「英国とEUの通商協議、大筋合意」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は小動きの中、ユーロがドルで軟調だったことから103円65銭まで上昇。
- ユーロドルはやや上値が重くなり1.2161まで下落。1.22台では徐々に上値を切り下げる展開が続く。
- 株式市場は午後の引け際まで3指数とも揃って上昇していたが、上げ幅を大幅に縮小しダウ以外は反落。ダウは114ドル高。経済対策の行方が依然不透明に。
- 債券相場は反落。長期金利は0.94%台へと上昇。
- 金と原油は揃って反発。
11月個人所得 → −1.1%
11月個人支出 → −0.4%
11月PCEコアデフレータ → 1.4%
新規失業保険申請件数 → 80.3万件
11月耐久財受注 → 0.9%
12月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 80.7
11月新築住宅販売件数 → 84.1万戸
10月FHFA住宅価格指数 → 1.5%
****************************
| ドル/円 | 103.40 〜 103.65 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.2161 〜 1.2270 |
| ユーロ/円 | 125.93 〜 126.38 |
| NYダウ | +114.32 → 30,129.83ドル |
| GOLD | +7.80 → 1,878.10ドル |
| WTI | +1.10 → 48.12ドル |
| 米10年国債 | +0.027 → 0.943% |
本日の注目イベント
- 日 黒田日銀総裁講演
- トルコ トルコ中銀、政策金利発表
- 欧 ECB経済報告
- 米 5月新築住宅販売件数
- 米 株式・債券市場、短縮取引
本日のコメント
ようやく議会で可決された9000億ドル(約93兆円)規模の米経済対策案でしたが、実現にはまだ不透明感が残っています。トランプ大統領は同案の、大半の国民を対象とする直接給付を「とんでもなく低い」とし、「1人当たり600ドルから増して2000ドルに引き上げるよう議会に求める」と述べ、同案への署名を拒否しています。これに対してペロシ下院議長は、直接給付額を2000ドルに引き上げるとの内容を盛り込んだ新たな法案を採決にかける計画で、民主党と歩調を合わせるよう共和党に呼びかけています。ただ、共和党幹部は財政規律の観点から2000ドルへの増額には難色を示しているようで、経済対策の早期実現には至っていません。NY株式市場では、この状況を嫌気して引け間際には上げ幅を大きく縮め、ダウ以外は前日比マイナスで取引を終えています。トランプ大統領は早くから大規模な経済対策を主張していたこともあり、任期最後の仕事として、自身の「トラックレコード」を残したい考えもあるようです。民主党側は、国民が必要とする支援だとして歓迎していますが、共和党側の出方次第では年内の成立が危ぶまれ、黄信号が灯っています。
もう一つの懸案事項だった英国とEUとの通商協議はどうやら合意しそうな気配です。「英国とEU、大筋合意」とのヘッドラインが語るように、23日中にも歴史的な合意がありそうです。ブルームバーグによると、EUが他の分野で折れることを条件に、英国側が大幅な譲歩を見せたようです。英国側の最新の提案では、EUによる英水域での年間漁獲高(金額ベース)を約3分の1減らすよう要求していました。EU側はこれに対して、25%を上回る削減は、フランスやデンマークにとって受け入れ難いとして、英国の提案を拒否していました。詳しい内容はまだ分かっていませんが、英国側が大幅な譲歩を見せたことで交渉は最終段階にあるようです。フランスのボーヌ欧州問題担当相は「来年まで持ち越されることを私は望まない」と述べ、ジェンリック英・住宅・地域社会・自治相は「そこそこ楽観している」と語っています。大筋合意の報道を受け、ポンドドルは1.34前後から1.35台前半まで急騰しています。
クリスマスや年末に向け、市場の不確定要素だった案件は概ね落ち着きを見せて来ましたが、一方でコロナウイルスの方は感染が止まらないどころか、依然として拡大しています。英国では1日の新規感染者数が過去最多の3万9237人になったことが発表され、英政府は最も厳しいロックダウン措置をイングランド全域に拡大しました。日本でも連日報道されているように、新規感染者数がこれまでの最多を記録し、お酒を伴う飲食店の営業時間をさらに早めることも検討されているようです。コロナによる死者数もついに3000人を超えてきました。ワクチンの到着は早くても来年2月以降と見られており、状況によっては春以降になる可能性もあります。日本医師会の中川会長は昨日の会見で、政府にさらに厳しい措置と、国民に一段の自粛を訴えていました。また、医療崩壊目前だとの認識も示し、特に年末年始の医療体制が困難であることに危機感を示していました。「コロナに年末年始はない」とのことです。
