「ドル円トランプショックから回復」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- トランプ大統領がコロナに感染したとの報道で東京時間に104円台後半まで売られたドル円はNYではやや反発。105円39銭まで反発し、高値圏で引ける。
- ユーロドルはやや水準を切り下げ1.17前後まで下落。
- 株式市場はトランプ大統領がコロナに感染したことで下落。朝方は430ドルを超える下げを見せたが、その後落ち着きを取り戻す。ダウは134ドル下げ、ナスダックは251ポイント下げて取引を終える。
- 債券は反落。長期金利は約1カ月ぶりに0.7%台に上昇。
- 金は反落し、原油は大幅安。
9月失業率 → 7.9%
9月非農業部門雇用者数 → 66.1万人
9月平均時給(前月比) → 0.1%
9月平均時給(前年比) → 4.7%
9月労働参加率 → 61.4
9月製造業受注 → 0.7%
9月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 80.4
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| ドル/円 | 105.12 〜 105.39 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1699 〜 1.1734 |
| ユーロ/円 | 123.10 〜 123.55 |
| NYダウ | −134.09 → 27,682.81ドル |
| GOLD | −8.70 → 1,907.60ドル |
| WTI | −1.67 → 37.05ドル |
| 米10年国債 | +0.023 → 0.701% |
本日の注目イベント
- 欧 ユーロ圏9月サービス業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏9月総合PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏8月小売売上高
- 欧 ノーベル医学生理学賞受賞者発表
- 米 9月ISM非製造業景況指数
- 米 9月マークイッサービス業PMI(改定値)
- 米 9月マークイットコンポジットPMI(改定値)
- 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
- 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
本日のコメント
先週末金曜日の午後2時、「トランプ大統領が新型コロナ陽性!!」との突然のニュースに、105円50銭台で推移していたドル円は急激に値を崩し、105円を割り込み、104円95銭前後までドル安が進みました。日経平均株価の方も、プラス圏からマイナス200円を超える下げに転じました。この日は夜、雇用統計の発表があり、市場はのんびりした雰囲気でしたが、思いもかけない「トランプショック」に市場はやや動揺したようです。特に株式市場では前日、東証のシステムトラブルが発生し、終日取引停止になっており、この日は2020年度下期の初日ということもあり個人投資家を中心に動揺が広がったようです。
トランプ大統領のコロナ感染を受けたNYでは、株式市場が朝方から大きく下げて取引が始まったものの、その後下げ幅を縮小して取引を終えましたが、ナスダックの下げ幅はやや大きかったようです。トランプ大統領のその後の容態は改善の方向に向っているようで、執務を行っている映像も流されましたが、2日には酸素吸入を行ったとの報道もあり、厳しい状況だったようです。「高齢」と「肥満」のトランプ氏はやはりリスクが高く、「ここ数日が正念場」と見られていますが4日には担当医の一人が、「早ければ5日に退院する可能性がある」と語っています。
「トランプ氏は、コロナにかかるべくして、かかった」というのが、個人的な印象です。そもそも、トランプ氏は日頃からマスクをほとんど付けてはおらず、第1回大統領候補テレビ討論会では、テーマがコロナ感染に及んだ際、司会者に「貴方はマスクの効果を評価していませんでしたが、そうですね?」と質問されると、おもむろに上着のポケットから黒いマスクを取り出し、それを掲げて「マスクが必要なら、今でもつけることができる」と、質問には全く答えていないシーンがありました。また連邦最高裁判所の判事に、エイミー・バレット氏を指名し、そのお披露目をホワイトハウスの庭で行ったイベントでは、トランプ氏やバレット氏だけではなく、参加者のほとんどがマスクを着けてはいませんでした。2列目に着席していた人物の何人かはマスクを着用していましたが、メラニア夫人、ペンス副大統領など、最前列に座っている人は誰もマスクを着けてはいませんでした。メラニア夫人は感染しましたが、ペンス副大統領は、よく感染しなかったものと感心しています。因みに、このイベントではトランプ氏を含めて9人の感染が確認されており、参加者の1人である、前ニュージャージー州知事のクリスティー氏も感染し、入院しています。
9月の雇用統計では非農業部門雇用者は市場予想を下回っていましたが、失業率は「7.9%」と、5カ月連続の改善でした。市場はこの結果を「ニュートラル」と受け止め、大きな動きにはつながっていません。ドル円は平静を取り戻した感がありますが、今後もトランプ氏の容態がどのように変化するのかがポイントになります。5日にも退院するようなら、株式市場は好感し、株高・ドル高に振れる可能性が高いと思われます。また、紛糾している追加の景気対策についても、トランプ氏自身が取りまとめを急ぐよう指示していることもあり、合意が近い可能性もあります。ペロシ下院議長も、ホワイトハウスとの交渉を楽観視しており、「こうしたことが多少力学を変える」と語っています。(ブルームバーグ)「禍転じて福と為す」といったところでしょうか。
本日のドル円は105円10銭〜106円程度でしょうか。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 9/28 | ラガルド・ECB総裁 | 「政策委員会は中期的なインフレ見通しに対する影響という観点から、為替の動向を含めて今後入って来る全ての情報を注意深く吟味する」、「ECB政策委員会はあらゆる手段を適宜調整する用意がある」 | -------- |
