今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米ナスダック3%を超える下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は105円50銭まで買われる。株価の大幅安から、ユーロなど主要通貨に対してドルが買われ、ドル円もつれ高に。
  • ユーロドルは続落し、約2カ月ぶりとなる1.1652までユーロ安が進行。
  • 株式市場は再び大幅安に。ダウは525ドル下げ、ナスダックは3%を超える大幅下落。FRB幹部が米景気の回復にややネガティブな発言が相次いだことに反応。
  • 債券相場は小動き。長期金利は0.67%台で推移。
  • 金は大幅に下落し、1900ドルの大台を割り込む。原油は小幅に続伸。
*******************
7月FHFA住宅価格指数 → 1.0%
*******************
ドル/円 105.09 〜 105.50
ユーロ/ドル 1.1652 〜 1.1704
ユーロ/円 122.76 〜 123.02
NYダウ −525.05 → 26,763.13ドル
GOLD −39.20 → 1,868.40ドル
WTI +0.13 → 39.93ドル
米10年国債 +0.002 → 0.672%

本日の注目イベント

  • 日   日銀金融政策決定会合、議事要旨(7月14日、15日分)
  • 独   独9月ifo景況感指数
  • トルコ トルコ中銀、政策金利発表
  • 欧   ECB経済報告
  • 欧   EU臨時首脳会議(25日まで)
  • 英   ベイリー・BOE総裁講演
  • 米   新規失業保険申請件数
  • 米   8月新築住宅販売件数
  • 米   ムニューシン財務長官とパウエル議長、上院で証言
  • 米   エバンス・シカゴ連銀総裁講演
  • 米   カプラン・ダラス連銀総裁講演
  • 米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
  • 米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
  • 米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演

本日のコメント

「有事のドル買い?」昨日のNY市場ではドルがユーロやポンドに対して買われ、ドル円もその流れに引き寄せられるかのように105円50銭までドル高が進みました。ユーロドルは1.1652まで売られ、7月27日以来のユーロ安水準を付けています。

ドル高のトリガーはNY株式市場での株価の大幅下落でした。ダウは525ドル下げ、2万7000ドルの大台を割り込み、ハイテク銘柄の多いナスダック指数は3%を超える下げとなり、こちらも1万1000ポイントの大台を割り込みました。1万2056ポイントの最高値からは11.8%下げたことになり、その最高値は今月2日に記録したばかりです。FOMCでは、米金利は2023年末まで引き上げがないことを示唆しており、株式市場を取り巻く間環に大きな変化が見られない中での下落基調です。やはりハイテク株がけん引する形で実態以上に大きく買われ過ぎた反動ということでしょうか。高値から10%を超えると「調整局面入り」とされるナスダック指数は、当面上値の重い展開が続く可能性がありますが、ナスダック急騰の背景には日本の個人投資家の資金も多く入っているとのデータもあるようです。改めて「上がり続ける相場はない」ということを肝に銘じたいところです。

その株価の大幅下落につながったのがパウエル議長をはじめとするFRB幹部の発言だったようです。パウエル議長は下院特別小委員会の公聴会で、金融当局が実施した支援策は国民ではなく、金融市場を助けたのではないかと議員に問い詰められ、「われわれの行動は断じて、ウォール街の痛みを和らげることが狙いではない」と答え、財政面からの支援策は「他に匹敵するものがないぐらい重要だ」とし、あらためて追加対策を求めました。またクラリダFRB副議長も、現在ゼロ付近にある政策金利について、「2%のインフレ率が実際に少なくとも数カ月続き、さらに完全雇用を達成するまで金融当局は利上げを検討することはない」としながらも、景気については、「経済は力強く回復しているが、なお深い穴の中にある」とし、「長期的には 米国は持続可能な財政軌道に戻る必要があるが、過去90年で最悪という経済状況のただ中でそれを始めるべきでない」と語っています。(ブルームバーグ)FRBの議長、副議長に加え、クリーブランド連銀のメスター総裁も、これに共鳴する内容の発言を行い、シカゴ連銀のエバンス総裁は、2021年末までに失業率が5.5%に低下すると予想するが、これは大規模な財政支出を伴う景気対策が前提だと述べています。さらにボストン連銀のローゼングレン総裁は最も悲観的で、新型コロナの感染第2波と景気対策の不在が意味するのは、「景気回復の最も苦しい局面は、まだこれからだということだ」と述べています。これら一連の発言が、景気回復には時間がかかり追加の財政支援が不可欠であり、投資家が、それほど足元の景気が厳しい状にあることを再認識させるのには十分だったようです。

昨日は株価の大幅下落の割には、安全資産である債券は買われず、やや軟調でした。また、同じく安全資産の「金」も大きく売られ、こちらは7月25日以来となる1900ドル割れまで下落しています。結局、昨日の市場全体では「ドル」が最も安全な資産と見なされ、「有事のドル買い」につながったと考えられます。

