「ECB追加の緩和策発表」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は底堅い動きを続け、104円46銭まで買われる。その後ECBの発表を受けたユーロドルでドル安が進んだこともあり、104円台前半まで押し戻される。
- ECBの政策発表を受けユーロドルは再び1.2158まで上昇。ラガルド総裁からユーロ高をけん制する発言がなかったこともユーロ買いにつながる。
- 株式市場はまちまち。経済対策が依然まとまらないことで利益確定優勢の流れとなり、ダウは69ドル安と続落。一方ナスダックは小幅高。
- 債券相場は反発。長期金利は0.90%台に。
- 金は小幅に続落し、原油は反発。
新規失業保険申請件数 → 85.3万件
11月消費者物価指数 → 0.2%
11月財政収支 → −1453億ドル
*********************
| ドル/円 | 104.18 〜 104.46 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.2079 〜 1.2158 |
| ユーロ/円 | 126.23 〜 126.74 |
| NYダウ | −69.55 → 29,999.26ドル |
| GOLD | −1.10 → 1,837.40ドル |
| WTI | +1.26 → 46.78ドル |
| 米10年国債 | −0.030 → 0.906% |
本日の注目イベント
- 独 独11月生産者物価指数
- 英 BOE金融安定報告書公表
- 米 11月生産者物価指数
- 米 12月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
- 米 米暫定予算期限
- 米 クオールズ・FRB副議長講演
本日のコメント
ECBは政策会合を開き、緊急購入プログラム(PEPP)を5000億ユーロ(約63兆2000億円)増額し、期間も9カ月延長し、少なくとも2022年3月末までとすることを決定しました。PEPPの増額幅は市場予想通りでしたが、期間については予想よりも長期でした。ラガルドECB総裁は政策発表後の記者会見で、PEPPの5000億ユーロの増額は、「望ましい金融環境が維持できているならば、全額を使う必要はない」と述べ、新型コロナウイルスのパンデミックについて、「先を見れば、ワクチン接種開始の見通しが健康危機の段階的な解消という想定への自信を深める」とした上で、「しかしながら、幅広く免疫が獲得されるには時間がかかり、さらなる感染再燃が公衆衛生と経済見通しに課題を突き付ける可能性は排除できない」と、今回の決定の理由を説明しました。(ブルームバーグ)ECBがこの日公表した「最新の経済予測」によると、インフレ率は2023年でも平均1.4%で、今年は辛うじて0%を上回る水準と、ECBの目標である2%にはほど遠い状況です。ECBの政策発表を受けて、ユーロドルは1.20台後半から100ポイント程上昇し、再び1.21台半ばまでユーロが買われています。
米経済対策は決まりそうで決まらない状況が続いています。ブルームバーグはこの状況を「『進展』という言葉だけは伝ってくる米経済対策交渉」といったタイトルで報じていました。ペロシ下院議長、ムニューシン財務長官の両氏は交渉の進展をアピールするものの、企業免責条項を巡る共和・民主両党の対立に解消の兆しは見られません。ペロシ氏は9080億ドルの超党派案を支持し、共和党のマコネル上院院内総務はムニューシン氏が示した9160億ドルの案を推しています。議会休会まで1週間ほどしか残されていない中、協議が続けられています。最新の情報では、マコネル上院院内総務に次ぐ共和党上院ナンバー2のスーン院内幹事は、超党派グループによる妥協案について、重要な部分で共和党議員の大多数の支持を得られないとの見方を示しているようです。上昇基調を続けている米株式市場でも、ダウは3万ドルの大台を大きく超えたものの、この不透明な経済対策協議の懸念から、昨日は大台を割り込んできました。
もう一つ不透明なのが、英国とEUの通商交渉です。新たに13日までに合意を目指すとした英国のジョンソン首相は、合意なしの離脱に備えよと明言しました。首相は10日、記者団とのインタビューで「EUとの関係は(通商合意のある)カナダ型よりも、(通商合意のない)オーストラリア型にはるかに近い形で決着する可能性が今や高い」と発言し、「協議はやめず、交渉は継続する。しかし、現在の状況から見て、オーストラリア型の選択肢に全員が備えることが重要だろう」との見解を示しました。EU側の詳しい見解は伝わってきていませんが、関係者の話として、「土壇場での劇的な介入がない限り、合意に達せずに終わるだろう」との見方もあります。
