「米ハイテク株続伸」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は小幅に続伸。ユーロなどが対ドルで売られたことを受け、ドル円も103円93銭まで円売りが進む。
- ユーロドルは小幅に下落。独IFO景況感が悪化していたことを手掛かりに売りが先行し、1.2116まで下落。イタリアのコンテ首相辞任も売り材料に。
- 株価は先週末と同様にまちまち。ハイテク株の多いナスダックは92ポイント上昇し、これで、4日連続で最高値を更新。一方ダウは下げ幅を大幅に縮小したもの36ドル安。
- 債券相場は続伸。長期金利は1.03%台まで低下し、約3週間ぶりの低水準。
- 金は続落し、原油は反発。
ドル/円 | 103.71 〜 103.93 |
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ユーロ/ドル | 1.2116 〜 1.2153 |
ユーロ/円 | 125.80 〜 126.24 |
NYダウ | −36.98 → 30,960.00ドル |
GOLD | −1.00 → 1,855.20ドル |
WTI | +0.50 → 52.77ドル |
米10年国債 | −0.056 → 1.030% |
本日の注目イベント
- 日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(12月17日、18日分)
- 英 英失業率(9月−11月)
- 米 IMF、世界経済の見通し、改定見通し
- 米 11月ケース・シラ−住宅価格指数
- 米 11月FHFA住宅価格指数
- 米 1月消費者信頼感指数
- 米 1月リッチモンド連銀製造景況業指数
- 米 企業決算 → スターバックス、アメックス、J&J、GE、ベライゾン、マイクロソフト
本日のコメント
習近平国家主席は25日、世界経済フォーラム(WEF)がオンライン開催した「ダボスアジェンダ」会議で講演を行い、世界がお互いの尊重を取り戻すため、「イデオロギー的な偏見」を捨て、時代遅れの「冷戦思考」をやめるよう呼びかけました。習主席は、「相違そのものは警戒するに当たらない。警戒すべきは放漫な偏見、憎しみだ」と述べました。また、「対立はわれわれを袋小路に陥れる」と指摘するとともに、世界の大国が「覇権にコミットし続けるのではなく、国際法と国際的なルールにコミットし続けるよう」主張しました。(ブルームバーグ)この発言は、バイデン新政権がトランプ政権のように「自国第一主義」を取らず、中国との関係を改善するよう、強くけん制したものと受け止められています。ポンペオ前国務長官が国務長官としての最後の置き土産として20日に、新疆ウイグル地区におけるウイグル族など、少数民族に対する行為は「ジェノサイド」だと発言したことも意識されているようです。バイデン新政権発足後、習近平主席が演説を行ったのはこれが初めてです。
米国では大手製薬会社メルクが2つの新型コロナワクチンの開発を打ち切ると発表したことで、ダウは朝方から大きく下げ、一時は400ドルを超える下げを見せました。同社はファイザーやモデルナなどとは異なる戦略やアプローチを採用したものの、試験継続に必要な結果が得られなかったとしています。一方モデルナは、感染力が強い「変異種」への対応を目的とした、新型コロナワクチンの効果増強を狙った追加接種について、人を対象とした治験を開始する予定だと発表しています。ナスダックは4日連続で最高値を更新し、今年もハイテク株の上昇が指数をけん引しそうな気配です。上昇の背景は、今週決算発表が行われるアップルなど、ハイテク株の好決算観測が高まっていることが挙げられます。マイクロソフトの決算発表は本日26日で、アップルとフェイスブックの決算発表は明日27日の予定です。
もっとも、NYダウの下げはバイデン大統領が提案した1.9兆ドル(約197兆円)の経済対策が遅れるとの見方が影響した部分もあります。民主党のシューマー上院院内総務は、同経済対策案を向こう1カ月から1カ月半に議会で通過させたい考えを明らかにしていますが、規模を巡って共和党側から強く反対する声も挙がっており、実施時期が予定されているよりも遅れる可能性があるようです。バイデン大統領は民主党だけの支持ではなく、共和党の関与も期待しており、同党と協議する用意があることを明らかにしています。
ドル円はNYで買われましたが、104円には届いていません。今朝のレベルは昨日とほぼ同じです。米長期金利が大きく低下したことを考えれば、もう少しドル安に振れてもよかったのかなと思いますが、ユーロドルの下落がドルを支えた格好でした。足元では103円台を固めている動きのようにも思えますが、104円台では依然としてドル売り意欲も旺盛かと思われます。これまでと同様、小刻みに利益を確定して行くしかありません。本日のドル円は103円50銭〜104円20銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
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1/25 | 習近平・中国国家主席 | 「対立はわれわれを袋小路に陥れる」、「覇権にコミットし続けるのではなく、国際法と国際的なルールにコミットし続けるよう」 | -------- |
