「米追加経済対策への期待が後退」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は105円台半ばで引き続き小動き。株価が大きく下げたものの、長期金利が上昇したことでドル円の水準は前日と変わらず。
- ユーロドルではややドル安が進行。EUと英国の通商交渉は依然として合意されないものの、協議が継続されるとの期待がユーロを支えた。ユーロドルは1.18に迫る水準まで上昇。
- 株式市場は大幅に下落。追加の経済対策を巡り与野党間の意見の相違が大きく、合意への期待感が後退。ダウは取引終盤に下げ幅を拡大し410ドル安。ナスダックは5日続落。
- 債券相場も続落し、長期金利は0.76%台後半まで上昇。
- 金は続伸し、原油は下げる。
10月NAHB住宅市場指数 → 85
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| ドル/円 | 105.30 〜 105.49 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1765 〜 1.1794 |
| ユーロ/円 | 124.03 〜 124.34 |
| NYダウ | −410.89 → 28,195.42ドル |
| GOLD | +5.30 → 1,911.70ドル |
| WTI | −0.05 → 40.83ドル |
| 米10年国債 | +0.023 → 0.769% |
本日の注目イベント
- 豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
- 独 独9月生産者物価指数
- 欧 ユーロ圏8月経常収支
- 米 9月住宅着工件数
- 米 クオールズ・FRB副議長講演
- 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
- 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
- 米 企業決算 → ネットフリックス、P&G、ロッキード
本日のコメント
追加の経済対策を巡り、協議の期限を20日に設定したペロシ下院議長は19日もムニューシン財務長官と電話協議を行いましたが、合意の範囲を巡って意見は対立したままです。NY株式市場では合意への期待感が後退し、ダウは大幅に値を下げて取り引きを終えました。為替市場では、ドル円はややドルが底堅い展開でしたが、「BREXIT」で揺れる欧州ではユーロ高ドル安に振れています。
ペロシ氏の報道官によれば、両氏の話合いは53分間に及んだようですが、全米ベースのコロナ検査プログラムや州政府支援の規模などで見解がまとまらず、「下院議長は選挙前に法案を通過させることができるかどうか、20日の終わりまでに明確にすることを依然として期待している。両氏は明日再び協議し、スタッフの作業は24時間体制で続けられる」と説明しています。(ブルームバーグ)
同じように欧州では、EUと英国の通商協議を巡る協議も難航しています。EUは通商協定の法的文書作成を初めて提案しましたが、英国はこれを取り合わず、EUとの通商協議について、再開する根拠が依然ないとしています。英政府の報道官は「建設的な協議だったが、EUのアプローチに根本的な変化がない限り、英国は交渉を再開する根拠はないと引き続き考えている」と述べています。16日には、「通商合意なしの離脱に備えて準備を加速する」と明言したジョンソン英首相の行動も気になるところですが、こちらの方も「時間との闘い」と言えます。
新型コロナウイルス感染者数がついに世界で4000万人を超えました。3000万人を超えてから約1カ月で1000万人増えたことになります。ここにきて、欧米での感染拡大が目立っており、米国ではウィスコンシン州など、大統領選の激戦州で感染が拡大しており、再選を目指すトランプ氏にとっては厳しい状況になっていると伝えられています。そのトランプ氏は支持率の奪回に向け精力的に遊説を行っていますが、相変わらず舌の滑りは好調で、国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長を「愚か者」と呼び、「われわれがファウチ氏に耳を傾けていたら、米国での死者は70万―80万人になっていただろう」と、具体的な根拠を示さずに非難していました。(ブルームバーグ)先週、トランプ氏がファウチ氏の言葉を引用し、ファウチ氏がトランプ氏を支持しているかのような誤解を与えたことを同氏が批判したことに対する当て付けかと思われます。欧州ではロンドン、パリ、ウイーンなどで夜間の行動が制限されており、アイルランドでは欧州で最も厳しいロックダウンに踏み切っています。これから冬に向かう北半球では、コロナが感染を拡大させやすい環境になります。世界景気にとって「不確実性」がさらに増すことになり、再び「経済活動の維持」と「コロナの封じ込め」という、相反する政策のバランスをコントロールすることが難しくなります。
本日のドル円は105円10銭〜105円70銭程度を予想します。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 10/18 | ゴーブ・英内閣府担当相 | (EUとの通商協議で)「私は合意を望んでいる。ぜひとも合意をまとめたいと考えている。扉はわずかだが開かれている」 | -------- |
| 10/14 | クラリダ・FRB副議長 | 「経済が一気に悪化した春からの立ち直りは力強かったが、新型コロナウイルス感染症によるリセッションから経済が完全に回復するまでの道のりは長いことを忘れてはならない」景気の回復までに1年を要する可能性があり、雇用の完全回復には「さらに長い時間」がかかるだろうとの認識を示す。 | -------- |
