「ユーロドル2週間ぶりに1.18台を回復」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は小幅に反落したものの、105円台半ばを維持。トランプ大統領が追加の経済対策の協議停止を指示したことでリスクオンの流れが後退。
- ユーロドルは続伸し、2週間ぶりに1.18台に乗せる。
- 株式市場は大幅に反落。トランプ大統領が追加の経済対策協議を選挙後に延期すると指示したことが背景。ダウは午後に急速に下げ幅を拡大し、前日比375ドル安で引ける。
- 債券は反発。長期金利は0.73%台へと低下。
- 金は反落。原油はハリケーン「デルタ」の接近などから大幅に続伸。
8月貿易収支 → −671億ドル
****************
| ドル/円 | 105.48 〜 105.71 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1732 〜 1.1807 |
| ユーロ/円 | 123.84 〜 124.73 |
| NYダウ | −375.88 → 27,772.76ドル |
| GOLD | −11.30 → 1,908.80ドル |
| WTI | +1.45 → 40.67ドル |
| 米10年国債 | −0.046 → 0.735% |
本日の注目イベント
- 日 8月景気先行指数(CI)(速報値)
- 中 中国9月外貨準備高
- 独 独8月鉱工業生産
- 欧 ラガルド・ECB総裁講演
- 欧 IOC理事会(ローザンヌ)
- 欧 ノーベル化学賞受賞者発表
- 米 8月消費者信用残高
- 米 FOMC議事録(9月15、16日分)
- 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
- 米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
- 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
- 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
- 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
- 米 米副大統領候補討論会(ユタ州、ソルトレークシティー)
本日のコメント
引き続きトランプ大統領の言動に相場が振らされる展開です。5日に退院したトランプ大統領は、元気な姿を盛んにアピールし、多くのメディアがそのパフォーマンスを放映していました。ホワイトハウスに戻ったトランプ氏は、あえてマスクを外し、カメラに向かってポーズをとるなどしていましたが、その姿は心なしか元気がないように見えました。また、その姿をよく見ると、わずか3日の間に「痩せて、まゆげに変化が出ていた」と感じたのは筆者だけではないと思われますが、一気に歳を感じさせました。一部の報道は「トランプ氏が強制的に退院を指示した」と伝えています。主治医も、「完全には安心できない状態かもしれない」ことを認めています。
そのトランプ氏が早速行ったツイートは、追加の経済対策について「選挙後まで交渉を止めるよう担当者に指示した。私の勝利直後に勤勉な米国人の人々や中小企業を重点対象とした大規模な景気対策法案を通す」と主張しました。ホワイトハウスと議会による数カ月に及ぶ協議が事実上終了したことを受け、株式市場では株価が急速に下げ、それまで前日比小幅高で推移していたダウは一時400ドルを超える下げに転じ、ドル円も105円台半ばを割り込みました。このツイート直前にパウエルFRB議長が講演で、十分な政府支援がなければ米景気回復は弱まると警告したばかりであったこともあり、このトランプ氏のツイートに株式市場は大きく反応しました。
パウエル議長は全米エコノミスト協会が主催したオンライン形式の会議で講演し、「政府の支援があまりに少なければ景気回復は弱くなり、家計と企業を不必要に苦しめることになる」と指摘し、「それに対し、支援が行き過ぎることのリスクは、現段階ではより小さいと思える。政策対応が結局のところ必要以上に大きいことが後に分かったとしても、無駄にはならない」と、政府支援の必要性を訴えていました。(ブルームバーグ)
ドル円は株価の大幅な下げに、若干ドル安は進みましたが値動きは限定的でした。もっとも、前日の株価の大幅上昇や金利高にも反応薄だったこともあり、為替のボラティリティはまだ低水準と言えます。ここは、だからと言って安心せず、米大統領選まで1カ月を切っています。本日も副大統領候補のテレビ討論会があります。ペンス氏もハリス氏も、いずれも「次の次の大統領候補」の可能性もあり、その討論会は注目されます。前回の大統領候補の討論会が、討論会ではなく非難合戦に終始したこともあり、政策論争を期待したいところです。
新型コロナウイルスの感染は依然として収まる気配がありません。欧州ではフランス、スペインに続いてドイツでも一日の感染者数が急増しています。また米国でも、カリフォルニア州やフロリダ州など、人口の多い州では感染の勢いは鈍化しているものの、中西部ではかつてない感染拡大が起きており、北東部一部でも再び広がり始めています。日本も今月から東京都が「GO toキャンペーン」の対象に加わり、観光地には人が戻ってきました。秋の紅葉も北から徐々に南下しており、間もなく観光シーズンがピークを迎えます。この後の感染が心配ですが、WHOが公表した「世界人口の1割に当たる約7億8千万人が新型コロナウイルスに感染した」という試算は衝撃的でした。