ドル円が102円88銭まで売られてから1週間が経ちましたが、103円台半ばを中心とした取引が続いており、思ったほどドル安は進んでいません。クリスマス休暇前にポジションを縮小する動きもあろうかと思いますが、市場、特に株式市場がこれまでのような一方的な「リスクオン」に傾いていないことも、その一因として挙げられます。NYダウが初めて引け値で3万ドルの大台を達成したのは11月24日でした。昨日のダウは114ドル高でしたが、それでも3万129ドルと、ここ1カ月でほとんど上昇していません。この動きは日経平均株価が2万7000円を前に足踏みしていることにも通じます。リスクオンでドルが売られる傾向が定着しつつあるため、リスクオンが進まない足元の動きではドルが底堅い動きを見せています。また一時1.22台後半まで上昇したユーロドルが、1.23を前に勢いが鈍っており、やや天井感が出て来たことも要因の一つと見られます。
本日のドル円は103円30銭〜103円80銭程度と見ますが、クリスマスイブということもあり、値幅はぐっとせばまる可能性があります。
佐藤正和の書籍紹介
これだけ! FXチャート分析 三種の神器 |
チャートがしっかり読めるようになるFX入門 |
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 12/16 | バイトマン・ドイツ連銀総裁 | (拡大するECBの国債保有が危険だとしながら)「そうしなければ、われわれは市場への支配的影響力を得て国債のリスクプレミアムの違いをならす危険を冒すことになる。これは市場の規律をさらに弱める。とりわけ最近のPEPP拡充によりこの問題が増幅された」 | -------- |
| 12/16 | パウエル・FRB議長 | 「経済活動と雇用は回復を続けたが、今年初めの水準をなお大きく下回っている」、「ようやくトンネルの先に明かりが見えるような状況になった」としつつ、「あと数カ月が持ちこたえられず事業を失う人がいることを思うと心が痛む」 | -------- |
| 12/16 | FOMC声明文 | 「委員会は長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。インフレがこのより長期の目標を下回る状況が長く続いていることを踏まえ、委員会はインフレが一定期間2%を適度に上回ることを目標とし、それによって期間平均が2%となり、より長期のインフレ期待は2%でしっかりとどまるとうにする。委員会はこうした結果が得られるまで、緩和的な金融政策スタンスを維持する見通しだ」、委員会の目標である最大限の雇用と物価安定に向けて一段と顕著な進展があるまでそれを継続する」 | 株価が下落し、債券が売られ、ドル円は小幅に上昇したが、その後元の水準に。 |
| 12/10 | ラガルド・ECB総裁 | 「望ましい金融環境が維持できているならば、全額を使う必要はない」(新型コロナウイルスのパンデミックについて)「先を見れば、ワクチン接種開始の見通しが健康危機の段階的な解消という想定への自信を深める」、「しかしながら、幅広く免疫が獲得されるには時間がかかり、さらなる感染再燃が公衆衛生と経済見通しに課題を突き付ける可能性は排除できない」 | 追加緩和策発表後、ユーロドルは1.20台後半から1.21台半ばへ。 |
| 12/1 | シュナーベル・ECB理事 | 「さらに大きく緩和することよりも、現状を維持していくことに集中するのが適切だ」 | -------- |
| 12/1 | パウエル・FRB議長 | 「一定程度の財政支援を行えば、経済を前進させる助けになる他、特に中小企業にとって下方リスクへの備えにも役立つ」、「対応が過剰によるリスクは、過小なものに留まるリスクよりも小さい」 | -------- |
| 11/18 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「景気は一段と困難な局面を迎えると考える」、「われわれにとって重要なのは、金融政策での支援や他のプログラムを提供することで自分たちの責任を確実に果たしていくことであり、力強い経済回復を可能な限り支えるための金融環境を維持することが基本だ」 | -------- |
| 11/5 | FOMC声明文 | 「経済活動と雇用は回復が続いているが、今年初めの水準をなお大きく下回っている」 | -------- |
| 11/5 | パウエル・FRB議長 | 「少なくともいくらか財政による追加支援が得られれば、景気回復は力強さを増すと考えている」、「米国内で新型コロナウイルス感染症の新規感染例が増加している状況は特に気掛かりだ」 | ドル安が進み、ドル円は103円49銭まで売られ、ユーロドルは1.1826まで上昇 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



