「コロナの『変異種』欧州で拡大」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- リスク回避の流れが強まったことからドル円は欧州時間に103円89銭近辺まで反発。NYでは上値を追う動きはなく、ドルがジリジリと売られ、103円30銭まで下落。結局、東京時間のレベルまで押し戻される。
- ユーロドルは反落し、1.2163まで売られる。英国とEUとの通商協議の行方が不透明なことに加え、欧州各国がロックダウンに踏み切ったことがユーロ売りにつながった。
- コロナの「変異種」が確認され、欧州でロックダウンが相次いだことから株価は朝方から大きく下落。その後銀行株を中心に買いが優勢となり、結局ダウは37ドル高で取引を終える。
- 債券相場は反発。長期金利は0.93%台に低下。
- 金は続落。原油は欧州でのロックダウンを手掛かり大幅に下落。
| ドル/円 | 103.30 〜 103.62 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.2163 〜 1.2253 |
| ユーロ/円 | 125.97 〜 126.62 |
| NYダウ | +37.40 → 30,216.45ドル |
| GOLD | −6.10 → 1,882.80ドル |
| WTI | −1.36 → 47.74ドル |
| 米10年国債 | −0.012 → 0.935% |
本日の注目イベント
- 独 独1月GFK消費者信頼感
- 英 英7−9月期GDP(改定値)
- 米 7−9月GDP(確定値)
- 米 11月中古住宅販売件数
- 米 12月リッチモンド連銀製造景況業指数
- 米 12月消費者信頼感指数
本日のコメント
本日も話題は、「新型コロナウイルス」と、「米経済対策を巡る動き」、そして「英国とEUの通商交渉の行方」の「3本立て」です。
昨日もこの欄で触れましたが、コロナウイルスの「変異種」が欧州を中心に拡大しているニュースが、大きく取り上げられています。「変異種」はすでに英国だけではなく、イタリア、オランダ、デンマークなどでも確認されており、アフリカでも異なる種類だとされていますが確認されています。ハンコック英保健相は前日、コロナ変異種の感染が「制御不能」に陥っていると警告しています。「変異種」はこれまでのコロナに比べ70%も感染力が強いといった報告も英国から伝えられています。欧州各国でロックダウンに踏み切ったことから、「リスクオフ」が一気に強まり、昨日の欧州時間にドル円は103円89銭前後まで買い戻されています。「リスクオンでドル売り」が強まることの「裏返し」ということでしょうか。前日49ドル台まで買われていたWTI原油価格も、昨日は大きく売られました。欧州各国では渡航禁止が発令され、特に欧州と英国の物流拠点であるドーバー海峡ではトラックなどの物流で混乱が出ている模様です。
英国とEUの通商交渉は依然として合意には達していませんが、英国側から新たな提案が検討されているようです。ブルームバーグによると、双方とも週末には新たな譲歩は難しいことを示唆していましたが、交渉に詳しい関係者は英国が21日、EUが他の分野で折れるのを条件にさらなる譲歩を申し出たとされています。英国は最新の提案で、EUによる英水域での年間漁獲高(金額ベース)を約3分の1減らすことを求めているようです。ジョンソン英首相はEUが提示した通商協定案を受け入れるかどうかの決断を迫られていると、ブルームバーグが報じています。英国はロンドン時間12月31日午後11時をもってEU単一市場と関税同盟を離れますが、離脱後の協定についてEUは週末にこれ以上の譲歩を拒否しており、ジョンソン首相がどう動くかが注目されています。交渉に近い双方の関係者は、21日の合意が成立する大きな可能性があると述べていますが、交渉が決裂する確率も同じくらい高いことも認めています。
報道されているように、米議会の与野党指導部は9000億ドル(約93兆円)規模の追加経済対策で合意しました。ペロシ下院議長は会見で、「今回の経済対策は第一歩。バイデン次期政権で追加対策を講じる」と述べ、さらなる追加対策の対案を示唆しています。これに対してムニューシン財務長官はCNBCのテレビ番組で、「これで回復できる」と述べるに留まっています。合意した内容では、大人一人あたり最大600ドルの現金給付や、低所得層を中心に家賃の支払いや食費の確保を支援する仕組みも含んでいます。本来ならこの合意を受けてNY株式がさらに上値を追う展開も想定できましたが、コロナの「変異種」に負けた格好です。巷で、ようやくコロナワクチンの接種が開始されたことを感じ取って、自己変質したわけでもないのでしょうが、コロナは手ごわく、侮れない相手です。