1/20 | イエレン・次期財務長官 | 中国の悪質な慣行にはあらゆる手段を積極的に使う」、「対中関税は同盟国と協議するまで変更するつもりはない」、「通商上の不公正な優位を得るための人為的な為替操作に対しては、バイデン大統領は反対の意思を明確にしている。この意向を支持しており、承認を受ければ、いかなる為替操作に対しても政権内で協力して反対していく」 | -------- |
1/19 | イエレン・次期財務長官 | (承認公聴会で)競争上の優位を得るため弱い通貨を米国が目指すことなく、他国によるそうした試みを求めるべきでない」、「貿易における優位性を得るため人為的に通貨価値を操作する外国によるいかなる、またあらゆる試みに反対すべく、取り組んでいく」 | ドル円は小幅に上昇し、104円台をつける。 |
1/14 | パウエル・FRB議長 | 「必要となれば利上げはするが、その時は直ぐ来ない」(2%の物価目標について)、「新たな枠組みの信認のためには2%を一定期間上回る必要がある」、「一時的な物価上昇は、基調としての物価上昇を意味しない」 | -------- |
1/11 | クラリダ・副議長 | (長期金利が1%を超えたことについて)「ワクチンや経済成長期待などのプラスの期待を織り込んで金利が上昇しているのであれば、それは懸念すべきでない」 | -------- |
1/7 | ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「米金融当局による債券購入プログラムが早ければ年末にも縮小を始める可能性がある」、「余りに早期に開始しようとすれば、市場に混乱を引き起こしかねない。そのため、私はこれに関してかなり慎重だ。景気の修復が実際に見られるようになるまで、変わらない姿勢でいるべきだ」 | -------- |
1/4 | シカゴ連銀のエバンス総裁 | 「インフレ率が2.5%を大幅に超えて上昇することは懸念していない。3%でさえ恐れていない」、「インフレ率が3%に向っているのを見れば、われわれは間違いなく政策対応をどう調整するかについて話しているだろうが、同時に、最大限の雇用を達成しインフレ率を適正化させることにも間違いなく焦点をあてているだろ」 | -------- |
12/24 | フォンデアライエン・欧州委員長 | 「長く、曲がりくねった道だった。しかしその成果を示す合意だ」、「公平であり、バランスの取れた合意だ。英国とEUの双方にとって、適切かつ守る責任ある内容だ」 | ユーロドルは1.22台からじり安の展開に。 |
12/24 | ジョンソン・英首相 | 「数十年にわたり英国の政治を悩ませてきた問題を解決した」、「いいとこだけを集めた協定ではないが、現段階で英国に必要なものであると信じている」 | ポンドドル、1.35台半ばから1.36台に乗せる。 |
12/16 | バイトマン・ドイツ連銀総裁 | (拡大するECBの国債保有が危険だとしながら)「そうしなければ、われわれは市場への支配的影響力を得て国債のリスクプレミアムの違いをならす危険を冒すことになる。これは市場の規律をさらに弱める。とりわけ最近のPEPP拡充によりこの問題が増幅された」 | -------- |
12/16 | パウエル・FRB議長 | 「経済活動と雇用は回復を続けたが、今年初めの水準をなお大きく下回っている」、「ようやくトンネルの先に明かりが見えるような状況になった」としつつ、「あと数カ月が持ちこたえられず事業を失う人がいることを思うと心が痛む」 | -------- |
12/16 | FOMC声明文 | 「委員会は長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。インフレがこのより長期の目標を下回る状況が長く続いていることを踏まえ、委員会はインフレが一定期間2%を適度に上回ることを目標とし、それによって期間平均が2%となり、より長期のインフレ期待は2%でしっかりとどまるとうにする。委員会はこうした結果が得られるまで、緩和的な金融政策スタンスを維持する見通しだ」、委員会の目標である最大限の雇用と物価安定に向けて一段と顕著な進展があるまでそれを継続する」 | 株価が下落し、債券が売られ、ドル円は小幅に上昇したが、その後元の水準に。 |
12/10 | ラガルド・ECB総裁 | 「望ましい金融環境が維持できているならば、全額を使う必要はない」(新型コロナウイルスのパンデミックについて)「先を見れば、ワクチン接種開始の見通しが健康危機の段階的な解消という想定への自信を深める」、「しかしながら、幅広く免疫が獲得されるには時間がかかり、さらなる感染再燃が公衆衛生と経済見通しに課題を突き付ける可能性は排除できない」 | 追加緩和策発表後、ユーロドルは1.20台後半から1.21台半ばへ。 |
12/1 | シュナーベル・ECB理事 | 「さらに大きく緩和することよりも、現状を維持していくことに集中するのが適切だ」 | -------- |
12/1 | パウエル・FRB議長 | 「一定程度の財政支援を行えば、経済を前進させる助けになる他、特に中小企業にとって下方リスクへの備えにも役立つ」、「対応が過剰によるリスクは、過小なものに留まるリスクよりも小さい」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書