実に示されているこの脅威を理解するようになると、これまで以上に強気確信する」、「習近平国家主席が世界に与えた影響は、自由な人々、民主主義を愛する人々に良いものではない。世界は団結してこれに対処するだろう」 | -------- |
| 7/1 | FOMC議事録 | 「委員会のフォワードガイダンス自体が引き続き信頼を得ている限り、イールドカーブに上限や目標を設定する政策を採用してフォワードガイダンスを強化する必要が生じるのか明確でないと、多くの参加者が主張した」 | -------- |
| 7/1 | ジョンソン・英首相 | 「国家安全法の施行は中英共同宣言に対する明白かつ深刻な違反だ」、「香港の高度な自治を侵害し、香港基本法と対立するものだ」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



