「ラガルドECB総裁、12月の追加緩和を示唆」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は小幅に反発し104円73銭まで上昇。ユーロドルでユーロが大きく売られたことから、円を売る流れが優勢に。
- ラガルドECB総裁が12月会合での追加緩和を示唆したことでユーロドルは大きく下落。1.1650前後まで売られ、1カ月ぶりの安値圏に。
- 株式市場は前日の急落から反発。GDPが市場予想を上回ったことで買い戻しが入った。ダウは139ドル高。
- 債券は大幅に続落。長期金利は0.82%台に上昇。
- 金は続落し約1カ月ぶりの安値に。原油も大幅に続落。
7−9月GDP(速報値) → 33.1%
新規失業保険申請件数 → 75.1万件
9月中古住宅販売成約件数 → −2.2%
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| ドル/円 | 104.24 〜 104.73 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1650 〜 1.1717 |
| ユーロ/円 | 121.90 〜 122.21 |
| NYダウ | +139.16 → 26,659.11ドル |
| GOLD | −11.20 → 1,869.00ドル |
| WTI | −1.22 → 36.17ドル |
| 米10年国債 | +0.052 → 0.823% |
本日の注目イベント
- 豪 豪第3四半期生産者物価指数
- 日 9月失業率
- 独 独7−9月期GDP(速報値)
- 欧 ユーロ圏7−9月期GDP(速報値)
- 欧 ユーロ圏10月消費者物価指数(速報値)
- 欧 ユーロ圏9月失業率
- 米 9月個人所得
- 米 9月個人支出
- 米 9月PCEコアデフレータ
- 米 7−9月雇用コスト指数
- 米 10月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
- 米 10月シカゴ購買部協会景気指数
- 米 企業決算 → エクソンモービル、シェブロン
本日のコメント
年率換算で「+33.1%」と、過去最大の増加率を記録した米第3四半期のGDP。市場予想を上回りましたが、前期が「−31.4%」で、これも記録的な落ち込みだったことから、その反動もあったと思われます。経済活動の再開や、政府の現金給付による個人消費の回復で大きく持ち直しましたが、その規模はパンデミック前のピークを、まだ3.5%下回っていると報告されています。同時に、第4四半期のGDPも再び大きく鈍化する懸念もあります。失業保険に上乗せされていた給付金は終わり、経済対策の実施も遅れ気味です。加えて米国では再び新型コロナウイルス感染が急拡大しており、その数は第1波のそれを上回る勢いです。経済対策の早期の合意が求められます。
ECBは政策会合を開き、今回は政策据え置きを決めましたが、会合後の記者会見でラガルド総裁は、「ユーロ圏の景気回復は予想以上に急速に勢いを失いつつある」と指摘し、「行動が必要であり、従って次回の会合で政策手段を再調整する必要があるとの点で、政策委員会は一致した」と述べました。次回12月の政策会合では何らかの追加緩和に踏み切ることを明確に示唆した格好ですが、現行の債券購入プログラム(PEPP)の規模1兆3500億ユーロ(約165兆円)を、さらに5000億ユーロ拡大するとの見方が浮上しています。ユーロ圏では域内の経済をけん引するドイツとフランスが新たなロックダウン措置を発表し、先行きの暗さが浮き彫りになってきました。ラガルド総裁もコロナ感染の拡大が大きなリスクだと指摘していました。
大統領選が来週に迫る中、トランプ、バイデン両氏はともに激戦州であるフロリダ州に入り演説を行いました。この欄でも今週触れましたが、仮にフロリダ州をバイデン氏が制することになると、トランプ氏再選の可能性が非常に低くなると言われている重要な選挙区です。現職を終えた富裕層が多くいることから、もともと共和党支持者が多く、2016年の大統領選の際もトランプ氏が勝利しています。しかし今回は異なります。世論調査を行う「ファイブサーティーエイト」の最新の予測モデルによれば、バイデン氏が勝利する確率は前日から上昇し過去最高の89%になった(ブルームバーグ)ようです。既に7900万人余りが期日前投票を済ませており、この数は2016年の合計投票数の57%を超えています。両候補がフロリダに入り演説を行った様子を昨日TVで観ましたが、バイデン陣営は全員マスクを着用していましたが、トランプ陣営では相変わらずマスクを着けている人はまばらでした。もしトランプ氏が今回の選挙で負けるようなことになれば、それは「コロナに負けた」と言えるかもしれません。
