今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米長期金利、昨年3月以来となる1.21%台に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 米長期金利の上昇を手掛かりにドル円は105円台を回復。105円12銭まで買われ、再びリスクオンのドル買いの流れに。
  • ユーロドルでもドルが買われユーロが売られた。1.2082までユーロ安が進む。
  • 株式市場は主要3指数が揃って最高値を更新。引けにかけて上昇に転じ、ダウは27ドル高。
  • 債券相場は続落し、長期金利は1.21%台まで上昇。
  • 金は3日続落し、原油は59ドル台に上昇。
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2月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 76.2
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ドル/円 104.92 〜 105.12
ユーロ/ドル 1.2082 〜 1.2129
ユーロ/円 126.98 〜 127.28
NYダウ +27.70 → 31,458.40ドル
GOLD −3.60 → 1,823.20ドル
WTI +1.23 → 59.47ドル
米10年国債 +0.045 → 1.208%

本日の注目イベント

  • 日 10−12月GDP(速報値)
  • 日 12月鉱工業生産(確定値)
  • 欧 ユーロ圏12月貿易収支
  • 欧 ユーロ圏12月鉱工業生産
  • 米 NY休場(プレジデンツデー)

本日のコメント

先週末のNYでは再び「リスク選好」の流れが強まり、リスク資産が買われ、安全資産が売られる展開でした。ドル円は再び105円台を回復し、結局先週はドル高傾向の修正が観られたものの、104円台半ばで下げ止まり、そこをボトムに反発した形になっています。NY株式市場では主要3指数が揃って「最高値」を更新するとともに、米債券市場では安全資産の債券が売られ、10年債利回りは1.21%台まで上昇しました。前回は、節目の1.20%を突破出来ずに押し戻されていましたが、今回は1.21%台まで金利は上昇し、これは昨年3月19日以来となる高水準です。WTI原油価格も買われ、こちらは1年1カ月ぶりに59ドル台後半まで買われました。さらに、天井知らずのビットコインも4万9000ドルを超え、一気に5万ドルに迫る水準に達しています。ビットコインについては、1日で20%も乱高下するなど、ボラティリティが非常に高く、「通貨としては不適切」といった声もある中、投機的な資金が相場を押し上げているようです。また投資家のリスク感応度の目安となる「VIX指数」は「19.97」と、約1年ぶりに節目の「20」を割り込んできました。投資家が一段とリスク選好に傾いていることを表しています。

米上院で行われていた大統領弾劾裁判では、事前予想通り「有罪57無罪43」と、有罪とする票が多かったものの、有罪に必要な3分の2には届かず、無罪の評決となりました。共和党議員7名が「有罪」の判断を下したものの、これで2024年の大統領ではトランプ氏が再出馬することは可能となります。トランプ氏は評決が出た直後の声明で、「私はこれまで常にそうだったが、今後も常に揺るぎない支配と法執行の英雄たち、米国民が悪意と憎悪を持たずに時の問題を平和的に堂々と議論する権利を擁護していく」と表明しています。一方バイデン大統領は13日声明を発表し、「最終投票の結果、有罪評決には至らなかったが、責任の本質は論を待たない。われわれの歴史のこの嘆かわしいチャプター(章)は、民主主義が脆弱であり、常に守らなければならないとわれわれに思い起こさせた」と訴えています。(ブルームバーグ)無罪評決を受けて共和党のグラム上院議員は、トランプ氏は2度の弾劾後も同党で「最も強大な力であり続けている」と、述べています。ただ、共和党上院では7人が造反しており、マコネル上院院内総務もトランプ氏の言動に対して批判していることから、共和党内での団結にはひびがはいっていると思われ、一枚岩ではないようにも見えます。仮に2024年の大統領選にトランプ氏が再出馬をしたとしても、共和党の大統領候補者に選ばれるのは、2016年の時ほど簡単ではないと言えるでしょう。

イエレン財務長官は就任後初めてのG7財務相・中央銀行総裁会議に出席し、新型コロナウイルスのパンデミックから立ち直るための財政出動による景気刺激策について、主要7カ国は「思い切ってやることが必要だ」と強調しました。米財務省は声明で、イエレン長官は、「米国は国際的な関与を深め、われわれの同盟を強化することに高い優先度を置く」と表明し、米政権の新たな姿勢を示しました。バイデン大統領が提案している1.9兆ドル(約199兆円)の大規模な追加の経済対策案を念頭に置いた発言と見られます。

「スーパー・マリオ」こと、マリオ・ドラギ前ECB総裁がイタリアの次期首相に正式に就任しました。ドラギ新首相は、欧州中銀での長い経験があることから、金融界だけではなく、欧州各国の要人とも太いパイプを有しています。今後イタリアがユーロ圏内での存在感を高めるためには適任かと思われ、財政難に苦しむイタリアにとってはうってつけの人物です。また国内でも、極右政党の「イタリアの同胞」を除く全ての主要政党から幅広い支持を集めており、これまで何度も見られたような、イタリアの政治的リスクは後退したと見られます。