ドル円は欧州時間に103円89銭近辺まで反発したことから、短期の動きを示す「30分足」では一目均衡表の雲を上抜けしましたが、その後のNY市場の動きで、再び雲の下方に押し戻されています。リスクオフが一時的に高まったことによるドルの買い戻しでしたが、この先コロナの「変異種」がどこまで猛威を振るうのかを見極める必要があります。これまでのように、大きな流れとしてリスクオンが継続されるのであれば、ドル円も再び102円台を試すことになりますが、恐怖指数と呼ばれる「VIX指数」は約1カ月ぶりに「25」を超えて来ています。依然としてドルの上値の重さは昨日のNYでの動きからも確認されていますが、やや注意は必要かと思います。本日のドル円は103円〜103円80銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 12/16 | バイトマン・ドイツ連銀総裁 | (拡大するECBの国債保有が危険だとしながら)「そうしなければ、われわれは市場への支配的影響力を得て国債のリスクプレミアムの違いをならす危険を冒すことになる。これは市場の規律をさらに弱める。とりわけ最近のPEPP拡充によりこの問題が増幅された」 | -------- |
| 12/16 | パウエル・FRB議長 | 「経済活動と雇用は回復を続けたが、今年初めの水準をなお大きく下回っている」、「ようやくトンネルの先に明かりが見えるような状況になった」としつつ、「あと数カ月が持ちこたえられず事業を失う人がいることを思うと心が痛む」 | -------- |
| 12/16 | FOMC声明文 | 「委員会は長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。インフレがこのより長期の目標を下回る状況が長く続いていることを踏まえ、委員会はインフレが一定期間2%を適度に上回ることを目標とし、それによって期間平均が2%となり、より長期のインフレ期待は2%でしっかりとどまるとうにする。委員会はこうした結果が得られるまで、緩和的な金融政策スタンスを維持する見通しだ」、委員会の目標である最大限の雇用と物価安定に向けて一段と顕著な進展があるまでそれを継続する」 | 株価が下落し、債券が売られ、ドル円は小幅に上昇したが、その後元の水準に。 |
| 12/10 | ラガルド・ECB総裁 | 「望ましい金融環境が維持できているならば、全額を使う必要はない」(新型コロナウイルスのパンデミックについて)「先を見れば、ワクチン接種開始の見通しが健康危機の段階的な解消という想定への自信を深める」、「しかしながら、幅広く免疫が獲得されるには時間がかかり、さらなる感染再燃が公衆衛生と経済見通しに課題を突き付ける可能性は排除できない」 | 追加緩和策発表後、ユーロドルは1.20台後半から1.21台半ばへ。 |
| 12/1 | シュナーベル・ECB理事 | 「さらに大きく緩和することよりも、現状を維持していくことに集中するのが適切だ」 | -------- |
| 12/1 | パウエル・FRB議長 | 「一定程度の財政支援を行えば、経済を前進させる助けになる他、特に中小企業にとって下方リスクへの備えにも役立つ」、「対応が過剰によるリスクは、過小なものに留まるリスクよりも小さい」 | -------- |
| 11/18 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「景気は一段と困難な局面を迎えると考える」、「われわれにとって重要なのは、金融政策での支援や他のプログラムを提供することで自分たちの責任を確実に果たしていくことであり、力強い経済回復を可能な限り支えるための金融環境を維持することが基本だ」 | -------- |
| 11/5 | FOMC声明文 | 「経済活動と雇用は回復が続いているが、今年初めの水準をなお大きく下回っている」 | -------- |
| 11/5 | パウエル・FRB議長 | 「少なくともいくらか財政による追加支援が得られれば、景気回復は力強さを増すと考えている」、「米国内で新型コロナウイルス感染症の新規感染例が増加している状況は特に気掛かりだ」 | ドル安が進み、ドル円は103円49銭まで売られ、ユーロドルは1.1826まで上昇 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



