「ドル円1カ月ぶりに104円台半ばに」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は約1カ月ぶりに104円台に突入。104円35銭まで売られた。長期金利が上昇したものの、ポンドやユーロでドルが売られたことで大幅な円高が進行。
- 英国とEUの通商交渉を巡る協議が再開するとの期待からユーロドルは続伸し、1.1880まで上昇。
- 株式市場は反落。追加の経済対策を巡る動きに翻弄された格好となり、朝方に大きく買われたダウは97ドル安で引ける。
- 債券相場は続落。長期金利は6月10日以来となる0.82%台に
- 金は3日続伸。原油は大きく売られ40ドルを試す展開に。
| ドル/円 | 104.35 〜 104.87 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1845 〜 1.1880 |
| ユーロ/円 | 123.91 〜 124.32 |
| NYダウ | −97.97 → 28,210.82ドル |
| GOLD | +14.10 → 1,929.50ドル |
| WTI | −1.67 → 40.03ドル |
| 米10年国債 | +0.037 → 0.823% |
本日の注目イベント
- 独 独11月GFK消費者信頼感
- トルコ トルコ中銀、政策金利発表
- 英 ベイリー・BOE総裁講演
- 欧 ユーロ圏10月消費者信頼感指数(速報値)
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 9月景気先行指標総合指数
- 米 9月中古住宅販売件数
- 米 米大統領候補、最後の討論会(テネシー州、ナッシュビル)
- 米 カプラン・ダラス連銀総裁、討論会に参加
- 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁、デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、討論会に参加
- 米 企業決算 → AT&T、コカ・コーラ、インテル
本日のコメント
「米大統領選を巡る混乱の兆しか?」そんな連想が働きそうな昨日のドル円の動きでした。膠着感の強まっていたドル円でしたが、昨日は夕方5時過ぎには105円を割り込み、そのまま反発することもなく、NYでは一段とドル安が進み、104円35銭まで売られました。昨日の東京時間からは1円以上もドル安が進んだことになりましたが、手掛かりは米大統領選ではなかったようです。
今週に入ってはこの2つしか材料が無かったわけですが、昨日の話題もやはり、「米追加の経済対策」と「BREXIT」でした。EUと英国の通商交渉は、お互いが「目に見える変化」を見せないことから混迷を続け、「合意なき離脱」の可能性も浮上していた中、英国の交渉責任者であるフロスト氏はツイッターで、22日午後にロンドンで交渉を再開し、連日協議をしていくことを明らかにしました。フロスト氏は「交渉の根拠があらためて確立されたとの見解で、EUおよびバルニエ主席交渉官と合意した」と述べました。この報道を受けて、ユーロドルとポンドドルが上昇し、ドル円でも「ドル売り円買い」が優勢となりました。ユーロドルは1.18台後半まで買われ、9月16日以来となるユーロ高を記録しています。
もう一つの材料である「米追加経済対策」では合意を巡るポジティブな情報とネガティブな情報が錯綜し、NY株式市場は二転三転したようです。ペロシ下院議長とムニューシン財務長官の電話協議を終えて、下院議長報道官は「今日の話合いによって、法案策定が可能な状態にさらに近づいた」と述べ、「法案の文言をやりとりする中で、幾つかの優先事項に関する妥協の準備がさらに整った」とツイートしています。これに先立ち、メドウズ大統領首席補佐官は「向こう48時間以内の合意を目指している」と述べ、ペロシ議長も、「合意が近い」と述べた一方、経済対策の規模の案に抵抗しているマコネル院内総務については「選挙後に行うならかまわないと考えるかもしれない」と語るなど、依然として合意するかどうかは不透明です。(ブルームバーグ)
ブレイナードFRB理事も昨日の講演で、新型コロナウイルスを巡る今後の状況そのものを除けば、追加経済対策の合意不成立が見通しへの最大のリスクだと指摘しています。ブレイナード理事は21日のオンライン講演で、「私自身の見通しへの最も顕著な下振れリスクは財政面で追加支援が実現しないことだ」語っています。因みに同理事は、バイデン氏が大統領選で勝利し政権を担うことになった場合には、財務長官に指名されるとの見方も出ています。
本日は最後の米大統領候補による討論会があります。債券市場ではこのところ軟調な展開が続いており、昨日は長期金利が約4カ月ぶりの高水準を記録しました。トランプ、バイデン、どちらが勝っても景気刺激策の規模は大きく、債券への売り圧力が継続されるといった見立てがあるようです。FRBの高官もこぞって財政支援の必要性を訴えており、新型コロナの感染は大都市NYでも再び拡大傾向にあります。昨日はNY州で1日当たりの新規感染者数が5月以降で初めて2000人を超えています。国債の大量発行により、米長期金利が今後も緩やかに上昇すると考えれば、ドル円も大きく売られる可能性は低いと予想されますが、足元では金利との相関が薄れているのも事実です。大統領選による影響も含めて、まだまだ不透明な展開が続きそうです。
本日のドル円は104円20銭〜105円程度を予想します。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 10/21 | ブレイナード・FRB理事 | 「私自身の見通しへの最も顕著な下振れリスクは財政面で追加支援が実現しないことだ」 | -------- |
| 10/18 | ゴーブ・英内閣府担当相 | (EUとの通商協議で)「私は合意を望んでいる。ぜひとも合意をまとめたいと考えている。扉はわずかだが開かれている」 | -------- |