ユーロドルが再び1.21台のミドルまできました。ECBの声明文には「為替の動きには注視する」とありましたが、ラガルドECB総裁からは明確なユーロ高をけん制する発言はありませんでした。「ユーロ高を容認??」そんな観測も出て来そうな状況ですが、パンデミック後の景気回復にユーロ高が逆風であることは間違いありません。どこかのタイミングでけん制発言は出て来ると予想します。
再びドルと円が売られる展開が戻って来そうな感じもしますが、引き続きユーロドルの動きには注目です。本日のドル円は103円90銭〜104円60銭程度を予想します。
==========
地球温暖化の元凶と見られているCO2削減に向けて自動車業界では大きな転換が起ころうとしています。CO2排出ゼロの「電気自動車」(EV)へと、急速にアクセルが踏まれています。英国では2030年、フランスでも35年、して日本でも東京都が30年をメドに「電動車」へシフトする計画で、ガソリン車の終焉が近付いています。トヨタなど日本勢は、ハイブリッド車の開発に傾注してきた経緯もあり、EVでは不利だと言われ、その恩恵を大きく受ける筆頭はイーロン・マスク氏率いるテスラのようです。既に同社の株価は説明がつかない程上昇しています。EVの命は「リチウムイオン電池」と言われており、そのトップメーカーは中国の「寧徳時代新能源科技」(CATL)で日本の電池メーカーは大きく遅れを取っています。ただその次の次世代電池である「全個体電池」では、日本のメーカーがトップを走っているそうです。世界で最初にEVの量産化に成功したのは確か、三菱自動車であり、ハイブリッドを開発したのはトヨタです。日本のモノづくりはまだまだ捨てたものではないことを信じたいと思います。
良い週末を・・・・・。
佐藤正和の書籍紹介
これだけ! FXチャート分析 三種の神器 |
チャートがしっかり読めるようになるFX入門 |
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 12/10 | ラガルド・ECB総裁 | 「望ましい金融環境が維持できているならば、全額を使う必要はない」(新型コロナウイルスのパンデミックについて)「先を見れば、ワクチン接種開始の見通しが健康危機の段階的な解消という想定への自信を深める」、「しかしながら、幅広く免疫が獲得されるには時間がかかり、さらなる感染再燃が公衆衛生と経済見通しに課題を突き付ける可能性は排除できない」 | 追加緩和策発表後、ユーロドルは1.20台後半から1.21台半ばへ。 |
| 12/1 | シュナーベル・ECB理事 | 「さらに大きく緩和することよりも、現状を維持していくことに集中するのが適切だ」 | -------- |
| 12/1 | パウエル・FRB議長 | 「一定程度の財政支援を行えば、経済を前進させる助けになる他、特に中小企業にとって下方リスクへの備えにも役立つ」、「対応が過剰によるリスクは、過小なものに留まるリスクよりも小さい」 | -------- |
| 11/18 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「景気は一段と困難な局面を迎えると考える」、「われわれにとって重要なのは、金融政策での支援や他のプログラムを提供することで自分たちの責任を確実に果たしていくことであり、力強い経済回復を可能な限り支えるための金融環境を維持することが基本だ」 | -------- |
| 11/5 | FOMC声明文 | 「経済活動と雇用は回復が続いているが、今年初めの水準をなお大きく下回っている」 | -------- |
| 11/5 | パウエル・FRB議長 | 「少なくともいくらか財政による追加支援が得られれば、景気回復は力強さを増すと考えている」、「米国内で新型コロナウイルス感染症の新規感染例が増加している状況は特に気掛かりだ」 | ドル安が進み、ドル円は103円49銭まで売られ、ユーロドルは1.1826まで上昇 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



