「ドル円105円台半ばに急反発」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 103円台半ばで推移していたドル円はNY時間早朝から買いが強まり、105円65銭まで上昇。米長期金利の上昇が材料となり、円を売る動きが主要通貨に対して強まった。
- ユーロドルは1.1920まで買われたあと急落。1.1795までドル高が進む。
- 株式市場は、大幅高と大幅安が混ざり合い明暗が分かれる。米ファイザー製薬がコロナワクチンの治験で好結果が出たと発表したことでダウは一時1600ドルを超える上昇。一方ナスダックは大幅安で取引を終える。
- リスクオンの流れから債券は大幅安。長期金利は0.97%台まで上昇した後、0.92%台で引ける。
- ドルが大きく買い戻されたことで金は100ドルに迫る急落。原油は景気回復期待から大幅高。
| ドル/円 | 104.74 〜 105.65 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1795 〜 1.1920 |
| ユーロ/円 | 123.76 〜 125.13 |
| NYダウ | +834.57 → 29,157.97ドル |
| GOLD | −97.30 → 1,854.40ドル |
| WTI | +3.15 → 40.29ドル |
| 米10年国債 | +0.105 → 0.924% |
本日の注目イベント
- 豪 豪10月NAB企業景況感指数
- 日 9月貿易収支
- 日 9月国際収支
- 日 10月景気ウオッチャー調査
- 中 中国10月消費者物価指数
- 中 中国10月生産者物価指数
- 独 独11月ZEW景況感指数
- 英 英9月失業率
- 米 クオールズ・FRB副議長、上院で証言
- 米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
- 米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
本日のコメント
ドル円は103円台半ばから一気に105円65銭近辺まで急反発しました。昨日のドルの急騰劇は米大統領選関連ではなく、これまでに何度も筆者がこの欄でも触れてきた米金利の上昇でした。米長期金利は、昨日の債券市場で一時0.9730%まで急上昇しました。バイデン氏の勝利確実で大規模の経済対策が実施されやすく、その財源となる「国債の大量発行が金利の上昇圧力になる」といったセオリーはすでに周知の事実で、昨日はNYダウの急騰がリスクオンとなり、安全資産の債券が売られたと解釈できます。同じく安全資産の金が97ドルも下落(約5%)したことがその証でしょう。国債の大量発行だけで、金がここまで売られる理由は見つかりません。
NYダウはザラ場で一時、先週末比1610ドルも上昇する場面がありました。引け値では834ドル高で終わっていることから、高値からは半分になったことになり、荒っぽい相場展開でした。市場のセンチメントを大きく好転させたのが新型コロナワクチン治験の好結果でした。米ファイザー製薬とドイツのビオンテックが開発するコロナワクチン候補が、大規模な治験で90%を超える確率で感染を防いだとの「暫定結果」が明らかにされました。同候補薬の有効性はこれまで、60%から70%と予想されていましたが、これを大きく上回る結果に、国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、90%を超える有効性は「実に並外れている」と評価したとブルームバーグは伝えています。ファイザー製薬のCEOは今回のワクチン開発は「この100年で最大の革命だ」と述べているようです。欧米では新型コロナウイルス感染の急拡大で苦しんでいる中、ワクチン開発に一つのメドがついたことで、市場の雰囲気が大きく好転しました。大統領選の勝利を確実にしたバイデン氏も自身の政策の柱に「新型コロナからの脱却」を掲げています。
ドル円はNYで105円65銭まで買い戻しが進み、11月4日の大統領選の開票速報直後にドルが反発した際の高値、105円35銭を上回っています。「日足」ではまだ下落基調は変わってはいませんが、相場の動きに敏感に反応する「MACD」では「ゴールデン・クロス」が点灯しました。ただMACDは依然として「マイナス圏」で推移しているため、ここから大きく値をさらに戻す可能性は低いと思われますが、「早期警戒警報発令」には注意したいところです。先週まではリスクオンが進むとドルが買われるケースが多かったものの、長い目で見た場合、米長期金利のドル円への影響力は無視できるほど小さいものではないと認識しています。