| 10/14 | クラリダ・FRB副議長 | 「経済が一気に悪化した春からの立ち直りは力強かったが、新型コロナウイルス感染症によるリセッションから経済が完全に回復するまでの道のりは長いことを忘れてはならない」景気の回復までに1年を要する可能性があり、雇用の完全回復には「さらに長い時間」がかかるだろうとの認識を示す。 | -------- |
| 10/7 | FOMC議事録 | 「幾人かの参加者は、会合後の声明に合意内容の重要要素を組み込むのは適切だということで同意したが、現時点でフォワードガイダンスを強化したり、利回りにさらに下向きの圧力をかける大きな余地をフォワードガイダンスに与えたりする必要性はないように思われると主張する参加者もいた」 | -------- |
| 10/6 | トランプ大統領 | (追加の経済対策について)「選挙後まで交渉を止めるよう担当者に指示した。私の勝利直後に勤勉な米国人の人々や中小企業を重点対象とした大規模な景気対策法案を通す」 | ダウは一時400ドルを超える下げに、ドル円は小幅にドル安が進行。 |
| 10/6 | パウエル・FRB議長 | 「政府の支援があまりに少なければ景気回復は弱くなり、家計と企業を不必要に苦しめることになる。」「それに対し、支援が行き過ぎることのリスクは、現段階ではより小さいと思える。政策対応が結局のところ必要以上に大きいことが後に分かったとしても、無駄にはならない」 | 株価は小幅に上昇。 |
| 9/28 | ラガルド・ECB総裁 | 「政策委員会は中期的なインフレ見通しに対する影響という観点から、為替の動向を含めて今後入って来る全ての情報を注意深く吟味する」、「ECB政策委員会はあらゆる手段を適宜調整する用意がある」 | -------- |
| 9/28 | ペロシ・下院議長 | 「われわれはこの問題を片付けられる。ムニューシン財務長官が交渉のテーブルに戻る用意が調えば、われわれはこれを話い合うことができる」、「ただし、問題を片付けるためには長官がずっと大きな規模の案を打ち返してくる必要がある」 | NY株式市場が好感し、主要指数が揃って大幅に上昇。 |
| 9/23 | クラリダ・FRB副議長 | 「インフレを実際に目にするまで利上げ開始を考え始めることすらないだろう。インフレの判断基準は前年比ベースで2%以上だ」、「つまりそれは少なくとも、その水準に達した後でも政策金利を現行水準で維持する可能性があるということだ」 | -------- |
| 9/22 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | (インフレ目標の)「平均が何を意味するのか、依然として協議の余地がある」、(インフレ率が)「平均2%になり始める前に利上げを開始することはあり得る」 | -------- |
| 9/22 | パウエル・FRB議長(下院金融委員会で) | 「先行きはコロナウイルスの抑制、政府のあらゆるレベルでの政策措置にかかってくる」、景気回復は進行しているものの、「先行きは極めて不透明だ」 | -------- |
| 9/16 | パウエル・FRB議長 | 「景気回復は大方の予想より速いペースで進んでいる」「今後の道筋は依然極めて不透明だ」「景気回復の継続を予想する民間の分析は、その大多数が財政による大規模な追加支援があると想定している」「約1100万人の米国民が依然失業中で、追加支援を必要としている」 | 景気回復の勢い継続を確信できないとの認識を示したため、株価が下げ、債券も売られ、ドルはやや上昇。 |
| 9/16 | FOMC声明文 | FRBは現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆる手段を用い、それによって最大限の雇用と物価安定という目標を促進することにコミットしている。期間平均で2%のインフレ率を達成し、中期的なインフレ期待が2%でしっかりとどまり続けるまで、緩和的な金融政策スタンスを維持する方針だ。 | 株価は上昇しドル円は下落。 |
| 9/13 | ラガルド・ECB総裁 | 「物価安定の目標達成において、今も将来も油断は許されない」、「最近のユーロ相場上昇で金融政策のインフレ押し上げ効果が一部相殺された」 | -------- |
| 9/7 | トランプ大統領 | 「デカップリングであろうと、すでに行っているような大規模関税の導入であろうと、われわれは中国への依存を終わらせるつもりだ」、「われわれは重要な製造品を米国内で生産し、米国に雇用を戻す」、「米国を捨てて中国などで雇用を創出する企業には関税を課す」 | -------- |
| 9/4 | パウエル・FRB議長 | 「今日発表された雇用統計は良いものだった」としながらも、「完全雇用に戻るには新型コロナを収束させる必要がある」、(金融政策については)「われわれは米経済が長期間低金利を必要とすると考える。それは経済活動を支援する」 | -------- |
| 9/3 | アンソニー・ニエベス・ISM委員長 | 「経済活動が再開する中、回答者のコメントは大部分が楽観的で、業況や経済に対する見方は業界によってばらつきがある、まだ再開していない業界は、足元の不透明性を引き続き不安に思っている」 | -------- |
| 9/2 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | (政策のシフトは)低い中立金利と根強い低いインフレに引き起こされた問題に、直接的かつ効率的に対処できる」、「これらの変更は相互に補強し合い、極めて低い中立金利の環境において当局の2大責務を達成する能力を大きく高める」 | -------- |
| 9/1 | ロウ・RBA総裁 | 政策委員会は高度に緩和的な政策を必要な限り維持する方針であり、追加な金融政策手段によってどのように回復を支えられるか引き続き検討している」 | -------- |
| 9/1 | ブレイナード・FRB理事 | 「今後数カ月は、金融政策が安定から緩和的転換することが重要になろう」 | ドルが売られ、長期金利が低下。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



