今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「新型コロナ感染者世界で1億人突破」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は材料難から小動き。103円台半ばでの推移に留まり、本日のFOMC待ちのムードに包まれる。
  • ユーロドルも1.21台半ばで小動き。
  • 株式市場は揃って小幅に下落。引け間際まで上昇していたが、コロナ感染への警戒感などから、最後にマイナス圏に。ナスダックは9ポイント下げ、ダウは4日続落。
  • 債券はもみ合う中小幅に下落。長期金利は1.035%台に。
  • 金は4日続落し、原油も下げる。
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11月ケース・シラ−住宅価格指数 → 9.08%
11月FHFA住宅価格指数 → 1.0%
1月消費者信頼感指数 → 89.3
1月リッチモンド連銀製造景況業指数 → 14
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ドル/円 103.56 〜 103.74
ユーロ/ドル 1.2140 〜 1.2176
ユーロ/円 125.89 〜 126.16
NYダウ −22.96 → 30,937.04ドル
GOLD −4.30 → 1,850.90ドル
WTI −0.16 → 52.61ドル
米10年国債 +0.005 → 1.035%

本日の注目イベント

  • 豪 豪第4四半期消費者物価指数
  • 豪 豪12月NAB企業景況感指数
  • 日 11月景気先行指数(改定値)
  • 日 11月景気先行指数(CI)(改定値)
  • 中 中国12月工業利益
  • 独 独2月GFK消費者信頼感
  • 米 12月耐久財受注
  • 米 FOMC 政策金利発表
  • 米 パウエル議長記者会見
  • 米 企業決算 → アップル、AT&T、テスラ、フェイスブック、ブラックストーン、ボーイング

本日のコメント

今朝の最初の話題はやはり、新型コロナに関するものでしょう。ジョンズホプキンス大学の集計によると、世界の新型コロナウイルス感染者が1億人を突破しました。その約4分の1が米国で、インド、ブラジルがこれに続きます。欧州でも、英国のコロナによる死者数が10万人に達し、ポルトガルでもコロナによる1日の死者が291人と過去最多を更新し、アイルランドではロックダウンを少なくとも3月5日まで延期する見込みです。日本では緊急事態宣言の発令の効果からか、感染者数はやや減少傾向にありますが、重症者の数は思ったほど減っていません。また、欧米と比べ圧倒的に少ないとは言え、最近ではコロナによる死者の数が1日で100人を超える日も散見されます。何よりも、感染が確認されても入院できずに自宅待機を余儀なくされる患者が3万人を超えていることに「危機感」を感じます。最大限の注意をしていますが、万が一コロナに感染しても、入院できない可能性があるということです。

IMFは2021年の世界経済成長見通しを上方修正しました。新型コロナワクチンの供給や追加の財政出動が感染拡大による目先の景気の落ち込みを和らげると見込んでいるようです。IMFによると、21年の世界経済成長率は「5.5%」と、昨年10月時点の予測「5.2%」から0.3ポイント引き上げました。日本は、10月時点の予測「2.3%」から「3.1%」に引き上げ、米国は「5.1%」と、前回から「2.0%」も上方修正しています。米国では、コロナによる感染者数が世界の4分の1を占めているものの、大規模な経済対策と、今後ワクチンの普及が急速に感染者の減少につながることを見込んでいるものと思われます。欧州ではユーロ圏と英国の成長率は、昨年末の冷え込みが続くと予想され下方修正されました。また中国も下方修正されたものの、「8.1%」と高水準の成長が達成されると予測されています。

バイデン政権で商務長官に指名されたレモンド氏は、中国の「不公正な」貿易慣行と闘うため米国は「積極的な」措置を取らなくてはならないと、上院での指名承認公聴会で述べています。また、生産拠点を米国に戻すよう米製造業に投資する方針も示され、その他の新政権閣僚候補と同じく、前政権の対中強硬路線が新政権下でも一部維持されることを示唆しています。先週の指名承認公聴会でも、イエレン財務長官が中国に対して、これまでの同氏としては極めて異例とも思える強硬な姿勢を見せていました。予想されていた通り、バイデン政権ではパリ協定やWHOへの復帰を目指す一方、中国への強硬な姿勢は変わらないことを印象付け、中国をけん制していると考えられます。

バイデン大統領は26日、ロシアのプーチン大統領と初の電話会談を行いました。ホワイトハウスは声明で「バイデン大統領はウクライナの主権に対する米国の確固たる支持を再確認した」と説明し、ロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏が毒を盛られたとみられる事件や、米国に対する大規模なサイバー攻撃を巡る問題などでプーチン大統領に圧力をかけたと見られます。ロシア大統領府も電話会談が同日行われたことを確認し、「ビジネスライクで率直なものだった」と表現しています。(ブルームバーグ)

為替市場は全体的に小動きで動意に欠ける展開が続いています。株価の動きがきっかけで金利が動き、その動きに合わせて出動を待つ、待機状態かと思われます。本日はアップルやフェイスブックなどの決算発表があり、市場関係者は非常に注目しているところです。今朝方発表されたマイクロソフトの決算は、市場予想を上回る増収となり、同社株は時間外取引で一時約5%の上昇を見せたようです。

