今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「NYダウ943ドルの大幅続落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 株価の急落に円が買われる場面もあったが、ドル円は終始104円台で推移。104円22銭までドル安が進んだが値動きは限定的。
  • ユーロドルは大幅に続落。域内でコロナ感染が拡大し、フランスとドイツが再びロックダウンを実施することでユーロ売りが加速。1.1718前後までユーロ安が進む。
  • 株式市場は大幅に下げる。欧州株が大きく下げたことや、米国内でのコロナ感染の高止まり、経済対策を巡る不透明感からダウは943ドルと大幅安。他の主要指数も3%を超える下げに。
  • 債券は横ばいながら小幅に下落。長期金利は0.77%台で推移。
  • 金は大幅に売られ1880ドル前後に。原油も2ドルを超える下げで37ドル台半ばに。
ドル/円 104.22 〜 104.45
ユーロ/ドル 1.1718 〜 1.1760
ユーロ/円 122.20 〜 122.69
NYダウ −943.24 → 26,519.95ドル
GOLD −32.70 → 1,879.20ドル
WTI −2.18 → 37.39ドル
米10年国債 +0.003 → 0.771%

本日の注目イベント

  • 日 日銀金融政策決定会合
  • 日 黒田日銀総裁記者会見
  • 独 独10月失業率
  • 独 独10月消費者物価指数(速報値)
  • 欧 ユーロ圏10月景況感指数
  • 欧 ユーロ圏10月消費者信頼感指数
  • 欧 ECB政策金利発表
  • 欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
  • 米 7−9月GDP(速報値)
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 9月中古住宅販売成約件数
  • 米 企業決算 → アルファベット、アップル、アマゾン、ツイッター、フェイスブック

本日のコメント

今週月曜日に650ドル下げたNYダウが、昨日はさらに943ドル下げ、これで4日続落し2万7000ドルの大台を割り込んできました。S&P500も3%を超える下げで、6月以来の安値を記録するなど、株式市場では米大統領選を前に不穏な動きが続いています。株価の大幅安を受け「VIX指数」は6月11日以来となる「40」を超えています。

昨日の大幅な株価の下げは欧州株の大幅安が引き金になっています。欧州では新型コロナウイルス感染第3波が押し寄せ、フランスでは30日から全土でロックダウンを実施することを発表しました。マクロン大統領は国民向けのテレビで、「誰も予想できなかったほどの急ペースで新型コロナウイルスが国内で拡散している。欧州全体を襲っている感染の波に対抗するためには、これまでわれわれが講じた措置は不十分だったと分かった」と語っています。また、ドイツでもメルケル首相は11月2日から1カ月にわたり、バーやレストランの閉鎖など、一部経済活動の停止措置を講じると発表しています。

昨日のNYでは、株式だけではなく金や原油も売られ、本来このような状況では大きく買われる傾向がある米国債も若干売られています。為替市場ではユーロが大きく売られ、円が買われていることから、この日も「ドル高・円高」が進んだと言えます。結局、ほぼ全てのマーケットが下落したわけです。「Cash is King」といったところでしょうか。ただ、米大統領選でどちらの候補者が勝っても株価は上昇すると見られている中で、ここ4日間でダウは1840ドルほど下げています。2016年大統領の際の、トランプ氏が勝利し円高が急速に進んだ後、2カ月ほどで18円以上もドルが反発した、あの光景が彷彿されます。今回の大統領選後のドル円の予想は2転3転し、直近ではドル安が進むという見方が定着しつつありますが、これも予想と大きく異なる可能性があります。個人的には、仮に円高に振れたとしてもいずれドルが反発すると予想しています。

今週に入ってからのNY株の低迷は、米国内でのコロナ感染の拡大と、迷走している経済対策の影響も大きいと言えます。この流れは1週間を切った大統領選を前に、トランプ氏にとっては「非常に強い逆風」が吹き荒れている状況かと思われます。記録的なペースで拡大している新型コロナウイルスの感染は、ウイルスの脅威を過小評価する発言を繰り返し、いずれ収束すると主張し続けてきたトランプ氏とって支持率の低下につながります。事実、ワシントンポスト紙とABCニュースが実施した28日の調査では、過去最悪のペースで感染が急増しているウィスコンシン州では、バイデン氏の支持率がトランプ氏に対して17ポイントの差を付けて上回っており、これまでで最大の差になっています。昨日の株価の大幅安を受けて、ペロシ下院議長は「大統領が非常に気にしているのは株式市場だ」と指摘し、「トランプ氏が新型コロナウイルス感染拡大や経済対策が合意に至らないことへの市場の反応を見て、今こそ真剣な態度で交渉の席に着くことが望ましい。経済対策が成立すれば米経済に財源を投入できる」と述べています。(ブルームバーグ)ペロシ議長が語ったように、コロナ感染の拡大と株価の急落が、有権者に「トランプ離れ」を促しているようです。

本日は日銀の金融政策決定会合の結果が発表され、午後からは黒田総裁の会見が行われます。政策変更の可能性はなく、注目度も低い状況です。黒田総裁は会見で、新型コロナウイルス感染が日本でも高止まりしていることから、その行方に注目しており、「必要とあれば、躊躇なく適切に行動する」といった内容の発言に終始すると思われます。

