「ドル円105円近辺まで下落」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は小幅に続落し、105円04銭まで売られる。特段材料がない中、株安、金利低下に加え、ドルがポンドに対して売られたことも影響。
- ユーロドルは前日からほぼ水準を変えず、1.17台半ばから後半で推移。
- 株式市場は続落。ムニューシン財務長官が経済対策の合意に否定的な発言を行ったことでダウは165ドル安。
- 債券は小幅に続伸。長期金利は0.72%台と変わらず。
- 金は反発。原油は続伸し41ドル台に乗せる。
| ドル/円 | 105.04 〜 105.33 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1744 〜 1.1771 |
| ユーロ/円 | 123.47 〜 123.82 |
| NYダウ | −165.81 → 28,514.00ドル |
| GOLD | +12.70 → 1,907.30ドル |
| WTI | +0.84 → 41.04ドル |
| 米10年国債 | −0.002 → 0.726% |
本日の注目イベント
- 豪 豪9月雇用統計
- 中 中国9月消費者物価指数
- 中 中国9月生産者物価指数
- 欧 ラガルド・ECB総裁講演
- 欧 EU首脳会議
- 米 10月NY連銀製造業景況指数
- 米 9月輸入物価指数
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 10月フィラデルフィア連銀景況指数
- 米 クオールズ・FRB副議長講演
- 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
- 米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
- 米 企業決算 → モルガンスタンレー
本日のコメント
既に大統領選前に合意する可能性はほとんどないことは分かっているものの、ムニューシン財務長官が経済対策の合意に否定的な発言を行ったことでNY株式市場は売りで反応し、主要3指数は揃って続落しました。ドル円もこの影響もあり、105円04銭までドル安が進み、約2週間ぶりの水準を付けています。大統領選まで3週間を切り、相場を動かすドライバーは「米大統領選」と「追加の経済対策」を巡る情報に絞られますが、今週に関してはそれに加えて、英国とEUの通商交渉の行方といった状況です。
ムニューシン財務長官は14日、ペロシ下院議長と電話で協議を行いましたが合意には至らず、「協議がここまで入り組んでいることを踏まえると、現時点では選挙前に何かを成し遂げ、実行することは難しい」と述べ、選挙前の合意はほぼ絶望的となりました。ムニューシン氏は来週中東訪問を予定しており、「選挙後すぐに議会を通過させられるような合意がまとまる可能性も厳しくなっている」とブルームバーグは伝えています。ペロシ下院議長は経済対策の包括的合意を目指し、規模も2兆2000億ドル(約231兆円)を維持する構えを見せていますが、政権側は1兆8000億ドルまで譲歩してきたものの、その差は依然として大きいことから、中小企業支援に絞った案を先に合意するよう求めています。経済対策で選挙前に合意し、トランプ氏を有利に持っていきたい共和党と、そうはさせずトランプ政権にダメージを与えたいとする民主党の「政治的戦略」も見えかくれしているようです。
ジョンソン英首相はこれまで、EU首脳会議が始まる15日までに明確な進展がなければ交渉を打ち切ると明言していましたが、15日以降も交渉を続ける見通しだと関係者が明らかにしました。ジョンソン首相は欧州委員会のフォンデアライエン委員長と電話会議を行う予定で、同首相の顧問は数日内に協議を再開すれば合意は可能だと首相に提言するものと見られています。この報道で前日売られたポンドは反発しています。
クラリダFRB副議長は14日講演で、「経済が一気に悪化した春からの立ち直りは力強かったが、新型コロナウイルス感染症によるリセッションから経済が完全に回復するまでの道のりは長いことを忘れてはならない」と述べ、景気の回復までに1年を要する可能性があり、雇用の完全回復には「さらに長い時間」がかかるだろうとの認識を示しました。
ドル円は再び105円割れを試す展開になってきました。今月2日には104円94銭まで下落し、その後106円台まで反発していることから、105円前後はサポートレベルと見られます。まだ大きな動きにはつながっていませんが、いつ動き出しても不思議ではありません。より小まめに市場をチェックすることも必要かと思います。
本日のドル円は104円80銭〜105円50銭程度を予想します。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 10/14 | クラリダ・FRB副議長 | 「経済が一気に悪化した春からの立ち直りは力強かったが、新型コロナウイルス感染症によるリセッションから経済が完全に回復するまでの道のりは長いことを忘れてはならない」景気の回復までに1年を要する可能性があり、雇用の完全回復には「さらに長い時間」がかかるだろうとの認識を示す。 | -------- |
| 10/7 | FOMC議事録 | 「幾人かの参加者は、会合後の声明に合意内容の重要要素を組み込むのは適切だということで同意したが、現時点でフォワードガイダンスを強化したり、利回りにさらに下向きの圧力をかける大きな余地をフォワードガイダンスに与えたりする必要性はないように思われると主張する参加者もいた」 | -------- |