| 10/7 | FOMC議事録 | 「幾人かの参加者は、会合後の声明に合意内容の重要要素を組み込むのは適切だということで同意したが、現時点でフォワードガイダンスを強化したり、利回りにさらに下向きの圧力をかける大きな余地をフォワードガイダンスに与えたりする必要性はないように思われると主張する参加者もいた」 | -------- |
| 10/6 | トランプ大統領 | (追加の経済対策について)「選挙後まで交渉を止めるよう担当者に指示した。私の勝利直後に勤勉な米国人の人々や中小企業を重点対象とした大規模な景気対策法案を通す」 | ダウは一時400ドルを超える下げに、ドル円は小幅にドル安が進行。 |
| 10/6 | パウエル・FRB議長 | 「政府の支援があまりに少なければ景気回復は弱くなり、家計と企業を不必要に苦しめることになる。」「それに対し、支援が行き過ぎることのリスクは、現段階ではより小さいと思える。政策対応が結局のところ必要以上に大きいことが後に分かったとしても、無駄にはならない」 | 株価は小幅に上昇。 |
| 9/28 | ラガルド・ECB総裁 | 「政策委員会は中期的なインフレ見通しに対する影響という観点から、為替の動向を含めて今後入って来る全ての情報を注意深く吟味する」、「ECB政策委員会はあらゆる手段を適宜調整する用意がある」 | -------- |
| 9/28 | ペロシ・下院議長 | 「われわれはこの問題を片付けられる。ムニューシン財務長官が交渉のテーブルに戻る用意が調えば、われわれはこれを話い合うことができる」、「ただし、問題を片付けるためには長官がずっと大きな規模の案を打ち返してくる必要がある」 | NY株式市場が好感し、主要指数が揃って大幅に上昇。 |
| 9/23 | クラリダ・FRB副議長 | 「インフレを実際に目にするまで利上げ開始を考え始めることすらないだろう。インフレの判断基準は前年比ベースで2%以上だ」、「つまりそれは少なくとも、その水準に達した後でも政策金利を現行水準で維持する可能性があるということだ」 | -------- |
| 9/22 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | (インフレ目標の)「平均が何を意味するのか、依然として協議の余地がある」、(インフレ率が)「平均2%になり始める前に利上げを開始することはあり得る」 | -------- |
| 9/22 | パウエル・FRB議長(下院金融委員会で) | 「先行きはコロナウイルスの抑制、政府のあらゆるレベルでの政策措置にかかってくる」、景気回復は進行しているものの、「先行きは極めて不透明だ」 | -------- |
| 9/16 | パウエル・FRB議長 | 「景気回復は大方の予想より速いペースで進んでいる」「今後の道筋は依然極めて不透明だ」「景気回復の継続を予想する民間の分析は、その大多数が財政による大規模な追加支援があると想定している」「約1100万人の米国民が依然失業中で、追加支援を必要としている」 | 景気回復の勢い継続を確信できないとの認識を示したため、株価が下げ、債券も売られ、ドルはやや上昇。 |
| 9/16 | FOMC声明文 | FRBは現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆる手段を用い、それによって最大限の雇用と物価安定という目標を促進することにコミットしている。期間平均で2%のインフレ率を達成し、中期的なインフレ期待が2%でしっかりとどまり続けるまで、緩和的な金融政策スタンスを維持する方針だ。 | 株価は上昇しドル円は下落。 |
| 9/13 | ラガルド・ECB総裁 | 「物価安定の目標達成において、今も将来も油断は許されない」、「最近のユーロ相場上昇で金融政策のインフレ押し上げ効果が一部相殺された」 | -------- |
| 9/7 | トランプ大統領 | 「デカップリングであろうと、すでに行っているような大規模関税の導入であろうと、われわれは中国への依存を終わらせるつもりだ」、「われわれは重要な製造品を米国内で生産し、米国に雇用を戻す」、「米国を捨てて中国などで雇用を創出する企業には関税を課す」 | -------- |
| 9/4 | パウエル・FRB議長 | 「今日発表された雇用統計は良いものだった」としながらも、「完全雇用に戻るには新型コロナを収束させる必要がある」、(金融政策については)「われわれは米経済が長期間低金利を必要とすると考える。それは経済活動を支援する」 | -------- |
| 9/3 | アンソニー・ニエベス・ISM委員長 | 「経済活動が再開する中、回答者のコメントは大部分が楽観的で、業況や経済に対する見方は業界によってばらつきがある、まだ再開していない業界は、足元の不透明性を引き続き不安に思っている」 | -------- |
| 9/2 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | (政策のシフトは)低い中立金利と根強い低いインフレに引き起こされた問題に、直接的かつ効率的に対処できる」、「これらの変更は相互に補強し合い、極めて低い中立金利の環境において当局の2大責務を達成する能力を大きく高める」 | -------- |
| 9/1 | ロウ・RBA総裁 | 政策委員会は高度に緩和的な政策を必要な限り維持する方針であり、追加な金融政策手段によってどのように回復を支えられるか引き続き検討している」 | -------- |
| 9/1 | ブレイナード・FRB理事 | 「今後数カ月は、金融政策が安定から緩和的転換することが重要になろう」 | ドルが売られ、長期金利が低下。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



