今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米長期金利1.46%台まで上昇」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は続伸し、104円40銭まで買われ、1カ月ぶりのドル高を付けた。米10年債利回りが1.46%台まで上昇したことでドルの買い戻しが進む。
  • ユーロドルは続落。ドルが買われたことで1.2132までユーロ安に。
  • 株式市場は反落。連日最高値を更新していたこともあり、米下院民主党がトランプ大統領の弾劾決議案を提出したことを嫌気し、ダウは89ドル安。
  • 債券は続落し、長期金利はこの日の高値となる1.46%台で引ける。
  • 金利高が続き、前日大幅に売られた金は反発。原油は52ドル台でほぼ横ばい。
ドル/円 104.06 〜 104.40
ユーロ/ドル 1.2132 〜 1.2174
ユーロ/円 126.55 〜 126.79
NYダウ −89.28 → 31,008.69ドル
GOLD +15.40 → 1,850.80ドル
WTI +0.01 → 52.25ドル
米10年国債 +0.031 → 1.146%

本日の注目イベント

  • 日 12月景気ウオッチャー調査
  • 日 11月貿易収支
  • 日 11月国際収支
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
  • 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演

本日のコメント

米長期金利の上昇に弾みがつき、止まりません。10年債利回りは1.46%まで上昇し、この日の高値で取り引きを終えています。昨日のNYでは株価が3日ぶりに反落し、リスクオンがやや後退したにも拘わらず、債券が売られています。通常は株式が売られれば、債券は買われますが、昨日はやや象徴的な動きだったように思います。バイデン次期大統領が大規模な財政出動を行うとの見立てから、債券への売り圧力が継続していることが背景です。

ドル円も金利高に反応し、104円40銭まで買い戻しが進み、昨年12月10日のレベルまでドル高が進行しました。株価の動きよりも金利の動きにより反応する、ドル円本来の動きに戻って来ています。もちろん米10年債利回りが1%を抜け、大幅に上昇して来たことで、金利高に引っ張られる形でドルが買い戻されてきましたが、この傾向が続くかどうかはまだ判然としません。これで米長期金利の上値のメドは1.2%という節目となりますが、この水準は昨年3月に新型コロナウイルス感染拡大の「第一波」を受け、FRBが急遽ゼロ金利政策を決定したレベルで、長期金利は1.27%台から急落したところです。先週この欄で、長期金利が1%の大台を突破した際、「ドルの戻りを売る展開は変わっていないが、注意が必要」とのコメントを書きました。米長期金利が一段と上昇したことで、ドル円の先行きにも変化が出てきました。依然としてドル先安観を完全に取り去るわけにはいきませんが、今後105円台に乗せるようなら、その相場観の修正も迫られると考えます。今後も米長期金利の動きが要になってきます。ドル円を動かすメインのドライバーが株式市場から債券市場へと変わるかもしれません。

米下院民主党はトランプ大統領を弾劾訴追する決議案を提出しました。ペンス副大統領と大統領顧問団(内閣)が憲法修正25条を発動し、トランプ氏を免職するよう同決議案は要求しています。下院はこの決議案について、12日に点呼投票を行うようですが、その24時間以内にペンス氏が行動しないのであれば、下院は弾劾決議案の採決に向かうと、ペロシ下院議長は述べています。(ブルームバーグ)ただ仮に下院で可決されたとしても、上院で弾劾決議が採決されるには出席議員の3分の2以上の賛成が必要であるため、少なくも共和党の中から17名の賛成者が出て来る必要があります。トランプ氏の罷免や弾劾裁判を巡る問題は、「脱トランプ」の路線を模索するのか否か、共和党側は「踏み絵」を迫られている(日経新聞)といったところです。また弾劾裁判とバイデン氏の大統領就任が日程的に重なるため、決議は大統領就任式後になるとの見方もあります。2024年の大統領選には再出馬するのではないかとの観測もある中、自ら蒔いた種とは言え、トランプ氏にとっても厳しい局面となります。