経済対策を巡る交渉では混迷が続いていますが、ムニューシン財務長官は29日、ペロシ下院議長が経済対策の妥協を拒否しているとして、政治的なスタンドプレーを批判しました。ペロシ議長は同日午前のムニューシン長官宛の書簡で、民主党が政権からの回答を待っている主要7項目を列挙しましたが、同長官はこれに対する回答で「イエスかノーかというあなたのアプローチが、今支援を必要としている勤勉な米国民に打撃を与えている」と述べています。(ブルームバーグ)
今朝の経済紙でも報道されていますが、中国共産党は4日間にわたり、第19回中央委員会第5回総会を開き、今後5年間の経済計画の概要を明らかにしました。計画では、2035年には「一人当たりのGDPを中等先進国並みにする」とし、ハイテクなど、「コア技術で重大なブレイクスルーを実現する」とうたっています。また、外交では「国際的なパワーバランスに深刻な調整がある」として、米国の覇権に揺らぎがあることを示唆しています。
株式市場では大統領選挙を前に大きな動きが出ており市場参加者の動揺も見られますが、為替市場の方はまだそういった動きは見られません。昨日のユーロドルの動きはラガルド発言に反応したもので、選挙が影響したものではありません。しかしいつ大きな値動きが起こっても、不思議ではない状況であることは変わりません。
本日のドル円は104円10銭〜104円90銭程度を予想します。
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米ハーバード大学・・・。言うまでもありませんが、世界で最も研究分野で「権威」のある大学の一つです。このハーバードは、学問だけではなく、財政面でも世界トップクラスです。その財源は、高額な学費だけではなく、著名なOBやOGが多額の寄付を行うことで積み上がってきました。さらにその豊富な資金は、より高利回りを求めて積極的な運用を行ってきたこととも無縁ではありません。ハーバード大学は2020年会計年度に1000万ドル(約10億5000万円)の営業損失を計上しました。コロナの検査や追跡措置、教室や寮での対策費用でコストが跳ね上がったそうです。しかし、こうした厳しい見通しにもかかわらず、純資産は6月末で8億9300万ドル増加し、502億ドル(約5兆2700億円)になったことを明らかにしています。この潤沢な資金で世界最高峰の研究を行っているのでしょう。それにしても5兆円を超える運用資産、国内の大手機関投資家並みですね。
良い週末を・・・・・。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 10/29 | ラガルド・ECB総裁 | 「ユーロ圏の景気回復は予想以上に急速に勢いを失いつつある」、「行動が必要であり、従って次回の会合で政策手段を再調整する必要があるとの点で、政策委員会は一致した」 | ユーロドルは1.17台半ばから1.1650まで下落。 |
| 10/21 | ブレイナード・FRB理事 | 「私自身の見通しへの最も顕著な下振れリスクは財政面で追加支援が実現しないことだ」 | -------- |
| 10/18 | ゴーブ・英内閣府担当相 | (EUとの通商協議で)「私は合意を望んでいる。ぜひとも合意をまとめたいと考えている。扉はわずかだが開かれている」 | -------- |
| 10/14 | クラリダ・FRB副議長 | 「経済が一気に悪化した春からの立ち直りは力強かったが、新型コロナウイルス感染症によるリセッションから経済が完全に回復するまでの道のりは長いことを忘れてはならない」景気の回復までに1年を要する可能性があり、雇用の完全回復には「さらに長い時間」がかかるだろうとの認識を示す。 | -------- |
| 10/7 | FOMC議事録 | 「幾人かの参加者は、会合後の声明に合意内容の重要要素を組み込むのは適切だということで同意したが、現時点でフォワードガイダンスを強化したり、利回りにさらに下向きの圧力をかける大きな余地をフォワードガイダンスに与えたりする必要性はないように思われると主張する参加者もいた」 | -------- |
| 10/6 | トランプ大統領 | (追加の経済対策について)「選挙後まで交渉を止めるよう担当者に指示した。私の勝利直後に勤勉な米国人の人々や中小企業を重点対象とした大規模な景気対策法案を通す」 | ダウは一時400ドルを超える下げに、ドル円は小幅にドル安が進行。 |
| 10/6 | パウエル・FRB議長 | 「政府の支援があまりに少なければ景気回復は弱くなり、家計と企業を不必要に苦しめることになる。」「それに対し、支援が行き過ぎることのリスクは、現段階ではより小さいと思える。政策対応が結局のところ必要以上に大きいことが後に分かったとしても、無駄にはならない」 | 株価は小幅に上昇。 |