ドル円は再び105円台に戻ってきました。今回のドル高は米金利高に引っ張られた側面が大きいと思います。従って、米長期金利の今後の推移には目配りが必要です。個人的には次の米長期金利のターゲットは1.25%前後かと思います。1.2%台に乗せたからといって、FRBによる債券購入が恒常的に見込まれる以上、米長期金利がこのまま大きく上昇に向かうとも思えません。新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化に対応するため、米国の財政支出は急激に膨らんでいます。米議会予算局(CBO)は2021会計年度(2020年10月〜2021年9月)の財政赤字は2兆2580億ドル(約240兆円)と見込んでいます。日本と同じように、大量の政府債務は足元の超低金利の恩恵を受けていますが、今後金利が上昇した際は、利払い費用が大きな負担になります。

本日のドル円は104円70銭〜105円40銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
2/10 パウエル・FRB議長 「恩恵が広く共有されるような力強い労働市場からは、なお非常に遠い状態にある」、「最大限の雇用を達成し、それを維持するには、金融政策による支援以上のものが必要となる」 --------
2/7 バイデン大統領 習主席に「電話しない理由はない」、(中国に対するアプローチはトランプ前大統領とは異なるものになるとし)「対立する必要はないが、激しい競争になるだろう」、「彼の中には民主主義という概念はみじんもない」 --------
2/7 イエレン財務長官 「労働市場は深い穴に沈んでおり、抜け出すのはまだずっと先だ」、「十分な支援がなければ労働市場は2025年まで回復しない可能性がある」 --------
1/28 クノット・オランダ中銀総裁 「ユーロ高に対抗する必要が生じた場合、ECBは預金金利を現在の−0.5%からさらに引き下げる余地ある。もちろんそれは、資産購入、TLTRO、フォワードガイダンスなどの多様な手段によって決定される全体的な金融スタンスと合わせて見なければならない」 ユーロドル1.21台から1.20台半ばへと下落。
1/27 パウエル・FRB議長 「大規模な経済支援を縮小する状況からは程遠い」、「しかるべき時に資産購入のテーパリングを開始する時に、誰も不意を突かれたと受け止めることがないよう。金融当局として明瞭なコミュニケーションを心がける」、「出口に焦点を合わせるのは時期尚早だ」 --------
1/25 習近平・中国国家主席 「対立はわれわれを袋小路に陥れる」、「覇権にコミットし続けるのではなく、国際法と国際的なルールにコミットし続けるよう」 --------
1/20 イエレン・次期財務長官 中国の悪質な慣行にはあらゆる手段を積極的に使う」、「対中関税は同盟国と協議するまで変更するつもりはない」、「通商上の不公正な優位を得るための人為的な為替操作に対しては、バイデン大統領は反対の意思を明確にしている。この意向を支持しており、承認を受ければ、いかなる為替操作に対しても政権内で協力して反対していく」 --------
1/19 イエレン・次期財務長官 (承認公聴会で)競争上の優位を得るため弱い通貨を米国が目指すことなく、他国によるそうした試みを求めるべきでない」、「貿易における優位性を得るため人為的に通貨価値を操作する外国によるいかなる、またあらゆる試みに反対すべく、取り組んでいく」 ドル円は小幅に上昇し、104円台をつける。
1/14 パウエル・FRB議長 「必要となれば利上げはするが、その時は直ぐ来ない」(2%の物価目標について)、「新たな枠組みの信認のためには2%を一定期間上回る必要がある」、「一時的な物価上昇は、基調としての物価上昇を意味しない」 --------
1/11 クラリダ・副議長 (長期金利が1%を超えたことについて)「ワクチンや経済成長期待などのプラスの期待を織り込んで金利が上昇しているのであれば、それは懸念すべきでない」 --------
1/7 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「米金融当局による債券購入プログラムが早ければ年末にも縮小を始める可能性がある」、「余りに早期に開始しようとすれば、市場に混乱を引き起こしかねない。そのため、私はこれに関してかなり慎重だ。景気の修復が実際に見られるようになるまで、変わらない姿勢でいるべきだ」 --------
1/4 シカゴ連銀のエバンス総裁 「インフレ率が2.5%を大幅に超えて上昇することは懸念していない。3%でさえ恐れていない」、「インフレ率が3%に向っているのを見れば、われわれは間違いなく政策対応をどう調整するかについて話しているだろうが、同時に、最大限の雇用を達成しインフレ率を適正化させることにも間違いなく焦点をあてているだろ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和