104円40銭までドルが買われたことで、日足のチャートではローソク足が「雲入り」を見せています。この雲の上限は104円60−65銭にあり、上で述べたように、やはり105円台に乗せるということは「雲抜け」を完成さすせることとなり、ドル高に弾みがつく可能性があります。ここからが、ドルが再び100円を目指すのか、あるいはドル安に終止符を打つのか、重要な局面になると思われます。本日のドル円は103円80銭〜104円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
1/7 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「米金融当局による債券購入プログラムが早ければ年末にも縮小を始める可能性がある」、「余りに早期に開始しようとすれば、市場に混乱を引き起こしかねない。そのため、私はこれに関してかなり慎重だ。景気の修復が実際に見られるようになるまで、変わらない姿勢でいるべきだ」 --------
1/4 シカゴ連銀のエバンス総裁 「インフレ率が2.5%を大幅に超えて上昇することは懸念していない。3%でさえ恐れていない」、「インフレ率が3%に向っているのを見れば、われわれは間違いなく政策対応をどう調整するかについて話しているだろうが、同時に、最大限の雇用を達成しインフレ率を適正化させることにも間違いなく焦点をあてているだろ」 --------
12/24 フォンデアライエン・欧州委員長 「長く、曲がりくねった道だった。しかしその成果を示す合意だ」、「公平であり、バランスの取れた合意だ。英国とEUの双方にとって、適切かつ守る責任ある内容だ」 ユーロドルは1.22台からじり安の展開に。
12/24 ジョンソン・英首相 「数十年にわたり英国の政治を悩ませてきた問題を解決した」、「いいとこだけを集めた協定ではないが、現段階で英国に必要なものであると信じている」 ポンドドル、1.35台半ばから1.36台に乗せる。
12/16 バイトマン・ドイツ連銀総裁 (拡大するECBの国債保有が危険だとしながら)「そうしなければ、われわれは市場への支配的影響力を得て国債のリスクプレミアムの違いをならす危険を冒すことになる。これは市場の規律をさらに弱める。とりわけ最近のPEPP拡充によりこの問題が増幅された」 --------
12/16 パウエル・FRB議長 「経済活動と雇用は回復を続けたが、今年初めの水準をなお大きく下回っている」、「ようやくトンネルの先に明かりが見えるような状況になった」としつつ、「あと数カ月が持ちこたえられず事業を失う人がいることを思うと心が痛む」 --------
12/16 FOMC声明文 「委員会は長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。インフレがこのより長期の目標を下回る状況が長く続いていることを踏まえ、委員会はインフレが一定期間2%を適度に上回ることを目標とし、それによって期間平均が2%となり、より長期のインフレ期待は2%でしっかりとどまるとうにする。委員会はこうした結果が得られるまで、緩和的な金融政策スタンスを維持する見通しだ」、委員会の目標である最大限の雇用と物価安定に向けて一段と顕著な進展があるまでそれを継続する」 株価が下落し、債券が売られ、ドル円は小幅に上昇したが、その後元の水準に。
12/10 ラガルド・ECB総裁 「望ましい金融環境が維持できているならば、全額を使う必要はない」(新型コロナウイルスのパンデミックについて)「先を見れば、ワクチン接種開始の見通しが健康危機の段階的な解消という想定への自信を深める」、「しかしながら、幅広く免疫が獲得されるには時間がかかり、さらなる感染再燃が公衆衛生と経済見通しに課題を突き付ける可能性は排除できない」 追加緩和策発表後、ユーロドルは1.20台後半から1.21台半ばへ。
12/1 シュナーベル・ECB理事 「さらに大きく緩和することよりも、現状を維持していくことに集中するのが適切だ」 --------
12/1 パウエル・FRB議長 「一定程度の財政支援を行えば、経済を前進させる助けになる他、特に中小企業にとって下方リスクへの備えにも役立つ」、「対応が過剰によるリスクは、過小なものに留まるリスクよりも小さい」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和