本日は日本株も大きく売られそうです。リスク回避のドル買いが見られるのかどうか注目です。ドル円は103円80銭〜104円70銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
10/21 ブレイナード・FRB理事 「私自身の見通しへの最も顕著な下振れリスクは財政面で追加支援が実現しないことだ」 --------
10/18 ゴーブ・英内閣府担当相 (EUとの通商協議で)「私は合意を望んでいる。ぜひとも合意をまとめたいと考えている。扉はわずかだが開かれている」 --------
10/14 クラリダ・FRB副議長 「経済が一気に悪化した春からの立ち直りは力強かったが、新型コロナウイルス感染症によるリセッションから経済が完全に回復するまでの道のりは長いことを忘れてはならない」景気の回復までに1年を要する可能性があり、雇用の完全回復には「さらに長い時間」がかかるだろうとの認識を示す。 --------
10/7 FOMC議事録 「幾人かの参加者は、会合後の声明に合意内容の重要要素を組み込むのは適切だということで同意したが、現時点でフォワードガイダンスを強化したり、利回りにさらに下向きの圧力をかける大きな余地をフォワードガイダンスに与えたりする必要性はないように思われると主張する参加者もいた」 --------
10/6 トランプ大統領 (追加の経済対策について)「選挙後まで交渉を止めるよう担当者に指示した。私の勝利直後に勤勉な米国人の人々や中小企業を重点対象とした大規模な景気対策法案を通す」 ダウは一時400ドルを超える下げに、ドル円は小幅にドル安が進行。
10/6 パウエル・FRB議長 「政府の支援があまりに少なければ景気回復は弱くなり、家計と企業を不必要に苦しめることになる。」「それに対し、支援が行き過ぎることのリスクは、現段階ではより小さいと思える。政策対応が結局のところ必要以上に大きいことが後に分かったとしても、無駄にはならない」 株価は小幅に上昇。
9/28 ラガルド・ECB総裁 「政策委員会は中期的なインフレ見通しに対する影響という観点から、為替の動向を含めて今後入って来る全ての情報を注意深く吟味する」、「ECB政策委員会はあらゆる手段を適宜調整する用意がある」 --------
9/28 ペロシ・下院議長 「われわれはこの問題を片付けられる。ムニューシン財務長官が交渉のテーブルに戻る用意が調えば、われわれはこれを話い合うことができる」、「ただし、問題を片付けるためには長官がずっと大きな規模の案を打ち返してくる必要がある」 NY株式市場が好感し、主要指数が揃って大幅に上昇。
9/23 クラリダ・FRB副議長 「インフレを実際に目にするまで利上げ開始を考え始めることすらないだろう。インフレの判断基準は前年比ベースで2%以上だ」、「つまりそれは少なくとも、その水準に達した後でも政策金利を現行水準で維持する可能性があるということだ」 --------
9/22 エバンス・シカゴ連銀総裁 (インフレ目標の)「平均が何を意味するのか、依然として協議の余地がある」、(インフレ率が)「平均2%になり始める前に利上げを開始することはあり得る」 --------
9/22 パウエル・FRB議長(下院金融委員会で) 「先行きはコロナウイルスの抑制、政府のあらゆるレベルでの政策措置にかかってくる」、景気回復は進行しているものの、「先行きは極めて不透明だ」 --------
9/16 パウエル・FRB議長 「景気回復は大方の予想より速いペースで進んでいる」「今後の道筋は依然極めて不透明だ」「景気回復の継続を予想する民間の分析は、その大多数が財政による大規模な追加支援があると想定している」「約1100万人の米国民が依然失業中で、追加支援を必要としている」 景気回復の勢い継続を確信できないとの認識を示したため、株価が下げ、債券も売られ、ドルはやや上昇。
9/16 FOMC声明文 FRBは現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆる手段を用い、それによって最大限の雇用と物価安定という目標を促進することにコミットしている。期間平均で2%のインフレ率を達成し、中期的なインフレ期待が2%でしっかりとどまり続けるまで、緩和的な金融政策スタンスを維持する方針だ。 株価は上昇しドル円は下落。
9/13 ラガルド・ECB総裁 「物価安定の目標達成において、今も将来も油断は許されない」、「最近のユーロ相場上昇で金融政策のインフレ押し上げ効果が一部相殺された」 --------
9/7 トランプ大統領 「デカップリングであろうと、すでに行っているような大規模関税の導入であろうと、われわれは中国への依存を終わらせるつもりだ」、「われわれは重要な製造品を米国内で生産し、米国に雇用を戻す」、「米国を捨てて中国などで雇用を創出する企業には関税を課す」 --------
9/4 パウエル・FRB議長 「今日発表された雇用統計は良いものだった」としながらも、「完全雇用に戻るには新型コロナを収束させる必要がある」、(金融政策については)「われわれは米経済が長期間低金利を必要とすると考える。それは経済活動を支援する」 --------
9/3 アンソニー・ニエベス・ISM委員長 「経済活動が再開する中、回答者のコメントは大部分が楽観的で、業況や経済に対する見方は業界によってばらつきがある、まだ再開していない業界は、足元の不透明性を引き続き不安に思っている」 --------
9/2 ウィリアムズ・NY連銀総裁 (政策のシフトは)低い中立金利と根強い低いインフレに引き起こされた問題に、直接的かつ効率的に対処できる」、「これらの変更は相互に補強し合い、極めて低い中立金利の環境において当局の2大責務を達成する能力を大きく高める」 --------
9/1 ロウ・RBA総裁 政策委員会は高度に緩和的な政策を必要な限り維持する方針であり、追加な金融政策手段によってどのように回復を支えられるか引き続き検討している」 --------
9/1 ブレイナード・FRB理事 「今後数カ月は、金融政策が安定から緩和的転換することが重要になろう」 ドルが売られ、長期金利が低下。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和