本日のドル円は105円20銭〜106円程度を予想します。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 10/6 | トランプ大統領 | (追加の経済対策について)「選挙後まで交渉を止めるよう担当者に指示した。私の勝利直後に勤勉な米国人の人々や中小企業を重点対象とした大規模な景気対策法案を通す」 | ダウは一時400ドルを超える下げに、ドル円は小幅にドル安が進行。 |
| 10/6 | パウエル・FRB議長 | 「政府の支援があまりに少なければ景気回復は弱くなり、家計と企業を不必要に苦しめることになる。」「それに対し、支援が行き過ぎることのリスクは、現段階ではより小さいと思える。政策対応が結局のところ必要以上に大きいことが後に分かったとしても、無駄にはならない」 | 株価は小幅に上昇。 |
| 9/28 | ラガルド・ECB総裁 | 「政策委員会は中期的なインフレ見通しに対する影響という観点から、為替の動向を含めて今後入って来る全ての情報を注意深く吟味する」、「ECB政策委員会はあらゆる手段を適宜調整する用意がある」 | -------- |
| 9/28 | ペロシ・下院議長 | 「われわれはこの問題を片付けられる。ムニューシン財務長官が交渉のテーブルに戻る用意が調えば、われわれはこれを話い合うことができる」、「ただし、問題を片付けるためには長官がずっと大きな規模の案を打ち返してくる必要がある」 | NY株式市場が好感し、主要指数が揃って大幅に上昇。 |
| 9/23 | クラリダ・FRB副議長 | 「インフレを実際に目にするまで利上げ開始を考え始めることすらないだろう。インフレの判断基準は前年比ベースで2%以上だ」、「つまりそれは少なくとも、その水準に達した後でも政策金利を現行水準で維持する可能性があるということだ」 | -------- |
| 9/22 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | (インフレ目標の)「平均が何を意味するのか、依然として協議の余地がある」、(インフレ率が)「平均2%になり始める前に利上げを開始することはあり得る」 | -------- |
| 9/22 | パウエル・FRB議長(下院金融委員会で) | 「先行きはコロナウイルスの抑制、政府のあらゆるレベルでの政策措置にかかってくる」、景気回復は進行しているものの、「先行きは極めて不透明だ」 | -------- |
| 9/16 | パウエル・FRB議長 | 「景気回復は大方の予想より速いペースで進んでいる」「今後の道筋は依然極めて不透明だ」「景気回復の継続を予想する民間の分析は、その大多数が財政による大規模な追加支援があると想定している」「約1100万人の米国民が依然失業中で、追加支援を必要としている」 | 景気回復の勢い継続を確信できないとの認識を示したため、株価が下げ、債券も売られ、ドルはやや上昇。 |
| 9/16 | FOMC声明文 | FRBは現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆる手段を用い、それによって最大限の雇用と物価安定という目標を促進することにコミットしている。期間平均で2%のインフレ率を達成し、中期的なインフレ期待が2%でしっかりとどまり続けるまで、緩和的な金融政策スタンスを維持する方針だ。 | 株価は上昇しドル円は下落。 |
| 9/13 | ラガルド・ECB総裁 | 「物価安定の目標達成において、今も将来も油断は許されない」、「最近のユーロ相場上昇で金融政策のインフレ押し上げ効果が一部相殺された」 | -------- |
| 9/7 | トランプ大統領 | 「デカップリングであろうと、すでに行っているような大規模関税の導入であろうと、われわれは中国への依存を終わらせるつもりだ」、「われわれは重要な製造品を米国内で生産し、米国に雇用を戻す」、「米国を捨てて中国などで雇用を創出する企業には関税を課す」 | -------- |
| 9/4 | パウエル・FRB議長 | 「今日発表された雇用統計は良いものだった」としながらも、「完全雇用に戻るには新型コロナを収束させる必要がある」、(金融政策については)「われわれは米経済が長期間低金利を必要とすると考える。それは経済活動を支援する」 | -------- |
| 9/3 | アンソニー・ニエベス・ISM委員長 | 「経済活動が再開する中、回答者のコメントは大部分が楽観的で、業況や経済に対する見方は業界によってばらつきがある、まだ再開していない業界は、足元の不透明性を引き続き不安に思っている」 | -------- |
| 9/2 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | (政策のシフトは)低い中立金利と根強い低いインフレに引き起こされた問題に、直接的かつ効率的に対処できる」、「これらの変更は相互に補強し合い、極めて低い中立金利の環境において当局の2大責務を達成する能力を大きく高める」 | -------- |
| 9/1 | ロウ・RBA総裁 | 政策委員会は高度に緩和的な政策を必要な限り維持する方針であり、追加な金融政策手段によってどのように回復を支えられるか引き続き検討している」 | -------- |
| 9/1 | ブレイナード・FRB理事 | 「今後数カ月は、金融政策が安定から緩和的転換することが重要になろう」 | ドルが売られ、長期金利が低下。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