| 10/6 | トランプ大統領 | (追加の経済対策について)「選挙後まで交渉を止めるよう担当者に指示した。私の勝利直後に勤勉な米国人の人々や中小企業を重点対象とした大規模な景気対策法案を通す」 | ダウは一時400ドルを超える下げに、ドル円は小幅にドル安が進行。 |
| 10/6 | パウエル・FRB議長 | 「政府の支援があまりに少なければ景気回復は弱くなり、家計と企業を不必要に苦しめることになる。」「それに対し、支援が行き過ぎることのリスクは、現段階ではより小さいと思える。政策対応が結局のところ必要以上に大きいことが後に分かったとしても、無駄にはならない」 | 株価は小幅に上昇。 |
| 9/28 | ラガルド・ECB総裁 | 「政策委員会は中期的なインフレ見通しに対する影響という観点から、為替の動向を含めて今後入って来る全ての情報を注意深く吟味する」、「ECB政策委員会はあらゆる手段を適宜調整する用意がある」 | -------- |
| 9/28 | ペロシ・下院議長 | 「われわれはこの問題を片付けられる。ムニューシン財務長官が交渉のテーブルに戻る用意が調えば、われわれはこれを話い合うことができる」、「ただし、問題を片付けるためには長官がずっと大きな規模の案を打ち返してくる必要がある」 | NY株式市場が好感し、主要指数が揃って大幅に上昇。 |
| 9/23 | クラリダ・FRB副議長 | 「インフレを実際に目にするまで利上げ開始を考え始めることすらないだろう。インフレの判断基準は前年比ベースで2%以上だ」、「つまりそれは少なくとも、その水準に達した後でも政策金利を現行水準で維持する可能性があるということだ」 | -------- |
| 9/22 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | (インフレ目標の)「平均が何を意味するのか、依然として協議の余地がある」、(インフレ率が)「平均2%になり始める前に利上げを開始することはあり得る」 | -------- |
| 9/22 | パウエル・FRB議長(下院金融委員会で) | 「先行きはコロナウイルスの抑制、政府のあらゆるレベルでの政策措置にかかってくる」、景気回復は進行しているものの、「先行きは極めて不透明だ」 | -------- |
| 9/16 | パウエル・FRB議長 | 「景気回復は大方の予想より速いペースで進んでいる」「今後の道筋は依然極めて不透明だ」「景気回復の継続を予想する民間の分析は、その大多数が財政による大規模な追加支援があると想定している」「約1100万人の米国民が依然失業中で、追加支援を必要としている」 | 景気回復の勢い継続を確信できないとの認識を示したため、株価が下げ、債券も売られ、ドルはやや上昇。 |
| 9/16 | FOMC声明文 | FRBは現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆる手段を用い、それによって最大限の雇用と物価安定という目標を促進することにコミットしている。期間平均で2%のインフレ率を達成し、中期的なインフレ期待が2%でしっかりとどまり続けるまで、緩和的な金融政策スタンスを維持する方針だ。 | 株価は上昇しドル円は下落。 |
| 9/13 | ラガルド・ECB総裁 | 「物価安定の目標達成において、今も将来も油断は許されない」、「最近のユーロ相場上昇で金融政策のインフレ押し上げ効果が一部相殺された」 | -------- |
| 9/7 | トランプ大統領 | 「デカップリングであろうと、すでに行っているような大規模関税の導入であろうと、われわれは中国への依存を終わらせるつもりだ」、「われわれは重要な製造品を米国内で生産し、米国に雇用を戻す」、「米国を捨てて中国などで雇用を創出する企業には関税を課す」 | -------- |
| 9/4 | パウエル・FRB議長 | 「今日発表された雇用統計は良いものだった」としながらも、「完全雇用に戻るには新型コロナを収束させる必要がある」、(金融政策については)「われわれは米経済が長期間低金利を必要とすると考える。それは経済活動を支援する」 | -------- |
| 9/3 | アンソニー・ニエベス・ISM委員長 | 「経済活動が再開する中、回答者のコメントは大部分が楽観的で、業況や経済に対する見方は業界によってばらつきがある、まだ再開していない業界は、足元の不透明性を引き続き不安に思っている」 | -------- |
| 9/2 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | (政策のシフトは)低い中立金利と根強い低いインフレに引き起こされた問題に、直接的かつ効率的に対処できる」、「これらの変更は相互に補強し合い、極めて低い中立金利の環境において当局の2大責務を達成する能力を大きく高める」 | -------- |
| 9/1 | ロウ・RBA総裁 | 政策委員会は高度に緩和的な政策を必要な限り維持する方針であり、追加な金融政策手段によってどのように回復を支えられるか引き続き検討している」 | -------- |
| 9/1 | ブレイナード・FRB理事 | 「今後数カ月は、金融政策が安定から緩和的転換することが重要になろう」 | ドルが売られ、長期金利が低下。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



