「NY株4営業日ぶりに大幅反発」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- NY株が大幅に反発し、長期金利も上昇したことでドル円も106円28銭まで反発。
- ユーロドルは1.18を挟んでのもみ合い。本日のECB理事会での政策変更はないと見られるが、ラガルド総裁の発言は注目される。
- 株式市場は4日ぶりに大幅反発。大きく売られたIT株が買い戻され、ダウは439ドル高。他の主要指数も揃って大幅に上昇。
- 債券は反落。長期金利は0.7%前後まで上昇。
- 金は続伸し、原油は反発。
| ドル/円 | 106.13 〜 106.28 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1766 〜 1.1834 |
| ユーロ/円 | 124.93 〜 125.64 |
| NYダウ | +439.58 → 27,940.47ドル |
| GOLD | +11.70 → 1,954.90ドル |
| WTI | +1.29 → 38.05ドル |
| 米10年国債 | +0.021 → 0.700% |
本日の注目イベント
- 欧 ECB政策金利発表
- 欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 8月生産者物価指数
本日のコメント
ドル円は昨日の夕方には日本株の下落と相まって、105円79銭まで売られる場面もありましたが、そこをボトムにNYでは106円28銭まで反発しました。言うまでもなく、連日大きく売られてきたNY株の大幅反発が材料でした。特にアマゾンやアップルなどIT株が大きく買い戻され、「押し目買いが入った」とのコメントが多かったですが、新型コロナワクチンを巡る報道も株価反発に一役かったようです。
新型コロナに対するワクチン開発では、世界で最も早く実用化されると見られていた英アストラゼネカとオックスフォード大学のワクチンでしたが、臨床試験で同ワクチンを投与された英国の女性一人にTMと呼ばれる神経系の疾患が発現し始めたことで、同社はワクチン試験を中断すると発表していました。英フィナンシャルタイムズ(FT)は、アストラゼネカ社が臨床試験を来週初めにも再開する可能性があると報じ、これが株式市場のセンチメントを明るくしたようです。同社の株はロンドン株式市場で上昇しています。
NY株がようやく反発に転じたことで、やや安心感も出て来ました。本日の日経平均株価も上昇すると思われますが、これで「株価の調整は終わった」かどうかは分かりません。個人的には昨日もこの欄で述べたように、上昇の流れは変わっていないと考えてはいますが、まだ安心するには早いと思われます。アマゾンなどIT株の中には、年初から7割ほど上昇し、今回の調整で2割程度下げたにすぎないものもあります。言い換えれば、多くの機関投資家はまだ含み益を抱えています。株価が再び調整モードになれば、再び利益確定の売りに転じる可能性があります。著名投資家のドラッケンミラー氏はCNBCとのインタビューで、「市場は猛烈な高揚感に包まれており、インフレ高進が大きな脅威になっている」と語り、「インフレ率は向こう4、5年の間に5−10%に達する可能性がある」との見方を示しました。また、「誰でもパーティーは好きだが、盛大な宴の後には必ず二日酔いになるものだ」と語っています。(ブルームバーグ)なかなか「名言」ですが、かつてバブルの頃にも「音楽が鳴っている間はパーティーをやめられない」といった言葉があったことを思い出しました。
米大統領選に向けて、いまいち具体的な政策が不透明なバイデン氏でしたが、9日ミシガン州ウォーレンにある全米自動車労組(UAW)の施設の外で演説を行い、「海外に業務を移す企業に10%の税を上乗せし、国内で雇用を生み出す企業には10%の税額控除を行う」という案を発表しました。さらにアメリカを偉大にし、ミシガンを偉大にしようと訴えました。ただ、この内容はトランプ氏の「専売特許」で、パクリの感は否めません。少なくとも、トランプ氏との政策の大きな違いは感じられません。第1回大統領候補テレビ討論会は今月29日に予定されていますが、ここでは政策の違いは、はっきりしてくると思います。
本日はECBの理事会です。金融政策の変更はないと予想されていますが、今朝のブルームバーグは、匿名を条件とした当局者の一人の話として、ECBは域内の景気回復には自信を深めており、年内の追加緩和の必要性が後退する可能性があると伝えています。個人消費が予想以上に良好で、今年のGDP予測が上方修正されるとの見方も示しているようです。追加緩和の可能性後退はユーロの上昇圧力になります。ユーロドルは今月1日に1.2の大台を達成し、その後軟調な展開が続いています。今朝の経済紙では、「ユーロ高、終幕の足音」とのヘッドラインで、ECBがさらなる追加緩和に踏み込む可能性を挙げ、ドル安を背景としたユーロ高が弱まりつつあるとの記事を載せています。ブルームバーグの記事とは真逆の内容ですが、個人的にはユーロ高の流れは不変と考えており、ECB高官がユーロ高をけん制したことが、足元でユーロが軟調に推移している最も大きな理由だと思っています。