| 9/28 | ペロシ・下院議長 | 「われわれはこの問題を片付けられる。ムニューシン財務長官が交渉のテーブルに戻る用意が調えば、われわれはこれを話い合うことができる」、「ただし、問題を片付けるためには長官がずっと大きな規模の案を打ち返してくる必要がある」 | NY株式市場が好感し、主要指数が揃って大幅に上昇。 |
| 9/23 | クラリダ・FRB副議長 | 「インフレを実際に目にするまで利上げ開始を考え始めることすらないだろう。インフレの判断基準は前年比ベースで2%以上だ」、「つまりそれは少なくとも、その水準に達した後でも政策金利を現行水準で維持する可能性があるということだ」 | -------- |
| 9/22 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | (インフレ目標の)「平均が何を意味するのか、依然として協議の余地がある」、(インフレ率が)「平均2%になり始める前に利上げを開始することはあり得る」 | -------- |
| 9/22 | パウエル・FRB議長(下院金融委員会で) | 「先行きはコロナウイルスの抑制、政府のあらゆるレベルでの政策措置にかかってくる」、景気回復は進行しているものの、「先行きは極めて不透明だ」 | -------- |
| 9/16 | パウエル・FRB議長 | 「景気回復は大方の予想より速いペースで進んでいる」「今後の道筋は依然極めて不透明だ」「景気回復の継続を予想する民間の分析は、その大多数が財政による大規模な追加支援があると想定している」「約1100万人の米国民が依然失業中で、追加支援を必要としている」 | 景気回復の勢い継続を確信できないとの認識を示したため、株価が下げ、債券も売られ、ドルはやや上昇。 |
| 9/16 | FOMC声明文 | FRBは現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆる手段を用い、それによって最大限の雇用と物価安定という目標を促進することにコミットしている。期間平均で2%のインフレ率を達成し、中期的なインフレ期待が2%でしっかりとどまり続けるまで、緩和的な金融政策スタンスを維持する方針だ。 | 株価は上昇しドル円は下落。 |
| 9/13 | ラガルド・ECB総裁 | 「物価安定の目標達成において、今も将来も油断は許されない」、「最近のユーロ相場上昇で金融政策のインフレ押し上げ効果が一部相殺された」 | -------- |
| 9/7 | トランプ大統領 | 「デカップリングであろうと、すでに行っているような大規模関税の導入であろうと、われわれは中国への依存を終わらせるつもりだ」、「われわれは重要な製造品を米国内で生産し、米国に雇用を戻す」、「米国を捨てて中国などで雇用を創出する企業には関税を課す」 | -------- |
| 9/4 | パウエル・FRB議長 | 「今日発表された雇用統計は良いものだった」としながらも、「完全雇用に戻るには新型コロナを収束させる必要がある」、(金融政策については)「われわれは米経済が長期間低金利を必要とすると考える。それは経済活動を支援する」 | -------- |
| 9/3 | アンソニー・ニエベス・ISM委員長 | 「経済活動が再開する中、回答者のコメントは大部分が楽観的で、業況や経済に対する見方は業界によってばらつきがある、まだ再開していない業界は、足元の不透明性を引き続き不安に思っている」 | -------- |
| 9/2 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | (政策のシフトは)低い中立金利と根強い低いインフレに引き起こされた問題に、直接的かつ効率的に対処できる」、「これらの変更は相互に補強し合い、極めて低い中立金利の環境において当局の2大責務を達成する能力を大きく高める」 | -------- |
| 9/1 | ロウ・RBA総裁 | 政策委員会は高度に緩和的な政策を必要な限り維持する方針であり、追加な金融政策手段によってどのように回復を支えられるか引き続き検討している」 | -------- |
| 9/1 | ブレイナード・FRB理事 | 「今後数カ月は、金融政策が安定から緩和的転換することが重要になろう」 | ドルが売られ、長期金利が低下。 |
| 8/31 | ポスティック・アトランタ連銀総裁 | 「金融政策は経済回復を支援する位置づけにあるが、今は米金融当局が目標達成のために次にどんな措置を取るか説明する時期ではない」 | -------- |
| 8/31 | クラリダ・FRB副議長 | 「利回りの抑制や目標化は現在の環境では正当化されないが、将来に状況が著しく変化した場合見直すことができるよう、FOMCは選択肢として残して置くべきだ」 | -------- |
| 8/27 | パウエル・FRB議長 | 「方針変更に関する声明は、広い範囲で包括的な雇用の最大化を目指すことを強調している」「この変更はわれわれが力強い労働市場の重要性を認めていることを反映しており、特に低・中所得層地域の多くではなおさら重要だと考える」(ジャクソンホールでのバーチャル講演で) | -------- |
| 8/19 | FOMC議事録 | 「今会合より後の金融政策の見通しについては、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジはたどる可能性の高い道筋に関して明瞭さを高めることが、ある時点で適切となると、幾人かの参加者が指摘した」、「新型コロナウイルス感染拡大が経済活動を顕著に制している間は、新たなガイダンスを示す必要性は低下している」 | 株と債券が売られ、長期金利が上昇したことからドル円は105円台後半から106円台前半まで買われる。 |
| 8/17 | ミシェル・オバマ前大統領夫人 | 「トランプ大統領は、大統領職を務められると証明できる十分な時間があったのに、今では明らかにお手上げ状態になっている」、「黒人の命が重要という単純な事実をも愚弄している」、「われわれはジョー・バイデンに投票しなければいけない」 | -------- |
| 8/6 | ベイリー・BOE総裁 | 「国内経済が回復するまでの長い道のりを支え続ける用意がある」、「早期に政策を引き締めることはない」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