ドル円は本日のFOMCでも金融政策の現状維持が予想され、パウエル議長の会見に注目が集まります。議長は引き続き緩和姿勢を明確にすると見られることからドル円はやや水準を切り下げています。本日のドル円は103円30銭〜104円10銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
1/25 習近平・中国国家主席 「対立はわれわれを袋小路に陥れる」、「覇権にコミットし続けるのではなく、国際法と国際的なルールにコミットし続けるよう」 --------
1/20 イエレン・次期財務長官 中国の悪質な慣行にはあらゆる手段を積極的に使う」、「対中関税は同盟国と協議するまで変更するつもりはない」、「通商上の不公正な優位を得るための人為的な為替操作に対しては、バイデン大統領は反対の意思を明確にしている。この意向を支持しており、承認を受ければ、いかなる為替操作に対しても政権内で協力して反対していく」 --------
1/19 イエレン・次期財務長官 (承認公聴会で)競争上の優位を得るため弱い通貨を米国が目指すことなく、他国によるそうした試みを求めるべきでない」、「貿易における優位性を得るため人為的に通貨価値を操作する外国によるいかなる、またあらゆる試みに反対すべく、取り組んでいく」 ドル円は小幅に上昇し、104円台をつける。
1/14 パウエル・FRB議長 「必要となれば利上げはするが、その時は直ぐ来ない」(2%の物価目標について)、「新たな枠組みの信認のためには2%を一定期間上回る必要がある」、「一時的な物価上昇は、基調としての物価上昇を意味しない」 --------
1/11 クラリダ・副議長 (長期金利が1%を超えたことについて)「ワクチンや経済成長期待などのプラスの期待を織り込んで金利が上昇しているのであれば、それは懸念すべきでない」 --------
1/7 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「米金融当局による債券購入プログラムが早ければ年末にも縮小を始める可能性がある」、「余りに早期に開始しようとすれば、市場に混乱を引き起こしかねない。そのため、私はこれに関してかなり慎重だ。景気の修復が実際に見られるようになるまで、変わらない姿勢でいるべきだ」 --------
1/4 シカゴ連銀のエバンス総裁 「インフレ率が2.5%を大幅に超えて上昇することは懸念していない。3%でさえ恐れていない」、「インフレ率が3%に向っているのを見れば、われわれは間違いなく政策対応をどう調整するかについて話しているだろうが、同時に、最大限の雇用を達成しインフレ率を適正化させることにも間違いなく焦点をあてているだろ」 --------
12/24 フォンデアライエン・欧州委員長 「長く、曲がりくねった道だった。しかしその成果を示す合意だ」、「公平であり、バランスの取れた合意だ。英国とEUの双方にとって、適切かつ守る責任ある内容だ」 ユーロドルは1.22台からじり安の展開に。
12/24 ジョンソン・英首相 「数十年にわたり英国の政治を悩ませてきた問題を解決した」、「いいとこだけを集めた協定ではないが、現段階で英国に必要なものであると信じている」 ポンドドル、1.35台半ばから1.36台に乗せる。
12/16 バイトマン・ドイツ連銀総裁 (拡大するECBの国債保有が危険だとしながら)「そうしなければ、われわれは市場への支配的影響力を得て国債のリスクプレミアムの違いをならす危険を冒すことになる。これは市場の規律をさらに弱める。とりわけ最近のPEPP拡充によりこの問題が増幅された」 --------
12/16 パウエル・FRB議長 「経済活動と雇用は回復を続けたが、今年初めの水準をなお大きく下回っている」、「ようやくトンネルの先に明かりが見えるような状況になった」としつつ、「あと数カ月が持ちこたえられず事業を失う人がいることを思うと心が痛む」 --------
12/16 FOMC声明文 「委員会は長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。インフレがこのより長期の目標を下回る状況が長く続いていることを踏まえ、委員会はインフレが一定期間2%を適度に上回ることを目標とし、それによって期間平均が2%となり、より長期のインフレ期待は2%でしっかりとどまるとうにする。委員会はこうした結果が得られるまで、緩和的な金融政策スタンスを維持する見通しだ」、委員会の目標である最大限の雇用と物価安定に向けて一段と顕著な進展があるまでそれを継続する」 株価が下落し、債券が売られ、ドル円は小幅に上昇したが、その後元の水準に。
12/10 ラガルド・ECB総裁 「望ましい金融環境が維持できているならば、全額を使う必要はない」(新型コロナウイルスのパンデミックについて)「先を見れば、ワクチン接種開始の見通しが健康危機の段階的な解消という想定への自信を深める」、「しかしながら、幅広く免疫が獲得されるには時間がかかり、さらなる感染再燃が公衆衛生と経済見通しに課題を突き付ける可能性は排除できない」 追加緩和策発表後、ユーロドルは1.20台後半から1.21台半ばへ。
12/1 シュナーベル・ECB理事 「さらに大きく緩和することよりも、現状を維持していくことに集中するのが適切だ」 --------
12/1 パウエル・FRB議長 「一定程度の財政支援を行えば、経済を前進させる助けになる他、特に中小企業にとって下方リスクへの備えにも役立つ」、「対応が過剰によるリスクは、過小なものに留まるリスクよりも小さい」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和