本日は日本株の下げも昨日のように小幅では済まないと思われます。ただ、上で述べたように日本株が大きく下げても「有事のドル買い」につながるかどうかは不透明です。ドル円の予想レンジは104円90銭〜105円70銭程度でしょうか。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
9/23 クラリダ・FRB副議長 「インフレを実際に目にするまで利上げ開始を考え始めることすらないだろう。インフレの判断基準は前年比ベースで2%以上だ」、「つまりそれは少なくとも、そのい水準に達した後でも政策金利を現行水準で維持する可能性があるということだ」 --------
9/22 エバンス・シカゴ連銀総裁 (インフレ目標の)「平均が何を意味するのか、依然として協議の余地がある」、(インフレ率が)「平均2%になり始める前に利上げを開始することはあり得る」 --------
9/22 パウエル・FRB議長(下院金融委員会で) 「先行きはコロナウイルスの抑制、政府のあらゆるレベルでの政策措置にかかってくる」、景気回復は進行しているものの、「先行きは極めて不透明だ」 --------
9/16 パウエル・FRB議長 「景気回復は大方の予想より速いペースで進んでいる」「今後の道筋は依然極めて不透明だ」「景気回復の継続を予想する民間の分析は、その大多数が財政による大規模な追加支援があると想定している」「約1100万人の米国民が依然失業中で、追加支援を必要としている」 景気回復の勢い継続を確信できないとの認識を示したため、株価が下げ、債券も売られ、ドルはやや上昇。
9/16 FOMC声明文 FRBは現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆる手段を用い、それによって最大限の雇用と物価安定という目標を促進することにコミットしている。期間平均で2%のインフレ率を達成し、中期的なインフレ期待が2%でしっかりとどまり続けるまで、緩和的な金融政策スタンスを維持する方針だ。 株価は上昇しドル円は下落。
9/13 ラガルド・ECB総裁 「物価安定の目標達成において、今も将来も油断は許されない」、「最近のユーロ相場上昇で金融政策のインフレ押し上げ効果が一部相殺された」 --------
9/7 トランプ大統領 「デカップリングであろうと、すでに行っているような大規模関税の導入であろうと、われわれは中国への依存を終わらせるつもりだ」、「われわれは重要な製造品を米国内で生産し、米国に雇用を戻す」、「米国を捨てて中国などで雇用を創出する企業には関税を課す」 --------
9/4  パウエル・FRB議長 「今日発表された雇用統計は良いものだった」としながらも、「完全雇用に戻るには新型コロナを収束させる必要がある」、(金融政策については)「われわれは米経済が長期間低金利を必要とすると考える。それは経済活動を支援する」 --------
9/3 アンソニー・ニエベス・ISM委員長 「経済活動が再開する中、回答者のコメントは大部分が楽観的で、業況や経済に対する見方は業界によってばらつきがある、まだ再開していない業界は、足元の不透明性を引き続き不安に思っている」 --------
9/2 ウィリアムズ・NY連銀総裁 (政策のシフトは)低い中立金利と根強い低いインフレに引き起こされた問題に、直接的かつ効率的に対処できる」、「これらの変更は相互に補強し合い、極めて低い中立金利の環境において当局の2大責務を達成する能力を大きく高める」 --------
9/1 ロウ・RBA総裁 政策委員会は高度に緩和的な政策を必要な限り維持する方針であり、追加な金融政策手段によってどのように回復を支えられるか引き続き検討している」 --------
9/1 ブレイナード・FRB理事 「今後数カ月は、金融政策が安定から緩和的転換することが重要になろう」 ドルが売られ、長期金利が低下。
8/31 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「金融政策は経済回復を支援する位置づけにあるが、今は米金融当局が目標達成のために次にどんな措置を取るか説明する時期ではない」 --------
8/31 クラリダ・FRB副議長 「利回りの抑制や目標化は現在の環境では正当化されないが、将来に状況が著しく変化した場合見直すことができるよう、FOMCは選択肢として残して置くべきだ」 --------
8/27 パウエル・FRB議長 「方針変更に関する声明は、広い範囲で包括的な雇用の最大化を目指すことを強調している」「この変更はわれわれが力強い労働市場の重要性を認めていることを反映しており、特に低・中所得層地域の多くではなおさら重要だと考える」(ジャクソンホールでのバーチャル講演で) --------
8/19 FOMC議事録 「今会合より後の金融政策の見通しについては、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジはたどる可能性の高い道筋に関して明瞭さを高めることが、ある時点で適切となると、幾人かの参加者が指摘した」、「新型コロナウイルス感染拡大が経済活動を顕著に制している間は、新たなガイダンスを示す必要性は低下している」 株と債券が売られ、長期金利が上昇したことからドル円は105円台後半から106円台前半まで買われる。
8/17 ミシェル・オバマ前大統領夫人 「トランプ大統領は、大統領職を務められると証明できる十分な時間があったのに、今では明らかにお手上げ状態になっている」、「黒人の命が重要という単純な事実をも愚弄している」、「われわれはジョー・バイデンに投票しなければいけない」 --------
8/6 ベイリー・BOE総裁 「国内経済が回復するまでの長い道のりを支え続ける用意がある」、「早期に政策を引き締めることはない」 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和