| 9/28 | ラガルド・ECB総裁 | 「政策委員会は中期的なインフレ見通しに対する影響という観点から、為替の動向を含めて今後入って来る全ての情報を注意深く吟味する」、「ECB政策委員会はあらゆる手段を適宜調整する用意がある」 | -------- |
| 9/28 | ペロシ・下院議長 | 「われわれはこの問題を片付けられる。ムニューシン財務長官が交渉のテーブルに戻る用意が調えば、われわれはこれを話い合うことができる」、「ただし、問題を片付けるためには長官がずっと大きな規模の案を打ち返してくる必要がある」 | NY株式市場が好感し、主要指数が揃って大幅に上昇。 |
| 9/23 | クラリダ・FRB副議長 | 「インフレを実際に目にするまで利上げ開始を考え始めることすらないだろう。インフレの判断基準は前年比ベースで2%以上だ」、「つまりそれは少なくとも、その水準に達した後でも政策金利を現行水準で維持する可能性があるということだ」 | -------- |
| 9/22 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | (インフレ目標の)「平均が何を意味するのか、依然として協議の余地がある」、(インフレ率が)「平均2%になり始める前に利上げを開始することはあり得る」 | -------- |
| 9/22 | パウエル・FRB議長(下院金融委員会で) | 「先行きはコロナウイルスの抑制、政府のあらゆるレベルでの政策措置にかかってくる」、景気回復は進行しているものの、「先行きは極めて不透明だ」 | -------- |
| 9/16 | パウエル・FRB議長 | 「景気回復は大方の予想より速いペースで進んでいる」「今後の道筋は依然極めて不透明だ」「景気回復の継続を予想する民間の分析は、その大多数が財政による大規模な追加支援があると想定している」「約1100万人の米国民が依然失業中で、追加支援を必要としている」 | 景気回復の勢い継続を確信できないとの認識を示したため、株価が下げ、債券も売られ、ドルはやや上昇。 |
| 9/16 | FOMC声明文 | FRBは現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆる手段を用い、それによって最大限の雇用と物価安定という目標を促進することにコミットしている。期間平均で2%のインフレ率を達成し、中期的なインフレ期待が2%でしっかりとどまり続けるまで、緩和的な金融政策スタンスを維持する方針だ。 | 株価は上昇しドル円は下落。 |
| 9/13 | ラガルド・ECB総裁 | 「物価安定の目標達成において、今も将来も油断は許されない」、「最近のユーロ相場上昇で金融政策のインフレ押し上げ効果が一部相殺された」 | -------- |
| 9/7 | トランプ大統領 | 「デカップリングであろうと、すでに行っているような大規模関税の導入であろうと、われわれは中国への依存を終わらせるつもりだ」、「われわれは重要な製造品を米国内で生産し、米国に雇用を戻す」、「米国を捨てて中国などで雇用を創出する企業には関税を課す」 | -------- |
| 9/4 | パウエル・FRB議長 | 「今日発表された雇用統計は良いものだった」としながらも、「完全雇用に戻るには新型コロナを収束させる必要がある」、(金融政策については)「われわれは米経済が長期間低金利を必要とすると考える。それは経済活動を支援する」 | -------- |
| 9/3 | アンソニー・ニエベス・ISM委員長 | 「経済活動が再開する中、回答者のコメントは大部分が楽観的で、業況や経済に対する見方は業界によってばらつきがある、まだ再開していない業界は、足元の不透明性を引き続き不安に思っている」 | -------- |
| 9/2 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | (政策のシフトは)低い中立金利と根強い低いインフレに引き起こされた問題に、直接的かつ効率的に対処できる」、「これらの変更は相互に補強し合い、極めて低い中立金利の環境において当局の2大責務を達成する能力を大きく高める」 | -------- |
| 9/1 | ロウ・RBA総裁 | 政策委員会は高度に緩和的な政策を必要な限り維持する方針であり、追加な金融政策手段によってどのように回復を支えられるか引き続き検討している」 | -------- |
| 9/1 | ブレイナード・FRB理事 | 「今後数カ月は、金融政策が安定から緩和的転換することが重要になろう」 | ドルが売られ、長期金利が低下。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