本日も日本株は大きく続伸するものと予想されます。昨日の東京株式市場でも、日経平均株価が一時600円を超える上昇を見せたことに驚きましたが、本日は2万5000円台に乗せどこまで上値を伸ばせるかが注目されます。出遅れ感の著しい日本株はここに来てバブル崩壊後の戻り高値を更新してきました。機関投資家にとって、株価の上昇は「含み益」の増大につながり、投資スタンスにも余裕が出て来ます。従って、さらに深く考えればリスク許容度が高まり、利回りの高い米国債に「為替ヘッジなし」で立ち向かう余裕も生まれ、ドル高要因と捉えることも出来ます。米10年債利回りが1%を超えてくれば、さらにその可能性が高まることになります。
バイデン次期大統領は政権移行への準備を進めていると伝えられています。次期財務長官の有力候補であるブレナードFRB理事は、これまで対中姿勢で弱腰だったと見られ、実際に指名されれば議会で厳しい質問に直面する可能性があるとブルームバーグは予想しています。その理由として、長官指名承認採決を行う上院では貿易や人権、軍備拡張主義の問題で中国に対し共和、民主両党議員とも強硬なスタンスを支持しているからだとしています。財務長官候補にはこの他、ファーガソン元FRB副議長や、ボステックアトランタ連銀総裁の名前も挙がっているようです。
本日のドル円は104円80銭〜105円80銭程度を予想します。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 11/5 | FOMC声明文 | 「経済活動と雇用は回復が続いているが、今年初めの水準をなお大きく下回っている」 | -------- |
| 11/5 | パウエル・FRB議長 | 「少なくともいくらか財政による追加支援が得られれば、景気回復は力強さを増すと考えている」、「米国内で新型コロナウイルス感染症の新規感染例が増加している状況は特に気掛かりだ」 | ドル安が進み、ドル円は103円49銭まで売られ、ユーロドルは1.1826まで上昇 |
| 10/29 | ラガルド・ECB総裁 | 「ユーロ圏の景気回復は予想以上に急速に勢いを失いつつある」、「行動が必要であり、従って次回の会合で政策手段を再調整する必要があるとの点で、政策委員会は一致した」 | ユーロドルは1.17台半ばから1.1650まで下落。 |
| 10/21 | ブレイナード・FRB理事 | 「私自身の見通しへの最も顕著な下振れリスクは財政面で追加支援が実現しないことだ」 | -------- |
| 10/18 | ゴーブ・英内閣府担当相 | (EUとの通商協議で)「私は合意を望んでいる。ぜひとも合意をまとめたいと考えている。扉はわずかだが開かれている」 | -------- |
| 10/14 | クラリダ・FRB副議長 | 「経済が一気に悪化した春からの立ち直りは力強かったが、新型コロナウイルス感染症によるリセッションから経済が完全に回復するまでの道のりは長いことを忘れてはならない」景気の回復までに1年を要する可能性があり、雇用の完全回復には「さらに長い時間」がかかるだろうとの認識を示す。 | -------- |
| 10/7 | FOMC議事録 | 「幾人かの参加者は、会合後の声明に合意内容の重要要素を組み込むのは適切だということで同意したが、現時点でフォワードガイダンスを強化したり、利回りにさらに下向きの圧力をかける大きな余地をフォワードガイダンスに与えたりする必要性はないように思われると主張する参加者もいた」 | -------- |
| 10/6 | トランプ大統領 | (追加の経済対策について)「選挙後まで交渉を止めるよう担当者に指示した。私の勝利直後に勤勉な米国人の人々や中小企業を重点対象とした大規模な景気対策法案を通す」 | ダウは一時400ドルを超える下げに、ドル円は小幅にドル安が進行。 |
| 10/6 | パウエル・FRB議長 | 「政府の支援があまりに少なければ景気回復は弱くなり、家計と企業を不必要に苦しめることになる。」「それに対し、支援が行き過ぎることのリスクは、現段階ではより小さいと思える。政策対応が結局のところ必要以上に大きいことが後に分かったとしても、無駄にはならない」 | 株価は小幅に上昇。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