本日のドル円は105円80銭〜106円60銭程度と予想しますが、上で述べたように、ECBの理事会後のラガルド総裁などの発言により、ユーロドルがどのような動きを見せるかがポイントになりそうです。
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明日(11日)のアナリストレポートはお休みとさせていただきます。ご愛読者の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上げます。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 9/7 | トランプ大統領 | 「デカップリングであろうと、すでに行っているような大規模関税の導入であろうと、われわれは中国への依存を終わらせるつもりだ」、「われわれは重要な製造品を米国内で生産し、米国に雇用を戻す」、「米国を捨てて中国などで雇用を創出する企業には関税を課す」 | -------- |
| 9/4 | パウエル・FRB議長 | 「今日発表された雇用統計は良いものだった」としながらも、「完全雇用に戻るには新型コロナを収束させる必要がある」、(金融政策については)「われわれは米経済が長期間低金利を必要とすると考える。それは経済活動を支援する」 | -------- |
| 9/3 | アンソニー・ニエベス・ISM委員長 | 「経済活動が再開する中、回答者のコメントは大部分が楽観的で、業況や経済に対する見方は業界によってばらつきがある、まだ再開していない業界は、足元の不透明性を引き続き不安に思っている」 | -------- |
| 9/2 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | (政策のシフトは)低い中立金利と根強い低いインフレに引き起こされた問題に、直接的かつ効率的に対処できる」、「これらの変更は相互に補強し合い、極めて低い中立金利の環境において当局の2大責務を達成する能力を大きく高める」 | -------- |
| 9/1 | ロウ:RBA総裁 | 政策委員会は高度に緩和的な政策を必要な限り維持する方針であり、追加な金融政策手段によってどのように回復を支えられるか引き続き検討している」 | -------- |
| 9/1 | ブレイナードFRB理事 | 「今後数カ月は、金融政策が安定から緩和的転換することが重要になろう」 | ドルが売られ、長期金利が低下。 |
| 8/31 | ポスティック・アトランタ連銀総裁 | 「金融政策は経済回復を支援する位置づけにあるが、今は米金融当局が目標達成のために次にどんな措置を取るか説明する時期ではない」 | -------- |
| 8/31 | クラリダ・FRB副議長 | 「利回りの抑制や目標化は現在の環境では正当化されないが、将来に状況が著しく変化した場合見直すことができるよう、FOMCは選択肢として残して置くべきだ」 | -------- |
| 8/27 | パウエル・FRB議長 | 「方針変更に関する声明は、広い範囲で包括的な雇用の最大化を目指すことを強調している」「この変更はわれわれが力強い労働市場の重要性を認めていることを反映しており、特に低・中所得層地域の多くではなおさら重要だと考える」(ジャクソンホールでのバーチャル講演で) | -------- |
| 8/19 | FOMC議事録 | 「今会合より後の金融政策の見通しについては、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジはたどる可能性の高い道筋に関して明瞭さを高めることが、ある時点で適切となると、幾人かの参加者が指摘した」、「新型コロナウイルス感染拡大が経済活動を顕著に制している間は、新たなガイダンスを示す必要性は低下している」 | 株と債券が売られ、長期金利が上昇したことからドル円は105円台後半から106円台前半まで買われる。 |
| 8/17 | ミシェル・オバマ前大統領夫人 | 「トランプ大統領は、大統領職を務められると証明できる十分な時間があったのに、今では明らかにお手上げ状態になっている」、「黒人の命が重要という単純な事実をも愚弄している」、「われわれはジョー・バイデンに投票しなければいけない」 | -------- |
| 8/6 | ベイリー・BOE総裁 | 「国内経済が回復するまでの長い道のりを支え続ける用意がある」、「早期に政策を引き締めることはない」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



